編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2003.6月

6月29日(日) 訪問看護ステーション初台

 27日の金曜日は良く晴れた。

 前々から親友の理学療法士・伊藤さんに会いに行こうとも思っていたが、梅雨空で我 慢していた。午前中に原稿を片づけて、JR中央線で新宿へ。そこからタクシーに乗っ て、約1年ぶりに「初台リハビリステーション病院」に向かった。

 一年前、新宿副都心に突如、この革命的病院が誕生した。何もかも患者中心の病院。 食事は選択制、病院が食べさせるのではなく、患者が決める。「センセイ」という呼び 名はなく、スタッフの服装は白衣厳禁。ごく普通の普段着で、介護する。

 病院というよりホテル。何しろ、副都心の夜景がお隣。リハビリ病院は山の中、とい う常識を打ち破った。

 一年ぶり。受付はホテルのフロントのように綺麗だ。スタッフが元気良く「こんにち は!」と声を上げる。とても、病院には見えない。

 一日も早く退院してもらうのがモットーで、個室の差額ベットは幾分高めに設定して いる。結果的に安す上がりにする。このやり方が支持されたのか、満員らしい。病院の 近くの道路で、歩行訓練をしているのも、多分、ここ病院だけだろう。社会復帰がすべ ての前提。

 「リハビリの伊藤さん、お願いします」というと、何と、この日、リハビリ部長の伊 藤さんはお休みだった。電話をかけて来れば良かった。

 彼が小、中学時代を過ごした八戸の酒と「いちご煮」を持ってきたのに。

 そう言えば、彼が「たいとう診療所」から、この新しい病院に移るとき、看護士・安 田さん(♀)が一緒に移籍したこを思い出した。土産を預かって貰おうと「看護婦の安 田さん、いますか?」と聞くと「安田さんは別のビルにいるんです」

 聞いてみると、病院の隣に「訪問看護ステーション初台」が新設されていた。家にい て介護、が時代の趨勢だが、新宿地区には、在宅に対応する施設はほとんどなかった。 これも革命だ。

 安田さんは、元気だった。

 高知のリハビリ石川組(医師・石川誠さんが率いるグループ)の面々が東京に「たい とう診療所」という拠点を造り、そして「初台」で一気にリハビリ革命が華を開く。 高知から生まれた「リハビリ維新」は着々と前進している。

 でも、伊藤さんに会えなくて、ちょっぴり残念。

 週末は原稿と野暮用。八戸「痴呆グループホーム」のルポ。6月5日に現地に行った が、その後、どう書こうか、悩んでいた。締め切りが来た。

 グループホームは「家族の自己表現」を守るため「やむを得ないシステム」と考えよ う。書き出した。

 共産党の筆坂さんのセクハラ騒動。ちょっと気になることがあるので「ここだけの話 」に、柔らかに「問題提起」するつもり。また、共産党から文句が来そうだが……。

 英国では、不動産バブルだというので、少し書物を開いて勉強。英国は不動産インフ レと「多くのデフレ」が同居している。確かに教科書で分からないことが、あちこちで 、進行している。

 福岡の一家4人殺し。暴力団のチャートが出来ているのに。そろそろ犯人が特定され て、良いのだが。どうもおかしい。

<何だか分からない今日の名文句>

革命、遠方から来たる

6月26日(木) 朝日新聞の脳天気?

 今日、寺越友枝さんが訪朝した。18回目。多分、この日記を書いている27日午前 6時には、ピョンヤンの長男・武志さんのマンションで、ゆっくり眠っているだろう。

 武志さんは、13歳だった1963年5月、石川県滋賀町の高浜漁港から日本海に出 漁したまま行方不明になった。

 87年、北朝鮮で生存していることが分かった。救助されたのか、拉致されたのか、 分からない。

 友枝さんはやっとのことで、ツテを探し、再会を実現した。それから17回の訪朝。 去年、やっと一時帰国が実現して、武志は39年ぶりに祖国の土を踏んだ。

 武志さんは北朝鮮のエリートになっていた。日本に帰った彼の口から「北朝鮮の実体 」は語られることはなく、彼は黙って北朝鮮に帰っていった。立場を考えれば、当然だ 。工作員が随行した一時帰国だった。

 北朝鮮と日本の関係は、今、どうしよもない状態になっている。友枝さんは、日本の 世論を考慮して、一度は「今後、訪朝しない」と決めたようだ。だが、それは無理とい うものだ。

 「親子で一緒に暮らしたい」という思いは誰も阻止できない。18回目の訪朝になっ た。

 出国前、彼女は「日本でも、北朝鮮でも良い、死ぬときは息子の腕の中で」と話して いた。

 友枝さんの18回目の訪朝は、ほとんど報道されなかったようだ。僕の知る限り、毎 日新聞の場合、東京発行の本紙では報じられず、インターネットで報道したようだ。

 ここにも、歴史に押しつぶされる人生がある。

 朝日新聞の25日の社説に「議席の重さーー辞める人、辞めない人」とあった。昼、 友人が電話で「かばうつもりはないが、こんな人たちばかり見ていると(セクハラで辞 職の)筆坂氏が潔くさえ映ってしまう、と朝日は書いているが、何も分かっていない」 と力説する。事件の実態が判明しない間に「潔い」と書くのは、いささか脳天気ではな いか。もっと深〜い真相がある。

