編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2002.7月

7月30日(火) 本当かしら?石原副総理

 緊張感なしの会期末。今日、野党が恒例の内閣不信案を提出した。前代未聞のスキャ ンダル国会。小泉さんを攻めきれなかった責任で「野党第一党党首」を不信任すべきだ 。

 まずは、鳩山さんが退いて全てが始まる。再三、言うが、人間性に欠けるものはない が、彼は迫力に欠ける。迫力なき政治家に何が出来るか。

 自民党の一部がしきりに「石原副総理」説を振り回している。冗談じゃない。石原新 党は既定路線なのに……石原さんは「不人気な小泉」の後を継ぐ唯一の候補と自負して いたのに……小泉さんの支持率の下げ止まりを理由に、今のうちに石原取り込もうとす る作戦。そんな作戦に石原さんが乗るとも思えない。ただ、これで、首都機能移転は無 くなる。

 山崎幹事長、武部農水相の留任説。冗談じゃない。山崎派は小泉の唯一の味 方、という理由。これからは、彼らの留任する理由を探す方策が次から次ぎへと出てく るぞ。扇さんまで「首都高速料金」の値上げを拒否して、留任の意志表示?

 誰も彼も、権力に居座りたい。

 午前「おけら街道」を書き上げ、順天堂病院に「六本木の帝王」の見舞い。意識は戻 っていたが、僕のことが分からない。でも、いつか彼の生命力が記憶を呼び戻す。僕は 信じる。

 病院の喫茶室でD通信のTさんとばったり。70を越えた社長さん、元気溌剌。自転 車を漕ぐ運動をしに来たところ。

 親交のある、今話題の某大学経営者兄弟の不仲。「これでは学生が可愛そう」という いうような世間話。

 大学受験情報の権威、Tさんの話では「大学不況で、来年は定員の3倍を合格させる 大学が出そう」とのこと。来年は大学倒産元年?といったの雰囲気だそうだ。

 出社し、雑用を片づけ、初台リハビリステーション病院の伊藤さんを訪ねる。「六本 木の帝王」の病状を報告。「必要があったら、彼のリハビリを頼みたい」とお願いする 。もともと「六本木の帝王」は伊藤さんから紹介された間柄なので「喜んで」と快諾さ れる。うれしい。

 近くの新宿南口「栄寿司」で、たまちゃんを交え3人で一杯。伊藤さんとは半年ぶり で、積もる話もあったが、たまちゃんと話が弾んで、僕が入り込む余地なし。二人とも 全共闘時代の共通体験があるから話が弾む。一人は日大のノンポリ?

 一人は早稲田の革マル。二人を引き合わせて良かった。

 仕事場に戻ると、留守に近くの「競馬好きの青年」がやって来て、彼が写した「第6 0回菊花賞・ナリタトップロード」の写真を届けてくれた、とのこと。綺麗な写真だ。 走る宝石。

 28歳の青年と友達になった喜び。歳を取っても、僕にも「居場所」がありそうで、 何かホッとする。

 明日も、暑いらしい。

<何だか分からない今日の名文句>

天下居座りパワー


7月29日(月) 六本木の帝王、生還す

 「旅打ち」の四日目。山形県上山競馬場。実に暑い。40度を越えたこともある盆地 だ。

 午後10時の開門より前に来たので、正真正銘の一番乗り。気迫、一杯だったのに… …(「旅打ち」の悲惨なる結果はスポニチ「おけら街道」で報告するつもり)

 午後5時11分かみのやま温泉発の新幹線で帰京。

 この間、新聞を全く読まないことにしていた。金曜日の夕刊から、4日分を一気に読 む。久しぶりに読むと新聞というもの、結構、新鮮である。新聞って、おもしろいじゃな いか、と安堵するが、気に入らないところもある。

 例えば、毎日26日夕刊社会面の「草柳大蔵さん死去」の死亡原稿。世界週報で草柳 さんも含め4人で「漂流・日本社会」欄を担当しているので、面識はないが、いつも彼 の書くものを読んでいた。非常に興味ある死亡記事なので、切り取りしようと思ったが「 談話」が気に入らない。以下、引用する。

 「ジャーナリスト・大宅映子さん 私が小学校のころ、一年半ぐらい父(故・大宅壮 一)の助手のような仕事をしていたので、いつも自宅にいたのを覚えています。当時か ら才気があるという感じがしていました。父の横にいて仕事ぶりを盗もうとしていた のを思い出します」

 死亡した人間に関する「最後の新聞記事」になるかもしれない大事な原稿。これは、 あまりに投げやりの「談話取り」ではないのか。

 映子さんは確かにそう話したかもしれない。が、これはあまりに客観性に欠けた「悼 む言葉」だ。

 第一、小学生の映子さんが「才気がある」とか「盗もうとしていた」なんて分析するこ とが出来るはずがない。

 草柳さんの本当の功績、世に隠されているエピソードを話して貰うのが、死亡記事 の「談話」というものだ。

 大宅壮一に師事したということは本文にも書いてある。かなりの人が知っていること だ。

 「仕事ぶりを盗んだ」ということは事実だろうが「盗んだ弟子」は何人もいる。草柳 さんは「盗んだ弟子の中で傑出した存在」だったことを「談話」で表現するのが、新聞 記者の仕事じゃないか。

 まあ、原稿の“好き嫌い”の範疇かもしれないが…。

 夜遅く携帯。誰だろう?と受話器を当てると弾んだ女性の声で「主人、昨日、ICU 室から出ました」。「六本木の帝王」の奥さんからだ。

 この一ヶ月、生死の境を彷徨っていた「六本木の帝王」が生還したのだ。涙が出た。 脳卒中の戦士が、新たな戦いに赴き、生還した。涙が溢れた。

 「午後2時から見舞いもできます」と奥さん。面識もない奥さんだが、たまたま彼の 携帯に僕の電話が記憶してあったので、倒れた直後、急を電話してくれていた。

 奥さん、当初は半狂乱とは言わないが、何をやって良いか分からない様子だったが……励ま すのがやっとだった。意識不明が続いたが、彼の生命力がすべてを解決した。

 明日、彼の元気な声が聞けるゾ。

<何だか分からない今日の名文句>

人知を越える


7月28日(日)猛暑ゆえ旅打ち その1

 「あまりに暑いので夏休みを少しづつ取ろう」と思い、金曜日午後から休暇を取り 「旅打ち」を決行。

 まず新潟・鳥屋野潟の「新潟場外」で寛仁親王杯IN前橋の二次予選。10レース、 ご贔屓の斉藤登志信から入って的中。11レース、東出から入って的中。12レースは 外したが、珍しくホクホク。

 古町の「お々江」で岩かきを食べる。携帯で穴党・予想屋の阿部幸から「今夜、大五郎が 12チャンネルに出るから」との知らせ。

 「どこにいるの?」と聞けば「自宅です」。競馬記者が東京にいて、当方が新潟にい るって何か妙だ。大体、12チャンネルが新潟で見れるのか?

 翌日、出来たばかりの信濃川のトンネルを走って、豊栄の新潟競馬場へ。すでに雨ち ゃん、朝一番の新幹線グリーン車(朝一番は割引らしい)で到着している。彼が率いる 「毎日広告社組8人」。地元のソウマさん、率いる「毎日販売店組8人」。毎日新聞の 広告VS販売、越後決戦?

