編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2002.8月

8月29日(木) 「新聞社襲撃」

 少し早く起きたので、原稿を一つ書いてから、東京駅まで散歩。3キロ強。東京駅地 下街に続く階段は一部、手すりがついていたが、まだ多くがそのままだった。

 皆さんの街で「ここに手すりを付けたら」の一言運動をお願いしたい。

 昼、毎日更新をしてくれているJr.から「9月の社説はまだですか?」と催促。テー マが一つに絞り切れない。「ちょっと、遅くなる」と返事。ご容赦あれ。

 「新聞社襲撃ーーテロリズムと対峙した15年」(朝日新聞116号事件取材班)の 見本が送られてきた。

 1987年5月3日午後8時15分ごろ、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局2階編集 室に目出し帽の男が進入した。休日態勢で、この時、編集室には3人の記者しかいなか った。男は誰にも気づかれることなく、小脇に挟むように構えた散弾銃を発射した。

 赤報隊による新聞社襲撃である。若き小尻記者が亡くなった。

 それから15年。捜査は犯人を特定することなく、時効を迎えた。

 この本は、この事件の外郭を描いた本である。(僕も朝日新聞の求めに応じ、インタ ビューに答えている)

 この事件を知ったのは、日米首脳会談に臨む中曽根首相に同行、その帰りの飛行機だ った。

 あれから15年。世の中の「右傾化」は進み、報道・評論は時の権力に寄り添い、大 本営発表をただただ無批判に流すだけになった(印象が強い)。

 極端な表現になるが、ペンは、庶民の味方ではなく、権力の手先に成り下がっている 。自らの力不足に恥じ入るばかりだ。

 赤報隊の思う壷になったような気もする。

 ジャーナリストを目指す人物がいたら、是非、この本を読んで貰いたい。

 原寿雄・元共同通信編集局長が寄せた「中曽根政権とナショナリズム」は、当時の時 代背景をかなり的確に捉えている。(僕の時代認識とは若干、違うけれど)

 夕方、野暮用。東麻布の「魚治」。美味。

 思わず食べ過ぎたので、また、週末は散歩、散歩、散歩になるだろう。

 帰って、新潟競馬の出走確定をみれば、リングレットが日曜の平場に出るらしい。が 、まだ、太り気味だというので、期待は出来ない。テレビで観戦、ということになるか 。

<何だか分からない今日の名文句>

ペンと剣 そして自分


8月28日(水) アニータさんを応援する

 朝「目的を持って散歩しよう」と決意。目的地があると、かなり遠くへ行ける。

 目的地を「吉原」にする。20数年、行っていないので、道順が分からない。まず、 浅草観音裏→千束通り→浅草5丁目。5丁目のバス停にいた老女に「大門、どこ?」と 聞くと、僕の頭のてっぺんから、足の先まで舐めるように見て、無言で指さした。

 身障者が朝早くから遊びに来た、と勘違いしたのだろう。あくまでも社会見学ですか ら、と言おうと思ったが、言ってどうなるの。

 ここを右に曲がって、黙々と進む。

 産婦人科、内科、性病科を併設する町医者が角にある。そこから「吉原」。花園通り を一歩踏み込むと、道路に脂粉の臭いが染み込むソープ街である。

 看板を点検。相場は25000円。タクシーで出勤のお嬢様が3,4人。携帯の時計 では午前9時半。朝早くからお客さんがいるんだ。

 男性が歩いているのを見つけると「写真だけでも見てください」と声を掛ける客引き 。22,3人いるが、当方に声をかける客引きゼロ。麦藁帽に半ズボン。ビッコを引い た身障者はホームレスに見えたのだろう。

 建物が古く、危なくて誘われても入る気にならない。

 道路建設中の吉原交番の角を曲がって、この日は散歩終了。地名を確かめると「日本 堤」。仕事場から歩いて4キロ前後の距離だ。

 タクシーで仕事場に戻ってシャワー。気持ちいい。

 午後「競馬はロマン」を書き上げ。野暮用の電話応対。人生の先輩から「ご注意」。 でも、これは先輩の勘違い。僕はそれほど偉くない。

 4時、例のお勉強。

 青森地裁で青森県住宅供給公社の横領事件の公判が開けれ、「アニータさんに騙され た」と横領男が証言したとの情報。

 公社側は横領男が妻アニータさんに貢いだ11億円を返せ、と裁判を起こすようだが 、こんなに恥知らずのことはない。

 部下を監督出来なかった責任を棚に上げ「返してくれ」とはなんたることか。

 アニータさんは、本人が言うように売春婦。高く「操」を売っただけだ。彼女として みれば、企業努力をして、巨万の富を得ただけ。立身伝の女ではないか。誉めてやって 良いぐらいだ。

 その彼女に「金を返せ」なんて言えば、世界中に「青森県はスケベでドジ」と知らせ るだけだ。

 もし、横領男がギャンブルですっからかんになったら、国を相手に「返してくれ!」 と言うのか。

 そのくらいは、青森県のためにくれてやるのが、常識だ。

 今度は、腕のいい(と評判の)弁護士さんに騙されるのが明々白々? 事実上、盗人 に追銭?

 俺は、アニータさんを応援したいぐらいだ。

 
<何だか分からない今日の名文句>

アニータはベットの教科書


8月27日(火) 銀行の国家管理?

 朝、たいとう診療所でリハビリ。終わって、近くに住む脳卒中仲間に顔を見せ、互い に激励してから出社。

 編集局に人事異動が張り出している。毎日新聞では、10月1日付けの異動が、この 時期に発表される。

 ちょっと前まで社会部の庶務担当(筆頭という意味もある)副部長だった友人にワシ ントン特派員の辞令が出た。実に実直で、確実な記事しか書かない人物。ワシントン支 局長は最適任である。実に、喜ばしい。

 現政治部長のM君が編集局次長に昇進。あとは、理論派のY君が勤める。二人とも、 政治部時代、ともに汗を書いた仲間だから、うれしくなる。

 編集局から離れた小部屋「馬小屋」で、一人、夕刊の「うま馬ランド」を編集してい る「たまちゃん」に会いに行くと、彼、しきりに僕の「秋の連休」の日程を聞く。どう せ、一緒に大井のナイターに行こう、というお誘いだろうが、このところ、少しギャン ブル場通いが過ぎているようで……少しは自重しなければ……。

 週刊誌が低調だ。花ちゃん(元週刊文春編集長)が「夕刊フジ」で「天下の週刊誌が 揃ってSEX大特集とは……」と嘆いている。「週刊ポスト」「週刊現代」の体たらく を指摘しているのだが……正直言って、両紙とも工夫がたりないように思うが、どうだ ろうか。