 26日は一日中、野暮用。

 野暮用先で、評論家の嶌ちゃん、オウム追及の江川女史にあったのが、ことのほかう れしいかった。昔の仲間の笑顔が好きだ。

 「お遊び先」から雨が激しい中、バスと電車を乗り継いで、午後11時帰宅。

 深夜、資料整理。未明、掲示板を覗くと「巨大権力化するNHK」(オトナのふりか け)という書き込み。

 すべてではないが、同感である。

 NHKは今の会長になってから、極めて政治的になった。

 どういう人か、話したことはないが、恩師・吉村正(元早大教授)の葬儀で、お棺を 担いだ時、前にいたのが、彼だった。吉村ゼミの先輩とは聞いていなかったので、ちょ っと妙だった。

 吉村ゼミの仲間の話では、自民党の特定な派閥と親しく、その力をフルに使っての会 長就任だった、という。

 そうだとすれば、自民党のマスコミ支配は、読売新聞だけではない、という証拠?

 NHKニュースが、何の批判もなく、小泉さんのぶら下がりを、連日のように、その まま流すのも、国営放送を意識しているからなのか。怖いNHKを感じる。

 日記はここまで。これから眠る。

<何だか分からない今日の名文句>

死んでも言えないこともある

6月25日(水) ボケました。お許しを。

 雨、強い。「新ロマン」を書き上げて、このまま出社するかどうか迷う。タクシーを 電話で呼んでも、こんな時、なかなか捕まらない。

 傘が持てない身障者。悲しくて悲しくて。

 野暮用を一件、片づけてから、雨がやんだ隙に出社。

 社会部のメールボックスにいつものように、読者からの手紙が入っている。いつもの 千葉県のおばあさんはいつも、お世辞を言ってくれる。「鈍行歌手・北見恭子さんの連 絡先を教えて」という葉書は、直接、北見さんに伝える。ところが、「71歳のボケ老 人」と称するハガキはショックだった。

 「謹啓、6月17日付夕刊の『ここだけの話』を読んでアレレ?と思い、何度も読み 返し、アゲクにフンガイしています。今まで牧太郎氏だけは決してウソをつかないお方 、と思い、その軽妙な『ここだけの話』を読み『二人だけの』ヒミツの共有を愉しんで 来ましたが、今日のお話はちっとも『ここだけの』ではないではありませんか。ウラギ ラレた心境です」

 この書き出しは、捨ててはおけない。何だ、何だ?

 「それなのに、タイトルだけはそのまま。こういうのを昔、中国では『ヨートー・ク ニク』と申し、ケシカヌことと致しております。敬愛する牧太郎先生には、いったいど うなされたのでしょうか」

 羊頭狗肉? 「71歳のボケ老人」さん、あまりな言い分だ。

 早速、6月17日付の「ここだけの話・小泉さんのネズミ灯台」を読み直した。どこ が、羊頭狗肉だ。多くの読者から「その通り。小泉さんは、灯台の下の暗闇に隠してい る」と賛同の手紙をいただいた作品である。

 それを、羊頭狗肉だ?ってやんでぇ!理由を言え!理由を!

 「ボケられたか、話のタネ切れを起されたか、それともワザとミスをやって反応を確 かめようとされたか、はたまた次回の衆院選にでも打って出られるつもりで、ヨートク ニクの練習をしておられるのでしょうか」

 ボケ? ネタ切れ? 悪口のオンパレードだ。「選挙に出るほど馬鹿じゃない」が口 癖の僕に、こんなことを言うなんて。喧嘩を売る気か!やってやろうじゃないか。

 ただ一つ、気になったのは「ワザとミスをやって」というくだり。俺、何か、ミスを やったのか?

 何だろう。「71歳のボケ老人」さんが気づいたミスって、何だろう。急いで、続き を読んだ。

 「否々けっしてサにあらず、まったくのウッカリミスと仰せあるのなら、次回のこの 欄には『ここだけの話』を二度入れて頂きたく、よろしく願上げる次第です。妄言、何 卒ご海容のほどを。敬具」

 しまった!ここまで読んで、大ミスに気づいた。

 急いで「71歳のボケ老人」さんの埼玉県の自宅に電話した。

 昼寝をしていた老人は、はじめ、きょとんとした受け答えだったが、当方が「間抜け なコラム書き」と気づくと、笑い声で「いや、失礼しました。お電話を貰うと思いませ んでした」

 「いやいや、私こそ、大変なミスをしまして」と受話器の前で頭を深々と下げた。

 「ここだけの話」では、必ず、文章の中に一カ所「ここだけの話だが」という決まり 文句を入れることにしていた。それは、一種の売り物。

 いつも、読んでくれる読者はそれをご存じだった。

 「行数をあわせているうちに、決まり文句を削って、入れるのを忘れてしまいました 。ご指摘を受けるまで、気がつきませんで。申し訳ありません。僕の方こそボケており ます」と陳謝。何というドジ。赤面の至り。

 「71歳のボケてない老人」さんは「いつも、どの辺で『ここだけの話』が出てくる のか、楽しみにしているので。必ず、入れてください。それが牧センセイとの赤い糸の ようなもので」と言ってくれた。

 こんな愛読者がいるなんて……うれしくて、うれしくて。

 夜のビールはことのほか、おいしかった。

<何だか分からない今日の名文句>

「耳の痛い話」バンザイ!

