3月24日(日) 天草の3つの「G」
九州横断の野暮用が終わって21日夜から念願の“天草行き”を敢行した。21日は
生憎の雨、22日は有明海がキラキラした快晴。桜が7分咲きになった。
隠れキリシタンの天草。
その象徴的な存在の一つ、崎津教会は山が迫り出した海沿いの町にあった。海まで2
0メートル、山まで70メートル。隣が幼稚園で、山手が神社の高い階段。この辺りが
、山にこびりついた漁師の町の中心地なのだろう。コンビニはない。食堂もない。もち
ろん、ビルなんてない。
昭和9年に建設された礼拝堂は畳敷きだった。
足が不自由な当方、無礼とは知りながら、靴のまま入って折りたたみ式のイスを持ち
出す。お祈りしていると、シスターさんが礼拝堂にやって来て、当方を見て、驚いたよう
だ。「ツバメがやってくるので、ドアを閉めて下さい」と断り書きがあったのにドアは
開けっ放し、土足のままの拝礼。ルール違反ばかりで、恥ずかしかったが、シスターさ
んは静かに黙礼されただけで、声もかけず、奥に行ってしまった。
隣の幼稚園の先生なのだろう。声をかけられたら、どうしよと思っていたので、助か
った。
外に出ると石畳。品の良い老人夫婦が花壇の脇でひなたぼっこしている。
穏やかな漁村。老後はこんなところに棲みたい。
大浦のサンタマリア館で「平田正範遺稿・天草かくれキリシタン宗門心得違い始末」
を買い求める。貴重な文献。三角西港の「オランダカフェ」で昼食。海運倉庫を改造し
たところで、ここは「味」もお薦め。
1543年、3人のポルトガル人が種ヶ島に上陸した。それから、異邦人は「3つの
G」のどれかで、日本へやって来た。Gold(黄金)を求めた貿易商人、Glory
(栄光)を求めた探検家、そしてGospel(福音)のために来た宣教師。はるばる
とやってきた人々の情熱を天草の人は、どう思ったのだろうか。
黄金の輝き、栄光の輝き、福音の輝き……その輝きを見ながら、それを称えながら、
憎しみも、ねたみも、恨みもなく、天草の人々は平穏と暮らそうとしたのだが……弾圧
に耐え、キリシタンとして生き、キリシタンとしてではなく、ひっそりと生きた人々。
その歴史が、今の平穏な日々を約束したのだろう。平穏は、今、ここにある。
22日は熊本城の夜桜を見て、翌23日午後、飛行機で帰京。飛行機に乗る寸前「今
日は競馬の高松宮記念」と気づき、たまちゃんに携帯で馬券を注文。丁度、その時、脇
の自動車のナンバーが「0395」。「俺の人生、錯誤(395)の連続」と思ったの
で「ボックスで395、お願い」「ワイドですか、馬連ですか?」「両方」「もちろん
馬番ですよね」「ウウム……枠の395……もとい、385もお願い!」。
東京に着くと、結果は馬連5−9、枠も3−5。ちなみに買えなかったが、競輪ダー
ビーも9−3。「錯誤」が当たった不思議。(時間がないので、副編に競輪ダービーの
3連単の結果を発表するように頼む)
羽田から柳橋の仕事場に帰って、すぐ川越へ。相談事があるという友人の家を訪問。
彼、某党を訴えるかどうか、迷っている。
辻元さん事件以来「許されないピンハネ」があそこでも、ここでも……その延長線上
で「年間3億〜7億円のピンハネは許るすわけにはいかない」というのが彼。彼の言い
分を聞けば、もっともだ。それを書いただけでスクープにもなるが……どうしたもの
か。
ゆっくり話す。彼が党利党略に使われるのも、考えものだ。
外務省の構造的悪は何度も言うが、宗男的なものだけではない。メスを入れなければ
ならないのは、ODAという巨大腐敗システムである。
辻元さん的な存在を探し出すことに力を込めれば、疑惑解明は余所道にそれる。もは
や、それている。
友人を応援する気持ちもあるが、結果的に権力の思うがままになっては困る。しばら
く様子をみることにする。書く新聞があれば、書けば良い。
外に出ると、嫌に寒いので驚いた。
3月21日(木) 宗男クンの人相
野暮用で九州横断中。テレビで「東京の桜は満開」と知る。当地、阿蘇の桜はまだ3
分咲き。それに午後から霧が出て、花びらなんて見えない。
僕は九州の桜が東京より早く咲くものと誤解していた。
山の上や森の中で携帯が通じないところもあったが、午後から次々に電話が入る。
例えば、国会周辺の人物から「秘書給与のピンハネなんて辻元さんだけでない」とい
う“告発”、演歌歌手から「今夜、東京近郊の健康センターでコンサートをするから来
ないか?」、週刊誌記者から「二代目魁」の内容に関する取材。携帯って実に便利だ。
町に降りてきて、鈴木宗男さんとよく似た人物とすれ違う。気の毒なような気がする
。何だかんだ、とからかわれているハズだ。
大体「アホの坂田」さんも人気は出たが、複雑な気持ちだろう。僕が見た限りでは、
宗男クンと坂田さんは、それほど似てはいない。例えば額。三本の額のシワの長さ。坂
田さんは、ほぼ3本が同じような長さだが、宗男クンは真ん中のシワが圧倒的に長くて
強い。
以前、本で読んだことがあるのだが、額のシワは一番上が「天」次は「人」下
が「地」と呼ばれる。「天」は目上を表し、「人」は自分、「地」は目下を表す。宗男
クンは真ん中のシワが強い。自己主張が強いのだ。坂田さんは3本のバランスが取れて
いる。人相診断では、二人は似ていない。
熊本市の郷土料理店で「関サバの姿造り」を食べる。頭と骨だけになってしまったサ
バ君が、ぴくぴくしている。サバの頭をジッと見つめる。どうやら魚の頭にはシワがな
いように見える。
ホテルに帰って、自分の額を見ると、僕は2本しかない。下のシワが長く、強い。こ
れは、どういうことなのか。
<何だか分からない今日の名文句>
天地人
3月20日(水) 辻元さんと北朝鮮問題
辻元さんが週刊新潮に報じられた「秘書給与詐欺疑惑」で記者会見した。ちょっと苦
しい言い訳だが、ある種の議員たちは多かれ少なかれ、この種のインチキを行っている
。全く働いていない奥さんが「第一秘書」であったりする。言ってみれば「形式犯」の
ようなもので、宗男追及の最中「辻元疑惑」「辻元疑惑」と声高に言うのは、どうだろ
うか。
それより、気になるのは、辻元さんの「拉致事件」に対する発言の数々である。ほと
んど、表面化していないが、産経新聞などで彼女は「拉致問題を解決しないと国交正常
化が前に進まないというなら、拉致問題そのものの解決が難しい」と述べている。
彼女を別に“北朝鮮のシンパ”とは言わないが、以前に「(日本が)9人、10人返
せばかり言ってもフェアじゃない」と発言するなど、甚だ不用意で、違和感を感じる。
この問題では勉強不足な僕だが、「拉致」は明らかな主権侵害だと思う。戦争責任の
償いとして莫大な金額(数字を知っているが、あえて書かない)を要求して、その一方
で、拉致事件調査を平気で取りやめた国家と国交正常化なんて出来ない。
僕が、辻元さんに「不安」を持つのは、いつもの品性下劣な言動より、その理解出来
ない「北朝鮮よりの姿勢」だ。
外務省は、拉致事件では辻元さんに近い。何かあると「北朝鮮を刺激したらいけない
」とばかり言う。「政府に北朝鮮の拉致事件に対して厳しい対応を求める国会決議案」
の扱いについても提出取りやめの働き掛けをしている。
いずれにしても、理解できないことばかり。大マスコミが拉致問題を放置しているの
も、おかしい。某大新聞(毎日新聞ではない)は国交正常化の暁には「ピョンヤンに支
局第1号」を設置するために報道を控えている、と支援者は言う。
今日から、野暮用で九州方面に。こちらの桜は三分咲き。
<何だか分からない今日の名文句>
疑惑は本能寺にあり?