 間に合わなかった1レース、2レースともに前夜、予想した通りの結果。間に合えば ……残念。嫌な感じ。その予感が当たって、3レース、4レース、カスリもしない。嫌 な感じ。

 5レースの障害戦。馬券を買わず、トースポのナベちゃんと並んで観戦すると、ナベ ちゃんの本命・対抗で馬単で万馬券。「教えてくれればいいのに」と言うと、「俺だっ て買ってない」。

 6レース、今日一番の狙い。9番のタマエックス。これが来れば……が、鼻差の3着 。周囲を見ると、我が越後決戦のグループの計19人は、いずれも沈んだ表情ばかり である。

 それでも7レース、やった!やった!4頭ボックスで1着〜4着まで見事、的中。

 少し浮いたので、ここで旅打ち一時中止。仲間に「頑張れよ!」と言い残し、JR豊 栄駅へ。駅の前のたこ焼き屋さんで氷メロン。身障者だけで経営する明るい明るい店だ 。

 パソコンが5台用意されていて、車椅子の3人が表計算の勉強している。「仲間に入 れて」と頼んで、パソコンを使わせて貰い、我が掲示板に書き込みをする。

 「汽車が出るぞ!」と言われて、あわてて「いなほ号」に飛び乗る。

 地元の越後ビールを一本飲んで熟睡。

 以前から行きたいと思っていた酒田に一泊する。日本海に沈む夕日にただただ感激

 日曜日、最上川、船下り。ガイドの春美さんの元気、大好きだ。川の中にコンビニ。 そこで焼いていた鮎。すこぶる美味。

 新庄から新幹線で、次なる「旅打ち」の地に向かう途中、携帯で、たまちゃんの関屋 記念を頼み、的中。

 今度の旅打ちはすこぶる好調。ご期待あれ。

    
<何だか分からない今日の名文句>

暑き日を海に入れたり最上川


7月25日(木) ダービーの美酒

 朝、蔵前のデニーズで、とろろご飯定食。行って帰って1キロ半ぐらいの運動になる から、490カロリーの朝飯なら、多分、太らないだろう。

 午前中は世界週報の執筆。うどん盛りを食べてから、午後は「ここだけの話」の取材 。昼下がり、激しい雨になったがすぐやんで、蒸し暑い。

 夕刊紙に「サンデーサイレンス、重体」の記事が載ったらしい。前日のスポニチ「お けら街道」で「病に倒れたSSを応援しようと!」と呼びかけたが「重体」とは書かな かった。抑制的に書いたつもりだが、夕刊紙の反応が早い。頑張ってくれ!

 花岡さん(信昭・産経新聞論説副委員長)が会社に辞表を出して、長野県知事選に出 ることになった。警視庁の事件記者のころ、政治部記者のころ、それぞれ「お付き合い 」があったが、それほど親しくはない。政治記者としては“ほどほどの力量”と存知あ げているが、行政官としての力量はまったくの不明。大丈夫かしら?

 この選挙、反康夫候補が4人も出るような雲行きで、康夫さん、さらに有利。さらに 興味薄れる。

 散髪に行ってから、ホテルオークラの「山里」。知人の馬主・谷水さんのタニノギム レットがダービーを制覇。遅くなったが、ごく親しい7人でお祝いの会。と言っても、 谷水さんのおごり。何しろ賞金1億5000円、入ったのだから当然だ。お祝いに「江 戸キリコ」の杯をプレゼントする。

 何度も何度も、ビデオを見て、その度に歓声があがる。総理大臣になるよりダービー 優勝馬のオーナーになる方が難しい。が、谷水家ではお父さんが2回、倅が1回、ダー ビーを制覇している。これは奇跡に近い幸運である。

 タニノムーチェの昔話から、彼の持つ2歳馬情報で盛り上がる。ギムレットは菊花賞 に進むようだ。

 その容貌から「馬主界のアランドロン」という渾名の谷水さん、日本酒をグイグイ。 いかにもうれしそうだ。

<何だか分からない今日の名文句>

金持ちの親子鷹


7月24日(水) 「真紀子叩き」も食傷ぎみ

 再三、言うようだが、真紀子さんは好きになれない。あんな女性と仕事一緒にするな んて、とても出来ない。嫌な女だ。

 しかし「真紀子さん」という劇薬は今の日本には必要だった。いまでも、必要である 。断じて必要である。

 官僚国家にはプラスとマイナスがある。戦後50年を越え、日本の場合、マイナスが あまりに大きくなった。それに気づきながら、知識層は御身大事と「官僚天国」を放置 した。政官(プラス言論)の癒着を放置した。

 それが、市民も、国家も、地球も、あらゆる命題を考えることなく、自分の利益だけ を追求する一部の官僚群を許し、結果として、日本は何も出来ない国になった。

 その何も出来ない日本の閉息感を打破するには、世間知らずで、我が儘で、破天荒な 真紀子さんに「庶民感覚」で官僚群と対決して貰うのが必要だった。(実生活の真紀子 さんは、相続税に苦しむお金持ちだが)

 狡賢い官僚は、これまで出会ったことのない「真紀子さん」という強烈な個性に戸惑 っているうちに、ボロボロと膿を出した。外務省改革の第一歩は「真紀子さん」の存在 なくして語れない。(もちろん、それだけではないが)

 真紀子さんの捨て身の攻撃(彼女にとっては捨て身ではなく、ごく当たり前の我が儘 な正義の主張)で、結果的に宗男癒着に司法の手が入った。

 そうなれば一部官僚群の最大の目的が「真紀子さん除去」になる。それも当然のこと だ。

 秘書給与の流用なんて、小さなことだ。(小さなことだが、きっちと整理して正常化 されるべきだと思っている)

 良〜く、考えてくれ。

 宗男が除去され、真紀子が除去され、いつの間にか、「政治家の言い分を聞かない外 務官僚が立派な人」なんてことになり、外務官僚はさらに強くなった。

 もし、真紀子さんが外務大臣のままだったら、その後の展開は幾分変わった、と思う 。

 午後10時から衆議院政治倫理審査会のテレビを一応、見る。

 多分、厳密に言えば、どの党にも同じような秘書給与流用疑惑を抱えているのに誰も 彼も「真紀子叩き」で躍起になる。馬鹿だなあ。一人ぐらいは、全体像を明らかにして 意見を述べるべきなのに……。

 議員が同僚議員の失敗を追及している間に、あの人も、この人も、ほくそ笑む。外国 に逃げたあの人、再出馬を決意した山形県のあの人……。そして、永田町の男性諸君… …。

 彼女を弁護する気はないけれど、こんなことばかりで、本来、審議すべきこと、 例えば「日本の右傾化に起因する法改正」などをないがしろにする国会にはウンザリす る。

 ちょうど、個人的な野暮用で来客があり、テレビ中継のスイッチを切る。無駄だ、無 駄だ。

 午後、新橋方面で取材というか、勉強というか、「権威」から税制改正の個人的レク チャーを受ける。

 その後、JRA六本木事務所へ。霞ヶ関へ出向く取材があったが、先方がここまで来 てくれたので、JRAの机を借りて、競馬と関係ない「東京都の箱モノ」についての取 材。東京都の箱モノは、石原さんの意向で、どんどん、民営化される気配である。

 若干、昨日に比べて過ごし易いが、夜の取材は面倒で止める。こちらも御身大事にし ないと、体が保たない。

<何だか分からない今日の名文句>

冴えない男は団結する


7月23日(火) 資源保護とマークシート

 早朝、出社。読者の元大学教授氏から「連絡して欲しい」という伝言があった。幾分 、早いが電話する。全くの初対面である。

 バイオ研究家で国際機関にも勤務された方だが、僕のコラムの愛読者らしい。

 「僕は亜熱帯の森林の研究をする者で、地球の資源保護に関心を持っています。その 立場から言うと、競馬のマークシートの無駄使いが気になってならない」とおっしゃる のだ。

 競馬好きの彼、毎週、WINSに出かけるが、マークシートを鷲掴みにするファンが いる。平気で使ってないマークシートを置き去りにして、清掃員も使っていない紙をガ バッと袋の中に入れてゴミ箱に運ぶ。資源保護の精神が完全に麻痺している。

 マークシートは有料にしたらいい。100枚50円。そうすれば、こんな無駄使いは なくなる。そのお金は資源保護に使えばいいーーというご意見だ。

 確かに、無駄に捨てれる紙はあまりに多い。これはマークシートだけではない。

 彼は農水省競馬監督課に文句を言ったが「仕方ない」という返答。農水省は資源保護 をどう思っているのか、とカンカンである。

 何らかの処置が必要ではないか、と僕も思う。「次回の競馬運営委員会で問題提起す る」と約束する。

 この点だけでなく、JRAの幹部は現場をもっともっと歩かなければ……我々が気づ かぬ矛盾が、山積しているのではないか。JRAから、あるいは嫌われるかも知れ ないが、言うことは言う。

 早朝の取材を片づけて、午後2時ごろ、取材and趣味?の「愛輪の会」に参加。競 馬関連会社の社長、競馬評論家ら8人。一応、全員車券名人?