 大新聞が大本営発表ばかり記事にしている昨今だからこそ、週刊誌に頑張って欲しい のだが……。

 昨日の日記で「年金の危機」を書いたが「銀行の国家管理」についても、必ずしも「 絵空事」とは言えないような雰囲気だ。

 金融危機は、その度に回避されたかのように報道されているが、それは「先延ばし」 以外の何ものでもないように思う。

 米国の株価は乱高下しているが、米国バブルは完全に崩壊した、と見るのが妥当では ないか。仮に、これに連動して日本の株価が、日経平均8500円を割り込むと、大手 銀行のバランスシートは極度に厳しくなる。

 銀行の国家管理は現実味がない、と断定できるのか。

 「塩爺を財務相から外すべきだ」という財務官僚の「声なき声」が大きくなっている 。「剛腕」を求める事情、これあり、ではないのか。

 社から歩いて仕事場に帰る。でも、痩せない。

<何だか分からない今日の名文句>

綱渡り


8月26日(月) 年金の危機

 朝、東京駅から仕事場まで歩いた。なしろ太って太って。約3キロ。汗びっしょり。

 郵政公社人事に生田正治・商船三井会長が決まる。「初代会長は民間から」という確固 たる方針が堅持された。が、5人ぐらいの候補に固持されて、かなり手こずった様子で ある。

 「政策より人事」と言うより、人事で世論操作する方が早い、と小泉さんは考えてい るのだろう。

 小泉さんは、秋の改造で民間人登用にかなり力を入れるだろう。良くも悪くも、人気 回復第一の内閣になる。

 多分、新聞では小さな扱いになるようだが、もっと注目すべき「深刻なデータ」があ る。2000年度の厚生年金基金の決算である。

 いまごろ2000年度を厚生省が発表するのもおかしいが、26日に静かに?発表さ れたところでは「現時点で解散した場合、加入者に予定通りの給付が出来る最低積み立 て基準額が不足している基金」が77%に達している。大変なことではないか。

 すでに厚生年金基金が赤字で解散するところが出ているが、前年度はまだ「不足基金 」は44%だった。

 確かに株価が上がり、資金運用がもとに戻れば、改善される数字だが、これは冷静に みて危機的なデータではないのか。

 「本当の改革」は必要だ。が、政府は今、デフレ対策に本腰を入れないと、年金だけ でなく、すべてのシステムが破産する。改革する前に、日本が沈没する。

 「民間人登用!」「猪瀬さんは正義!」と大本営発表ばかりしていると、気がついた 時には「景気回復には戦争しかない」なんてことにならないか。

 我々も「値下げをして、俺だけ儲ければいい」という商法を賛美していると、大変なこ とになる。社会の構成員、すべてが首が回らなくなる。もちろん、値下げ企業も、いつ かは倒産する。

 「ここだけの話」は、永田町に出来た保育園のことを書く。午後は「おけら街道」を 書き、気がついてみると、モバイルの前から動かなかった。

<何だか分からない今日の名文句>

小泉「戦果」にだまされるな!


8月25日(日) 山崎更迭!と叫ぶ森闇将軍

 殺人事件が続発している。新聞の続報を見て、ハテ?、どの事件だったか、分からない 。その大半が怨恨ではなくて「金」である。(マブチ社長宅放火殺人は怨恨か、物取 りか、分からないが)

 「物取り」は国際化と無縁ではないが、やはり、不景気→リストラが遠因であること には違いない。

 自殺者が一年に3万人を越え、ついにタクシー強盗が起ってしまった。

 これが、2002年秋の現状なのだ。昭和恐慌は、公務員の給与カットが始まりだっ たが、ついに公務員の給与をカットしなくてはならない状態である。

 先延ばし金融危機が再び顕在化する雰囲気なのに、秋に向かっても、指導者は相変わ らずのんきである。人事抗争に一生懸命だ。

 25日のサンデープロジェクトに森前首相が登場した。まるで小泉政権の指南役、と 言った顔付きである。

 真紀子さんが作った小泉政権なのに、いつの間にか、闇将軍のような顔で「山崎幹事 長更迭」「副首相を抵抗勢力に」と話す。

 脳天気である。抵抗勢力と話が出来るのは、俺だけだ、という妙ちくりんな自信。

 宗男と組んで、北方領土を半分、ロシアに譲って一儲けしようとしたのは、どなたさ ん?

 いずれにしても、この秋、森さんは要注意人物である。

 午後、野暮用のついでに汐留WINSを見学。存在すら知らないファンが多いようで ガラガラ。まだ周囲が建築現場のようで殺風景だが、WINSの建物自体は高級ホテル のようだ。一日いても1000円の指定席はお得。

 「牧さん!」と声をかけられ、振り向くと例の会社社長ご夫妻。先週、新潟に同行し た社長さん。「遅くなったので、指定席は間に合わなかったが、ベンチがガラガラで、 至って快適だった」。奥さんがまた当てたらしく、至福? 当方、新潟記念。惨敗。

 弥彦ふるさとダービー。神山が3連勝した。24日の準決勝は2−8の一点で取って 乾杯したが、夜、インターネットのレース映像を見ると、肝心の決勝で神山、落車失格 。可哀想に。やっと、勝負カンが戻ったのに。

 まあ、森さんだって、一年半も表舞台に立つのだから、神山、復活は近いぞ。

 何故か、涼しい夜。北海道には、雪の知らせがあったとか。

<何だか分からない今日の名文句>

照る日 曇る日 落車の日


8月22日(木)「おっちょこちょい」で…

 午前中、仕事場の整理。「競馬はロマン」を書いてから出社。今週の笑辞典は「相馬 眼」を書いた。(23日夕刊)

 競走馬の将来を占う「相馬眼」は、玄人でも、なかなか身に付かない。まして、人間 の本性を見極めるのはもっと難しい。

 我が魁掲示板に登場する人物の「本性」を見極めるなんて至難の業だ。善意と熱意が 届くものが大多数だが、たまには「悪意」を感じたりするものもある。(もっとも「悪 意」と思われたものこそ「善意」だったりすることもある)

 時々、掲示板が刺々しいやりとりになるのも「相手の本性」が分からないからだろう 。しかし、である。だからこそ、世の中の「本音」がズバリ見えてくる。

 「階段にてすりを」という僕の願いに、様々な意見が登場したのに感謝している。

 僕としては、皆さんの身近で「ここに手すりが出来たら」と思った箇所を見つけたら 、責任者に軽い調子で「ここに手すりを作ったら喜ばれるのに」と声をかけて欲しい。 それだけで、助かる人間が何人もいる。健常者も、いつか手すりが必要な高齢者になる のだから。