6月24日(火) 久しぶり、万馬券

 朝、たいとう診療所。親しい看護婦さんから「デイサービスを受けたら、気分転換に なる」と勧めれた。

 診療所は7月14日からデイサービスを始める。大きな浴室があるから、看護婦さん に身体を洗ってもらうことも出来る。でも、介護認定を受けてないから、デイサービス の利用は無理だ。

 今井院長に「介護認定をしてもらった方が良いですか?」と尋ねると「まだ、良いで しょう。牧さんは十分過ぎるほど気分転換をしている。申請すれば要介護にされるけど 、まあ、牧さんはかなり自立に近いですよ」と言う。

 運動療法士の女性も「重い脳卒中患者で、牧さんほど行動的な人はいない。デイサー ビスなんて関係ない」と言ってくれた。自信満々。

 午後、町内の「髪結い」で脂抜きシャンプーをして貰う。禿げたくない。盆踊りの寄 付金を町内の世話役でもある「髪結い」に預ける。夏はもうすぐ。

 共産党の筆坂議員のセクハラ辞任。NHKのニュース速報が流れるほどだ。何が起こ ったか、分からない。まあ、共産党という官僚社会。壁の向こうで何が起こったか、想 像するのは無理というもの。でも、調べておかなくては……。

 大井競馬場の観戦レストランで「松上君を馬券で送る会」。その趣旨、その模様は明 日6月25日のスポニチ「おけら街道」に書いたので、是非、読んで貰いたい。が「お けら街道」を書いたあとに起こった数々。

 レストランの一角をJRA職員若者たちが占拠した。JRAは月、火曜がお休み。そ こで集団観戦。JRAは地方競馬の馬券は買える。

 その中の一人が、大声をあげる。3連単の3点ボックスで「6−7ー1」99520 円を1000円分ゲット。6000円が99万円である。大騒ぎ。

 我がグループの6人は外れに次ぐ外れだったが、メインレース、僕が「馬単2−1」 20530円を500円分ゲット。約10万円。

 続いて、たまちゃんが最終の「馬単2−4」19470円を1000円分ゲット。約 20万円。大幅黒字になった。こんなこと、めったにない。

 品川駅前の居酒屋で「祝勝会」。送別会の主役の松上君はおけら。申し訳ないが、こ れは仕方ない。みんなで贈った帝王賞の「ご苦労さま馬券」5−9ー6ー3の3連単ボ ックスに希望を繋ごう。

 どれが来ても100万円。

 途中、タクシーで移動中に共産党の関係者から携帯電話。筆坂セクハラに関する話ら しいが、明日、改めて連絡することにした。

 深夜、社台の2003年募集馬を検討。八戸のメール友達と同じ馬を選んだ。87番 。ホワイトマズル産駒。肌馬の安定度が決め手。それに「安い」が決め手。

 さて、抽選で通るだろうか。

<何だか分からない今日の名文句>

買わなきゃ、馬券は当たらない

6月23日(月) 木戸湊先輩の選択

 木戸湊先輩から葉書が来た。6月末に毎日新聞社を退社した挨拶状。「40年間、ほ とんど編集一筋に過ごせた幸せを噛み締めています」と書いてある。

 木戸先輩は大阪社会部の敏腕記者で、東京へ来て編集の最高ポスト編集主幹。最後は 常務取締役大阪本社代表を勤められた。「ほとんど編集一筋」とあるが、経営の修羅場 を駆け抜けた人物で、次期社長の呼び声も高かった。

 僕は彼が編集主幹になってから面識で、厳しい薫陶は受けていないが、ある時「某歌 手と某ノーベル賞作家の間に秘密がある。それを赤裸々に書きたい」と話したことがあ る。その時「書くな!」とだけ言われた。

 ただ、そう言っただけで、理由は言わなかった。「日本の誇りを曖昧なことで傷つけ るな。第一、一方が亡くなっている」というような理由だと、勝手に判断した。彼の ロマンに打たれた。書かなかった。ちょっともったいない気もしたが「この程度のスク ープ、君なら何時でも書けるぞ」と言った表情で笑っていた。

 書かないスクープもあるんだな、と勉強させられた。

 木戸先輩はそんな人だ。

 僕は新聞記者になった時、20代はハンター、30代はライター、40代はエディタ ー、50代はプロデューサー、60歳になったら、おこがましいが社長、と考えていた 。それが終わったら、ライターに戻る。そう思っていた。

