編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2000.8月


8月30日(水) 120歳まで生きる人物

 遅い夏休みの最終日。

 謎に満ち満ちた?例の「歴史探訪の旅」の帰り際に、富士霊園に立ち寄る。

 亡父・小林春吉の墓参り。富士が見えた。

 そのついでに、7月13日オープンした、噂の日本最大級のショッピングセンター「GOTEMBA PREMIUM OUTLETS」を覗く。

 ファッション、アウトドア、アクセサリー、子供服、生活雑貨……国内外のブランド84店が集結。大変な人気だ。

 近くに絶叫マシンまでそろったアミューズメント施設もあり、まるで東京デズニーランドがオープンした時のような盛況ぶりである。

 しかし、そのまま、この北米商法が順調に行くかどうか。幾分、疑問だ。

 不安の1 東京からのアクセス。
      ガソリン代は約1500円
      高速代(往復)4450円

 不安の2 激安というけど、我が下町の星「多慶屋」の激安とは
      勝負にならない。

 不安の3 何故か、ざる蕎麦の値段が900円。僕にはお高い。

 何となく「御殿場のバブル」を見た思い。

 行く末はどうだろうか。

 「行く末」を見極めるのがジャーナリストの仕事、と常々教えてくれたのが“ドクヘン” こと牧内節男さんだった。毎日新聞の名物社会部長の牧内さんは「独断と偏見」が信条で、だから”ドクヘン”。

 いつも「景気づけに騙されてはいけない」と言っていた。

 牧内さんなら、アウトレット商法をどう見るか、興味深々である。

 昨今、日本の新聞、テレビ各社が北朝鮮にすり寄るのも「行く末」が見えないからではないか。

 突如、外交の表舞台に登場した金正日さんの「パフォーマンス=景気づけ」に翻弄されてはいないか。

 「北朝鮮特派員一番乗り」を目指して、論調を北よりに直す大新聞が目立つような気もする。

 拉致疑惑がそのままで、北朝鮮の柔軟さを強調するなんて愚の骨頂である。

 例の「北京の空は青かった」式の記事を平気で打電するような愚を、日本のマスコミがまたまた繰り返しそうな気がしてならない。世界中、天気が良ければ、どこにいたって空は青いに決まっている。

 ジャーナリストの師匠、牧内さんなら、どう看破するか。

 その牧内さん、8月31日で75歳を迎える。  彼はホームページ「銀座一丁目新聞」で「120歳まで生きる」と宣言している。

 「あと45年、おごることなく、謙虚に生きたいと思う」というのは、いかにも“ドクヘン”的台詞ではないか。

 ドクヘンさん、いつまでも元気で、怒って下さい。

<なんだか分からない今日の名文句>


□□□□を見てから死ね!


8月29日(火) 何故だ!教えてくれ

 秘密の旅行、続行中。

 朝、念のため、持参しているMobile Gear2を覗く。

 「旅が楽しくて、編集長ヘッドライン日記を書くような心境でない」と書いた28 日の日記?がHPに載っているか、どうか、点検する。

 「二代目魁」ボランティアの一人、雨宮Jrが海外旅行?から帰って、今日の更新 作業は彼の順番。忙しい彼に更新作業を押しつけている編集長が新しい紙面を見ない、 なんてことになれば、これはもうグループ解体の危機。

 雨宮Jr、有希、エコノミスト小島……ボランティアの面々の顔を頭に浮かべて感 謝。謹んで紙面を読ませてもらう。

 さらに西へ!

 11時過ぎ、秘密の旅を再開する直前、僕は魔か不思議なことに気づいた。

 何気なく、例の有田芳生さんのHPを見たら、アクセス件数が表示されているのだ。  不思議である。

 「二代目魁」もアクセス件数を表示しているが、モバイルの場合、件数が表示され ない。

 「重くなってはまずいから、モバイルの場合は件数が出ない」と聞いた。

 それなのに、有田さんのHPにはアクセス件数が出ている。

 何か、不平等な感じがする。

 それより、驚くことに彼のアクセス件数は40000を越えているのだ。

 旅に出る前、僕が自宅のパソコンで有田さんのHPを見たら、16000件前後だっ たような気がする。

 ある日、突然、一夜にして25000件のアクセスがあったのか。

 だとすれば、HP史上(こんなものあるかどうか分からないが)特記すべき出来事 ではないか。

 有田さんに「おめでとう」をしなければなるまい。

 場合によっては、HPの専門紙(あるかどうか分からないが)に情報提供しなけれ ばならない。

 何しろ、一夜に25000件である。

 夢を見ているようだ。狐に化かされているようだ。

 待てよ!

 有田さんに訪問者が大挙して現れたとしたら、有田さんが自分のHPにリンクして くれた「二代目魁」にも”おこぼれ”の愛読者が大挙して押し掛けているかも知れない。

 それを確かめたいのだが、モバイルに我が「二代目魁」のアクセス件数は表示されて いない。

 どうなっているのか。知りたい。聞きたい。

 僕は東京の悪友に電話した。

 「俺のHPに異変はないか?」

 「別に」

 「……有田さんのHPには、異変が起こっているんだぞ。有田さんのアクセス件数 を見てみろ!」

 「……16200。別に急増している風には見えないけど」

 「エッ、16200? こちらのモバイルでは4万件だゾ。4万、4万」

 「東京は16200……ヘンだな。ヘンだ。大体、お前、何処にいるんだ」

 「富士の麓だ」(秘密が分かってしまった)

 「おかしいな。富士の近くに行くと妙なことが起こるのかしら」と悪友氏はボケッ としている。

 電話を掛けた相手が悪かった。彼は僕以上に電子音痴なのだ。

 しかし、この現象、何だろう。

 同じHP、同じ時刻、パソコンの種類によってアクセス件数は大幅に違う。

 教えてくれ!

 分からないと、気が狂いそうだ。

 「パソコンを見たこともない」という歴史愛好家の”旅の相棒”は怪訝そうに「お 前、顔色が悪いゾ」。

 秘密でなくなった旅は、まったく新しい謎を抱えて、さらに西に向かった。

<なんだか分からない今日の名文句>


犬が西向きゃ 尾は東
               モバイル、西向きゃ、魔か不思議


8月28日(月) 秘密の旅行中です

 今日から遅い夏休み。

 前夜、遅くなってから、旅支度で家を出て×××××××××方面に向かう。

 東京から離れると浮き浮きする。

 相棒の車は約100キロで高速を西へ。

 何となく「高速は西へ」がいい。

 泊まる宿が決まっていないのが、また良い。

 高速の西の×番目のインターで降り、まず1泊。今日は午後11時頃、起き出して、 また走り回る。

 原稿のことを忘れ、勤め先を忘れ、リハビリを忘れ、××××を忘れ、××を忘れ、 ただただドライブ。

 一日、走り廻って、湖畔の向こうに真っ赤な夕日が沈む。

 ロマンチック街道、××××がうまい。

 まるで、10代を思い出すから楽しい。

 勤め先から突然、携帯で「ここだけの話」のゲラを点検しろ!とのお達し。

 冗談じゃない。

 東京から脱出しているのに、何故、ゲラを見なければならないのだ。

 そんなヒマはない。

「頼むから代わりに点検してくれないか」と同僚に三拝九拝。

 ホームページの日記?