3月19日(火) 小泉と石原は大分違う
毎日新聞夕刊で書いた「ここだけの話・拉致が問う『外交の実力』」に早くも夕方か
ら反応があった。
一つは「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」はどこにあるのか
、という問い合わせ。
これは03−3944−5623。「月刊・現代コりア」主幹・佐藤勝巳さんに電話
すれば良い。
もう一つは「この運動に熱心な国会議員は3人」と書いているが、熱心なのは誰と誰
なのか?
実名を出すのには差し障りがあるとは思うが……あえて、と言うなら、一人は「横田
めぐみ拉致」を初めて国会で質問した民主党議員。彼は、拉致事件の選挙の争点にして
戦を進めたが落選。比例区で議員の座を確保したが、拉致事件は「票」にならないのだ
。
もう一人はテレビにたびたび登場する「真紀子さん応援団の自民党議員」。この人、
小泉さんに「ブッシュとの会談で拉致事件を取り上げてくれ!」と直訴した。
そして、もう一人は「内閣の中核にいる二世議員」。このヒントでは、間違うかもし
れないので「KでもなくFでもないA」と書けば分かるだろう。
父親が外務大臣の時、秘書官だった彼は、何年も前から「有本さんのこと」で尽力し
ている。
世間は「有本さんのこと」は今始まったと思うけれど、ズーっと昔から「拉致された」
が定説だった。
「拉致が問う外交の実力」という僕のコラムは外務省に辛口過ぎるところもあるので
、知り合いの北朝鮮担当大使に「読んでくれ。もし、大きな誤りがあったら言って欲し
い」と夕刻、電話を入れた。
「いつも君のコラムは読んでいる。今日のも読ませて貰った。正論だと思う。文句は
ないが、解決する方法はなかなか見つからないんだ」。それは分かるが、時間が掛かり
すぎるというのが僕の実感。友達だが、友情と仕事は別だから……。
小泉さんは昼に家族と会見した。「日本国全体の問題」と言ったが、具体的な知恵が
出なかったようだ。
先日、家族と会った石原さんは大分、違う。「まず不審船を引き上げること。船から覚
醒剤を見つけること。不審船と拉致事件をセットにして、交渉する」と話し、警視総監
に「そのためにも、有本さんの事件は徹底的に捜査しろ」と命令した。
微妙だが、スタンスが石原さんと小泉さんとでは違う。
いずれにしても「対北朝鮮」が、今年最大の世界的テーマになるような気がする。
競輪ダービー。6レースと11レースを電話投票した。300勝目前の中年選手に賭
けた6レースは2点買いで的中。「伏見命」の11レースは惨敗。
決勝戦は「二代目魁」名物3連単をやるつもりだ。
<何だか分からない今日の名文句>
腹の座り方
3月18日(月) 日記が書けない
先週はじめから気になっていたことがあった。
30代の頃、お世話になった評論家の秘書だった女性からメールをいただいた。僕が
書いたコラムを読み「懐かしくてメールを出した」とのこと。音信不通だった。
「太郎ちゃん、○○○子です」で始まるメールはご主人が書いたらしい。彼女が結婚
したことも、脳卒中で倒れていたことも、その時、初めて知った。
ご主人が「家内が電話で話したい、と申しています」と書いているので、早速、電話
したが留守番電話。以後3回、かけたが応答がない。気になっていた。
それが……夜、帰宅してメールを点検した。そこにあった、ご主人からのメール。彼
女は僕にメールを出してくれ、と頼んだ翌週の月曜日、脳出血で倒れてしまったのだ。
一命は取り留めたが、言葉を失うことになる。「もっと早く私がメールを出すように
示唆していれば、と悔やんでいます」
言葉も出ない。何と言ったらいいのか。
とても、日記など書けない状態で……。
がんばれ、正子さん!
と言うしかない。
<何だか分からない今日の名文句>
絶句!