 他人より早くエディターになったのは良いけれど、病に倒れたので、40、50代の 過ごし方が大分、変わった。順路変更は、結構面倒だ。

 そういう順路変更組から見れば、木戸先輩は「新聞社」をしゃぶり切った幸せ者とい うことになる。羨ましい。

 実は木戸先輩、「大阪スポニチの社長に」と誘われた、という噂がある。それを固辞 して、フリーのジャーナリストになる。毎日放送など彼の活躍の場が沢山ある。

 葉書の最後は「のびのびと人生を送りたいと考えています」とあった。

 2本、原稿を書いてから昼に仮眠。夕刊特集のデスクから「FAXが通じませんよ」 と電話。FAXの電源がどうしても入らない。業者に来て貰う。

 原因は分かった。電源が入らないようにする隠しボタン?が押されていたのだ。僕が 出張中に遊びにやって来た優之介の仕業だ。

 FAXの周辺をあれこれいじったので、ついでに大掃除。夜11時まで5時間半の掃 除。

 読み終わった、あるいは全く読まなかった書籍を捨てようと思ったが、あまりにもっ たいなく、仕事場のあるビルのエントランスに「ご自由に持っていて下さい」と張り紙 。陳列する。

 その後、社台の2003年度募集馬を改めて検討。締め切りは6月25日。どうしよ か。金がないけど。

<何だか分からない今日の名文句>

飛ぶ鳥 籠に還らず(木戸語録)

6月22日(日) 京都・先斗町の役割分担

 金曜(20日)は昼すぎ、羽田から関空へ。和歌山放送のM氏の迎えで、タクシーで 高速をホームアバローム紀の国へ。和歌山ははじめてだが、関空を使うと、1時間半で 行ける。

 和歌山市長の大橋君が待っていてくれた。大橋君は松上君と同期の整理記者だったが 、郷里の和歌山市の市長が汚職で逮捕され、周囲の勧めで、市長に祭り上げられた。親 父さんが県知事をしたことがあったので、断りきれなかった。

 もっと記者生活を満喫したかったろうに……気の毒である。

 元気だが、不景気で市の財政に困惑している様子。和歌山放送の三原社長、竹中会長 も同席されたが、住友金属の不振が地域経済のかげりになっている様子である。どこも 、同じようだ。

 4時から情報懇談会。「2003年日本国の不安」と題して講演。ブッシュ追随の日 本に不安を感じる、と持論を展開した。熱心に聞いてくれた。

 6時過ぎの特急で京都へ。定宿になってしまった感のあるホテル。近くのコンビニで 買った餃子にビール。すぐ寝る。

 土曜日は久しぶりの休日。阪神競馬場まで足を延ばそうとしたが、フロントで「4回 の乗り換えを覚悟して下さい」と言われ、淀のWINSに変更。6レース、7レース を当て、まずまずの成績。久しぶりに姿さん(京都競馬場長)と20分、懇談。京都競 馬場はWINSでも2万人強入るらしい。

 「一緒に夕飯でも」というお誘いを固辞して、一旦、ホテルへ。「ここだけの話」を 書いてから、先斗町へ。先週、寄った天ぷら屋「和田幸」に顔を出す。美味が、忘れら れなかった。

 カウンターに先客。お大尽が両脇にお茶屋の女将と舞妓を連れている。「和田幸」の 女将が元舞妓らしく、その筋の贔屓があるらしい。

 「鴨川おどり」の話で盛り上がり、当方も加わる。ちょうど京都は「5花町の踊りの 会」が行われている。

 お茶屋の女将が裏でスナックを開いている、と聞き、案内して貰う。隠れ家の風情。

 彼女の店は先斗町の老舗で、創業100年を越えている。家付きの女性か、と思った が「先代がなくなり、後継者がまだ高校生なので、臨時に女将をやっているだけ」と言 う。「不景気でも先斗町が生き延びているのは『日だし』だから」という。店に調理 人を置かないで、仕出しにすれば人件費が掛からない。お茶をひいても、安心だ。それ が、他の花柳界とは違う、という。江戸の時代から先斗町はそのスタイルだそうだ。

 役割分担の妙。勉強になる。

 22日の日曜日、一番の新幹線で関東に戻り、野暮用一件。

 風邪はようやく、収まった。

<何だか分からない今日の名文句>

花街は溶けて流れて、また同じ

6月19日(木) 松上君の勇退

 少し体調が戻ったので、JRA六本木事務所へ。

 新しい日本の競馬のあり方に関する有識者懇談会の審議は、このところ足踏みして、 結論はまだ先になるらしい。検討中のWINS小郡の新設問題は結論が出たのか。

 そんなことを取材して、後は雑談。

 昔からの知人H君にばったり。BSN新潟放送の東京支社長の彼、7月の異動で新潟 へ帰るとのこと。常務になるらしい。おめでとう。

 BSNが競馬中継をしていたので、異動の挨拶にJRAに来たらしいが、キー局フジ テレビの意向で、新潟ではNSTが中継することになった。このことに関しては、気の 毒な気持ちもある。

 テレビの系列化は、着々と進んでいる。

 アンマン爆破事件の五味カメラマンが帰国する。70人近い報道陣が成田に集まった らしい。

 毎日新聞社としての本人に対する事情聴取が事実上、始まった。今後、紙面で徹底検 証が行われ、同時に社としての処分が決まるだろう。

 厳しい、そして公平な処分を求む。

 9階のアラスカで「松上文彦さんを逆審査する会」。新潟支局時代の後輩・松上君が ”勇退”する。彼が紙面審査委員長で、日頃、厳しい審査をしていたので、こんなネー ミングの会になった。