 こんなもの書けるか!

 愛読者様には申し訳ないが、しばらくは「縁なきもの」と思し召せ。

<なんだか分からない今日の名文句>

疎遠は 異なもの味なもの


8月27日(日)有田さん、柳橋慕情、夏休み

朝から、お腹の具合が悪いのか放屁に次ぐ放屁。

 少し、疲れたのか。夏休みを取ろう。

 数日前、ジャーナリストの有田芳生さんから「ホームページ見ました」とメールが飛び込んで来た。

 有田さんはNTV系「ザ・ワイド」のコメンテーター。世界統一教会の反社会性を追及し続ける「正義の人」である。

 と言って、彼の人脈”硬派”ばかりと思いがちだが、意外にも、知り合いには芸能人も多い。

 都はるみの権威で、素晴らしい著作がある。

 かつての「はるみ命」だった僕は肌合いが合うのだろう。

 そこで「リンクしませんか」と返事をすると、数分後に「今日中に対処します」。その日のうちに彼のHP「有田芳生の今夜もほろ酔い」(http://www.web-arita.com/)にリンクしてくれた。

 慌てて、こちらも対応したが「二代目魁」のリンク担当ボランティア?の「エコノミスト小島」が多忙で、一日遅れてしまった。

 その種の不義理を片づけてから休もう。

 不義理を忘れて旅に出よう。

 どこに行くか?

 まあ、気の向くまま、風まかせ、で行こう。

 でも、明日の夜だけはNHKの山本周五郎原作「柳橋慕情」を忘れないようにしなければならない。

 我が故郷、東京・柳橋がドラマの舞台になっている。

 この作品は、山本周五郎の「柳橋物語」「ちゃん」「嘘はつかねぇ」「人情裏長屋」などの短編をもとにした江戸中期の物語。故郷・柳橋が全国的に有名になるのはいいものだ。

 「登場人物」2回目の「あらすじ」は以下のとおり。

 (興味のない人は「なんだか分からない今日の名文句」に直行すべし!)

 【登場人物】
 おせん………研ぎ師・源六の孫娘。早くに父母を亡くし、祖父と二人暮らし。意中の人が遠く離れても、決して心変わりしない一途な女性。
 幸太………大工衆を束ねる「杉田屋」の若棟梁で、おせんの幼なじみ。向こう気が強く口は悪いし手も早いが、分かりは早く表裏のない頼りがいのある男。後に、おせんの胸にもっとも残る人になる。
 庄吉………幸太の親友。おせんと契りを結ぶ。
 要するに江戸っ子たちが織りなす恋愛巨編である。

 8月28日(月)放送予定の【第二回あらすじ】

 ある日、注文先に刀を納めたおせんは、近くにある両親の墓参りに行く。その帰り、幼い頃隣りに住んでいた「杉田屋」の巳之吉とお蝶の夫婦に出会う。二人はおせんを若頭領になった幸太の嫁に、と考えるようになる。

 ある日、おせんは裁縫針の習い友達であるおもんから、見合いの後日談を聞く。油屋の大店の娘らしく物怖じしないおもんは「5度目になっても、見合い相手にダメを出した」と話す。

 庄吉だけを思うおせんは、見合いなど自分には縁のないものだと考えるが、師走になった頃、杉田屋から源六に話が舞い込む。話はむろん、幸太との縁組みであったが、源六はおせんに伝える前に話を断る。

 旅行の1日目は温泉に入ってから「柳橋慕情」を見よう。

<なんだか分からない今日の名文句>

朝もやに 屁連発の 慕情かな


8月24日(木)ふっくらとした「宮沢りえ」

 午後5時、千葉県印旛郡豊里町七栄の「ラディソンホテル成田エアポート」で本 宮史 郎君と坂本恵美さんの結婚披露宴に出席。史郎君は親友、本宮尚雄の倅である。

 尚雄は日大一中、一高の同窓で、クラスは違ったが弁論部、郵便友の会、地理部 とク ラブ活動は同じ。

 大多数の仲間が日大に進学する中で、二人はそれぞれ違う大学を選んだ。だから 気が あったのかも知れない。

 僕が長男を史郎と命名すると、尚雄も「良い名前だ」と、自分の子供に「史郎」 と名 づけた。

 その「史郎」の結婚式。喜んで出席した。

だが、不安もあった。

 案内状に「屋外での披露宴の為、カジュアルな平服でお越しくださいませ」とあ る。

 にわか雨の季節、雨が降ったらどうするのか。それに本当に平服でいいのか?  不安 だ。

 周囲に聞いてみると「今や、結婚式の主流は野外。ちゃんと雨が降ればそれなり の準 備がありますよ」  しかし、周囲は「平服だっと信じて行ったら、みんな立派なフォーマルだった」 とい うケースもあると言う。

 どうしたものか、悩んだ。

 「平服」という概念はどうも曖昧である。「これ、わたしの平服」とモーニング を着 る奴だっている。

 悩んだ末、黒服と間違いそうな紺色のスーツ。ネクタイは白に近いベージュにし た。

ああ、いかにも官僚的。情けない。

 ところが、会場についてみると、新郎の父・尚雄はアロハである。  「カジュアルな平服」とはこれなのか。案内状通り、本当のカジュアルにすれば 良か った。

 自分の官僚的な振る舞いに、恥入るばかりである。

 式は素晴らしかった。

 まず、くだらない挨拶がない。主賓の挨拶が3分以内。だらだらした挨拶にヘキ ヘキ するケースが世間には多いが、要にして簡。見事なものだ。

 史郎君の恩師・茗渓学園の黒沢紀久さんの挨拶がすばらしいかった 。

 「史郎君が中学のバトミントン部に入部したとき、彼の頭はスーパー坊ちゃん刈 り。 おでこが扇のようでした。そこで扇シロウとあだ名が付きました」

 その話だけで、家族は「あのころの史郎」を思い出し、その彼がお嫁さんを貰う まで に成長したことに涙ぐむ。いい話だ。

 体育系の先生だから言えるセリフのような気がする。

 その史郎君は「ジョイフル本田」という会社に勤めるサラリーマン。

 「車のホンダ」と勘違いしたが、この会社、アメリカ流の建築資材を18万品目 も扱 うホームセンター。

 彼が勤務する「ジョイフル本田新田店」は敷地面積4万坪。今や「車のホンダ」 より 知名度が高いらしい。

 どうも、テレビでCMを打つ会社、新聞に広告を出す会社が良い会社という訳で はな い。こんな事を書くと勤め先の新聞社から怒られそうだが、知名度は口コミが一番 とい う気もする。

 史郎君、来月に人事異動でワシントンに転勤する。

 だから、急いで結婚?