 願いは、それだけである。

 掲示板には、激しい議論も必要だが、ほのぼのとした側面も大切にしたい。

 笑子さんから「色気がないので……」と僕を出汁に使った書き込みがあった。助かっ た。このところ「笑い」がなくてバサバサしていた。

 笑子さんの書き込みによると、サンデー毎日に僕の名前が出ているという。探してみ ると、あった、あった。9月1日号の101ページ「医原病」という欄。「毎日新聞の 夕刊に『牧太郎のここだけの話』が連載されています。筆者の破天荒な人柄(たぶん) がにじみ出て……」と書いてある。

 笑子さん、これを逆手に取って、僕を上手にからかっている。

 「破天荒」という言葉、文字通りに取れば「天地未開の混沌たる様を破ること」。も し、そんな意味で使われたら、うれしい。もちろん筆者が「おっちょこちょい」という 意味で使ったとしても、うれしい。「おっちょこちょい」が歴史をつくるのだから。

 若い頃、多分、31,2歳の頃、先輩記者に「君は天衣無縫だなあ」と何度も言われ た。もちろん、皮肉だろう。天人の衣類には人工の縫い目などない。先輩は「君の生き 方には技巧がない」という意味で、使ったのだろう。上役を上役と思わないところが天 衣無縫だった。

 「破天荒」というのも、同じような意味?

 笑子さんに申し上げる。「破天荒と言われるのは勲章」と思っています。だから、たまには、女性の趣味も書きます。

 掲示板の仲間、昨今、「知」に走りすぎ「痴」に欠けてはいませんか。

 編集長が「おっちょこちょい」の掲示板。「痴的」にも、遊ぼうじゃありませんか。

<何だか分からない今日の名文句>

「知」に墜ちる愚


8月21日(水)人事の秋、事件の秋、

 朝、参議院議員会館で橋本聖子さんを取材。彼女の子育てに興味があった。

 「運良く子供が産まれて本当に良かった」と微笑む。穏やかで、それでいて意志の強 い、素敵な女性だ。

 直感だが、北海道を背負う人だと思う。

 時間が余ったので、JRA六本木事務所に遊びに行く。雑談2時間。そこへ、TBS の広告マン・デカ山君がやってきた。競馬大好き人間、万馬券ゲット人間の彼は運良く 「JRAの担当」だったが、若い奴にバトンタッチするので挨拶廻り。残念だろう。

 秋の人事異動が始まっている。JRAも、そろそろ人事異動の頃?

 デカ山君に「競輪は?」と聞くと「これからも、自転車振興会は担当を続けます。こ んど、岸和田競輪に行きません?」と誘われる。

 彼と一緒に競馬、競輪に行くと何故か、負ける。どうしたもんか。

 JRAが引っ越してきた麻布十番は東京の典型的な下町。そろそろ「納涼まつり」の 季節。(8月23日〜25日まで。午後4時から9時半まで)

 準備が着々。多分、僕が知る限り東京一の夕涼みだろう。下町でありながら、各国の大使館があり、外国人も 多い。ことしは、JRAがポニーを参加させるらしい。人気になるぞ。

 午後3時頃、たまちゃんが「仕事が終わったら大井に行きませんか」と電話を掛けて きた。奴は好きだ。少し疲れているので、今回は不参加。ゴメン。

 たまちゃんにアフター5スター賞の馬券を買ってもらう。狙いの6番人気・キングリフ ァールが快勝。馬単4760円。まずまずの儲け。馬券運が戻ってきた。

 一応の牧式がようやく出来上がった。

 「逃げの穴馬X→1番人気A、2番人気B、3番人気C」の3点。

 「差しの穴馬Y→A、B、C」の3点。それにXY。

 1レースに合計7点(馬単なら14点)を買う。これが牧式。当分、これで行くか。

 夜、中田宏さん(横浜市長)から手紙。僕がエコノミストに書いた中田さんの人物評 に関する感想。「事実を事実として書いてもらいうれしい」と書いてある。礼儀正しい 青年だ。

 電話で地検情報が入る。未確認。そろそろ、秋の大疑獄事件の季節になるのかな。

<何だか分からない今日の名文句>

秋には秋の花が咲く


8月20日(火)良質な番組の宿命

 早朝、新潟方面から帰京。そのまま紀尾井町の民放連で「日本民間放送連盟賞・ラジ オ報道番組」の中央審査会。

 審査員は「世界」の岡本厚編集長(奴、また太った)コラムニストの小林洋子さん、 評論家の樋口恵子さん(彼女、ホンの少し痩せた)、それに東大の水越伸先生と僕。七 夕のようなメンバー。午前10時から夕方まで缶詰めになる。

 10時から16時02分までの間に予選通過の7作品を聞き、その後、審査する。議 論が白熱すると、夜になる。これ、結構、重労働。

 ことしの作品はレベルが高い。午前中の3作品。中国放送の「イギジャ〜韓国人・元 徴用工被爆者裁判〜」(「イギジャー」は韓国語で「勝ちましょう」という意味らしい )

 朝日放送「ドクターのいない夜〜小児科救急は今」 九州朝日放送「殺人犯を養子 にして 犯罪被害者を癒すために」。

 どれも最優秀になっても良いような出来ばえ。大阪で6年間におよそ14%の小児科 が看板を下ろし、その半面、患者が50%も増えている現状をレポートした作品。取材 力が抜群である。

 午後はニッポン放送「命宿る日まで〜体外受精の最前線」

 北海道放送「沈黙の闇〜札幌・小学生行方不明事件」

 北日本放送「漂う一票〜痴ほう性老人と選挙権」

 山梨放送「ラストパスをください〜血液難病治療の現場から」の4作品。

 これもまた秀逸ばかり。限りなくクロに近い、小学生誘拐殺人の疑いを受けた元ホス テスが397回、黙秘権を行使して無罪になった話、特別養護老人ホームで痴呆の老人 が全員、不在者投票した奇妙なお話。おもしろかった。

 ただ、不景気の最中、こうした硬質の番組にスポンサーはつかない。良質な番組は、 すべて放送局の“持ち出し”。従って、深夜の時間帯になってしまう。

 僕は、今回、テーマの優劣がほとんどない、と判断して、7作品の中で、もっとも「 ラジオの可能性」を探った作品を選んだ。「地域」と「双方性」をキーワードに選んだ が……(最優秀作品は9月19日、記者発表するらしい)

 7時過ぎ、久しぶりに仕事場に帰り、メールの点検。掲示板も熟読する。勉強になる 。

 新聞も一応、読む。18日のサンデープロジェクトで田原総一朗さんが高市早苗衆 院議員を「無知、下品」と批判したことが、騒動になっているらしい。

 その番組を見ていないから、何とも言えないが、高市さんという人、テレビで見る限 り、確かに「下品」だ。(これ、僕の趣味の問題だから、議論無用)

 彼女、文書で釈明を求めてようだが、騒動を作ってテレビに出ようとする作戦?なの だろう。夏枯れに季節。田原さんも、この騒ぎ、あるいは、好都合かも知れない。

 新聞各紙を読み漁るうちに、こっくり。午後9時、死んだように寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

「下品」が稼ぐ視聴率?