 今回の開催で3連単を始めた松戸の収支、雰囲気を取材する。月末からナイターを始 めるようだが、さて売れ行きはどうだろうか。印象では必ずしも盛況という訳でもない 。

 後半4レースやって、すべて当たったが「押さえ」ばかりなので損をする。

 北松戸駅前の焼き肉屋で反省会。ギャンブル業界の人事異動の話など、どうでも良い 世間話。

 「新松戸に優しいキャバクラがあるので」ということで、そのうち3人が新松戸へ向 かう。生まれてこのかた、キャバクラというところに行ったことがないので胸躍る。が 、誘ってくれた人の話によると、そのキャバクラ、遅配が多く優しいホステスさんが辞 めてしまったという。「それなら中止。恐ろしいホステスさんばかりだったらどうする んだ」

 そこで、美人姉妹の大皿居酒屋「藤」で一杯やる。

 近くに住む「爽やかな酔っぱらい氏」が途中から加わって、9時頃まで。爽やかな酔 っぱらい氏は、スポーツ新聞の競馬記者なので、翌朝の調教に間に合うように美浦トレ センに向かった。

 多分、向こうに着いてからも飲むはずだが、早朝3時半の調教は、彼、一日も休んだ ことがない。

 「爽やか」ということは、そう言うことだ。「新潟で飲もう」と約束。

 アメリカの経済、さらに深刻。

<何だか分からない今日の名文句>

現場百遍


7月22日(月) アメリカのバブル崩壊?

 経済問題、特に金融機関の行く末については、新聞と週刊誌のスタンスが違いすぎる 。

 週刊新潮が「メガバンクは年内に2行に統合される」(7月25日号)と書いてい るが、新聞を読む限り、そんな気配はまるで感じられない。

 アメリカの株安についても、まだ騒動が起こって間もないので、これに触れた週刊誌 はないのだが、多分、新聞とは天と地ほどの違いがあるのではないか。

 どちらを信じて良いのか。しかし、竹中センセイが言うほど楽観視できない。はっき り言って、今回の米株安は日本のバブル崩壊と酷似している。日本に与える影響は深刻 である。金融危機の再燃を頭に置かなければ……。

 「おけら街道」を書き上げ、午前中は何カ所か取材。

 昼下がり、仕事場の近くエレベーターで競馬好きの青年から声を掛けられる。 こんな近くに同好の士がいるなんて……夕方、この青年から、さっそくメール。

 競馬の写真を撮って、個人ホームページで発表しているらしい。 (Photo Studio 〜Last 3ハロン〜 )

 早速、開いてみると、素人はだし。馬って、本当に美しい。是非、見てくれ。

 渋谷のプラザエクセルの仲間Oさんから「ご注意」のメール。7月12日の「競馬は ロマンだ」の文脈に不可解な部分があるとの指摘である。

 「文脈によってはシャドーロールを付けと左右の視野が狭められるとの意味に取れる が、シャドーロールは視野の下方を遮ることによって馬が自分の影に驚くことを防止し たり場合によっては頭を上げて制御が困難になる馬を矯正するために使います」

 ご指摘の通り。短い文章で舌足らずで、ブリンカーとごっちゃになった表現で、まこ とに申し訳ない。

 友人から、米株安に関する情報。なるほど、と思うが、それほど、信憑性ありとは言 えないので、書くのは止める。それより、中国株に日本の金が流れていることの方がお もしろい。

 2005年ごろから、中国では高速自動車道建設のラッシュになる。これを見据えて 、投資したら、と言うのが友人のアドバイス。「そんな金、どこにあるんだ」で大笑い 。

 にやにやするうちに、掲示板は思った通り、より元気になった。新しく参加してくれ た面々の鋭さ。敬服。一時、お休みだった面々も顔を出してくれて、うれしい。

 幅広い意見が登場しないと、掲示板の意味がない。程良い緊張感は大切だ。

 もう一つ、贅沢を言わせて貰えば「痴的」な話も欲しいんだけれど。

<何だか分からない今日の名文句>

痴的に見せるも芸の内


7月21日(日) Y、札幌に死す

 猛暑。体調、すこぶる悪い。腰の辺りが痛い。寝違えたのか?

 野暮用の合間に、ベットで昼寝。熱中症になりそうな気分でもある。

 気が付くと午後7時。まあ、良く寝たものだ。傍らの携帯に着信の記録あり。ファン ファーレの着メロが聞えないほど熟睡したのか。

 着信番号を調べると、早稲田大学吉村正ゼミの仲間・Yクンからである。卒業してか ら会う機会もなかったが、年賀状はお互いにやり取りしている。

 たしか、ホクレンに勤務していて、仙台か、札幌にいるはずだが。

 何だろう。東京に出て来るのかしら。懐かしい。

 電話してみると、女性の声。「家内ですが、Yが亡くなりました」。

 絶句した。

 彼女の話では、去年九月頃から体調を崩し、入退院を繰り返していたが、20日午前 8時すぎ、永眠した。脳腫瘍だった。

 大学の友人に連絡しようにも、手紙のやり取りもなく、Tクン(多分TBS勤務の男 だろう)と僕しか、手元に住所・電話がないので、連絡したという。

 吉村ゼミのメンバーでは、僕しか連絡が取れないので、よろしく頼む、とのことだっ た。

 毎年、毎年、今年こそ会おう、と言っていたのに。今では音声も、容貌もハッキリし なくなっている。縁がなかったのかなあ。

 吉村ゼミの世話役・Nに連絡を取り、ゼミの仲間一同で花を送るように頼む。札幌ま で行ける余裕のある者もいない。

 札幌って、やっぱり遠いのだ。

 Nが「そうか、生花のことは俺に任せろ。それはそうと、俺、今月、定年退職するん だ。挨拶の行けないでスマン」

 雄弁会出身のNは思想傾向が若干、僕とは違う。右翼的だが、侠気溢れて信頼できる 男だ。思想傾向と関係なく、彼は浅沼稲次郎の娘さんと結婚した。

 出世なんて糞食らえ、でフジテレビでも、正論を吐き続けた。その名物男の定年か。

 寂しいなあ。酒を飲むしかない能がないか。

<何だか分からない今日の名文句>

六分の侠気、四分の熱


7月18日(木) エルコンドル、腸捻転に死す

 朝になって、スポニチでエルコンドルの死を知る。何で気がつかなかったのか。

 ナリタブライアンに次ぐ、腸捻転での急死。馬の腸は30メートルもあるので、突然 、捻れて激痛を引き起こす。痛かっただろう。可哀想に。

 サンデーサイレンスの種牡馬成績一人勝ちは良くない。どうしても、キングマンボ、 Mr Prospectorの後継・エルコンドルに頑張って欲しかった。ああ、血の 挫折。

 たまたま、社台の一口馬主で、今年はエルコンドル産駒の「エルフィンフェザーの2 001」を手に入れた。

 サンデーサイレンスではなくコンドルで行こう、と誓ったのに……。

 来年デビューする初年度産駒は107頭。その内の一頭。頼むぞ!

 コンドルの愛娘。

 引き続いて、朝から仕事場の整理。本を処分するのに苦労する。自分の著作が捨て られることを想像すると、贈られた著作にサヨナラという訳には行かない。さりとて、 仕事場のスペースには限りがある。どうしよう。気分的には腸捻転?