 新婦は、顔がふっくらした宮沢りえ風。美人だ。

 若者は成田の街で二次会、三次会。

 美人の妻といい、朝まで飲める体力、平服は平服と考える素直さ。若さっていい な。

<なんだか分からない今日の名文句>

     空はいつも紺碧 若い二人のことだもの

8月23日(水) 「国鉄マン・父ちゃんの記」

 こんな“あとがき”でした。

 「子供の頃から幾度となく、父の制服姿を見てきました。いつも制帽をやや目深に かぶった父は常に背筋をピシッと伸ばし、小柄ながら精悍に満ちていました。
 吹雪の深夜、きびしい表情で職場に向かう父の姿。また、それを見送る母の姿。
 澄み切った青空のもと、稲掛けしている時、汽笛の音も高らかに保倉川を渡るC5 7の運転室から笑顔で手を振る父の姿。
 こうしていつも思い出すのは国鉄マンとしての凛々しい、そしてやさしい父の姿で した」

 自費出版「国鉄マン・父ちゃんの記」のあとがきです。

 昭和59年5月3日の朝、57歳で永眠した国鉄マン内山政和さん。彼が書き留め た手記を長男・正昭さん、次男・孝さん、3男・勢さんが一冊の本にまとめたのです。

 「あとがき」は長男・正昭さんの筆。

 一気に読んだ後、実はこの「あとがき」で立ち止まりました。

 「父ちゃん」は痛々しい列車事故のことを克明に記録していたのですが、3人兄弟 はこの手記を全て発表するかどうか、大分、迷ったようです。

 それでも、すべて公にしようと決断したのは、記述が正確で歴史に耐えうる、ある 種のユーモアまで散りばめた文章は一級品、と思ったのでしょう。

 そして、今はなき「国鉄魂」を肌で感じてもらいたかった……。

 そして、父親に対する思慕の念。

 すばらしい本です。

 昨日夜、3男の内山勢が「読んで下さい」と送ってくれました。そして一気に読み ました。

 彼は勤め先での可愛い弟分。

 いままで彼の記事を褒めたことはなかったのですが、こんどばかりは違います。

 「お前のオヤジってカッコ良かったんだナ」と褒めてやりたい。

 多分、彼が作った「父ちゃんが運転した主な路線図」という下手くそな地図が巻末 に載っている。

 ここが糸魚川、ここが直江津、ここが能生……とたどっているうちに、20代後半、 彼女と別れた駅を見つけた。

 日本海のどんよりした空の果。プラットホームに残した彼女の後ろ姿。

 この本はしみじみした人生マップ。

 素晴らしい本、ありがとう。

 【興味のある方は】
tsuyoshi.uchiyama@nifty.com

       
<なんだか分からない今日の名文句>

越佐海峡 親子鷹

8月22日(火) 保険屋さんも考える

 朝、リハビリを済まし、午前10時半勤め先に向かう。

 途中、職場を抜け出して自宅に帰り来客4組。また職場に帰る。

 結構、秒刻みだ。

 約束もなしにやって来た保険の女性勧誘員はともかく熱心である。

 家族の一人が10年間掛けた生命保険が期限が来たので「今後、どうなさいますか? 」と”決断”を迫る。

 今までは、月々19959円の支払いで死亡保障3010万円。医療特約・入院し たら一日に5000円。

 そんな条件だったが、彼女によれば「10年を期に条件が変わるんです」
 解約すれば200万円弱が戻ってくる。
 解約せずに、このままの2万円弱を支払い続けると、保障条件は悪くなり死亡保障 は2140万円に減額される。

 このままの「死亡保障3000万円」を維持するには月々の支払いが27707円 になるらしい。

 いずれにしても、損をしたような気がする。

 保険って、儲からないようになっている。

 そこで、熱心な女性勧誘員は「介護保険を加えれば月4万円で至れり尽くせり」と しきりに勧める。

 他人の介護を受けるようになったら年間300万円、10年にわたり支払います、 というのだ。

 なるほど。

 「介護」がお勧めのキーワードなのか。

 国の介護保険は確かに不十分だ。

 在宅介護を受けている某氏は、つい最近、布団を駄目にしてしまった。

 ヘルパーさんは毎日やってくるが「要介護4」では一日中と言うわけにはいかず、 午前、午後に2度やってくる。

 午前中、やって来た時、ヘルパーさんは布団を干した。ところが、次にやって来る 間に強い雨。

 布団はビチョビチョになってしまった。

 某氏は一人暮らし。とても布団を取り込むことが出来ない。

 国の介護保険制度は「一人暮らし」を考慮していない。

 その間隙を縫うように保険屋さんが介護保険の生前給付を考えた。

 なるほど、なるほど。頭を使っている。

 本当は国の介護保険で全てがカバーされるのが筋というものだが……。仕方がないだ ろう。

 果たして、保険屋さんの介護保険は頼りになるのか。

 思案のしどころである。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

話半分腹八分

8月21日(月) 有希、琵琶湖で優勝す

 朝「二代目魁」ボランティアの有希に電話すると「勝ちました!」。

 有希はホームページの更新を手伝ってくれる東京・青山のお嬢さん。時々、変な見出しが飛び出したりするのは、彼女に一端の責任がある。(もっとも誤字脱字は僕の責任)

 どちらかというと、文化系というより体育系?

 腹の底からククッと笑ったりするので、どんな時でも周囲を明るくする。彼女がい ないと「二代目魁」は出来ない。

 その有希、ドラゴンボート「東京龍舟」の一員である。

 ドラゴンボートというのは、漕ぎ手20人の香港のボート競技。太鼓を打ち鳴ら す勇壮な闘いだ。

 19日、琵琶湖の大津湖畔なぎさ公園サンシャインビーチで行われた大会に有希は「東京龍舟」の一員として出場。関西ドラゴンズとの合同女子チームを組み、11チーム中、見事、優勝した。

 賞品はエアコン1台、近江牛5キロ、ビール(淡麗生?)6ケース……。

 「寒いころから頑張った甲斐がありました」と涙ぐむ有希。

 おめでとう。

 もっとも、有希が「寒いころから頑張ったこと」は他にもあるじゃあないか。

 それは空手。

 これでは恋泥棒は遠くなる一方?ではないか。

 まあ良い。有希。空手でも優勝しようよ。

 午前10時から、東京・紀尾井町の民間放送連盟ビルに缶詰で連盟賞の審査。今年で3回目の“大役”である。

 1954年から始まった民放連賞は、その世界のレコード大賞のようなものらしく、 民放連に加わっている197放送局の作品から、その年を代表する作品を選ぶ。

 何故か、3年前からラジオ報道部門の審査委員になってしまってから、地獄の苦し みが始まった。

 今年の審査委員は、僕のほかに映画監督の佐藤真さん、文芸評論家の芹沢俊介さん、スポーツライターの藤島大さん、それにあの樋口恵子さん。東京家政大学の教授というよりも、テレビラジオで活躍する、ちょっと大柄な女性である。

 審査はブロックを勝ち抜いてきた7作品を全て聞いたうえで「一着」を選ぶ。その 7作品を聴取する時間が5時間を超える。

 昼食時間はたった30分。休憩は2回。それぞれ10分。全部聴き終えた段階で審 査に入るのだが、それが長々と続く。

 1時間、2時間……

 これはもう地獄の苦しみなのだ。

 午後6時半、やっと解放されると、腰のあたりが痛い。

来年こそ、絶対にやめるゾ!