8月19日(月) 不景気の夏 日本の夏

 新潟に滞在。朝、東新潟の下町を散策。家並みは35年前と変わらない。

 建築中の日航ホテルだけが嫌に目立つだけで、街全体は眠っている感じだ。

 新潟市の交通規制は間違っているように思う。信濃川に架かる万代橋。その周辺の道 路が一方通行になっている。そのため、本来、タクシーでワンメーターの直線600メ ートルの距離が1000円もかかる。けしからん。そのくらいなら歩いた方がいい。

 タクシーの運転手は「遠廻りの理由」を、その度、説明しなければならない。

 大都会でもないのに、それほどの渋滞があるわけでもないのに……市の交通行政は、 何か勘違いしているように思えてならない。

 あちこちにタクシーの空車が目立つ。規制緩和を理由にタクシーの台数を増やしてい るので、結局、過剰競争で、タクシーの運転手は喰えない状態に入った。

 最大多数の幸せに「規制」は存在するのだが、どこか、勘違いしているように思う。

 台風13号。「大型」「大型」と言うから、旅行を取りやめた人も多いようだ。こと し、三回も台風がやって来た地域は「台風不景気」に泣いている。少し、テレビの台風 情報がオーバーのような気もする。

 日本の夏は、不景気の夏。新潟だけでなく、客引きの女性が目立つ。戦争直後のよう だ、という長老もいる。

 小泉さんも「ラマンジャの男」を見るのは良いが、パフォーマンスに使うと「不景気 に泣く人」の反感を買う。

 北朝鮮との赤十字会談。また前進なし。日本はすでに衛星で「拉致された人物の居場 所」を見つけているという情報がある。米国が北朝鮮を爆撃する時……日本はどうする か、この機を捉えて、拉致された人間を救い出すのか……研究開始、という話まである 。

 ともかく2002年のキーワードは「北朝鮮」だ。

 サンデーサイレンス、ついに死す。複雑な思い。スポニチ「おけら街道」に書く。

 台風それ、夕焼け。かなり涼しくなった。

<何だか分からない今日の名文句>

規制にして規制にあらず


8月18日(日) 5万円馬券ゲット!

 週末は、たまちゃん主宰の「新潟競馬・地酒・カラオケの会」に参加する。

 昵懇にしている某銀行の社長さんも、普段、忙しくて競馬場には行けないが「お盆休 み」ということで土曜の夜から参加する。

 土曜日(17日)は5戦1勝。マイナス25000円。

 その夜、たまちゃんと社長が泊まっている高級ホテルの日本料理店で地酒を飲む。滞 在競馬の調教で新潟に長期滞在した東京スポーツのナベちゃんを始め、競馬サークルの 仲間が集まって、社長さんを中心に盛り上がる。 新潟の酒はやはりうまい。

 ナベちゃん行きつけの駅前のスナックでカラオケ。演歌好きの社長さんはマイクを離 さない。ナベちゃんが例の「羽田発7時50分」で応戦するが、社長の圧勝。

 日付が変わる頃、解散。それぞれのホテルへ。

 翌朝、いつものTBSラジオ「牧太郎のザ・コラム」は電話で済ます。テーマはサン デーサイレンスの病状、安楽死の可能性。何故、名馬の早死が続くのか、といった話を する。

 今となっては安楽死しか道はない、というのが、かねてからの僕の意見である。週明 け(19日)には、何らかの結論が出るだろう。

 誰よりも、早く競馬場へ。朝飯を食べて、前夜の検討で「一番確実な穴馬」と断定し たウインドヴェインから馬単、3連復で大勝負。これで一日分の軍資金をーーと考えた 。狙いはバッチリ。ウインドヴェインは圧勝。単勝で450円ついた。だが、相手が全 く無視した馬が入って一銭にもならない。単勝で良かったのに。

 これがショックだった。午前中、連戦連敗。それに引き替え、たまちゃん、連戦連勝 。神様のように的中させる。社長さんは複勝でガッチリ。ナベちゃんは新聞の予想はま ずまずだが、馬券の方は惜しいところで外している。

 ところが、8レースで大逆転。僕の買った馬連6−10が当たった。300円だが当 たった。精々、5000円ぐらいの儲けと思っていたのだが、なんと「馬連58500 円」。17万円が懐に入ってきた。勝負って分からない。

 一行の大部分は夕方の新幹線で東京に帰ったが、切符が取れないので、僕は新潟残留 。夜「入舟寿司」で一人で美酒を傾ける。

  
<何だか分からない今日の名文句>

下駄をはかねば


8月15日(木) 墓参の後、滝沢に感激!

 朝、蔵前のデニーズで「とろろ定食」を食べてから、谷中へ義父・大木保之佑の墓参。

 なくなった母・フミがしていたように茶屋「坂本屋」で花、線香を求め、墓掃除を頼む。

 徳川慶喜の墓の近くにあるが、保之佑の墓は極めて小さい。

 昭和22年に先妻の美子さんをなくした保之佑は翌年フミと再婚するが、5年後病死 。美子さんと同じ墓に入ったので、フミとしてはいくら好きでも、同じ墓に入る訳には いかなかった。

 電車を乗り継いで、深川の閻魔堂。ここには、戸籍上の母・キミ、実母・フミをはじ め、牧家の人々が全員入っている。

 苗字が許されない江戸時代の「深川や文吉」は代々、ここで眠っているし、5代目の 文吉である、おじいさんの牧文次郎もいる。

 おじいさんが一番下の娘である実母フミに「文」という字を当てたのは何故か、気に なっている。

 それはそうと、おじいさんが浅草の芸者さんに生ませた子供はどこに眠っているのか 、なんて考える。

 僕と同い年の住職が出てきて、若干の昔話。先代の住職の墓も拝む。

 昼前に若干の取材活動。暑いから、力が入らない。

 夕方、仕事場に戻る。松戸記念競輪最終日。10レースの順位決定戦に大好きな滝沢 が出る。太田の番手を主張出来るのに、あえて千葉勢の先頭を走る、との情報。

 滝沢って、男の中の男じゃないか。感激する。

 馬券を買いたいが、電話投票はもはや700円しかない。競輪の電話投票は毎年12 月28日ごろに10万円入れて、一年中保たすようにする。大体、3月から6月ごろに なくなってしまい、それで万事休す。電話投票はやめることにしている。