 10時頃から某区役所を取材。その後、買い物に日本橋へ。三越で親しい友人に「ウ ニ」を送り、高島屋でバーゲンのTシャツを二枚買う。定価の三分の一。梅園の氷しる こを食べる。550円。高いと思いながら、暑さには負ける。

 掲示板に「根回し」論争。おもしろい。今日もニヤニヤして、すべて読む。

 やれ「根回しは古い」とか「日本は非論理的で、情緒的で困る」……と言ったご指摘 。ああ、何という短絡。

 日頃、非論理的で情緒的な書き込み?で僕が大好きな常連さんが、突然「理論派」に なってしまったりする。

 どうしたんだろう。妙なマジックに出会ったのかしら。

 人間社会は、ある時は理論的に、ある時は情緒的に考え、ものを処理する。結果的に 「最大多数の最大利益」に結びつくように処理する。(特に言う必要もないが、人間の 脳は理論的に働く部分と本能的に働く部分が相互補完している)

 この「勘どころ」を身に付けなければ……まともな社会人とは言えないだろう。

 日本の伝統的な村的解決法は息苦しい。大嫌いだ。

 それは、誰もが痛感していることだ。問題は、その閉息感を意識しつつ、冷静に対処 しないと、ことは進まないという厳然たる事実である。

 僕が大事にしたい「根回し」とはーー

 粘り強い説得(ある時は意識して情緒的になることもある)平等な結末(出来る限り 理論的に説明できる平等でなければ困る)

 そして、過程に置いての「人権の確立」、結果としての「人権の確立」 (理論に負けぬ、情緒に負けぬ、神の前で恥ずかしくない 「人権」の保障である)を、地道に地道に達成する「技」ーーのことである。この「技 」を持つか持たないかが、子供と大人の分かれ目だ。

 残念ながら知事さんも、県議さんも、この「技」に欠けている。

 断って置くが、僕は「子供の喧嘩」に軍配をあげるほど、お人良しではない。

 情緒的な人間ほど「古い」とか「理論的でない」とかいう言葉で、ものを短絡的に片 づけようとする。「常套語」に頼っていると、腸捻転になるぞ。

 柳橋中央通りの盆踊り。去年より、参加者が二倍、三倍になっている。また、東京に 下町が戻ってくるのか。半身麻痺でなかったら、踊りたい気分。

<何だか分からない今日の名文句>

名馬、薄命。美人、薄命。美理論、薄命。


7月17日(水) 「スクープ」が消える?

 朝、気が向いて、仕事場の掃除。郵便物が山のようになって……机の上にモノを書く スペースがない。一階に「不要の新本、古本です。よろしかったらお持ちください」と 書いて、読み終えた本や雑誌を並べた。

 昼、後輩が送ってくれた饂飩を食べる。腰があり、凄くうまい。「田舎の味覚・島田 うどん」。栃木県那須郡鳥山町に古くから伝わる製法で出来ているとか。来年もこれに してくれ!

 午後、JREASTの原稿を書く。必死に書く。いつも締め切りが間に合わず申し訳 ない。

 兄貴分の鳥越俊太郎がキャスターを勤めるテレビ朝日系の「スクープ」が9月で終わ る、という噂。本当なのか。

 この種の情報番組で、キャスターが現場に出向いてレポートするのはこの番組だけで はないのか。

 名前のように特ダネを連発している良心的な番組なのに……視聴率が低いといっても 、テレビ朝日は、それほど視聴率を気にしない局と思っていたが……まさか、あらぬ筋 から、圧力が掛かったなんてことは……。

 聞くところによると、番組存続を求める運動が始まったらしい。運動が実を結ぶとい いのだが……

 鳥ちゃんに直接電話しようと一度は思ったが、迷惑になったら逆効果と思い、やめた 。

 テレビ朝日の「スーパーモーニング」のキャスターだった蟹瀬誠一さんが、春の番 組改編で、キャスターを下ろされたが、その時も「何故?」という思いがした。

 後で聞いたら、テレビ朝日にいる親友のKが「前田吟」に固守したのが原因とか。彼 の「寅さん」好きは知っているが、まさか、彼が「前田吟」に拘るとは思えない。その 前田さんも、9月で降板という噂。

 よその会社のことに文句をいうのは野暮。でも「スクープ」がなくなるのは実に淋し い。

 ドイツで「同性結婚は合憲」という判決。これは、大事なことなので、書き留めてお こう。

 昨日の日記(16日)に書いた「根回し」が掲示板の話題になっている。結構結構。 ニヤニヤしながら読む。

 夕方、また浅草まで減量散歩。18日から柳橋中央通りで盆踊り(20日まで)。隅 田川の川風を楽しみながら、代地(柳橋海岸通りあたりを「代地」と言う)の衆の準備 が進む。

 もうじき、梅雨があける。

<何だか分からない今日の名文句>

至上命題は脱視聴率


7月16日(火) 根回し

 台風7号が12時頃、千葉県上陸。「競馬はロマン」を書き上げ、昼は仕事場で個人 的な野暮用。

 台風一過でカラッと晴れたので、午後から浅草まで歩く。

 岩波書店から朝日新聞116号事件取材班の「新聞社襲撃ーーテロリズムと対峙した 15年」を刊行する、との知らせ。朝日のインタビューを受けた部分を入れたいという ので了承する。朝日新聞社から本にするのか、と思っていたので、これは意外。

 何故、田中VS長野県議団を「子供の喧嘩」と言うのか、理解できない、というよう な疑問、質問が掲示板に出ている。長野県に住むロマン掲示板の常連のところには「牧 はけしからん」という電話が掛かっている、という。

 特に説明も要さないと思うが、あえて「聞きたい」というのなら、ほんの“さわり” を書く。

 ことを成就するためには「根回し」が必要である。「根回し」とは、別の言葉で言え ば「民主主義」である。

 ことに関係する人間を説得し賛意を求める。誠心誠意「根回し」をする。これが民主 主義の基本である。

 独裁者ヒットラーならいざ知らず、組織を動かし、ことを成就するには、剥き出しの 「理想」「野望」が全面に出たら必ず失敗する。これは、人間の長い歴史が教えている 。それを忘れたら、いかに立派な改革と言えども、とん挫する。

 元関東軍参謀・瀬島龍三さんが「国際問題」7月号で北岡伸一・東大教授のインタビ ューに答えているが、上意下達の軍隊でも人は命令だけでは動かない、と話している。 戦前の日本はすべて天皇の命令で動くのだが「根回し」を慎重に慎重に進めなければ、 何も出来なかった。

 要所要所の事前了解がなければ、ものは進まない。

 この「根回し」の必要性を知ってか、知らずか、県議団も田中さんも、全面対立するなんて「子供の喧嘩」としか思 えない。

 民間会社は上意下達、下位上達、両方が上手でなければ行きの残れない。なぜなら、 社員は自由意志で組織体に加わっているからだ。命令だけでは人は動かない。

 創業者が会社を潰していいのなら「根回し」をしなくても良いが、企業には社会的責任があるから、 そうも行かない。経営者は恒に「根回し」に汗を流す。それが企業だ。 それが組織体だ。

 大学教授なら「理想」を言っても良い。評論家が「理想」を言っても良い。県知事も 、県議も「理想」を言って良い。言わなければならない。が、政治家はその「理想」を 形にしなければ、何の意味もない。

 大局を見つめながら「理想」に近づける「根回し」をするのが政治である。

 自ら無能を棚に上げ、両者とも「被害者面」をする。子供じゃないんだぞ!と言いた い。

 マスコミ人も内心「長野県民は気の毒だ」と思いながら「県民の選択にすべてが掛か っている。デモクラシーをさらに鍛える好機である」なんて、訳の分からぬことを書い ている。多分、田中さんに対する世論の支持が多いと見て、論調を田中寄りに作ってい るのではないか?