3月17日(日) 厚さ3センチの
「秘密指定の解除」文書
15日、16日と北朝鮮拉致疑惑の勉強で走りまわる。あまりに不勉強で、恥ずかし
いが、この件ではイロハから勉強を始めなければならない。
ブッシュの標的がイラク、北朝鮮と言うことになれば、拉致事件を抱える日本はもっ
ともっと苦悩せざるを得ない。だから勉強しなければならない。
「よど号実行犯の元妻」が拉致を告白したのだから、事態を急転しておかしくないが
、事件解決の糸口になるには時間がかかる。
外交利権の問題点の追及も大事だが、外交の本来の仕事に関する評価が必要だ。外務
省はあまりにも無能なような気がしてならない。
19日、家族は小泉さんに会い、陳情する予定だが、率直な気持ちを今週の「ここだ
けの話」に書くつもり。
石原慎太郎が「不審船を引き上げ、覚せい剤を発見することが、拉致事件の解決に必
須」と言っているのは正解だろう。
ミサイルと覚醒剤だけが稼ぎ、という国と外交をするのは難しいが……。
17日朝はTBSラジオ。宗男事件の裏話を話す。
小泉さん、川口さん、竹内次官の相談で、民主党の要求に応えて、厚さ三センチの「
秘密指定の解除の文書」を開示したことを話した。
秘密指定を解除するのは、疑惑解明の力になったが、その結果、新聞が、国会がスク
ープしたケースはすべて「加害者・宗男、被害者・外務省」ばかりだ。本当は「宗男・
自民党・外務省共犯」のケースが沢山隠されているのに、これは秘密の秘密。それこそ
、棺桶まで持っていくつもりらしい。
外交機密費が首相官邸に上納されていたこと。年間1兆円のODAについて、疑惑は
吐いて捨てるほどあること。真紀子さんが「宗男的人間が他にいる」と話していること
。隠されたことは枚挙にいとまない。
大きな秘密を守るために、小さな真実を打ち明ける、不倫女の「やり口」みたいなも
のだ。
小泉さんは「すべて明らかにする」と言っていたのに……所詮は「蝋燭男の口ばかり
」。
横浜市長選スタート。大激戦。争点は「赤字財政を立ち直す方法」だそうだ。
赤字を作りながら4選を目指す人を、自民も、連合も、公明党も支持するのが理解
できない。
中田候補は選挙上手だそうだが、結果はまったく予断を許さないようになった。
一日中、暑い。仕事場に近い江戸通りのアメリカンハナミズキは満開。桜も開花宣言
。春、本番だ。
<何だか分からない今日の名文句>
解除、解除も「守秘」のうち
3月14日(木) 橋本病室が出した結論?
宗男クン!
権力はキミを見限った。
どうする、宗男クン!ーー
と昨日(13日)の日記で書いたが、宗男クン「俺は色々知っている」と話している
らしい。
でも、四面楚歌。このところの橋本派の包囲網は「橋本さんお見舞い」で加速されて
いる。
13日、青木、野中の両闇将軍、それに会長代理氏、衆議院議長氏が加わる「橋本派
留守番4人組」が見舞いに行った。そこで橋本さんは「1ヶ月半ぐらいで国会に復帰で
きる」と答えたそうだ。それは良かった。
しかし、である。それほど元気で、頭脳明晰の橋本さんに「宗男問題には触れなかっ
た」なんて誰が信じるか。
「公明党は少し時間をくれると言っているが、早く本人に離党させなければならない
、と思っている」と誰かが言った(と思う)。もちろん、大激戦になる「横浜市長選」
の話題も出たハズだ。お友達の森さんの意向も伝えられた、と推測出来る。「あの宗男
ピッタリの森さんも『切れ!』と言っている」と誰かが言ったかもしれない。
「あとになって、宗男がなんか言い出したら『入院中で俺は知らなかった』と言えば
いいだろう」
なんて生々しい台詞が聞こえて来るような気がするが、これは全くの推測。でも、シ
ナリオは「いろいろ言い分はあるとは思うが、取りあえず、離党してくれ」に進むだろ
う。
「党のため、お国のために切腹してくれ!」に宗男クン、どう応えるか。最後の
決断に期待したい。
国民のために、二一世紀のために、すべて洗いざらい、話してくれ!
何て意見もあるのだから。
毎日新聞の明日(15日)の朝刊は一面の頭が「鈴木氏、離党表明へ」と言う記事に
なるらしい。
作家の古山高麗雄さんが心筋こうそくでなくなっていた。
新聞はあまり触れてはいないが、氏は熱烈な競馬ファン。一年ほど前まで競馬運営委
員を勤めていらっしゃったので、会議の度に親しくして貰っていた。
僕と古山さんが一致して主張していたのが「寺銭を下げろ!」。同士がいなくなり淋
しい。
実は彼「俺も孤独死になるのかしら」と漏らしていた。ご冥福を祈る。
夕方、若干の取材が終わり、湯島天神まで歩く。少しは咲き残っているかと思ったら
、境内の梅はまったく散っていた。
途中「5つ1000円」の靴下、それに「一串1000円」のウナギを買う。
いつもなら、この頃、雪がふったりするのだが……
<何だか分からない今日の名文句>
梅は散ったか、離党はまだかいな
(橋本派のお座敷で)
3月13日(水) 自民党と外務省が結託?
暴力事件で隠す「一兆円の闇」
朝、東京専売病院で検診。血圧132−74。良好。 やたらマスクをしている人が
多い。「風邪ですか?」と聞くと、ほぼ全員が「花粉症なんです。目の中が痒い」。当
方も、朝起きがけに10回もくしゃみをする。
軽い花粉症? 花粉症はもの凄い猛威だ。
今週の「ここだけの話」で「少数意見にも耳を貸そう」という意味合いから、僕なり
の“疑惑追及のバランス感覚”を書いた。メール、ハガキ、電話……とかなりの反応。
「二代目魁掲示板」で「偽装を許す姿勢。ガッカリした」という趣旨のお叱りも受けた
が、どちらかと言うと、僕の意見に共鳴してくれる人が多かった。
僕は、偽装商法を許しているのでは断じてない。偽ブランドにだまされる現代人の「
愚」を書いただけだ。他人が選んだブランドを信ずる「愚」を書いただけだ。
もちろん、宗男クンの味方をしている訳ではない。(僕は宗男クンの悪事を人より早
く告発した、と自負している) 僕が指摘するのは、宗男クン一人だけを摘発しても、
構造としての「腐敗悪」を滅ぼすことが出来ない、という真実である。
学歴と血のネットワークで支えられた支配階級は宗男問題を「他人事」と、平然とし
ている。
今日(3月13日)の産経新聞の「宗男・暴行事件」のスクープ。取材努力には敬意
を表するが、この事件も、疑惑を矮小化する道具に使われている。超変わり者・宗男の
個人犯罪にしてしまおうとする権力側の意図を感じる。
誰も言わないから「スエズ架橋疑惑」を日記(3月11日)で書いたが、要するに、
この犯罪は「ODAの大疑獄」の裾野で起こったことなんだ。
ODA予算は年間1兆円である。この利権にまつわりついた支配階級を根絶しなけれ
ば、第二、第三の宗男は必ず登場する。
「ODAに特定議員の関与なし」と何故、外務省は断定出来るのか。連日報道される
ことが事実とすれば、宗男クンは利権があればどこにでも飛んで行く。この希代の利権
男、恫喝男、暴力男、詐欺男が「ODA関連」ではシロなんてことがあるはずがない。
外務省は「何か」を隠している。内閣は隠している。もちろん、橋本さんは隠してい
る。
夕方の情報。明日(3月14日)発売の週刊文春が2月24日、橋本宅に宗男クンが
面談に行ったことが書いてあるらしい。その面談が、橋本さんが倒れる原因といった書
き方らしい。
どこまで、面談の内容が明らかになっているか、興味がある。
去年の総裁選のこと、宗男クンが多額の貢献したことを書いてあるのか。ケニア、ス
エズのことに触れているのか。興味がある。
夜、メール点検。メールの中に「参考人質問の2日前の2月18日に彼の話を聞いた
」というものがあった。
六ヶ月前に頼んだ講演会だったので、急に時の人になった宗
男クン、ドタキャンを覚悟したが、彼は参加者18人の小さな講演会にちゃんとやって
来た、とのこと。
宗男クンの隠れた一面。律儀な人物なのだろう。あるいは、まだ、その頃は余裕があ
ったのだろう。この頃は、まだ、外務省も、自民党も味方だと思っていたのだろう。
宗男クン!