 今年も、すでになくなって、そのままになっている。

 携帯で確認したら700円。「滝沢の応援だ」と100円の枠復1枠総流し。1−2 だけ300円にした。

 往年の滝沢がもし、逃げたとしたら……700円で、彼の逃げる姿が見えたなら…… こんなうれしいことはない。

 滝沢は逃げた。ものすごい顔つきで逃げた。何年ぶりだろうか。逃げた。逃げた。逃 げた。4角まで逃げている。奇跡だ。

 スポーツチャンネルの前で「滝沢!」と叫んだ。

 42歳の滝沢に「逃げ切れ!」というのは酷だが、叫んだ。

 最後の最後まで逃げ、ゴール寸前に差されたが、千葉勢の1,2,3。涙が出た。

 100円券で、こんなに興奮するなんて。

 その結果、電話投票の寿命は長らえたことになる。

 さて、感激探しに、どこへ行くか。

<何だか分からない今日の名文句>

松戸は金筋(と言っても競輪ファンしかわからない


8月14日(水) SSの安楽死を求める

 東京専売病院で定期検診。血圧128−85。順調だが、このところ、左の耳に違和 感があり、耳鼻咽喉科で見て貰う。

 聴力正常。特段のこともないのだが、耳の奥に水が溜まったような感じがするのは、 どうしたことなのか。

 「ここだけの話」で紹介した「TOKYO ART JUNGLE」を見に行く。( 15日まで、東京国際フォーラム)

 紹介した「東京の地図に絵文字を付けるグリーンマップ」は盛況。何となくうれしい 。

 産経の花岡クン、長野県知事選立候補時辞退。予想されたように「長谷川さん一本 化」に協力する。

 それにしても、激励会の2日後に辞退。どうも納得できない。知り合いのことを悪く いうのは、如何とは思うが、花ちゃんも長いこと政治記者をやっているうちに、バラン ス感覚をなくしてしまったのではないか。

 気がかりなサンデーサイレンスの闘病。立つことが出来ない彼の姿を想像するのが忍 びがたい。治る手だてがないのなら……あまりに可哀想で……そろそろ、安楽死させた ら、と思う。

 英国の生命保険会社も安楽死を認めたようだし……。

 東京の街はガラガラ。まるで正月のようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

眠らせる愛


8月13日(火) 大物Nといえば……

 暑さも一息ついたのか…。早くも秋の気配?しかし、温度計を見ると30度を越えて いる。30度が「暑くない」と感じるのは異常。熱地球化現象が始まっている証拠。

 朝、約一ヶ月ぶりに「たいとう診療所」。変わったところと言えば「診療所かわら版 」なるものが張り出されたことである。

 「脱水に注意しよう」という特集。中学校の壁新聞のような体裁だが、暖かみを感じ るコミニュケーション。

 患者に要望を聞く週間?なのか、看護婦さんが患者の隣に座って、様々な要望を聞く 。「半身麻痺は爪を切ることが出来ない。家族でも出来ない巻き爪があるので、定期的 に看護婦さんに切ってほしい」と言った要望を伝える。

 「患者が主役の診療所」ならではの気配り。これなら医療施設生き残り戦争で、この 診療所は生き残る。

 出社して郵便物を整理すると「花ひらく、すこやか長野の会」から「花岡信昭さんを 激励する会」の案内が入っていた。

 花岡さん、長野県知事選に立候補している。蒼々たるメンバーが発起人に顔を揃えて いる。凄い人脈だ。これには負けちゃう。

 記者・花岡氏とは比較的親しい間柄だが、彼が行政の長になるのは若干、考えもの? と思っているので、激励に行くべきか、行かざるべきか、悩む。

 挨拶状をもう一度、良く読んでみると「8月12日」とある。もう、終わっているじ ゃないか。悩む必要はない。助かった。

 言いたくないが、どうも今回の長野県知事選、魅力ある顔ぶれとは言い難い。

 編集局ですれ違った同僚記者から「今日のコラムは痛烈だった」と言われる。夕刊の 「ここだけの話・自分の褌」のこと。テレビ関係者から苦情が出るかしら。

 夕方、赤坂方面で野暮用1件。若干、政界の生々しい話も出る。

 外へ出ると、神宮の花火大会の帰りの人並み。その人並みが途絶えると、まだ午後1 0時なのに、車は数えるほど。明日からお盆。

 仕事場に戻って、週刊現代の「ムネオ疑惑新展開!あの大物Nが出てきた」を熟読す る。ムネオとNが、ことし2月ごろ、向島で密談していた、という話。「大物N」と言 えば、あの人しかいないじゃないか。

 それほど、自信のある書きぶりではないが、その信憑性は?

 毎年、この時期、情報の夏枯れなので、俄には信じられないが。

<何だか分からない今日の名文句>

お盆の書き得?


8月12日(月) 田中直紀さんの心情

 久しぶりに涼しい朝。半分、お盆休みのようで地下鉄の大手町駅はラッシュ時にも関 わらず閑散。

 久しぶりに、売店の雑誌売れ行きを調べてみる。

 大手町駅の売店は売れないモノは徹底的に排除する。その中で、売れ行き抜群のもの は何か。それをメモしておくのも、新聞記者の大事なお仕事。さほど忙しくないので、 当方の質問に、売店のおやじさんが丁寧に答えてくれる。勉強になる。

 千代田線に乗り、こんどは雑誌の中刷りを点検。お盆合併号の中刷りをくまなく見れ ば、世の中の半分ぐらい分かる。

 小泉さんの再婚、なんてヨタ記事もある。

 夕刊紙には早くも「真紀子さん後継」の話が載っている。

 「雄一郎、自民公認」と見出しが踊っている。「政治家の資質は隔世遺伝」と角栄さ んが言っていたから、まあ、そんな展開になってもおかしくないが……。

 それにしても、雄一郎君、角栄の孫(高校の時のあだ名「角孫」)真紀子の息子とは 言われるが、一度として「直紀の息子」とは言われない。

 直紀さんは、どう思っているのか。

 そう考えると、失礼だが、急に彼に寂しさを感じる。孤独ということは、そうゆうも のなのか。

 千代田線の、僕以外に乗客がいない車両のなかで、関係ないのに「孤独」を噛みしめ る。男って孤独だな。

 夕方、雄一郎さん、出馬固辞の情報。立たなくてよかった。

 そして、せめて、彼が親父・直紀に相談していれば……なんて考える妙な一日だった。

<何だか分からない今日の名文句>

亭主のこころ、妻、知らず


8月11日(日) 真紀子政治の「幸せ」

 真紀子さんが議員辞職してから、彼女の「功罪」をしたり顔で話す人々が後を断たな い。

 テレビのコメンテーターも、政治評論家も「だから言ったじゃないか」とばかりに、 真紀子さんの「罪」をあげつらい、あざ笑う。

 これもご自由だが、それほど彼女の「罪」は重いのか。むしろ、僕は、一時であれ「 真紀子さんと同じ思いにいた幸せ」を噛みしめている。

 もっとも真紀子さんに触れる度に「真紀子さんに面識がない。しかし、彼女の人柄は 知っている。とても、一緒にいたくない存在であることは十分承知している。その上で ……」と”前振り”をして書なければならないのが面倒だった。そのくらいだから、彼 女の超常識から考えれば、問題の「秘書給与流用」なんて、別に驚くようなことでもな い。