 松上君は70年の春、新潟支局に赴任した。もの静かな、人情肌の、それでいて権力 に立ち向かう「出来る記者」だった。面倒見が良いので、彼の元には、整理記者を中心 にした若者が集まっている。僕も、随分と、やっかいになった。

 社の労働組合の委員長を勤め、会社のトップとやり合ったこともあった。僕から見れ ば、もっと社の中枢ポストについておかしくないと思ったが……本人は出世にこだわら なかった。(それでも局長職。僕は部長職)

 新潟支局の先輩ということで挨拶した。

 33年間のお勤め、本当に、ご苦労さん。誰かが話したが、彼が整理記者として、1 991年8月24日(この日付には自信がない)他紙に先駆けて「ソ連共産党、解体に 動く」という衝撃的な見出しを打った。整理記者としても、抜群だった。そんな思い出 に話が弾んで、良い会だった。

 夜8時、社の近くで野暮用1件。20日に和歌山放送情報懇談会で講演するので、喉 の具合が気になって、早々と寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

後輩に宝

6月18日(水) 大量破壊兵器は?

 夜中に咳が止まらなくなり、朝「たいとう診療所」へ。

 「風邪のウイルスが悪戯しているでしょう」と今井先生。薬をもらった。

 診療所は「在宅宇総合ケアセンター」の2階に診察室があるが、7月14日にその上 の5階に「デイサービス」がオープンする。

 広いフロアーで食事、レクリエーションが楽しめる。 ここの特徴はパソコンコーナーがあって、インターネットが楽しめる。8階建てのビル の屋上で、車椅子で園芸が出来る特別な花壇が用意されていること。人気が出るだろう 。

 「ここだけの話・小泉さんの『ねずみ灯台』」は、最近になく、読者の反応があった 。

 マスメディアは軽々しく「抵抗勢力」という言葉を使うな、という意見が多かった 。僕の真意もそこにある。

 「小泉さんが隠している闇とは何か?」という質問もあった。

 それは、色々ある。

 例えば「日米同盟」という言葉に隠された「どうしようもない米追随」。

 某自民党幹部が「日本政府がイラク戦争を積極的に協力したのは間違いだった」と極 めて少人数の会合で話したら、駐日アメリカ筋から「何を言うか!共和党はあなたを見 捨てるぞ」と叱責された、と言う情報もある。

 大量破壊兵器はどこにあるのか。

 アメリカの言いなりになった英国では、この問題でブレア首相が立ち往生しているの に……。日本では、問題にする政治家はいない。

 小泉さんの「おっちょこちょい米追随」が、怖いのだ。

 日本の金融をアメリカに叩き売る「追随」が怖いのだ。

<何だか分からない今日の名文句>

与党はアメリカ合衆国

6月17日(火) 1億円の馬

 風邪気味続く。朝、喉のイガイガは解消するが、夜、咳込む。困った。

 午後2時、「ライフスケエア」誌のインタビューを受ける。郵政公社のPR雑誌で、 人生論的なテーマで、前回は瀬戸内寂聴さんだという。僕のような無名の人間では… …と断ったが、僕が郵便友の会のOBということも理由の一つ、と言われ、OKした。

 インタビュー企画を紹介した別の雑誌の女性編集者が同行したが、びっくりした。彼 女、お腹が大きいのだ。どうしても、子宝に恵まれなかった彼女、不妊治療で、ついに 妊娠した。おめでとう。高齢者出産ということになるが、頑張ってくれ。

 顔付きが鋭くなったが、やはり赤ちゃんは男の子らしい。

 インタビューの最中に、浅草橋のおもちゃ屋・伊藤さんがやって来た。

 社台の古くからの会員で、ことしもダービー3着馬の栄光を獲得した幸福者。今週、 ことしの1歳馬の見学ツアーに北海道へ行く。

 どうしても行けない僕のために「測尺・体重表」を持ってきてくれた。

 全体的にお値段は安くなっているが、一口550万円の馬がいた。40口だから、総 額1億円。どんな馬なんだ?と見れば、父サンデーサイレンス、母エアグルーヴ。

 なるほど、なるほど。これではオークス制覇も、夢ではない。

 しかし、高馬が走るかどうか、分からないのが、競馬。

 古くからの会員が儲かるか、と言えば、そうでもない。ことしのダービー馬・ネオの 一口馬主の内、8人が新会員だった。

 見学ツアーは2回に亘って行われ、1回に450人が参加する。大盛況だ。

 夕方、雨がやんだので、2キロぐらい歩いて、入浴したが、それが悪かったか、咳込 む。まいった。

<何だか分からない今日の名文句>

高馬、名馬にあらず

6月16日(月) 「抵抗勢力」を死語に!

 風邪気味。喉がイガイガする。先週の寝不足が応えたのか、元気なし。

 「ここだけの話」は、旅行先の神戸で見つけた「ねずみ灯台」のことを書く。小泉批 判である。

 このところ、小泉さんは独裁者。国会のやりとりは、何を言っているのか分からない 。支持率が高ければ、何を言っても良い、という姿勢。不安だ。

 小泉批判=抵抗勢力=悪……の図式が、ますます、小泉さんを増長させている。

 安易に「抵抗勢力」という言葉をマスメディアは使うべきではない、と思う。「非国民 」という言葉が、言論の自由を奪ったように。そんな視点で書いた。

 「おけら街道」は競馬博物館の話。

 元気がないので、早く寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

寝るより楽は……

6月15日(日) 橋本外務大臣?