権力はキミを見限った。
どうする、宗男クン!
<何だか分からない今日の名文句>
今や「むこうぶち」
(「むこうぶち」とは一人一党のバクチ打ち)
3月12日(火) 真如苑の739億円
誰が、宗男クンに議員辞職の鈴をつけるか。青木さんか、野中さんか。本来なら、小
泉さんがやるべきなのだが……永田町は困惑している。
宗男騒ぎはここへ来て、まるで被害者合戦?
外務省は「僕こそ被害者」と言い出し、自民党も「いや、俺こそ被害者」、
彼からお金を貰っていた「ムネムネ会」の面々まで「正直言えば、俺たちが最大の被害者だ」と嘆く。
もちろん、根室の人々も、北海道の人たちも、被害者に間違いない。
誰が、本当の被害者なのか。
誰だか分からないが、取りあえず「被害者連合」を作ろう、と思うのは結構なことだ
が、では、加害者は誰なのか。
宗男クンの個性は極めて「加害者風」だ。事実、犯罪的行為の先頭に立った。だから
間違いない加害者だが、彼だけだろうか。
本当の加害者は宗男クンの後に続いた、あるいは宗男クンを最大限に利用した「自民
的風土(民主党にもこの風土はある)」ではないか。
「(自分の)命の次に大事なカネ」の価値観が、いつのまにか「(他人の)命より大
事なカネ」の価値観に変わっていることを知らない奴ら。この自民党的政治哲学(に組
みする奴)が加害者なのだ。
加害者が被害者ぶる田舎芝居。今週中に、ドタバタする。
これで幕を降ろそうというつもりだろうが、そうはいかないゾ。
宗教法人・真如苑が日産村山工場の跡地の約75%105万平方メートルを739億
円で手に入れた。
新聞記事は雑報扱いだが、このニュースには、大変な問題が隠されている。
「宗教と税」である。真如苑が支払う739億円は「税制優遇」で蓄財されたもので
ある。そして、手に入れた資産には、固定資産税がかからない。
武蔵村山市が宗教団体への跡地売却に猛反対したのは、ここに原因がある。
教団がそれ相応の「寄付」をする、という申し出もあるようだが、そろそろ「宗教法
人と税金の問題」を真剣に考えなければならない。
21世紀の宗教革命は、宗教人も「普通の国民の義務」を果たすことから始める、と
いうのが、僕の持論だ。
オウム真理教事件も、すべてはこの「無税特権」から始まっている。
午前、たいとう診療所。午後、大事な来客一組。オオタカの巣が発見された栃木県湯
津上村で計画中だったJRAの競馬学校建設を中止されることになった。
「種」を大事にする競馬というスポーツが、他の「種」を絶滅に追い込んだら、それ
こそお笑い草だ。「種の保存」が最優先だ。
この先、学校誘致を陳情する地元の理解を求めるのに時間はかかるが、ともかく開発
中止の道がついた。1月29日の「ここだけの話」で、オオタカ騒動をスクープした者
として、一定に役割を果た思い。うれしい。地元、宇都宮支局に続報をお願いする。(
インターネットでJRAに僕の意見に賛成、と書き込みをしてくれた人、本当にありが
とう)
夜、優之介がやって来る。やっと歩くようになった「奥手」だが、身長は高い。近く
のデニーズで買っておいたパトカーのおもちゃをプレゼントすると、辺り構わず放り投
げたりする。やんちゃだ。
<何だか分からない今日の名文句>
拝金主義に被害者あり
3月11日(月) 仮説・スエズ架橋の疑惑
「本日は、ムバラク大統領と共に、日本とエジプトの友好の歴史に残るスエズ運河架
橋の完成を日本国代表としてお祝い出来る機会を得ましたことを大変光栄に思います。
このプロジェクトに対する無償資金協力については、95年のムハラク大統領の国賓訪
日の際の要請を受け、私自身が内閣総理大臣の職にあった97年に閣議決定を行ったも
のであり、私にとっても思い出深いプロジェクトであります」
2001年10月9日、スエズ運河架橋完成式典で、こう挨拶したのは、元内閣総理
大臣・橋本龍太郎さんである。
昨日(2002年3月10日)の編集長日記で「S大疑惑」と表現した「S」は、人
物の名前から取ったものではない。スエズ運河に架けられた全長730メートルの「ス
エズ運河架橋」の名前から、僕が「S大疑惑」と勝手にネーミングしたものである。
冒頭に小渕内閣、森内閣、小泉内閣を通じて外交最高顧問の地位にある橋本龍太郎さ
んの「スエズ架橋完成式典」におけるスピーチを書いたのは、闇の時代背景を明らかに
するのに好都合だからである。
橋本内閣の誕生は1996年1月11日。この時、宗男クンは自民党副幹事長再任。
第二次橋本改造内閣1997年9月11日。この時、宗男クンは北海道開発庁長官、
沖縄開発庁長官就任。
(この年にスエズ運河架橋無償資金協力閣議決定したことを覚えておいて貰いたい)
小渕内閣誕生は1998年7月30日。宗男クン、内閣官房副長官。しばらくたって
、橋本外交最高顧問が誕生した。
そして森内閣誕生2000年4月5日。この頃、宗男クン、自民党総務局長。衆院外
務委員会理事。
宗男クンは、橋本内閣誕生以降、出世街道を駆け上がり、いつの間にか、権力の中枢
に座る。
(そして、橋本さんは「外交最高顧問」に座り続ける。このスエズ架橋の完成式には
、当初、小泉首相が出席する予定だったが、何故か、橋本さんが出席している)
スエズ架橋のプロジェクトは、この橋本・鈴木ラインで進行した。
97年に閣議決定したスエズ橋の工事受注は1998年。NKKのホームページには
「NKKを含めた3社からなるコンソーシアムはエジプト・アラブ共和国から“スエズ
運河架橋プロジェクト”を1998年受注いたしました。この工事は日本政府の無償援
助工事であり、コンソーシアムを構成する3社はすべて、日本企業です」と述べている
。
3社とは、NKK、鹿島、新日鉄である。1998年5月25日の週刊鋼構造ジャー