 そんな人間的欠点には、目をつぶって、僕は真紀子さんの大臣就任に賛意を送った。 だから、今更「罪」をあげつらうことなんてする必要もない。

 何故、賛意を送ったかと言えば、彼女だけが「日本の閉息状態」を熟知して、閉息の 原因を明確にするだろうと予想したからである。そして、期待通り、彼女は「日本の恥 部」を公にした。

 政治家の大半は「閉息状態」と言いながら、本当は「何が閉息なのか」「何が閉息を 作ったのか」まるで分かっちゃいない。「閉息状況を打破する」「改革する」と綺麗な 言葉は並べているが、誰がこの「閉息状態」を作ったか、まるで理解していない。

 今までのリーダーたちは「自分が加害者で、市民が(多数の善意の人々が)被害者で あること」を理解出来ないのだ。情けない。小泉さんももちろん、その一人だ。

 だが、天才・真紀子だけは、庶民だけが知り尽くしている「やるせない閉息感」の構 造を理解していた。だから、まるで露天商の口上のような調子で「おかしい」ことを「 おかしい」と言い、加害者を明らかにした。

 宗男であり、○○さんであり、××さん……。彼女は加害者の首を取るべく大立ち回 りを演じた。

 そうなれば「加害者」だって黙っていない。「加害者連合」が生まれる。それほどの 悪でもないのに、女性が台頭するのを阻止したいと思う「男でない男」の連帯まで生ま れる。

 大喧嘩になるのはやむを得ない。

 そうなれば、相手の痛いところを突くのは至極当然。結果は多勢に無勢。真紀子さん がやられたのは、当然の成り行きだった。

 それだけのことだ。それ以上でも、それ以下でもない。今更「真紀子さんの功罪」を 云々することもないじゃないか。

 手の平を返すように、突如、反真紀子論を展開する有識者たち。気の毒だ、と思う。 腹が立つより、テレビの要求(実は堕落の加害者連合の要求)で、今頃になって「真紀 子の罪」を話さなければならない人々は気の毒だ。「不見識」と非難する気持ちは更々 ない。ただ、何となく、多勢に組みしなければならない悲しさが「気の毒」に思えてな らないのだ。

 真紀子さんは「外務省は伏魔殿」と言った。それだけで、偉大なジャーナリストの一 人になった、と思う。真紀子さんを批判する新聞記者、コメンテーターの中で、これほ ど的確に「世の堕落」を指摘した者がいたのか。有り体に言えば、長いことブン屋をや っていながら、この名文句が出なかったことに愕然とし、真紀子さんに嫉妬したぐらい だ。

 庶民は「堕落が原因の閉息感」を薄々、知っていた。知り尽くしていた。しかし、そ れを認める政治家はいなかった。政治家の言葉として「日本の政治は伏魔殿」という真実 が断定された。これは歴史に特記すべきだ。真紀子さんの勇気に拍手を送るのは至極、 当然である。

 真紀子に拍手を送ってどこが悪い!

 今日も明日も「性悪女・真紀子にだまされた庶民」の大キャンペーン。それに乗せら れ「本当は逮捕されるぐらい悪い女でした」とコメントする人々。気の毒に。

 僕は「真紀子の存在」は歴史的に評価出来る、と確信する。

 彼女が外務大臣になった時、尊敬する、かつての農水のドン・桧垣徳太郎さんに「真 紀子さんで出来ますか?」と聞いたことがある。

 彼の答えは「外務省に彼女が尊敬できる人物がいたら、成功する。彼女自身、変人だ から、なかなか人を尊敬する事が出来ない。でも、尊敬できる人物が一人でもいれば、 何かを達成するだろう」だった。

 なるほど、と思った。彼女も若い時、尊敬できる人物に会い、恋をしたこともある。

 しかし、外務省に尊敬できる人はいなかった。尊敬できそうな人は一人いたようだっ たが、官邸主導の人事異動で彼は駐米大使になってしまった。

 政界に「尊敬できる男」なんて一人もいなかった。

 多分、彼女は尊敬できない世界にいった仕方ない、と思ったのだろう。

 議員秘書給与流用なんて、彼女に取っては「誰でもやっている些細なこと」なのだろ う。(これは、けしからんことである。しかし、政治家の大半がやっていたことでもあ る)真紀子さん辞任の金曜日夜、共産党ぐるみの給与ピンハネを告発した友人から電 話が掛かってきた。

 「共産党の件は9月から、と地検が言っている。その前に大きいのをやる、と言ってい るから真紀子の逮捕も近いんじゃないか」

 そうかも、しれない。法は法。真紀子さんも法的責任を果たさなければならない。そ れは、当然だ。

 真紀子評価は別の問題だ。

 「真紀子外し」で我が世の春を謳歌するご一行に申し上げる。

 世の中、月夜ばかりではないぞ!

 暑い、暑い週末。土曜日の夜は、滞在先で花火大会を楽しむ。天気が良いからか、宵 の明星がくっきり。その隣に三日月。

 その美しさを消し飛ばす、一瞬の打ち上げ花火。そして、子供たちが誰に教わったか 「玉や、鍵や」のかけ声。花火っていいな。

 会場で知り合いも出来る。玉やが取り持つ縁〜かいな。

 夏も後半戦。

   
<何だか分からない今日の名文句>

仕掛け花火に似た命


8月8日(木) 「ザ・スクープ」の次は

 隅田川に朝日が昇ると、一気に仕事場の温度が30℃を越える。午前5時の朝焼け。 ガラス窓を射る猛暑。今日、立秋。

 それでも決起して、浅草まで3キロ歩く。ビルの影を選んで歩く。歩かねば太る。太 れば早死にする。

 Tシャツ、びちょびちょ。

 帰って「創」の「ザ・スクープ打ち切りは納得できない」を読む。

 前夜、編集局の幹部A君が「鳥越さんが書いている」と教えてくれたので、早速、手 に入れた。

 何度も放送時間が変えられ、視聴率に泣かされ、はっきりしない理由で番組中止。そ の無念さがよく分かる。兄弟分だから、よく分かる。

 でも、この件で連絡するのは、もう少し後にしよう。僕に何が出来るか、分からない のに、電話するのが申し訳ないようで……。

 もちろん、テレビ朝日独自の事情、方針はあるだろうが、その背景には、テレビ情報 番組の右傾化があるような気がする。政治的圧力はなかったのか。

 反権力の鳥越さんでは困る「何か」があったのでは……。

 鳥越さんの次は「筑紫さん」ということになるような気がする。

 午後、あまりの暑さに仕事をする気もなく、ボサッとしていると、宅急便。友人から 毛蟹が届く。北海道に行ったのにカニを食べていなかったから幸甚。

 今夜は蟹で一杯、と思っていたが、夕暮れ、あまりに暑さに「たかばしのドジョウ」 に急遽変更。3人前分、平らげる。これで暑さを乗り切るぞ、と言ったものの、これで は、もっと太ってしまうじゃないか。俺って、食い物に意地汚いんだ。