 テレビは田中康夫モノが視聴率を稼げると思っているだけ。テレビに出る効用をご存 知の田中さんは、これで選挙に勝てるかも知れない、と思っているのだろう。そうかも 知れない。

 が、選挙の結果で、すべてが解決するなんて、誰も考えていない。

 第一「子供の喧嘩」が国民の知るところとなった今、まともな人物が「県知事になっ て、この状態を打破する」なんて気持ちになって立候補するだろうか。はっきり言って 、デモクラシーの好機ではない。デモクラシーの不毛、である。

 民主主義は選挙の結果ではない。選挙の結果をどう政策として生かすかだ。この作業は 生身の人間がやることだ。慎重な慎重な「根回し」があって、改革は実現出来る。

 きれい事を書いて、改革者・田中さんを応援した方が楽だが、僕は本音を書きたい。 まず「子供の喧嘩」から脱却するのが先決である。それは両者の人間性と関わっている 。

 選挙の勝ち負けで、デモクラシーが守られるなんて、冗談じゃない。

 夜、久しぶりに同僚4人と神田錦町の中華料理で飲み会。どうも愚痴が多くて……。身 内だけの「内酒」は最新情報が入らないから、無駄な時間と思いがちだが、これも友人 関係活性化の「根回し」?

 古手の記者の苛立ちを聞くのも、意味があった。

<何だか分からない今日の名文句>

至上命題は握手


7月15日(月) 職人は国家なり

 午前中、東大病院で目の検診。3年前の白内障手術後の経過を調べて貰う。とりあえ ず良好。

 瞳孔を開いて検査したので、外に出るとチカチカして、世間がよく見えない。2キロ 歩いて、御徒町で「デリー」のインドカレー。唇、ヒリヒリ。

 出社。

 長野県知事・田中さんの記者会見をテレビで拝見。この知事にして、この県議団。何 をか、いわんや。

 「ここだけの話」のゲラを点検。政治向きの話にしようかと思っていたが、長野の一 件などで、ちょっと冷静さに欠ける向きもあるので、タイミングを考えて書くことにす る。今回は、息抜き?に「たわいのないこと」にした。

 夜「明治の建築家・妻木頼黄も生涯」(北原遼三郎著・現代書館)を読む。日本橋・ 横浜赤レンガ倉庫を作った天才建築家の物語である。

 帝国議事堂建設に燃える妻木と、東京駅を作った辰野金吾の対決がおもしろい。「職 人」ものは大好きだ。

 明治の人のひたむきな生き方にはわくわくして、胸を打たれる。いつの時代も「職 人」は良いな。

 その「ひたむきさ」に、現代人は多分に欠けているのだろう。反省しなければ……。

 このところ、指導者に「何か」が欠けている。

 大局を忘れず、相手の立場に立って(少数意見にも耳を傾け)熟慮し、粘り強く決断 ・実行する。その“ひたむきさ”に欠けている。

 「大局」とは民の幸せだ。政治家自らの「理想」ではない。むき出しの「理想」では 断じてない。

 主義主張は時代とともに変わる。「理想」も変わる。変わらないのは、民、民族であ る。もう少し、大きく言えば「地球人」のことである。

 民の幸せは大河の底にある石のようなものだ。見え難いが、これが流れを作る。その 流れ、大局を大事にしたい。

 我々は冷静に、流れを作る大きな石を見極めなければならない。浮遊するイデオロギ ーに騙されてはいけない。

 きれい事で、武装する「子供の喧嘩」は考え物だ。

 イデオロギーはいつかは「権力」になり、いつかは民を苦しめる。歴史が教えている 。宗教もそうだ。どんな立派な教えも、手中にした人間の邪な心に弄ばれると、民は弾 圧される。

 我々が、守らなくてはならないのは「民の幸せ」に尽きる……と、いうようなことを ボサッと考えていると、風が強くなってきた。台風7号、近づく。

 週末の外出で、そのままになっていたメールの返事を書き、未明、寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

イデオロギーに栄光と挫折


7月14日(日) 懐かしいな、この街は

 金曜日(12日)午後9時ごろ、突然、スポニチのレース本部長氏から「川崎で、8 83万円の馬券が出てしまったんです。驚きました。何でも良いからコメントを下さい 」と携帯。45分で「馬券のバブルがやって来る」を書く。

 もうすぐ、1000万円が来るだろう。理論的には、2000万円馬券だってもうす ぐだ。

 13日はJRAの馬単、三連複全国発売。そこで野暮用の合間を縫って、某所で馬券 三昧。惨敗。まあ、良いか。

 予想で飯を食べる競馬記者さんは、これまで「軸」を決まれば良かったが、これから は「一着の馬」を決めなくてはならない。

 要するに今までは△ー◎、○ー▲でも当りだったが、これからは◎ー○、◎ー▲でな ければ的中と言えない。厳しい世界だなあ。

 明くる朝、懐かしい河、懐かしい街を散策。懐かしいものが幾つもそのまま残ってい た。22歳の頃に覗いたヌード劇場が映画上映館として残っていた。あの時、かぶりつ きにA社のAクンがいたのを覚えている。そのAクンが今やA社の編集局長。時代は移り、 変わる。

 昔の「ご存知」の家を探したが、これはなかった。30年も前だから、知る人もいな い。それはがっかりだが、会えなくて良かった。

 汗が流れたので散髪。調髪1500円は昔のままの値段?

 午後、仕事に戻る。

 長野の田中騒動に、15日、一応の方向がでるが、長野県民がおもちゃになっている ような気分で、不快。誰が悪いというよりも、単なる「子供の喧嘩」を「時代の変わり 目」とたいそうに論評する愚。情けない気分である。

 もう少し、日本人も「良識」を持ちたい。一年半も「子供の喧嘩」をしている哀れさ 。この件で、情報はあるが、すべて「途中経過」で日記に書きとめることなし。

 「ここだけの話」を書いてから、早めに寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

教育県、子供の喧嘩に力こぶ


7月11日(木) 夏競馬、新潟が駄目なら
   汐留があるさ?


 台風一過。雲一つない。

 7時ごろ、蔵前方面に歩いてデニーズで朝飯。麦とろご飯。500キロカロリー。

 終日、エコノミスト「人間探検」を書く。分量が400字で13枚。このところ、短 いエッセイばかり書いていたので難儀する。まず15枚ぐらいのものを作ってから、削 っていくつもりだが、遅々として進まず。

 途中、極めて個人的な電話を掛ける。夕方までに返事を貰う約束になっていたが、返 事が来ない。返事が気になって、原稿が進まない。困る。大変、困る。

 横町の髪結い・今井さんが盆踊りの団扇を持参してくれた。

 この団扇の絵柄、創業安政年間・江戸蕎麦手打ち処「あさだ」のご主人の筆によるも の。表は両国橋の墨絵、裏はピンク地に緑の柳。玄人はだし。

 「あさだ」は「並木の藪」系統の蕎麦屋で、つゆが濃いと評判だったが、倅さんが切 り盛りしてから、柔らかいつゆになった。親父さんは絵筆道楽の日々?

 (「あさだ」は江戸尾通り沿い。JR浅草橋から浅草に向かって徒歩5分)

 午後7時ごろから、減量のための散歩。でも、帰ってきてビールがうまい、では、痩 せない。

 今週から本格的な夏競馬。新潟、函館、小倉の3場所開催。競馬運営委員の一人とし ては馬連、3連複の全国発売に立ち会いたい。

 以前の運営委員会で、農水省が「射幸心を煽るので、3連複は17頭以上の出走頭数 では実施しない」と通告した。

 「何を血迷っているのか。農水省のために新馬券を発売するのか。ファンのニーズに 応え、売り上げを上げ、国庫納付金の形でファンが社会に貢献するのが、目的ではない のか。博打は元々、射幸心を煽るゲームではないか。撤回しろ」と一人、主張した。フ ァン代表の委員としては、当然のことと思うが、これまでは【農水省=お上】の言いな りだったようだ。

 僕の意見に賛成してくれる委員が何人か、後押ししてくれ、やっと農水省も折れた。 この点では、粘り強く農水省と交渉したJRAにも敬意を払いたい。このままだったら 、ダービーも有馬記念も3連複なし、という変則事態だった。

 俺も少しは、役に立つ。

 そんなこともあったので、全国発売開始の土日は新潟へ行きたいが、すべては原稿の 進み具合による。駄目だったら、新設のWINS汐留にするか。(WINS汐留のこと は、11日毎日新聞朝刊で紹介したので、読んで貰いたい)

<何だか分からない今日の名文句>

原稿遅いは駄馬


7月10日(水) 宮城昌康さんの婿殿?