 
<なんだか分からない今日の名文句>

賞賞、御免

8月19日(土) 特ダネ記者・山宗

 異業種交流会・22世紀懇談会なるグループから「講演してくれ」と頼まれ、福島 県西白河郡西郷村のザ・グリーンブライアーに行く。

 「22世紀懇談会」とは少しばかり「超前向き」というか、「超ロマン」と言おう か、人を喰ったネーミング。「誰が名付け親?」と尋ねると、先輩記者・山宗こと、山 崎宗次さんの仕業と分かった。

  彼なら、こんな大それた名前をつけてもおかしくない。

 その昔、NHKの人気番組に「事件記者」というドラマがあった。

 刑事より先に殺人犯を見つけだす事件記者。その特ダネ記者たち。その中でもスクー プを連発する「山ちゃん」のモデルが山崎宗次さんだった。

 何しろ派手好きで、背広の裏地が真っ赤。僕が20代後半、事件記者の卵になった 時、山宗は35、6歳。がに股で警視庁を闊歩していた。

 何しろ伝説中の人物で、毎日新聞の新入社員研修中に殺人犯を見つけだすという前 代未聞のスタート。

 警察が犯人逮捕に出向くと、必ず「山宗」がいて、すでにインタビューを終えてい た、というケースが何度もあった。

 その山宗が「異業種の人間が集まって、何かを話し合う。会社の仲間とだけ酒を飲 んでいては、時代に遅れる」と言い出して「22世紀懇談会」を作ったのが15年前の ことだった。

 「21世紀○○はいくつもある。こっちは22世紀だ」と命名。約30人程度の異 業種の仲間が勉強したり、ゴルフをしたり、激論したり。職場には出来ない「ネット」 を作った。

 ところが、このユニークなグループが出来た直後、伝説中の特ダネ記者・山宗はゴ ルフ場で倒れ、急死する。

 52歳。元気だったら、当然、毎日新聞のトップになっていただろう。

 山宗の親友で幹事役、株式会社エル・ビー・エス社長、竹中誉さんが「20世紀最 後の勉強会。山宗ゆかりの人物に講演を頼みたい」と言うので、生意気にも講演を引き 受けてしまった。

 実は、生前、山宗はマスコミを目指す学生を集めて「山崎塾」を開いていて、何度 も「山崎塾で先生をやれ!」と言われたが、ご辞退ばかりしていたので「一度は山宗の お役に」と思っていた。

 会員は平均57歳。各界のそうそうたる方々で、緊張する。

 「新聞記者の裏表」のような話でお茶を濁したが、皆さん、興味深げに聞いてくれ た。山宗がいたら何と言うか。

 それにしても、彼が亡くなって15年。歳を取るはずだ。

 帰りの新幹線の中。いつも彼が「アウトセックスをしなければブンヤではない」と 変なことを言っていたことを思い出す。

 アウトセックスというのは、野外セックスのことか、浮気のことか。

 聞く間もなく、彼はあの世に行ってしまった。

 うつらうつら、していると携帯電話。

 長男に子供が生まれたとの知らせ。

 時の流れは、誰も止められない。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

「ブンヤさんやめて 堅気になれと
 可愛いあの娘は 泣いてすがるけど
 止めて止まらぬ 男のこころ
 哀れブンヤさんは………


8月17日(木) 井上嘉浩のこと

 深夜、読者の一人、原田某君からメール。

 給料貰いすぎの相談?

 IT業界って、そんなにいいの。

 でも、お金は労働の対価であったり、評価と無縁なものだったり、その日その日の出来心で自分の周辺を通過するもの。貰えるものは貰っておけ!

 ただ、金は使えよ。使わないのは悪ーーというよう意味の返信をした。

 若い時は、幸せだって悩みになる。

 眠れず、今日、送られてきた雑誌「草思」を読む。

 創刊されてから1年半。ベストセラーを連発する出版社「草思社」が出している 「90ページ程度、定価100円」の小さな、しかし貴重な文芸誌。

 回を重ねるうちに、読み応えがある月刊誌になった。

 特集は「オリンピックの裏側」で、これは他誌でもやるだろうが、3回読み切りの 「対談・オウム井上嘉浩の心理鑑定を終えて」はおもしろい。

 静岡県立大学講師の社会心理学者、高橋英利さんと元オウム信者・西田公昭さんの対談。

 高橋さんは心理鑑定人として、井上被告を20時間近く個別面接した。この鑑定書は裁判で採用されている。

 この対談を読むと、麻原の忠実な「しもべ」になってしまった井上の心の変遷がよ く分かる。

 16歳でオウムに入った彼は「自分は修行者であって解脱したい、そのためにグル が必要だ」と思い込んでいた。

 別にグルは麻原でなくても良かった。

 井上は麻原に初めて会ったとき「利で人を釣るような人」と感じていた。胡散臭 い、と思っていた。

 それが正確な認識だったのだが、ある日、ヨガをして40度の熱を出す。そこで医 者に行かずに、オウムに電話して処理法を教えてもらうのだが、言われたようにすると、本当にストーンと熱が下がった。

 「こども」の井上は、これで「信ずるにたる根拠」と認識したのだ。

 熱が下がることなんて超能力とは関係ない。人間の体力で、普通、熱は自然と下がる。

 僕の言う「知的基礎体力」があれば、そんな事は理解できる。

 「知的基礎体力」の欠如。井上にとって、悲しい出発点だった。

 高橋さんは、そんな心の変遷を克明にしゃべっている。それは、事件の深層に迫るのではないか。

 オウム関連の著作の中ではユニークで、個別具体的で、冷静で……秀逸だ。

 関心があれば、読んでみたらいい。(草思社・TEL03−3470−6565・ 定価100円)

 100円でこんなに勉強になる雑誌はそうざらにはない。

 多分、社長の加瀬昌男さんが「使命」を持って作っているからだろう。

 一方では、儲かる本。儲けたら「使命」に使う。

 すばらしいじゃないか。

   
<なんだか分からない今日の名文句>

「使命」に追いつく 貧乏なし

8月16日(水) わざわざ「再生紙」なんて

 大東京のお盆休み。空の青さが目に沁みる。

 毎日新聞の朝刊「みんなの広場」に「高野連は黙祷を認めるべきだった」という投書(会社員、関戸扶美子さん、37歳)が載った。

 一人で腹を立てていたのか、と思っていたが、同じ意見にホッとする。世間も捨てたものじゃあない。

 午後、雑誌「ダガーボ」の取材を受けただけで、仕事らしい仕事もなく、終日、もらった名刺の整理。

 半年間でいただいた名刺は150枚ぐらい。

 最近は似顔絵入り、馬券とそっくり、とユニークな名刺も多い。

 「再生紙を使っています」とわざわざ書いた名刺も10を越える。リサイクルに協力しています、といった意志表示なのだろう。でも、この種の但し書きは必要ないような気もする。