 熱帯夜。日記を書く気もなく、10時には寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

鯨飲馬食


8月7日(水) 新聞協会賞のお話

 東京は暑い。北海道は、夜になれば15℃ぐらいなのに。

 長らくパソコンを見ていなかったので、受信メールを総点検。面倒くさい案件はゼロ 。楽しい便りもあった。

 メール仲間のSさん。八戸市場のサラブレッド1歳セールで愛馬・ダイナルーブルの 子を発見した。

 父・ダンツシトルのダイナルーブルの2001。800万円の高額で取り引きされて いるではないか。

 驚いて生産者を調べたら、近くの人だった。彼、8月2日に、母親になっていた愛馬ル ーブルに再会して来た。写真入りの報告。うれしいだろう。

 「一口馬主で、こんな感激を出来るとは思わなかった」とSさん。分かる分かる。馬 券だけのファンとは、ひと味、違った上質のロマン。

 掲示板も克明に読ませて貰う。このところ、かなりレベルが高い。情報満載の感。知 満載の感。結構結構。

 St.Simonさん、あの日、北海道市場にいたのか。会いたかった。彼の牧場が 上場したラスティ(父・メジロライアン、母・キーンエッジ)、クラージュ(父・ブロ ッコ、母・ペルエボック)は、きっちと仕上がっていた、との関係者の意見だったが… …初日は不利もあったと思うが、全体的に購買意欲が下がっているのも事実だろう。

 St.Simonさん、10月市場に期待するか。

 昼「競馬はロマン」を書き上げ、例のお勉強。その後、出社。

 社会部の話題は新聞協会賞の選考の話。我が毎日新聞からは「防衛庁、情報公開請求 者リスト作成」のスクープ記事(大治朋子記者)がノミネートされて、大本命。しかし 「3年連続毎日新聞ではーー」という反対意見があるらしい。

 2002年のキーワードは「情報」。それを裏付けるスクープが受賞するのは当然だ が……。すでにJCJ大賞受賞も決定している。

 人員は少ない、給料は少ない毎日新聞が、例年、大スクープをしていては困る、とい うのがA、Y、S紙連合軍?

 でも、結局、この記事に落ち着くのではないか。まあ、 受賞を逃しても歴史に残る記事であることに変わりはないが……

 週刊誌は「お盆合併号」発売の季節になった。数誌購入。合併号はワイド特集が売り 物。ワイドが週刊誌の実力を計る。

 サンデー毎日、健闘するが、やはり文春、新潮にはかなわない。ここでは人員が少な いのが致命的?

 世間は金曜日あたりからお盆休み。今のうちに仕事を片づけるためか、夕方、久しぶり に渋滞に巻き込まれた。

<何だか分からない今日の名文句>

審査員、胸に一物、手に荷物


8月6日(火) 鳩山さんの悲壮感

 北海道の最後の日は、快晴の苫小牧で過ごす。

 この地は二度目。北海道新聞以外に地元新聞がいくつかある。読み応え、十分。「一 県一紙」の他の県とは大分、違う。自由と開拓の北海道には言論を大事にする気風があ るのか。

 王子製紙の城下町。その系列の大ホテルで鳩山由起夫・民主党代表が連合後援会を開 いた。地元紙が注目するイベント。東京からも、番記者が来ている。

 「鳩山続投より世代交代を求める声が多いなら、議員バッチを外す」と鳩山さん、悲 壮な決意。

 「若手、若手」の掛け声に過剰反応していないのか、という感じ。「若手」と言って も、実績がない人たちばかり。(失礼)

 「若手」ならなんでも良い。「改革」と名がつけば、何でもいい、という風潮は考え 物だ。

 しかし、鳩山さんでは、民主党人気はますます萎む。

 もともと、考え方がバラバラの組織に、強い指導力もなければ、期待される若手もで ない。まず、党に柱を建てるべきだ。

 昨日(五日)の北海道市場で橋本聖子さんをお見受けした。何で、こんなところに国 会議員がいるのかしら、と思っていたら、彼女は有力な「橋本牧場」の娘さん、と分か った。里帰りなのだろう。

 聖子議員は大変な勉強家で、母親の勤めもキッチリ果たし、永田町の評判は上々。馬 のセリ市でも、参加者一人一人に挨拶をして、礼儀正しかった。田中真紀子さんと正 反対の「良いとこのお嬢さん」。

 彼女あたりに、女性議員として可能性があるのかも。

 夜、中山競馬場で花火大会。誘われていたが、帰京が遅れ、行けない。

 知り合いが何人もくるのに……残念だった。

<何だか分からない今日の名文句>

本木に勝る末木なし


8月5日(月) 静内・馬のセリ市

 北海道は涼しい。昼間で20度前後。それに天気が変わりやすい。

 朝、良く晴れて、太平洋沿いの道を約2キロ、散歩。行き交う車3台。行き交う人ゼ ロ。カラス数羽。吠える犬2頭。

 漁港近くでバス停。時刻表を見ると「毎週金曜日10時30分」とある。一週間に1 度しか、バスがこない。

 昼、霧。友人と別れて、静内の北海道市場の8月市場取材。

 日高軽牡馬農業組合の前川敏秋組合長から「一度は見てくれ」と言われていたが、や っと実現した。前川さんは当地の名物男。70歳を越えている。

 5日から9日までの6日間。サラブレッド1歳馬の1313頭のセリが行われる。初 日245頭が上場されたが、売れ行き、すこぶる悪い。購買意欲喪失は馬産地で顕著。

 昨年、北海道市場では68億円の売買があったが、このままでは、50億を下回るの ではないか。

 組合の参事さんが、近くの「道の駅」まで車で送ってくれる。「息子が牧さんと同じ 職業なんです」。三年前に北海道新聞に入社した息子さんは「新聞を通じて、地方自治 の実態をレポートしたい」という確固たる目的を持っている。東大法学部卒。官僚では なく、別の角度で、故郷に尽くす。うれしいじゃないか。