 報道各社が「小泉再選→内閣改造」を打つらしい。

 9日のホテルオークラ「山里」での小泉、青木、森の会見で、小泉は「再選前の内閣 改造」を拒否して「再選後改造」を出張した、というのが、報道の根拠になる。

 しかし、あの夜の会談で話されたとは「橋本外務大臣」の件だった、と言う人もいる 。今、経世会は4派に分かれている。

 (1)橋本グループ(2)青木グループ(2)野中・古賀グループ(4)村岡・建設 族グループ。

 小泉さんは、100人の衆参議員を擁する軍団に最高の配慮して、橋本を「外務大臣 」を提示する。

 文句あるか、と開きなおり、経世会の分裂を策する……というのだ。

 国会の延長幅を巡り、今週はドタバタするが「37日」が有力だそうだ。

 週末は大阪の「中央電気倶楽部」で講演。その後、神戸の復興ぶり、神戸らんぷミュ ージアムを取材。京都泊。

 色々な人にあって、少し疲れた。

<何だか分からない今日の名文句>

究極の一本釣り

6月12日(木) バカの壁

 一晩かかって新潮新書「バカの壁」を読む。北里大学教授の養老猛司の著書。実際に は、彼の話を新潮社のスタッフが表現化した本である。

 学問が最終的に突き当たる壁は「自分の脳」だ、と書いている。

 数学のことを例に取り、数学ぐらい、分かる人と分からない人がはっきりする学問は ない。分かる人も、あるところまで行くと、分からなくなる。それが「バカの壁」。

 すべからく、この壁を認識していない人が多い。

 自分が知りたくないことについて、自主的に情報を遮断してしまう。それが「バカの 壁」の始まり、と養老さんは考える。「こんなことは常識だ」と決めつけ、別の価値観 を、別の判断を拒否する「思い込みのバカ」。

 彼は「バカの壁」から出来ている「一元論」に疑問を投げかける。その壁が、現代の 様々な「戦い」「不安」を生んでいる、と解く。一元論の宗教が、泥沼の戦争を生む。

 この本は、それなりに、おもしろい。元々、一元論が肌に合わない僕には「同感!」 である。

 昨今、小泉さんに反対するのは「抵抗勢力」と決めつける「詐欺的一元論」。こんな トリックに騙される人々に「バカ」と言いたい気分。

 14000円だった株価が8000円台になり、日本の富が160兆円も消え、それ でも「構造改革は善」と思いこむ「常識」という「バカの壁」。小泉は善で、反対する モノは悪、という図式。妙じゃありませんか。

 この病気が進むと……気がつくと、日本はどうしようもない大政翼賛になりそうであ る。

 イラク法案に対する自民党の論議も、とても自由で、民主的とは言い難い。危ない。 危ない。

 引き続いて、政局分析取材。誰も小泉さんに文句を言えない妙な雰囲気が永田町に充 満している。

 例の「超大物」に関する怪文書、「週刊新潮」に載った。池田大作さんは健在なのか 。夕方、TBSラジオで日曜日朝の「牧太郎のザ・コラム」を収録して「のぞみ」で 大阪へ。

 大阪の知人3人とHOTEL AMBIENTで遅い夕食。どうも、大阪の経済はさ らに悪くなっている感じがする。

 このホテル、10年以上前に宿泊した「堂島ホテル」ではないか。経営者が変わって いる。

 日本経済をめちゃくちゃにして、国の「富」をアメリカに売る。

 日本は事実上、アメリカの51番目の州になるのか。(もっとも、51番目はイラク 、続いて北朝鮮が52番目、日本はその後だ、という意見もあるけど)

 日米同盟がすべて、という価値観を考え直さねば……。

<何だか分からない今日の名文句>

日米の壁、小泉の壁

6月11日(水) 亀井さんの自爆テロ

 東京専売病院で一ヶ月ごとの検診。順調。

 久しぶりに永田町を歩き、若干の情報収集。午後から、同僚の政治記者から政局の流 れをレクチャーしてもらう。

 いずれにしても、変な政局だ。

 いま、小泉さんの与党はアメリカ。アメリカの言いなりになれば当然だ。

 もう一つの与党は異常に高い支持率。「ポスト小泉」がいないから、仕方がない…… という支持率が与党になっている。

 永田町で、本気で小泉さんを支持している人なんて、数えるほどだろう。ピンク幹事 長さんと、うぬぼれ官房長官。まあ、森さんも、青木さんも、それないの距離感を持っ て、支持しているが……本気で支持しているとは思えない。