ナルに受注決定の記事が載っているが、業界では、もっともっと早い時点で、受注先が
取りざたされていた。その通りの結果だった。
工事はスエズ運河を横断するシナイ半島とアフリカ大陸を結ぶ全長730メートル、
中央径間404メートルの3径間連続斜張橋を作るもので、水面上70メートルの橋の
下を大型船舶が航行可能になっている。
総工費は4年間で117億5200万円。これが「中東和平のシンボル」と言われた
日本のODAの目玉、スエズ架橋である。
複数の関係者が言う。「スエズ架橋とケニア水力発電所はセットで考えるべきだ。ス
エズは疑惑の出発点である」という。
あえて「仮説」という表現を使わせて貰うのは、自民党(あるいは他の党も)や外務
省が「ケニアに特定議員の関与はない」とまで言い切っているからである。
それほど、確信を持って疑惑を否定するのに違和感を感じる。証拠を隠しているかも知れな
い。不用意にこの疑惑に言及するのは甚だ危険なのだ。情報を提供してくれる人物に危
害が及ぶこともありえる。
アフリカのODAの疑惑は必死で隠そうとしているところに「スエズ架橋疑惑」が明
るみに出たら、権力は何をするか分からない。
だから、これ以下は「事実の発掘」ではない。僕の推理だ、仮説だ、と断って書きた
い。
宗男クンはエジプト側と何度か交渉した。その理由は彼が証人喚問で明らかにしたよ
うに、99年10月のユネスコ事務局長選に松浦晃一郎駐仏大使が立ったことである。
その票集め。アフリカの国(票)を集めるための工作のために、アフリカへ飛んだ。こ
れは事実である。
が、同時に、彼は、どの企業に受注させるかを綿密に打ち合わせる必要があった。
巨額な工事を請け負った企業から、なにがしかの「賄賂(キックバック)」を受ける
ためのシナリオを宗男クンが描いたのだろう。「ユネスコ選挙運動」を隠れ蓑にその打
ち合わせを頻繁に行った。橋本さんを筆頭にする自民党の首脳はその後押しをした。単
独犯ではない。むしろ、自民党という権力が主犯なのだ。
北方領土関連の疑惑は表面に出てきたことは単独犯に近いものだ。「疑惑のデパート
」と言われが、僕にしてみれば「疑惑の100円ショップ」。小さすぎる疑惑ばかりだ
。
トカゲの尻尾切りに使う材料(桟橋疑惑)をわざわざ、外務省報告書で提供して、権
力側は宗男疑惑の矮小化をねらっている。
追及すべきは、自民党が長年やってきたODAを隠れ蓑に堂々と税金チョロまかす「
巨悪の錬金術」である。
橋本さんが病に倒れた時、某週刊誌は元自民党の民主党首脳は「宗男から2億円もら
って、脅された」を話した、と報じた。これが事実かどうか、確認出来ないが、去年の
総裁選で橋本派が用意した資金はどこから出たのか。これが「小説」なら「スエズ架橋
疑惑と総裁選」なんて題をつけたい。
証人喚問が終わると「有本さん、北朝鮮に」の大ニュースが飛び込む。何故、この日
に発表するのか。
3月4日の日記で「夏頃から反北朝鮮の世論作りが始まる」と書いたが、少し早すぎ
る。
「ケニア水力発電所疑惑」から目をそらそうとする意図を感じるので、あえて“双子
の疑惑”「仮説・スエズ架橋疑惑」を書いてみた。
35年ぶりに会った、僕の教え子?のことも書きたかったが、長くなるので……後日
。
<何だか分からない今日の名文句>
トカゲの尻尾が頭を食う?
3月10日(日) 「おとぎ噺」の行方
昨年「世界週報」に「おとぎ噺」として僕が書いた内容が「現実の疑惑」として、1
1日の証言喚問のテーマになるらしい。
ある国の村長選に立った人物が、隣の国の国会議員から賄賂を貰って、当選する「お
とぎ噺」。そのみかえりに、村長さんは「村の漁業権」を隣の国の国会議員に差し上げ
た「おとぎ話」。
証人喚問では、問題の漁業権の証として「ムネオ旗」の存在を明かすらしい。
漁民の証言テープを用意している議員さんが果たして「村長さん」を特定できるのか
。実は「世界週報」でこの「おとぎ噺」を書いたのには、理由がある。当時、真紀子
イジメが関を切ったような雰囲気だった。
そこで、宗男クンの悪事を知っているものもいる、というサインを出したかった。
この雑誌の愛読者は外交に詳しい人ばかり。外務省の職員も読むと聞いたので「ここ
までバレているのだぞ」と言う意味で「おとぎ噺」として書いた。「おとぎ噺」にしたのは
外交問題になりかねない、と心配したからだ。
宗男クンが賄賂を渡した「村長さん」は誰か。断って置くが「村長さん」とは、この
地方の「地方自治体の長」という意味である。もちろん、質問する方も十分、ご存知だ
ろう。
しかし、この話より、ケニアの水力発電所の件。このまま、見過ごすのか!
疑惑を北方4島に限定すると、事態は歪少化される。
ケニア水力発電所疑惑とセットになっている「もう一つのS大疑惑」。これに言及し
なければならない。証人喚問のテーマとして間に合うのか。
朝日新聞は「加藤事務所と横河電気の関係」を追いかけているが、ケニアとS疑惑は
これと、まったく同じ構図。
横河電気は山形県浄水場工事受注で佐藤三郎に4200万円を贈ったのだが、これは
受注額の8億8000万円の5%弱。(佐藤が要求したのは、本当は4400万円だが
200万円が消えて、4200万円になっている)
競争入札で、堂々と落札しているが、そこにカラクリがある。
ケニアも、S大疑惑も、まったく同じ、構図だ。
これは宗男クンだけの仕業ではない。外務省が隠しているのは、橋本派が隠している
のは、この「疑惑」だと確信する。
週末の競馬、4レース参加して全敗。ウン万円なくした。デリキット、ドン尻。俺も
お前も、可愛そうだ。
<何だか分からない今日の名文句>
山形県方式はアフリカ方式
3月7日(木) 自民党解体の予感?