 午前9時、東京専売病院でCT。前回、肺に二カ所、影があったので、念のため、六 ヶ月後の検査をする。一つの影は何故か消え、一つは前回と変わりなし。大きさが変わ っていないので、以前、肺炎か肺結核をした跡、という診断。ガンではなさそうなので 一安心。

 病院の近くにJRA六本木事務所があるので顔を出し、理事長と世間話。新橋で知人 と昼飯。話題はアフガン。副大統領の暗殺だけでなく、アフガン政権は、まだ“当事者 ”がはっきりしないらしい。

 風が強くなったので、仕事場に戻り、エコノミストの「人間探検・中田宏横浜市長」 を書き始める。

 途中、両国郵便局で週刊ギャロップのシルクコジーン優勝パネルを注文する。700 0円。これ、楽しい楽しい散財。  帰ると、電話2件。先輩から「社説を始めたのはいいが、見出しだけで良いのか!」 というお叱り。

 違う、違う。「魁社説」をクリックすると、社説の本文が出てくるのだ、と懇切丁寧 に説明する。彼が勘違いするぐらいだから「魁社説」を読んでいない読者も多いのか。 急に不安になる。

 もう一つの電話は「以前、お会いしたことがある」と言い張る朝日新聞OB。90歳 だという。「君に是非書いて欲しいことがある」と悪しき官僚物語風の話をされる。

 興味がない、という訳ではないが、ちょっと昔の話で、彼が「怪しからん」という相 手は他界しているらしい。彼が住む我孫子へ行った時、時間があれば、お聞きすること にしたい、と応える。

 朝日新聞の後輩に連絡すればいいのに、と答えようとしたが、官僚的な朝日のこと、 先輩の相手なんてしないのだろう。

 少し時間が出来たので、掲示板を見ると「宮城昌康さん」のことが登場している。

 懐かしいな。

 20数年前、東京・四谷荒木町に「若松」という料亭があった。大平派の政治家が集 まる店だった。はっきり記憶しているわけではないが、ママがシャンソンが上手だった ような気がする。

 先輩に連れていってもらった僕は、カラオケ部屋のようなところで、一人、目を瞑っ て、考え事をしている男性に気づいた。「宮城さんだ」と言うと、競馬オンチの先輩政 治部記者は「何だ、宮城というのは?」

 ママに「宮城さん、良く来るんですか?」と聞くと、「だって妹のつれ合いだから」

 ママの妹は芸名・若松和子という映画女優だった。

 ただ、それだけの思い出話だが、その後、東スポの渡辺さんから「府中に若松という 店がある。それが中館騎手の家だよ」と聞かされた。

 実は、宮城昌康と若松和子の間に出来た娘さんが中館の奥さんなのだ。奥さんがJR Aの職員だったころ、結ばれた。

 インテリ予想屋さんは、すでにこの世にいない。府中の「若松」も去年の暮れ、店を 閉じた。思いでも、遠くに行ってしまう。

 いよいよ13日から夏の新潟。逃げの中館は直線がべらぼうに長くなった新潟を選ぶ か、馬場コンディション最悪の函館を選ぶか。

 未明、台風6号。明日は台風一過、暑くなるぞ。

<何だか分からない今日の名文句>

思いでぼろぼろ


7月9日(火) 「よほろ」第3集

 朝 たいとう診療所。この日から「冷たいお茶」のサービスが始まる。仕事場から4 5分かけて歩くと、汗みどろ。シャツを取り替えて、冷たいお茶を飲むと言うに言われ ぬ爽快。それから、リハビリに取りかかる。

 何しろ、患者の気分を大事にする診療所だから人気になる。

 帰りに、ゆで上げスパゲティ。列が出来ていた店なので期待したが、量は抜群。味が どうも。ちょっと損した気分。

 個人的な野暮用を済まし「競馬はロマン」を書き上げて出社。今月、選択定年した同 期生が、系列の新聞社の東京支社長になる。廊下で会うと「突然だったから…。しょう がないか」。ちょっと前、役員になったので、お祝いを言った記憶があるが……人事は 激しいようだ。

 帰りしな、別の同期生に久しぶりに会う。一足早く、銀座にある系列の広告会社の社長 になっていたが、こんどの異動で系列の企画会社の社長になる。目まぐるしい。「今度 は同じビルだから、しょっちゅう会えるよ」

 同期生が一人去り、二人去り、本社に残ったのは出世に関係のない俺と、出世頭の岸 井ちゃんぐらいか。淋しいな。

 帰ると、ポストに「喫茶ウイーン」のマスターからの茶封筒。「よほろ」の第3号が 出来た。

 「よほろ」はマスター・苦楽亭が席亭を勤める「柳橋句楽部」の句誌。3年前まで、 何度か参加していたが、忙しくなり「不名誉会員」になってしまっている。

 「よほろ」とは、膝のうしろの窪んでいるところ。「ひかがみ」とも言う。

 ときどき、そこら辺りが痒くなると思い出しては「参加しなければ」と思っていたが 、例会の金曜日はことのほか忙しく、顔が出せない。申し訳ない。

 その例会も100回を越えた。

 さらっと、一気に読む。みんな腕を上げた。

 「風呂の屁は 二手に分かれて 夏匂う」(八十八)を読んで、くすくす笑う。少し 、暑さが緩んだ。(「よほろ」は500部限定・03−3861−9824 柳橋句楽 部)

 明日、台風6号が来るらしい。

<何だか分からない今日の名文句>

南風でも吹けば涼し


7月8日(月) 女性歯科助手誘拐「狂言」の謎

 午前9時15分から45分間、横浜市役所で中田宏市長をインタビュー。エコノミス トの「人間探検」の取材。

 どんな体臭を持つ若者なのか、大変、興味があったが、極めて極めて真面目な人だっ た。あまり体臭を感じさせない。

 盛んに「小さい時は不良だった」と話すが、とても不良とは思えない。今も昔も優等 生ーーのような人柄の若者が“丁半博打”見たいな市長選に立った複雑な心境。彼は「 義憤で立った」と言う。その辺りの真面目さをどう料理するか、ちょっと難しい。時間 をかけて書こう。

 猛烈に暑い。JR関内から京浜東北線で東京へ。楽に30度を越えている。体がだる くなって、仕事場へ戻って一時間、昼寝。

 「ここだけの話」のゲラ直し。患者は「人質」で病院を批判するには覚悟がいる。だ から、日常的な医療ミスが放置されている、というようなことを書く。

 夕方、浅草へ向かって2キロ歩く。「今日は四万六千日の朝顔市」と思っていたが勘 違い。一日早く、やってしまった。ボケ激し。

 夜、送られてきた「創」をバラバラと読む。大体は、知っていることが多いマスコミ の裏話だが「女性歯科助手誘拐『狂言』事件の顛末」は全く知らなかった。意外な展開 を見せている。

 女性歯科助手の誘拐は、男女2人のSMプレーだった、と報じられていたが、釈放後 、この男性が投身自殺していた。釈放後、その男性「TAKA」は、歯科助手「薫」に 「今でも君を愛している。死を覚悟している」と手紙を書いた。「薫」は警察に通報す るが、すでに「TAKA」は投身自殺していた。

 SMの愛。仮想世界の一途な愛。これは、平成文学の貴重な題材になる。理解できな いようで、理解出来るかも知れない。渡辺淳一先生に知らせたら、ベストセラーが生ま れるかも。

 現実に戻り、11時ごろ、グリーンチャンネルで、シルクコジーンの快勝を見る。何 度、見ても飽きない。大型馬の足元を気にしながら将来を夢見る。僕が愛するのは芦毛 のコジーン。是非、クラシック路線に乗ってもらいたい。