 経済の失政、対北朝鮮の恥かき外交、中途半端な構造改革……とても支持されるハズ がないのだが……。「アメリカが与党」は強い。

 異常に高い支持率の原因は、毎日のように行われる「ぶら下がり」にあるのではない か。

 記者団が質問して、小泉さんが言いたいことを言い、次なる辛辣な質問がまったくな い。これでは、小泉さんのペテン師ぶりが分からない。

 毎日、テレビに出ているお茶の間タレントのようなモノで、視聴者の半数は嫌い、半 数は好き、と言った状態。これでは50%の支持率が定着する。

 ペテンを見破るのは、まず、政治の現場にいる政治記者の力量。

 今日も「超大物の重病」の話になった。こんどは怪文書が出ている。幹部が会員に「 軽い脳梗塞、心配するな」と伝える手紙。手の込んだ怪文書だろう。

 それにしても、解散の時期はこの「大物」が決めるようなところがあるから、永田町 は神経質になる。

 「堀内さんに会ったら、牧さんの思い出を話していました。あの時は参った、参った 、と話していました」と同僚の記者。堀内光雄総務会長とは面識はあるが、10年以上 も会ったことがない。多分、道で会っても、彼は気がつかないと思うのだが……第一、 彼が困るようなことを記事にした記憶がないのだが……。

 そういえば、堀内さん、石油公団の話を文藝春秋で発表して「読者賞」を取った。そ れからは、活字の力を意識しているんだろう。文士の雰囲気。今月の文春でも「竹中平 蔵を直ちに更迭せよ」の一文を載せている。

 「堀内さんが総裁選に出馬することはあるの?」と聞けば、同僚は「まずない。賢い から。あっても亀井自爆テロしかない」という。亀井さんの気持ちは分かるが……支持 は低い。自爆後「江藤・亀井派」は「平沼派」になるのか。

 もっとも、石原さんが亀井自爆に手を貸し、あのウルトラCが実現すれば……。

 夜、家で、東京ダービーを見る。たまちゃんに買って貰った4−1は大はずれ。やっ ぱり、強い馬は勝つんだ。深夜、評判の「バカの壁」を読む。

<何だか分からない今日の名文句>

政局こそ「絶対」なし

6月10日(火) さあ、東京ダービーだ

 午前中は「たいとう診療所」。女性療法士に八戸紀行の報告。彼女、八戸市鮫町の出 身。昔、鮫が大量に取れたところ。海猫の群生地「撫島」に近い。

 「うみねこライン、とても良いところだネ」と報告。お土産の名物「いちご煮」をプ レゼントした。

 ニコニコして「伊藤先生も、八戸出身で、同じ学校の卒業生ですよ」と言う。

 エッ!伊藤さんも八戸出身。伊藤さんは例の元革マル派の療法士。「たいとう診療所 」の大黒柱だった。

 彼も八戸出身なのか。彼とは今でも友達付き合いをしているが、小、中学校時代を八 戸で暮らしていたことを知らなかった。そういえば、彼のお父さんは「おいら岬の灯台 守よ」だった。

 八戸の地酒を持って、近々、伊藤ちゃんに会いに行くか。

 昼は上野駅の「浅草・染太郎」で焼きそば。こちらは最近出来た支店なんだろう。高 見順、坂口安吾、サトーハチロー……文化人に愛された、猫好きの「おばあちゃん」が 亡くなって、どのくらい経ったか。

 倅の代になって、市川にも支店を出しているが、この「上野店」、味はともかく、サ ービスが酷い。もう、二度と行かない。

 仕事場に戻って、携帯を置き忘れていとことに気づく。ぼけてる。留守番電話を聞く と、夕刊特集のデスクから問い合わせ。さあ、大変だ。

 小さな表現上のことで、事なきを得る。緊張感なし。反省しきり。ごめんなさい。

 夕方、船の科学館で、たまちゃんと「北朝鮮工作船」を見学。大変な盛況。毎日、1 万人のお客さんが集まるらしい。見るのに1時間ほど待つ。

 明日(6月11日)は安部官房副長官も来る。また、ニュースになって、お客さんは 増えるだろう。(9月30日まで)。

 取材先の面々を交え、久しぶりに築地の「久原」。女将さんが「朝日の秋山さんがや って来たんですよ」。編集局長を勤める彼、次期社長の声もある、と女将。出世したん だなあ。

 出世などトンと関係ない(失礼)、たまちゃん。「明日は、ご存じですよね。大井の 東京ダービーですよ」としきりに誘う。どうしようか。

 1枠に石崎のナイキアディライト。これは鉄板、という噂だが、たまちゃん、しきり に「競馬だから何が起こってもおかしくない」と穴予想を展開する。

 僕は、種付けを見せてくれた七戸のイシノサンデーに敬意を込めて、彼の息子イシノ ファミリーから入る。

 あした天気にな〜れ!!

<何だか分からない今日の名文句>

競馬に「絶対」なし

6月9日(月) 政局がらみ?「超大物」の健康

 隅田川沿いの空き地に植えた、例のミニトマトが真っ赤になった。ジュースに入れた 。額アジサイも満開。そろそろ、梅雨入り?