セーターで「たいとう診療所」に行く。もう春という感じ。少し汗ばむ。
帰る途中、浅草橋駅前の売店で夕刊紙の広告に「宗男、愛人スキャンダル続々」とある。
気になったので買い求めると、週刊文春、新潮、女性セブンの三誌がそろって宗男クンの
「女性スキャンダル」を書いているとのこと。宗男クン、ご盛んなようだ。
「ここだけの話」(毎日2月29日夕刊)で、それとなく書いた
「福祉関係の役所のノンキャリアが“付け回し”をしたステーキ屋『O』の美人女将」が
愛人として3誌に登場している。偶然なのか。
まあ、いつかはこんな形で登場すると思っていたが……僕から言わせれば、
問題は彼の女癖ではなく、役人懐柔のサロン、錬金術の拠点としての「O」の存在。
もっと克明に書いて貰いたい。
サンデー毎日の仲間にも「Oを洗ってみたら」と話してはいたが、
それなりの判断があって「字」にしなかったようだ。
一部の新聞記者が、「O」でご馳走になったことがあって、新聞社系週刊誌が
書かなかったとしたら情けない。
一度や二度、ご馳走になったとしても、筆を曲げることはない。
(もちろん、度を過ぎた接待を恒常的に受けていたら問題だが)
中曽根さんから一度だけ、僕の退院祝いをしてもらったことがある。
喜んで中華料理をご馳走になった。その後「中曽根さんはもうろくしてはいないか?」
と批判を書いた。もちろん、彼は文句を言わなかった。
筆と「付き合い」は別なものだ。
毎日新聞社だって、朝日新聞社だって、情報を取るために「権力者・宗男クン」と
仲良くなろうと接近したたハズだ。「これ、俺のおごりだ」と言われたら、
うまそうに食べるものだ。
これは、いち早く読者に情報を流すための努力であり、誉められたとしても、
貶してはならない努力である。
そのことと、毎日、朝日が「宗男クンの犯罪的行為」を批判するのは別のことだ。
その辺は、新聞社内部の役割分担。堂々と、週刊誌は週刊誌らしく、政治部は政治部らしく、
社会部は社会部らしく、事実を書けばいい。
一部の週刊誌はこの事件で新聞記者は何にも書かない、と言っているようだが、冗談じゃない。
雑誌系週刊誌は新聞記者の情報をもとに書いている。
これはメディアの役割分担だ。
昨日の日記で「ケニアの闇」を書いた。これに関してメールで貴重な情報をくれる人がいた。
ありがたい。
これも日本人としての「正義の役割分担」だ。
夜になって、加藤紘一さんの秘書、佐藤三郎さんが8日に逮捕される、との情報。
これで加藤派は崩壊することになるだろう。
加藤派は小さい集団だから、政界への影響は少ないと思うが、
宗男疑惑がもっと本質的なことに波及すれば大派閥・橋本派が揺れる。
どういうことかと言えば「自民党議員がすべて宗男だった」ことが暴露されれば、
橋本派は瓦解する。
まして、宗男さんが「この前の総裁選で……」なんて言い出したら、
間違いなく瓦解する。
そうなれば……石原さんが動いている。
まだまだ先のことだが、金融危機と相前後して、自民党は解体の道を徐々に進むような
気がするんだが……。
深夜、社台のテレホンサービスを聞く。昨年暮れ、引退する予定だった我が愛馬
デリキットが9日の中京メインに出走する。現場に行きたいのだが、用事があって駄目。
精々、馬券で応援するぞ。もちろん、ワイドで。
<何だか分からない今日の名文句>
秘書が主を喰う
3月6日(水) 必死で隠す「ケニアの闇」
何故「2002年3月4日」に大ニュースが勃発したのか、考えてみよう。
何故、一月中旬から絞り込まれていた武富士殺人の容疑者が、4日未明になって逮捕
されたのか。TBS系ニュースはすでに3日夜、しかもかなり早い夕暮れに「取り調べ
、一挙解決」を報じていたが、NHKは沈黙。4日の朝「逮捕」を報じた。
そして、4日午後は「徳島県知事、取り調べ」である。夜になって逮捕である。
予算審議の最中の逮捕である。普通なら定例県会の審議が終わってから任意取り調べ
である。
新聞にリークして、調べなければならない状態を作り、それも取り調べ官が徳島へ行
くのではなく「東京に来て説明してくれ」で即逮捕である。無理を感じる。
4日夕刊は「武富士」で、5日朝刊は「徳島」で、新聞はかなりのスペースを割いた
。
この2大ニュースを意図的に作り上げ「宗男問題・外務省報告書」発表とぶつけて
来た、とは単純には思わない。むしろ、権力には「外務省の改革の意図」をアピールし
たい思惑もあった。
しかし、権力には、ある「意図」があった、と思う。
人間は「大きな何か」を隠したい時「小さな真実」を漏らす。「正直に言いましょう
」と切り出した時、決まって「大きなこと」を隠している。それは、長いことブンヤを
やってきた人間のカンだ。赤い服をわざわざ「勝負服」と断る川口外相に「大きな何か
」を隠しているように思えてならない。
それは何か。ずばり「ケニア」である。
「ケニアへのODAに特定国会議員の関与はなかった」とサラリと書いたあのクダリ
である。
ケニアの問題では、あまり報じられたないことが、2つある。一つは、2001年1
月の森総理の三ヶ国歴訪である。その時、何が行われたか。
すべて分かっているわけではないが、その夜、森さんんと青木盛久ケニア大使はした
たか飲んだ。酒盛りと言っていいだろう。
青木さんはフジモリ大統領とともにペルーの日本人世界に君臨した、あの傲慢な「青
木さん」である。
パーティー、パーティーで遊び回っているうちに、テロ集団に襲われた、あの事件の被害
者であり、責任者である。
その彼が「ケニア大使」に“栄転”した。妙じゃないか。外務省の常識派は「利権大
使」の異動に、妙なものを感じたハズだ。
赴任地で彼は何をしたのか。これは「闇」である。
もう一つ、ケニアで水力発電所反対の人物が2000年暮れ、逮捕された。言論がな
い地域なのだ。当地では「水力発電所に反対すれば、男は虐待され、女はレイプされる
」と囁かれている。
この工事、日本の大手「K」が請け負っている。巨大な事業である。
その事業に「特定議員の関与」がない。冗談じゃない。ムネオハウスなんかと比べモ
ノにならない利権だ。そう簡単に疑惑がない、なんて言えない。
ちょっと前まで「真紀子を追い落としたのは俺と宗男」と胸を張っていた森さん、小
泉内閣の後見人と言った感じだったが、突然、沈黙した。元首相が心労のあまり体調を
崩して、入院したのも、外務省問題と無縁ではないだろう。
大事件の続発で、新聞は「ケニア」に言及する時間も、スペースもなかった。
マスコミは自ら「宗男事件」を個人犯罪に矮小化した、と言われないように、頑張ろ
うじゃあないか。
午前中、歯が痛くなり、歯医者へ。少し忙しくなると、体の弱いところに、ガタがく
る。
それでも、3週休んだ、例のお勉強には行く。前回、教えてもらったものはすべて忘
れている。俺って、駄目だなあ。
夜、秋葉原で、将棋のゲームソフトを探す。忙しくても遊びたいのが性分。
<何だか分からない今日の名文句>
いつも出席者リストが「謎」を解く
3月5日(火) 千春と「若手議員ども」
陽が差さないのに、それほど寒くない一日。温暖化なんだろう。今年の東京はまとま
った雪を見ないまま、春を迎える。春一番はもうすぐ?