 なかなか、寝付かれないのは昼寝のせいか。どうやら熱帯夜のようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

仮想が現実、現実が仮装


7月7日(日)「魁新聞」は朝日より古かった

 WEB「牧太郎の2代目日本魁新聞社」を立ち上げてから2年経った。毎日新聞では 書きづらい「闇のスクープ情報」を僅かだが、発信することが出来た。

 加藤紘一乱の意外な結末予想、他のメディアに先駆けた「影の外務大臣S(つまり宗 男)の存在」「組織暴力団I会系プロダクションとK(つまり加藤)の癒着(これが加 藤の凋落のキッカケになった)……某国高官の英語力の話は世界的なギャグになってし まった(これは森元首相のことかどうか今でも定かでない)。

 毎日新聞の同僚が「わいせつ容疑」で逮捕され時は、果敢に「無実」を訴えるキャン ペーンを展開した。不起訴だった。小さなWEBも、それなりに影響力を発揮すること が出来るのだ。

 この小さな小さなWEBを「2代目日本魁新聞社」と名付けたのは、実父・小林春吉 が昭和10年代に東京・日本橋で「日本魁新聞社」を経営していたからである。今で言 うタウン紙のようなもの。日本が戦争に突入する昭和の混乱期、春吉は「日本魁新聞」 を舞台に不正と闘う日々を送っていた。

 WEB「2代目魁」を立ち上げた後、明治、大正、昭和の日本新聞史を改めて勉強し たら、明治初期に「魁新聞」という新聞が存在していたことを示す年表を発見すること が出来た。年表によると、「魁新聞」は朝日新聞社の誕生より古い歴史を持っていた。 新聞発行はせいぜい2,3年と思われる短命な新聞だったらしいが、当時「魁」は言論 機関として、それなりの影響力があったようだ。その後、年表にはないけれど各地で「 魁」という新聞が幾つか発行されたらしい。(現に「秋田魁」が存在している)

 明治初頭に存在した「魁新聞」と小林春吉に何らかの関係があったのか。継承したの か、まったく無関係なのか、現時点ではまったく判らない。

 是非、調べたい。「魁」という言葉は僕のロマンだ。

 今日(2002年7月7日)から「2代目魁」は3年目に入る。

 今月から「魁社説」を月に一度、書くことにした。僕が個人WEBを創って、ささや かな言論活動を続けている理由というか「志」というか、その思いを明確にする硬派の ページである。掲示板の議論のテーマのヒントのようになれば、と思っている。

 その月、始めて「2代目魁」を開いた時、是非読んでもらい。

 ようやく青い空がのぞく日曜日。気温30度近くなる。記念日を祝うように、愛馬・ シルクコジーン(僕が500分の8の権利を持っている)が阪神6レース2歳新馬戦で 快勝。万歳!万歳!

 550キロの巨大馬。大物になるぞ。

 明日(7月8日)朝早く、横浜市役所で中田市長にインタビューするので、横浜のホ テルで一泊。夜景を眺めながら、ちょっとワインを飲む。気分爽快。

<何だか分からない今日の名文句>

石の上にも3年


7月4日(木) アクセス50万、ありがとう!

 大阪は暑い。東京より2度ぐらい暑い感じがする。

 午前10時から社団・女性就能集団WARPの10周年記念行事。女性だけ、240 人ほどを相手に約1時間半話す。前回の講演は作家の五木寛之さん。比べモノにならな い一介の新聞記者の戯言を聞かせれたら、お客さんは不満だろう、と心配したが、熱心 に聞いてもらう。感激。

 北朝鮮問題に関心を持っている様子。以前は韓国・北朝鮮もの特集は読者から歓迎さ れなかったが……国際感覚が身に付いたのか。一種の地域紛争の危機感か。あるいはサ ッカーの影響か。

 昼飯を食べながら、午後の講師、久保寺昭子東京理科大名誉教授と世間話。ついつい 、東京女子医大の医療犯罪に触れることになってしまった。どうも、東京女子医大は不 誠実である。

 大阪は、経済が地盤沈下しているのだろう。東京に比べ、ビルの建設がほとんどない 。タクシーの運転手さんは「トラックが少なくなった」。人通りも幾分、少ないように 思うのだが、どうだろうか。

 不景気、というより「すべて東京一局集中」が大阪の元気を奪っている。松下電器が 本社を東京に移したのが痛い?

 午後1時半過ぎの新幹線で帰京。急いで、若干の取材。

 夜、仕事場に帰って掲示板を見ると「二代目魁」のアクセス件数が50万に接近して いる、と誰かが教えてくれた。

 50万件か。2年前の7月7日に立ち上げてから、ちょうど2年。はじめは一日に1 00ぐらいしか、お客さんが来なかったが、徐々に可愛がられるホームページに成長し たのだろう。嬉しいじゃないか。

 掲示板の常連が500000件にぶつかった人に景品を出したら、と提案している。 もし、そんな人がいたら、コピーを送ってくれ。「二代目魁」の根付けを贈るつもりだ 。

 掲示板には、長野の田中知事、不信任騒動の話、編集長の意見は?と言った書き込み がある。騒動の経緯が分からないので、コメントする訳には行かない。ただ「世の中 、子供ばかり」という感想はある。

 夜、テレビでジャパンダートダービーを見る。たまちゃんに頼んで「1枠2番サルサ クイーン」で流したが、もちろん、彼女、完敗。やはり牝馬は駄目か。

 大穴とるなら、七夕賞があるさ。50万件アクセスを記念に5番,10番(ごじゅう )それに2番、7番(2年前の七夕)でボックスのケントク買いをするか。

 読者のみなさん3年目に入る「二代目魁」、よろしく。

<何だか分からない今日の名文句>

ご存じ、母の教え「継続は力」


7月3日(水) オオタカ騒動のその後

 7月18日から20日までの三日間、仕事場のある東京・台東区柳橋では恒例の納涼 盆踊りが行われる。昨日(2日)、第六天榊神社の前でばったり会った区会議員の高柳 さんが「不景気で、盆踊りの寄付集めが大変だ」とこぼしていた。

 恥ずかしいが、これまで盆踊りの寄付なんて無視していた。踊りには興味はなかった が、地域に貢献しないケチな野郎になってしまっていたのかも知れない。今朝一番で、 世話役の髪結いの今井さんに寄付を届ける。

 その昔は芸者衆の提灯が風に揺れ、情調があったのに。それにしても、以前、ビール だけでなく金一封も届けてくれたビール会社が去年あたりから断ってきたというから世 知がない。

 オオタカの巣が栃木県湯津上村に5つ発見され、JRA(日本中央競馬会)が競馬学 校の移転を断念した話は以前、「ここだけの話」でも書いた。その栃木県湯津上村が2 億6112万円の迷惑料をJRAに要求することになった。

 JRAは1999年4月、村に開発概要書を提出して62万平米の敷地にトレーニン グ用走路、体育館、校舎、180頭分の厩舎などを建設する計画を作った。費用は土地 代16億円を含め総額300億円。巨額なカネがこの村に落ちる予定だった。

 発見されたオオタカの営巣林は建設予定地の西に1つ、北に1つ、南に3つ。特に「 南1営巣林」と呼ばれる場所は建設用地から50メートルしか離れていない。

 昨年12月27日、JRAは栃木県、環境庁と協議して「競馬学校自然環境問題検討 委」を設置。専門家の意見を求め、その結果、競馬学校の移転を断念した。

 村は競馬施設が出来れば固定資産税などの税収が期待できるので期待していたのだか ら……痛手だ。

 吉成義雄村長は「自然保護は当然だが、一方的な断念で、村の信用失墜した」と迷惑 料と慰謝料を要求する理由を話す。

 果たして、結末は?