 日本の紙の生産量はアメリカに次いで世界第2位。森林資源保存のため再生紙の利用が普及して、古紙利用率は約55%。先進国でも最高の古紙利用率である。

 つまり、我々が使う紙の半分はリサイクル紙、ということになる。

 木材パルプ以外の植物繊維からも紙は作られる。サトウキビの糖分を絞ったカスを利用した「バガス」などはすでに一般的。トウモロコシの葉や茎なども紙の原料になる。

 森林が少ない中国やインドは早くから非木材紙が主流で、世界では7%が木材パルプ以外ということになる。

 紙事情もかなり変化している。

 再生紙を使う率、「バガス」を使う割合などを考えると、わざわざ「これは再生紙」と名刺に刷り込むのは、時代遅れのように思うのだが……。

 また、明日から僕も名刺のご厄介になる。

  
<なんだか分からない今日の名文句>

再生紙名刺より「名刺無用」の再生

8月15日(火) 毎日新聞は朝日と違う

 午後1時ごろ、元東京警察病院事務局長、岡村清気氏、死去の知らせ。午後6時から東京・杉並区の堀ノ内斎場で通夜。

 1976年、鬼頭史郎京都地裁判事補がロッキード事件で布施検事総長の名をかたり、三木首相に指揮権発動を促すニセ電話をかける。世に言う「謀略ニセ電話事件」。

 事件は読売新聞がスクープしたが、毎日新聞としては抜き返さなければならない。

 そこで、遊軍記者の僕が投入された。当時は「抜き返しの太郎」だった。

 鬼頭単独インタビューに狙いを定め、走り回る。

 その折り、鬼頭判事補が入院した東京警察病院を取材する。この時、優しい事務局長さんと知り合いになった。

 特別の情報をもらったわけではないが、彼を含め多くの人々の協力で「鬼頭単独インタビュー」は成功した。

 僕は男をあげた。

 それ以来の付き合いで、日本画家の奥さんとも親しくなり、絵をいただいたりした。

 奥さんの絵が彼の生き甲斐で、展覧会があれば必ず招待状を送りつけ「見ないと損する!」を連発した。

 取材は一回だけで終わることもあるが、仕事を離れた付き合いがある。

 お元気だったのに……知らせを聞いて絶句。

 通夜の席で、気丈に振る舞っていた奥さんが当方の姿を見てワッと泣き崩れる。何と言っていいのか。

ご冥福を祈るのみ。

 今日、終戦記念日。

 13日の日記で「高野連、おかしいゾ」と書いた。

 日大長崎のナインが長崎に原爆が落とされた8月9日午前11時2分、試合を中断して黙祷をしたいーーと申し出た。ところが、高野連はその申し出を認めなかった。終戦記念日の15日の正午、甲子園は黙祷するのに、何故、長崎の被爆の日は駄目で、終戦記念日は黙祷が許されるのかーーといった日記だったが、いくつか読者からメールをもらった。 ありがとう。

 その中で何故「終戦記念日」と書くのか「敗戦記念日」ではないのか、という指摘があった

 答えなくてはならない。

 僕は「終戦(=敗戦)記念日」と考えている。

 敗戦し、闘いは終わった。

 重みは「敗戦」にも「終戦」にも同じようにある。その重みは、日本にも、アジアにも、それぞれにある。

 だから表現として難しいとは思う。

 ただ、僕は「戦いが終わった。そこから何かが起こる記念日」という風に考えて、使っている。

 もう一つ「日本のスポーツを駄目にしているのは朝日新聞のみならず、毎日新聞も同罪です」という指摘である。

 毎日新聞社のスポーツとの関わり合いは、朝日、読売とはかなり違う。巨人、高校野球が商売になると考えると、巨人だけ、高校野球だけを報道するスタンスの新聞社とは断じて違う。

 むしろ、商売を無視する、間抜けな新聞社なのだ。

 世間から忘れられそうなスポーツマン、ウーマンにスポットを当てるのが毎日新聞。

 15日の毎日夕刊で僕が書いた「ここだけの話」。金曜日にホームページに登場するから読んでもらいたいのだが、テーマは「盲学校の甲子園」。

 この目の不自由な若者のスポーツを我々は応援している。

 毎日新聞には「点字毎日」がある。大赤字で刷り続けている。他に点字の新聞を出そうとしないからだ。

 だから赤字の「点字毎日」は「盲学校の甲子園」に経済援助ができない。名義だけの応援で申し訳ないが、毎日社会事業団として、ささやかだが10万円の援助している。

 毎日新聞はご存じのように商売が下手だ。だから日本の新聞社の中で給料が一番安い、と言われている。でも、日干しになるほど、安い訳ではない。

 高級官僚には比べようもないが、区役所の窓口に座る公務員の給料とそう変わらない。 僕は毎日新聞を「清貧新聞社」と言って誇りを持っている。

 正直に本当のことを書き、貧乏してもいいじゃないか、というのが、僕の考え方である。(もっとも、その毎日新聞にも自由はなくなりそうで、ホームページを始めたのだが……)。

 だから、ご指摘のように、スポーツを悪くした一面もあるかも知れない。が、毎日が儲けるためにスポーツを悪くしたことはない、と信じる。

 長い長い日記になってしまって、ゴメン。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

君子は「言い訳エレジー」で豹変す。

 8月14日(月) さん喬か、権太楼か

  雨が降ったり、カンカン照りになったり妙な天気。

 15日の火曜夕刊に載せる「ここだけの話」のゲラを点検してから、午後5時半に勤め先の毎日新聞を出て、上野・鈴本演芸場に向かった。

 「高野連の官僚主義に抗議する」といった、イヤに肩に力の入った日記を書いてしまったので、急に息抜きをしたくなった。

 午後6時には着いたはずだが、木戸で「補助席でお願いします」と言われる。

 午後7時ごろには立ち見も出来て大変な人気だ。

 たまに顔を見せるが、こんなに混んだことはなかった。時には「つばなれしない」こともあったぐらいだ。

 (「つばなれ」と言うのは寄席の言葉で、お客さんを1つ、2つ、3つと数えて10にならない。そんな日は「つ」離れしない。)