 夕方、大雨。たまたま北海道に来ている倅から携帯。親子ニアミス。かなり近いとこ ろにいるらしいが、天候に祟られて、奴、元気がない様子。雨の牧場巡りはしんどいだ ろう。

 道南地方に集中豪雨。1時間に60ミリ。雨もスケールが大きい。

 この日、問題多い「住民基本ネットワークシステム」が稼働。

<何だか分からない今日の名文句>

馬産地の雨は紫


8月4日(日) 北海道の建設業は

 週末、古くからの友人3人と北海道に向かう。例年の歴史散策夏旅行。

 昼過ぎ、頼まれ原稿の締め切りに気づいて、寺回りの仲間と分かれて、北大近くのレ ストランで必死の執筆。馬鹿だなあ。その後、7月20日に亡くなった吉村正ゼミの仲 間Y君の手稲区の家を探し、霊前に……と思ったが、奥さん不在。家の前で合掌。名刺 を挟んで置く。

 相棒たちと合流、夕暮れの中を中島公園の近くの比較的安いホテルに泊まる。その夜 は花火大会。賑やかだ。

 翌日は終日、歴史散策。だったが、無理を言って岩見沢のばんえい競馬を覗く。「ば んえい」は、はじめての経験。(「おけら街道」で、その模様は書くつもり)

 岩見沢の駅近くは、シャッターが閉まったところも多い。

 例によって支笏湖の公共の宿で一泊。夜は15度と寒い。

 日曜日の北海道新聞。「道内の建設業従業者16%減」と報じている。この5年間で 16万3000人の減。

 不況は深刻である。北海道は特に苦しんでいる。

 ムネオさんの逮捕は正直なところ、北海道に更なる試練を与えるのでは……。

 旅行中に付き、日記はこのくらいで。

<何だか分からない今日の名文句>

旅ゆけば、シャッター閉じた街ばかり


8月1日(木) 「ああ永田町」は手に入らない

 朝の散歩。両国橋を渡って、吉良邸近くのデニーズで朝飯。例によって麦とろ定食。 もう30度を越えている。

 午前中はCD屋を探し、評判の「ああ永田町」を探す。両国になく、浅草になく、三 越の山野楽器では売り切れらしい。

 「ああ永田町」は自主出版の世相パロディ・ソング。次々に政治家センセイが登場す るので、本当の永田町で評判になっているのだが、手に入らない。

 仕方なく、インターネットで聞く。音が悪い。

 「住みよいのよ、永田町」「一度はおいでよ、永田町」で始まる、この「おちょくり ソング」。おもしろい、と言えば、おもしろいけど、ヒットするかどうか。(聞きたけ れば、www.jeiro.com)

 でも、この話、原稿のネタになるか。これも微妙。

 午後に、それとは別の取材を片づけ、2時ごろ、仕事場に個人的な野暮用で来客1組 。

 週末に友人達と国内旅行に行くので、TBSラジオに出向き、4日分の「牧太郎の ザ・コラム」を収録する。ご面倒かけて申し訳ない。

 収録が終わってJRAへ。JRAを取り巻く面倒くさい事柄を聞く。どこもかしこも 、難しいことが沢山。取材が泣き言を聞くことになってしまった。

 小泉さん、記者会見を午後7時のニュースで見る。一昨日(7月30日)のこの日記 で書いた「山崎幹事長留任説」を小泉さん、平然と認める。

 理由は「自分と党との意見が違う中で、山崎さんは苦労したから」。もし、それが真 意なら、小泉政権を作った真紀子さんの苦労はどうなるの?ちょっと浪花節みたいで はないか。加藤の出馬を支持するのか。

 明日から休みを取り、週末は仲間とぶらり旅行。出来れば「旅打ち」もしたい。

 負けても負けても「旅打ち」がしたくなるのは、病気だ、と思っているのだが……。

<何だか分からない今日の名文句>

浪速節だよ、改革は(もちろん抵抗勢力も)


7月31日(水) 夏枯れ、だ

 猛烈に暑い。仕方なく、まだ陽が上がり切らないうちに散歩。歩かないと血圧が不安 定になるから、黙々と歩く。途中、デニーズで朝飯。「とろろ定食」が定番になった。

 浅草まで約3キロ。梅園で氷宇治。韓国人の観光客が多い。

 帰ると、幾つかFAXが入っていた。ほとんどが広告、宣伝の類だったが、これは紹 介したい。

 東京・池袋の新文芸坐の「終戦の日特別企画・今だからこそ、戦争について考えよう 」。

 8月10日から23日まで「昭和の戦争」というテーマで「人間の条件」「東京裁判 」「また逢う日まで」「ひめゆりの塔」「雲ながるる果てに」「海軍特別年少兵」「真 空地帯」「野火」「戦争と人間」が上映される。

 右傾化の波。冷静に、あるいは激して「人間の命」を考える時があっていいだろう。

 以前、見たものばかりだが、時間があれば見に行きたい(新文芸坐 は池袋東口徒歩3分、03ー3971−9422)

 昼下がり、調布方面の親友から「あの句、素晴らしい」という電話。「何のこと?」 と聞くと、28日の日記の「何だか分からない名文句」で俳句のことだ。

 暑き日を 海に入れたり 最上川

 「実に素晴らしい。いつ、作ったの?」

 「冗談じゃない。これ、有名な芭蕉の句じゃないか」

 「えっ、お前のじゃないの」で大笑い。そうか、知らない人もいるんだった。キチッ と作者の名前を入れなくては……反省しきり。

 その親友君、そろそろ世間が夏休み気分なのに出張また出張。地元にいれば、時に美 人コンテストの審査員まで頼まれるらしい。

 「一段落したら、暑気払いするか」と約束。副編さんとも、会いたいし、あいつにも 、こいつにも会いたいが、でも、暑いし。

 例のお勉強を済まし、遅い出社。

 長野県知事選は乱立模様だが、反康夫さん陣営は「長谷川弁護士に一本化する」との 情報。何か盛り上がらない。もう少し経ってから、火がつくのか。

 ペイオフの話が持ちきりだが、見直しが妥当なのか、よく、分からない。議論に参加 する知識が不足している。

 その他、結構、おもしろい情報もあるが、全体的に「夏枯れ」の観。

 退社後、三越で靴を買う。右足に装具をつけたまま、靴を履くので、横幅の広いもの を探すのが難儀。でも、ここの店には中高年向きのウオーキングシューズがかなり揃っ ている。

 新品の靴で神田周辺を散歩したら、午後8時半を回っていた。

<何だか分からない今日の名文句>

名画座に「真相」あり