 ただこの一件に地元代議士の介在があるとすれば、気をつけなければならないだろう。

 午後3時過ぎ、新幹線で大阪へ。4日は社団・女性就能集団WARPの10周年記念 行事に参加する。

<何だか分からない今日の名文句>

要求はいつも猛禽風で始まる


7月2日(火) 寄席の舞台にクロ猫が……

 久しぶりに診療所。このところ、雨で患者がリハビリを休む。この2週間はガラガラ だそうだ。

 リハビリ病院、殺すに刃物はいらぬ。雨の三日も降ればいい。

 帰りに、浅草橋のたもとでマーボウ丼。うまい。列が出来る店は確かにうまい。「上 海……」とか。店の名前は忘れたが、常連になりそう。

 昼から個人的な野暮用、「競馬はロマン」を書き、外出して若干の取材。

 夜、三平一門総出の浅草演芸ホール。バラバラの入り。落語家は客の入りを待つ。じ っと待つ。耐える。まるで二号さんのようなものーーと文楽が笑わせる。

 40人ぐらいの入り。サッカーと関係なく、客足は鈍い。

 贔屓の権太郎、脚を痛めているのか、ぎこちない座り方。今日は出来が悪い。

 中入り前に文朝が話している時、楽屋から太った猫が恐る恐る舞台に現れて、客席大 笑い。客席に逃げ込む。「クロ、クロ、どこにいるの?」と若い衆が探す。

 あまり淋しい「入り」に、クロちゃん、頭数をそろえるために、客席に舞い降りたの か。

 「○平」が勢揃い三平一門。テレビの人気者・こぶ平が客を呼んでいるところもあっ て、彼が降りると客が数人、帰る。

 夜の部主任・ぎん平は「えび蔵」で真打ちになって20年。新作派の三平一門にあり ながら古典落語一筋。伝統芸の継承に力を入れている。出囃子は「あやつりダーク」。

 噺の後、お座敷芸の踊りを披露する。18歳の女の子のお寺参り、帰りに思う人に会 ったが、これ別人というストーリーを踊りにする。そして、40年後のおばあちゃんの お寺参り。これは吹き出す。秀逸。最後までいて、良かった。

 柳橋2丁目「赤兎」でカツオの刺身で一杯。オヤジと落語界の消息話で夜が更けた。

 噺家、頑張れ!

<何だか分からない今日の名文句>

僕は落語サポーター


7月1日(月) アメリカの本音

 蒸し暑い。日曜日が忙しかったせいか、何か、やる気が失せている感じ。

 「おけら街道」を書き上げてから出社。編集局も静かだ。一ヶ月も、サッカーの熱気 で飯を食っていたので、終わると、何をしていいのか、戸惑っている感じだ。

 永田町も、サッカーが終わったら、嫌にスポーツマンシップに目覚めたのか、紳士的 である。郵政4法案の駆け引きも、小泉さん、族議員、両者痛み分けになるらしい。小 泉さんは「細かいこと言うな、と言われたので譲歩した」という趣旨の話をしているら しいが、何が「細かいこと」だ。この法案では事実上、民間参入なんて「絵に描いた餅 」になってしまう。

 本当のスポーツマンシップは最後まで戦うことだ。

 今週の「ここだけの話」のゲラ点検。戦っているのか、いないのか、よく分からない 野党第一党のことを辛口で書いた。文句が来るかも知れないが、野党だって批判される 「権利と義務」がある。批判されないから万年野党になってしまうのだ。

 昨今、関心を持つ「米公文書」。共同電で「1971年のキッシンジャー・周恩来会 談」の会談緑が送信されてきた。多分、共同の特ダネだろう。

 当時のキッシンジャー大統領補佐官は親日家と報道されていたが、1971年10月 22日、北京の人民大会堂で行われた周恩来首相との会談では「日本は部族的な視野し かない」と日本の悪口を言い合っていた。

 外交というものは、こんなものだ。キッシンジャーは「日本を発展させて、後悔して いる」と話したらしいが、中国の市場を獲得するには、平気でこのくらいのことは言う のだろう。

 中国はアメリカだって本音で言えば、いつでも日本を見捨てる、と読んでいる。だか ら強い。

 今の日本は部族的視野どころか、グローバルスタンダードというアメリカ部族の価値 観で、金縛りになっているじゃないか。

 公文書ものは、歴史をデッサンするのに不可欠だが、紙面では、片隅に置かれること が多い。少し、残念。

 夜、猛烈に忙しい副編とやっと電話連絡。「二代目魁」を立ち上げてから7月7日で ちょうど2年。何か、模様替えをしよう、という考えもあったのだが、僕も、副編も忙 しくて、なかなか企画に無理が出る。仲間のJr、ミュージシャン本間に頼んで、ホン のちょっと手直しをするつもりだが……「今回は、無理をしない」と言うと、副編も「 了解!」。「二代目魁」は、二つの掲示板で評判なのだから、当方は気楽に行こう。( 書き込み仲間にちょっとお世辞?)

 副編とは、彼の仕事が一段落したら会うことにする。

 夜の情報。ドイツのカーンのCDが日本発売決まる!カーンのファンは俺だけじゃな かった!

<何だか分からない今日の名文句>

好きになったら非部族的熱意


6月30日(日) ワールドカップ症候群

 友人の米田紀夫君の「祐生病院」(兵庫県伊丹市山田)が創立25周年を迎えた。

 お祝いの式典に出席するため、午前8時過ぎの新幹線で新大阪に向かう。同行はあま ちゃんと、車椅子の作詞家・大石さん。

 JR東京駅の物資運搬通路(少し暗くて、気味悪い)を横切って、物資専用のエレベ ーターを使ってプラットホームにたどり着く。大石さんは車椅子なので、このやり方以 外では国内旅行が出来ない。

 それも、一ヶ月間前にJRに「予定」を通告しなければ、このルートは使えない。ま だまだ、日本国は身障者に優しくない。

 25周年のお祝いは盛会だった。25年前、30歳の若い医師だった彼が「患者が主 人公の病院」を作る、と決意して、この地に4階建ての病院を建てた。それから25年 たった。

 阪神大震災。夜も寝ないで獅子奮迅。何人、何十人の命を彼は救った。「大震災を取 材したい」と我が儘を言った僕を手助けしてくれたこともある。一級身障者が取材のた め、長田区の被災現場に入れたのは、彼の力があったからだ。

 式典の後、記念講演。大阪大学の教授、伊丹の「36普通科連隊」の一等陸佐、それ に僕の3人が講演する。

 飲み食いのパーティより、意味のあるイベント。400人近い参加者が熱心に聞いて くれる。僕は「北朝鮮」がキーワードになっている国際緊張を40分ぐらい話す。

 「泊まっていけ」と言われたが、週明けの仕事があるので、パーティは遠慮させて貰 い、午後5時過ぎの新幹線で帰京。

 仕事場に戻るとブラジルVSドイツの後半が始まったてところ。テレビの前に陣取っ た直後に、ロナウドがこぼれ玉をシュート。鬼神・カーン、痛恨のハンブル。

 雨が邪魔したのか……神に見捨てられたか……

 新聞は「ブラジルの個人技、ドイツの知的総合力」と書いていたが、僕から見れば、 憎らしくなるほどの、カーンの鉄壁の防御がこの大会最大の個人技、つまり「売り物」 だった。そのカーンに考えられないミス。

 この後は、試合の展開なんてそっちのけで、カーンの一挙手一投足ばかり見る。試合 が終わって、ゴールに座り込んだカーンを見て、思わず涙ぐんでしまった。

 サッカーは「出会い頭のスポーツ」と思っていたが、結構、残酷なシナリオが用意周 到に用意されている。

 カーンの、あの独特の長いもみ上げ。ゴリラのもみ上げ。その辺りがぴくっと震えた のを見たら、また、涙が出ちゃった。俺、「憎っくきカーン」のファンだったのかしら 。

 4週間のサッカーが終わって、明日から何をしたら良いのか。ボヤッとしてしまう若 者も多いだろう。

 ワールドカップ症候群?

 明日7月1日。今年も後半戦に入る。

      
<何だか分からない今日の名文句>

ゴリラを判官贔屓