朝から世界週報の原稿。横浜市長選に「石原慎太郎の影」といったエピソードを書く
。午後は「おけら街道」。さらに頼まれた雑文、もう一本。書きまくる。
外に出られないのが、つらい。指が疲れるのが、きつい。
宗男クンの数少ない応援団・松山千春さんが、積極的にメデイアに出て「宗男の魅力
」を話しているらしい。
今日(5日)も田原総一郎と激論を交わすという情報。経緯は分からないが、多分「
先輩と後輩」、ともに、お互いの行動力を確認しているのだろう。北海道の雪の風土に
生まれた友情だと思う。理解できる。
宗男クンが逆風に晒された時、堂々と擁護する。男じゃないか。その絆がなければ、
日本男児じゃない。
宗男クンの持つ「構造的な悪」を許すつもりは毛頭ないが、その友情はむしろ評価し
たい。
それに引き替え「宗男会」に入り、彼から餅代を貰った若手議員の出処は甚だ疑問だ
。迷惑だと言わんばかり。「宗男からカネを貰っていたから真紀子批判をした」と選挙
区で言われ嫌で、カネを返した奴もいるらしい。
カネを貰うことの意味が分からないボンクラ。返せば良い、というものでもないだろ
う。
中川一郎の倅、正一に聞きたい。「貴方は、骨肉の闘いの相手から、何故100万円
もらったのか?」
夜、白金のプラチナ通りの「箒庵」で競馬仲間5人で夕食。社会的地位の高いご夫妻
も混じっているが、競馬のことになると全員、夢中になる。
最初から最後まで「アレを当てた、これも当てた」で3時間半。世相を忘れ、趣味だ
けで、時間を忘れることが出来るなんて……楽しかった。
<何だか分からない今日の名文句>
男樹
3月4日(月) 功績は読売新聞にあり
ニュースラッシュ。武富士殺人逮捕、徳島県知事逮捕、そして宗男問題で外務省報告
書。宗男クンと外務省の異常な関係を認める。
長かった。昨年1月17日の日記で「北海道のS」のことについてはじめて触れた。
多分、マスコミがまったく触れなかった時だと思う。この日の名文句で「歴史は金庫番
が作る」と書いたが、まさに自民党の金庫番が裁かれる時が来た。
その歴史の歯車を作ったのは読売新聞だった。読売が去年の元旦「松尾事務官の機密
費流用」をスクープしなければ、外務省と宗男クンの「異常な状態」は隠されたままだ
ったと思う。それがきっかけで、宗男クンの存在が明るみに出て、真紀子さんの活躍に
結びつく。
読売の記事は歴史的なスクープだろう。その記事を読んだとき、「S」の存在を書か
ねばならない、とまず思った。
今だから言えるが、松尾事件の関連では、後に民主党から参議院に当選し、そしてす
ぐ辞任したタレントのOさん、尊敬する名騎手Nさんとの関係についても言及したかっ
たが、あえて、触れなかった。関心が拡散する恐れを感じたからだ。
狙いは「S」一人、と考えて、余計なことは書かなかった。(でも、O先輩は立つべ
きではない、と遠回しに書いた)
宗男クンの呪縛から全省庁が解き放される、今は仕上げの時期だ。
夕方、JR池袋駅南口で知人とランデブー?