 静かな寄席ブームなのか、企画が成功しているのか、それとも「お盆休み」が味方したのか。ともかく超満員。

 8月の中、11日から20日までは鈴本夏まつり。

 昼は三遊亭円歌が主任(トリ)で、夜は、柳家さん喬と柳家権太楼の若手のホープが一日ごとにトリを交代する。

 どうやら、この二人のせめぎ合いが「売り」らしい。

 三平の倅、こぶ平はテレビタレントだと思われているが、結構、寄席を大事にする。中入り前に「鈴本」を済ませ「浅草演芸ホール」でトリを勤める。

 オヤジの三平が生前、教えてくれた話を披露。

 「おかあちゃん、パンツ破れた」「またか」

 これだけではネタが足りない。「もう一つ、教えて」で三平師匠が伝授?したのは 「中国の人が骨折した」「ペキン」だった。そこで客席、大爆笑。お客はこぶ平を見ながら三平を思い出したいのだ。

 続いて登場した小三治はいただけない。「間の小三治」は健在なのだが、手抜きが目立つ。精彩がない。ファンとしては「身体が悪いのか」と心配する。

 そして個性派・権太楼。これはおもしろい。笑いすぎて腹が痛くなる。これは化けるゾ。

 トリはさん喬。出し物は「たちきり」。

 道楽者の若旦那と柳橋の芸者の話。僕の大好きな夜噺で円生、小朝で何度か聞いたことがあるが、それと比べると、枕の振り方がまずい。時間のかけすぎだ。

 でも、さん喬も間違いなく実力派だ。

 15日は権太楼が主任で「青菜」をやる。

 見たいが、連日3000円の出費は痛い。やめにするか。

 それにしても、圧倒的に若いお客さんが多いのにはびっくりした。テレビではなく、寄席で古典落語を聞こうとする若者。同慶。

 10時近くなって帰宅すると「高野連問題」の編集長日記にメールで幾つか意見が飛び込んでいる。

 うれしい。

 じっくり読む。

 また、ご意見に対する、僕の意見を整理しなくてはならないだろう。

<なんだか分からない今日の名文句>

栄枯盛衰、寄席の習い

 8月13日(日) 何故、終戦記念日だけが黙祷なのか

 お盆。

 台風9号は伊豆諸島に接近して、東京は雨風強し。

 それでも人々は大挙して帰郷し、昼ごろ、東名は100キロ渋滞。「お気の毒に」と言うしかない。

 お盆休みを自己申告制にする企業も増えたが、まだまだ、お盆休みに故郷に帰る習慣は根強い。

 これ全体主義的団体帰郷である。性に合わない。

 この頃、毎年、テレビで高校野球を見るのだが、ことしはそんな気にならない。 熱心な「二代目魁」の読者ならご存じだと思うが、先週「高野連に抗議する」という【緊急社説】を書いた。

 日大長崎のナインが長崎に原爆が落とされた8月9日午前11時2分、試合を中断して黙祷をしたいーーと申し出た。ところが、高野連はその申し出を認めなかった。

 何故だ!

 長崎の市民はいつも「その時」黙祷する。

 これは世界に贈る「被爆国・ニッポン」のメッセージじゃないか。

 おじいちゃん、おばあちゃんをなくした若い長崎市民が悲しみを新たに「長崎の悲劇」を忘れない、と世界に約束する。

 運命の時間に黙祷するのは、人間として当然の行為だ。

 高野連は「試合の進行の妨げになる」と日大長崎の申し出を拒否した。時間がないから、と言うのである。

 理不尽である。

 せいぜい、遅れたとしても5,6分だろう。

 何という官僚的な、反教育的な判断。

 ハッキリ言って、この判断は平和主義に反する。

 選手の自主性を奪った高野連が許せない。

 【緊急社説】を書いた夜、何人かの読者がメールや電話で「君に賛成だ」というの人が意見が寄せられた。

 うれしかった。

 しかし、もう少し、反響があっても良かったと思う。

 確かに1日に400人程度の読者しかいない、生まれたばかりの「二代目魁」。その影響力は微々たるものとは認識しているが、読者の中には確実に「天下の朝日新聞」で禄をはむ人間もいるはずだ。

 夏の高校野球を高野連と共に主催する朝日新聞は「時間がないから黙祷はできない」という姿勢をどう考えるのか。

 単に、新聞を売らんがために「db子園の興行」をやっているだけなのか。

 後援の文部省はどう考えているのか?

 終戦記念日の15日の正午、甲子園は黙祷する。

 何故、長崎の被爆の日は駄目で、終戦記念日は黙祷が許されるのか。

 何故、終戦記念日の正午は「試合の進行の妨げ」にならないのか。

 お上が全体主義で国民に黙祷を求める終戦記念日。それに異議を唱えるわけではない。

 それはそれで良い。

 したくない人はしなくても良い。

 しかし、日大長崎の「黙祷をしたい」という志は自主的なものだ。

 広島、長崎の原爆があったから、大日本帝国は終戦を覚悟した。新生日本の幕開けは、広島、長崎の犠牲によるものだ。

 原爆忌こそ黙祷に相応しい。

 高校野球の胴元・高野連が巨大な力を持ち、メディアが文句をつけられない、というのが事実なら許されない事である。

 悲しい限りだ。

 朝日新聞は巷間言われているように「インテリの二枚舌」を使っているのか。

 朝日新聞は本当は反平和主義なのか。

 まあ、良い。

 「二代目魁」は大きくなるぞ。

 自由な言論の広場になるように頑張るぞ。

 日本国の体たらくは人々が様々な権力の前で「自由な言論」を放棄することに起因しているのだ。

 どんな権力にも、平気で文句を言おう。

 読者の皆さん!

 こんな小さな小さなHPですが「自由な言論」に力を貸して下さい。

<なんだか分からない今日の名文句>

 鈍器ホーテは言論の鏡だ

 8月10日(木) 盗まれた「POCARI」

 リハビリを早引きして、昼からソニー本社で取材。

 昭和20年代、ソニーのテープレコーダーが録音した井深大の声を聞いたり、木製の「おはち」にコンセントをつけただけの「日本初の電気釜の失敗作」を見学したり、暑さに負けず猛勉強する。

 取材を終え、勤め先に帰ると同僚が「例の3Dが大変な人気です」と興奮気味に報告する。

 「3D」とは本名・エ3Lストリームビジョン。アメリカで独自に開発されたビジョン技術で、1枚のパネルの中に3D(立体)、FLIP(変化)、MORPF(変身)、ZOOM(拡大、縮小)、MOTION(動作)の5パターンの効果が出る。

 見る位置によって立体画面が近づいたり、離れたり、千変万化。三次元広告媒体?とでも言えば良いだろう。

 数年前、この技術が登場したとき「画期的」と思った僕は新聞で紹介した。でも、どんな使い道があるか、半信半疑だった。

 「流氷に洗われるPOCARI SWEAT」の広告パネルが営団地下鉄に登場したのは7月の初めだった。

 3Dを使った、このパネル、手を伸ばせば、流氷の中に浮かぶ「POCARI SWEAT」を捕まえることが出来る。そんな錯覚が良い。涼しげな三次元の効果?

 一つの車両に一枚づつ張られたが、同僚の報告では「1日に何枚か盗まれた」。

 大スターのパネルなら盗まれても驚かないが、ドリンクのパネルが盗まれるなんて。世の中、不思議だ。

 「3Dの威力」と同僚は解説する。が「猛暑ゆえの盗難」とクールに見るのが妥当だろう。

 とにかく、暑い。

 ともかく、暑い。

 とことん、暑い。

 昨日の日記に「メールは短いのがGOOD」と言うようなことを書いたらテキメン!

 メールが朝方、2通だけ。

 知らないうちに”メール好き”になってしまったのか、来なければ来ないで、物足りないから不思議だ。

<なんだか分からない今日の名文句>

凡夫はメールに飽くことを知らず  

 8月9日(水) 最短メール

 深夜、メールでAさんから「週刊現代のP171に競馬遊侠伝の書評が載っている」と知らせ。

 全く知らなかった。ありがとう。

 Aさんは作家で俳優の中谷彰宏さんの「相棒」。だから、書評欄を克明に見ているのだろう。それにしてもメールの情報は瞬時。舌を巻く。

  実は、ホームページを始めるまで、友達とメールのやり取りをすることはなかった。

 iモード付きの携帯電話を買った直後、どこから来たのか「メル友になりましょう」という謎のお誘い。

 それ以来、メール恐怖症になってしまった。

 夕方、この日も夕立ち。

 雨宿りにコーヒーを飲んだ某雑誌社の女性編集者に「ホームページを開いたら、メールがどっと来て、うれしいやら、悲しいやら」と本音を話す。

 「結構、返事を出すのが大変でしょう。あるライターはメールを短くする訓練をしているんですよ」と編集者クン。

 「どのくらい短く出来るの?」と聞けば、彼女、このライター君の成功例を披露してくれた。

 「暑いネ」

 「ああ」 

 相手もメール疲れだった。

<なんだか分からない今日の名文句>

短小方形の技   


 8月8日(火) 中尾先生は拘置所で

 朝、例の「たいとう診療所」でリハビリ。

 患者の田口良朔さんが「オリジナル原盤による戦前昭和歌謡」なるテープを持ってきた。

 そこで全員一致。この日のリハビリは「青い背広で」「緑の地平線」「アイルランドの娘」といったバックミュージックで始まった。

 「昔のカフェのようだネ」と長老。

 「清水〜港の名物は……」「これ、歌ってるのはディックミネ?」「これ、映画の主題歌で、多分、長谷川一夫が次郎長で……でも、歌っているのは……分からない」といったやりとりが続く。

 80歳の田口さんは、その質問に次々に明快に答える。すばらしい。

 この診療所では、いつも、厳しいリハビリが明るいリハビリに変わる。

 午後、東京拘置所にお住みの中尾栄一先生に関わるエピソードを聞く。

 披露するのは、彼の支持者の一人。

 中尾さん、かつて田中角栄さんに赤坂の料亭「千代新」(休業)に呼ばれ、新聞紙に包んだものを貰った。

 中身は現金3000万円。

 「角さん『勉強に使え』と言ったので、後援会のメンバーと海外視察に行って全部、使った」と中尾先生は自慢げに話した、という。

 政界の異常な金銭感覚が中尾先生の道を誤らせたのか。

 11日拘留期限が切れるが、情報筋は「娑婆に戻るのにはまだ時間がかかる」。

 興味ある「ここだけの話」をまだまだ続いたが、聞く間も汗がタラタラ。

 「暑いな」「暑い」で、話は中断。

 小菅の東京拘置所にクーラーはあるのかしら。

<なんだか分からない今日の名文句>

気をつけよう。目白の森の贈り物


 8月7日(月) 馬にバイアグラ

 昼、東京内幸町のプレスセンター10階、アラスカで仲間と食事。

 アラスカは日本記者クラブに招かれる国賓の食事を用意する店なので美味。

 「値段は高い」と思い込んでいる向きもあるがリーズナブルだろう。夏の間、ビアホールセット2500円(手作りおつまみ&生ビール2杯)はむしろ安い。

 食事をした仲間にJRAの職員もいるので、先週、僕がスポニチ「おけら街道トキの声」で書いた「JRAの給料は高すぎる」が話題になった。

 彼らの不満そうな顔を見ると、親友が嫌がる原稿を書2「た時の憂鬱。何故、書いたのか。その理由については、明日(9日付け)のスポニチに改めて書こうと思う。

 それより興味をそそるのは、競走馬にバイアグラを使用した、という海外の話。

 ニューヨーク州競馬賭博理事会が「最近のレースで刺激剤としてバイアグラを使ったケースがある」と発表しているから嘘ではないと思うが、果たしてバイアグラに走る能力に効果があるのかしら?

 新聞社からの問い合わせで、JRAは獣医に意見を求めたが「効果はないだろう」というのが大多数。

 要するに効かないから、禁止薬物ではないのだ。

 この間、高知競馬で尿検査で禁止薬物が発見された事件。あれはその後シロと判明した。

 実は、尿検査の際、約45分たっても規定の必要量の80ミリに達せず、検尿係が自分の尿を混ぜていた、という笑えない不祥事。苦しまぎれの口車。馬に無実の罪を擦りつける。

 しかし、当方、病院の尿検査で緊張して、まるでオシッコが出ないことが2,3度あった。

 何となく、検尿係の気持ちは分かる。

<なんだか分からない今日の名文句>

馬に乗るとも 口車に乗るな


 8月6日(日) 飛脚屋の入れ墨

 久しぶりの休み。読書三昧と決め込む。

 と言っても、本を読むのは苦手で、どちらかと言うと本を「見る」のが得意だ。

 四谷稲荷の若き宮司(実は単なる「競馬バカ1号」)が送ってきた「別冊歴史読本・幕末明治古写真帖」。大好きな古写真を見ながらうたた寝。微睡む日曜日は最高だ。

 競馬好きの宮司クンがこの本を送ってきたのには理由がある。

 この本のP174にある明治初期の「飛脚屋」の写真。この写真の飛脚屋の足に入れ墨がある。

 何故、入れ墨を彫ったのか?