「ランデブー」というのはスパイ用語のような気もするので、気色悪いが、
彼がしきりに「ランデブーしよう」と言う。
10年ぶりの再会。彼、頭が真っ白になっている。
昔のように情報交換。ブッシュ・小泉会談の最大の話題は北朝鮮問題だった、という
のが彼の分析。夏ごろから「反北朝鮮」の世論づくりが始まるだろう、とのこと。
イラクの後は「北朝鮮空爆」ーーという想像は怖いじゃないか。
宗男クンのことが、2人の話では全く話題にならなかったのは不思議と言えば不思議
。彼は「もう宗男は終わった」という認識なのか。
午後7時に別れて池袋駅の周辺を散策。「キャッチ」というのか、若い女性がありと
あらゆる男性に声を掛けているが、何故か、当方に声をかける女性、皆無。身障者には
声を掛けない、というのが風俗店の決まりなのか。それにしても、ちょっと淋しい。
この界隈の権威・アリタさんに携帯を掛け、一緒に飲みたいと思ったが「電波が届か
ないところにいる」。残念。
一人淋しく、要町まで歩く。少し肌寒い。
<何だか分からない今日の名文句>
本当か嘘か 宗男の目に涙
3月3日(日) 週刊新潮は売れまくっている
金曜日、土曜日は4月の陽気。日曜日は真冬並の寒波。3月は変わりやすい。
日曜日に佐藤工業が会社更正法を申請。NHKの2日の報道では「飛島建設も法的整
理されるのでは」という見通しだったが、どうやら、こちらは主力銀行の富士銀行に5
00億円の支援を要請するらしい。
倒産する会社、生き残る会社。
その線引きは、どんな基準によるモノなのか、さっぱり分からない。
この辺を新聞もはっきり報道していない。テレビの「日曜コメンテーター」の言い分
で確かめようと思ったが、原稿が溜まってしまって、テレビを見る時間もない。
本当は週刊誌の「見通し」の方が的中することも時にはあるのだが、このところ、週
刊誌のトップ屋さん?は、宗男、宗男のオンパレード。とても経済に手が回らない。
週刊新潮は売れて売れて、2日ぐらいで完売するキオスクもあるらしい。多分、加藤
昭さんの「特別レポート・鈴木宗男研究」が圧倒的な支持を得ているんだろう。
この連載、取材の奥行きがある。それに「中川一郎の死」から入ったのが、衝撃的で
、お客さんを集めている。
サンデー毎日にヒットが出れば良いのだが、我が後輩は幾分、力不足なのか、鉱脈に
ぶつかっていないようだ。頑張れ!サンデー。
「月刊競輪3月号(55ページ)」に「二代目魁」の紹介が載っているとの連絡。「
競馬競輪ロマン掲示板」に参加したら、とある。ありがたい。少しずつだが、視聴率が
増えている。
週末の競馬は土曜日は中山のメーンが的中、阪神のメーンが大外れ。日曜日、自信の
弥生賞は「休み明け2走目」の定説を忘れ、これも惨敗。資金が少しづつだが、減って
いく。
仕事が一杯の週末は、競馬の30分が息抜き。そこで、負け続けると、原稿の出来に
悪影響する。
夜「ここだけの話」を書く。テーマは「金権の格式」みたいなもの。同僚の話だが、
相変わらず、真紀子批判を書くと、読者から猛反発が出るらしい。
読者の多くが、日頃の閉息感でイライラしているのかも知れない。取りあえず、真紀
子さんの破壊能力に賭けている。
先週に続き、土曜日に副編兄弟がやってきて、パソコン引っ越しの最後の詰めをして
くれた。そこで、午後8時頃、秋葉原の本屋で「XPの使い方」の本を買う。
どこまで、使えるものか。
<何だか分からない今日の名文句>
「勧善懲悪」で売る悪もいる
2月28日(木) 浅間山荘事件から30年
30年前の2月28日、浅間山荘の前にいた。ライフルの流れ弾が2、3メートル離
れた雪山に着弾したのを覚えている。寒かった。怖かった。
軽井沢町の河合楽器の寮「浅間山荘」に連合赤軍のメンバー5人が管理人の妻を人質
に取って、立てこもったのは2月19日。それから10日間、彼らは全く説得に応じず
、人質の生命は限界を越えていた。
28日、警察は強行突破。銃撃戦で警官2人殉職、26人が重軽傷を負った。
駆け出しの「察まわり」記者だった僕は、少しでも銃撃戦の現場に近づいてレポート
しようと懸命だったが、正直言って、何が起こっているのか、まるで分からなかった。
自分の目の前で起こっていることは辛うじて分かるが、進行中の逮捕劇の全貌はまる
で分からない。
誰が殺されたのか、分からない。犯人が捕まったのか分からない。
現場にいた記者はみんなそうだった、と思う。
あとで聞くと、この頃、日本中の人(多分、視聴率は90%を越えていた)がテレビ
にかじり付いていた。工事用の鉄球で壁を破る場面を息を飲んで、見守っていた。視聴
者は、すべての出来事を知っていた。
その頃、凍てつく山荘の裏山で、無線機を持った僕は「自分の目の前で起こったこと
」だけを報告して、それでいいのか、不安だった。全くの情報過疎地。苛立たしかった
。
あれから、今日で30年か。テレビの時代を到来を痛感したあの時。「ひょっとする
と新聞記者なったのは間違いだった。テレビの記者になればよかった」と思ったりした
。
それから30年。やっぱり「テレビの記者でなくってよかった」と痛感している。テ
レビは「事実」を中継しているが「真実」は中継出来ない。「出来ない」と断定するの
は言い過ぎだというなら「苦手」とでも言えばいいだろう。
早い話、宗男事件にしてみても、疑惑の全体像を中継することは出来ない。記者会見
は中継できるが、会見で話す内容を巡る暗闘は中継できない。
況や「意図的に隠されたもの」は中継するなんて出来ない。それどころか、演出され
た事実を放送させられることすらある。
飯島首相秘書官の意図で、心ならずも「やらせ報道」をしている向きもある。
やっぱりライターでよかった。ハンターでよかった。
テレビは影響力は抜群だが、時代をデッサンする「地道な努力」に欠ける。
宗男事件では、はっきり言って、テレビの記者より、新聞、雑誌の記者、特の週刊誌
の記者の頑張りが目立つ。(もっとも、怪文書をそのまま写すような「失敗」をする記
者さんもいる。「これは事実ではない」と教えてやりたいような「勘違い取材」があち
こちで進行中である)
メールで某政党の方から「宗男のことで聞きたい」という申し出。それほど詳しくな
いので「暇なとき、情報交換でもしましょうか」とさらりと応える。
23日、帝国ホテルで開かれた「加藤シズエさんを偲ぶ会」で橋本龍太郎さんが、長
々と演説した。土井さんも小沢さんも、長々と話し、これを聞いた福岡政行センセイが
「長すぎる。これじゃ、倒れる人が出るかも」と話した、という噂が流れていたが、何
と、その橋龍が倒れた。
意識ははっきりしているが、亡命は急性僧帽弁閉鎖不全症。政治家に「聞き慣れない
病名」が付くときは、重い病と言われるが。どうだろうか。
横浜市長選。26日に「市長を変えよう!2002人市民の会」が嶌クン擁立を正式
に断念した。ストーカーにもなりかねない勝手連。若干、行き過ぎを感じていた。
これに続いて、今日、中田宏衆議院議員が立候補宣言。やっと、市民派の候補が決ま
ったが、間に合うか。とにかく、「高齢・多選」には反対だ。
夜、虎ノ門パストラルで「本村先生の馬事文化賞受賞をお祝いする会」に出席。
「本が出来た時、野平祐二さんに読んで貰おう、と電話したら、この日、野平さんは
なくなっていた」と秘話を話す本村さん。皮肉にも、2001年度馬事文化賞は最後ま
で、本村さんの「馬の世界史」と野平さんのエッセイが最後まで受賞を争った。
歓談のテーマは、ここでも「宗男クン」。おもしろい話ばかりだが、書けないこと、
多し。
<何だか分からない今日の名文句>
すべては距離感