 犯罪者上がりなのか。自社のロゴマークを彫っているのか。

 彼は興味を持った。

 「先輩の意見は?」という簡単な手紙が入っている。

 良く見ると入れ墨は菱型。山口組の代紋に似ているが、その頃、山口組はな2ゥった。

初代の山口春吉が組を開いたのは、もっと後である。

 僕にとっては、どちらでも良いことけれど、歴史を覗いて、勝手に検証するのが彼のもう一つ趣味。おもしろい奴だ。(飛脚屋の入れ墨に造詣のある方、教えてください)

 彼の手紙には、こまつ座公演の「連鎖町の人々」のパンフレットも同封されている。

 「これは終戦後の大連の地図です。はじの方に競馬場を発見しました」

 確かに、小さい文字で「競馬場」。帝政ロシアが作ったのか。日本人の建設か。

 どんな血統の馬が走っていたのか。

 ロマンは広がる。

 ロマンが広がるうちに、またウトウトしてしまった。

<なんだか分からない今日の名文句>

真実は寝て待て


 8月3日 スクープ!
        札幌南・甲子園出場の怪


 パソコン業界の情報通・A君が61年ぶりに甲子園出場を決めた札幌南の「秘密」を明かしてくれた。

 「勝負を決めた3つの奥の手があったんです」。

 その1.「アソボーズ」。

 スコアカードを書くように、このソフトに相手方の投手の配球、癖、打球の行方、盗塁のカウントーーあらゆる情報を記憶させる秘密兵器。

 プロ野球では数年前からオリックスが使いはじめ、殆どの球団が隠れて使っている野球分析ソフトである。

 その2.リコー製の「メディア・マルチ・ボード」。

 40インチ画面のパソコン。
プロ野球では小さな画面で分析しているが、この学校では「指でクリックする大画面」を練習に使った。分析画面を止めて、スイングをしたり、牽制球を投げたり、ソフトとの一体感が力を付けた。

 その3.「瞬間視ソフト」。

 松田晃監督がアメリカから購入した独自の視力訓練ソフト。アメリカから輸入したソフトは壊れてしまったが、140キロの球も見えるゾ。150キロも打つゾーーの自信がついた。

 以上、3の秘密兵器が、作家・渡辺淳一、NHKの森田美由紀の母校・札幌南の甲子園出場を決めた。

 ちなみに札幌南は道内トップの進学率を誇る名門。

 電脳野球が猛烈な練習を繰り返した球児に勝った。

 その物語には、まだまだ裏話があるが、後は週刊誌、スポーツ紙に任せたい。

 夜 パーティー2つ。

 勤め先の先輩が地方紙の社長になったので激励会。

 先輩が言うには「人口が増える北関東では新聞販売競争は熾烈を極める」。大変だ。

 もう一つパーティーは「信子ママを励ます会」。

 銀行員だった女性がある日、突然退職。東京・平河町で「PePe」なる店を開き「たったひとりで、雨に日に根強く生きた30年」(産経新聞の某先輩の名文句)。

 その30周年のお祝いする会である。

 Bさんという知人と縁続きの「信子さん」に会いたいと思っていたが、店が2階で右半身麻痺の僕には店に入ることがおぼつかなかった。

 だから、このパーティーが彼女との初対面。

 ざっくばらんの気さくな女性だ。

 30年の重みを感じさせない。

 二次会に残ったのは、何故か圧倒的に女性が多い。

 これはママの人柄か、時代が変わったのか。

 僕は、初対面の女性講談師・神田紅さんと芸談義。奥の深さに脱帽。


<なんだか分からない今日の名文句>

パソコンの威力は神のみぞ知る


8月2日 多慶屋で会いましょう

 朝、にわか雨。

 涼しい頃に散歩しようと、御徒町界隈をある時は大股で、ある時はトボトボと、たまには悠然と歩く。

 高血圧の治療には歩くのが一番。

 春日通りと昭和通りのぶつかる辺り。ご存じ「多慶屋」(台東区台東4−33−2)は朝が早い。午前9時からオープン。

 何でもかんでも売りまくる、欲の張りっぱなしの「多慶屋」は朝から活気がある。

 知らない人のために紹介すれば「多慶屋」は多分、日本で一番の激安店。広告をするわけではないが、例えば、健康ドリンク・ユンケルDは消費税込み680円。こんなに安いところにぶつかったことはない。

 多分、ユンケルDを愛用している向きは「安い」と実感するだろう。(もっと安いところあったら教えて)

 近県から常にお客さんがやって来るので午前10時には混雑する。本館A棟から8号館まで、人の流れ、びっしり。外人客も多い。その多慶屋のビル群の中にある銀行は肩身が狭そうだ。

 ここは「多慶屋」城下町?

 その異常とも思える「雑踏ぶり」を報道する新聞は少ない。何故だろう。

  広告関係筋から「あまり安いところは報道しないでくれ」と言った圧力があるのかしら。まさか。

 去年秋、伊豆半島に旅行した折り、中年のご婦人と親しくなった。

 そのキッカケは「東京から来たの?だったら多慶屋、知ってる?」「知ってる、知ってる。僕あそこの近くなんだ」。

 別れ際に「多慶屋で会いましょう」。

 安売りゾーンは中高年のデートスポット。

 深夜、メール。10通。

 「アクセスカウンターの01111を、ワタクシが踏みました。
 なんだか、うれしかった、というだけの報告です。
 1101.comのイトイでした。
 ちなみに誕生日が11/10です」

 こんなメール、何となく小躍りしたい心境。
 ちなみに僕の誕生日は10/10です。


<なんだか分からない今日の名文句>

安物買いの恋泥棒
  8月1日 演歌の情念を童謡で包む?
          噂の「火垂(ほたる)」を見たぞ


  五反田のイマジカ東京映像センターへ「火垂(ほたる)」を見に行った。

 目黒川の沿いの道路は狭く、一方通行ばかりで道に迷い、あたふたと駆けつけると40分遅刻。

 最初から見たかった。

 梅雨のある日、ストリッパーのあや子が道で曲がってきた車を避けようともせずはねられる。

 その場に居合わせた焼き物師・大司は、倒れたあや子のやるせない表情を見て、彼女が自殺しようとしていたことを感じ取る。

 あとで見た筋書きにこう書いてある部分を見ることは出来なかった。

 ドジである。

 僕が見たのは、若い2人が結ばれるところから。

 あや子は「なぜ、ストリッパーの私と」と何度も聞く。大司は「一緒にいたいんだろう」。

 あや子は「何故?」「何故?」「何故?」

 その「幸せの不安」を隠せない表情が良い。

 アメリカ流のカット数が多い映画に慣れている日本人には、一つの場面が長すぎるように感じるが、それは狙いがあったのだと思う。

 ストーリーは演歌。おばあちゃんが死んだり、拘置所に入ったり……演歌そのものだが、キーワードは全て童謡。

 何か、演歌に変わる日本人の情念を描き出す「手法」を探しているのかも知れない。

 さくら、夕焼け小焼け、みかんの花……

 童謡にオーバーラップする日本の、奈良の美しさは、外国受けを狙ったのかもしれないが……

 ともかく、日本の宗教観、差別観、家族観が自然と浮き彫りなる。

 闇に浮かぶ炎のような夢は官能的、なんて思いながら外に出れば、カンカン照り。あつい。

 カンヌ映画祭でカメラ・ドール賞を受賞した河瀬直美監督作品。

 彼女に「撮影現場を見せてくれ」と頼んでいたが、実現せず内覧試写会になった。

 「2001年、テアトル新宿他で全国ロードショー」と書いてあるが日付は未定。その他の小屋の用意が出来ているかどうか、怪しい。

 この種の作品は小屋探しが難儀なのだろう。

<なんだか分からない今日の名文句>


猛暑は映画。浮き世の馬鹿は、起きて働け