 昼、横浜市のお役人さんが野暮用で来られる。なかなか難しいご依頼だが「担当者に 話す」と約束。

 ついでに、前横浜市長が熱心だった例の「横浜新税」が話題になった。WINSの” 上がり”に課税する妙な新税。「その後、どうなりました?」と聞けば「新しい市長は 興味がない。まったく、アクションを起こしてない」とのこと。そうだろう。税の公平 を破っても、税金を取るなんて悪代官。まして、ギャンブル不況のJRAに新たな税金 を払うだけの余裕はない。この辺りを中田市長はご存じだ。ただ、議会を巻き込んだ新 税導入だから、彼から「新税取り止め」も言いづらい。

 それより、彼、中田流市政の2年目を色々と企画している様子。興味津々。

 出社すると「超大物の健康問題」が隠れた話題になっていた。かなり前、この日記で も、ちょっと触れたが「超大物の健康に異変」という怪情報が飛び交っている。

 公安筋も調べているが、現時点では「ガセ」という見方が強い。「超大物」と親しい 野中さんの影響力をダウンさせるための「ガセ情報」という見方も。いずれにしても、 政局がらみ策謀か。

 夜、何年ぶりかで、同僚記者のI君と地下の「大作」で一杯。I君とは、若い頃、警 視庁捜査4課担当の事件記者同士。「運命共同体の日々」を送っていた。二人とも、 必ずしも「事件に強い記者」ではなかったので、いつ、どこかへ飛ばされても仕方ない 運命共同体だった。

 その後、僕は政治部に移って疎遠になってしまったが、年賀状で「たまには飲みたい 」と書いてあったので、声をかけた。一緒に酒を飲むのは何年ぶりだろう。

 話題は、彼の唯一の道楽?ラグビー。このところ、日本のラクビーはだらしなく、中 国に追い越されそうだ、という。中国は13人制のラクビーを考えているそうで、背の 高い中国選手は日本にとって「脅威」になるらしいとのこと。おもしろい。

 I君、ラクビーの話になると、生き生きする。今年の秋も、海外観戦と洒落込むらし い。

 やっぱり、この歳になると。仕事より「好きなこと」。

 帰ってメールを点検すると「うつになるなんて、怪しからん」という叱咤激励のメー ルが数本。怒られてしまった。

<何だか分からない今日の名文句>

趣味は「うつ」患者を助ける

6月8日(日) 老年期うつ病?

 6日の金曜日は快晴。八戸の牧場巡り。楽しかった。海猫が人間を怖がらない。感動 だった。イシノサンデーに再会した。感動だった。八戸の人々、ありがとう。(この模 様はスポニチ6月11日付「おけら街道」で書く。読んでくれ)

 しかし、正直なことを言えば、今回の八戸旅行、痴呆症対応の施設を取材した方が、 僕にはショッキングだった。徘徊を続け、寝たきりになる人を見て、人間の業のような モノを感じてならない。

 人間は、どう死んだらいいのか。

 考えると、少し不眠症になる。もし、八戸の馬好きな仲間が歓迎会を開いてくれなけ れば、落ち込んだ旅行になった。

 東京に帰って、改めて落ち込んだ。この痴呆グループホームのルポをどう書けばいい のか。僕の正直な感想を書いても、意味のないように思える。施設が優れている、シス テムが優れている、スタッフが優れている、ことは十分、理解できる。が、それより、 人間は、どこで、誰に看取られるか、が一大命題。ここを書かねば、と思うのだが、そ れは、原稿の注文と外れるだろう。しかも、書いたとしても、この命題に答えはないの だから。

 憂鬱になる。老年性うつ病になったのではないかと、思うほど、憂鬱になってしまっ た。

 例えば、僕が死んだ後、愛する人がどんな境遇で生き、どう死ぬか。切なくなる。

 医学的に「抑うつ」には4段階あるらしい。

 (1)基底抑うつ・正常な気分としての波。心身不調からくる憂鬱。これは誰でもあ る。

 (2)悲哀・心配事や、大切な人との別れで生じた抑うつ。

 (3)病的悲哀・それが歪んだり、長引いたための抑うつ。

 (4)うつ病・病気としての制うつ。

 脳卒中になった時は、確かに「脳卒中後うつ病」を認識したが、2年ぐらいで克服し た。また、あんな気分になったら……。ちょっと不安だ。

 8日、鳥越神社の大祭。愛子、竜生、優之介がやって来た。仕事場中を飛び回って、 休むことなし。実に元気だ。

 この元気を貰って、今週も、とりあえず頑張るぞ!

<何だか分からない今日の名文句>

どこにでもある誘発因子

6月5日(木) 「私、馬鹿よネ」に反応する

 早く寝たので、午前4時に目が覚めた。

 仕方なくベットで読書。ルポライターの早坂隆さんの「ルーマニア・マンホール生活 者の記録」(現代書館)。

 ブカレストのマンホールに住むホームレスの生活をルポしたもの。EUの拡大とは裏 腹に、貧富の差が激しくなっている。EUの内なる「南北問題」。考えさせられる。

 途中でやめて、日本看護協会出版会の編集者と上野駅から新幹線で八戸へ。新幹線が 出来てからは、はじめての青森県。前に八戸に来たときは飛行機で三沢経由。それが「 はやて」で2時間56分。早い。

 取材先は痴呆高齢者グループホーム「つむぎの家」。徘徊老人の面倒を見る現場を取 材させてもらう。

 徘徊には、明確な目的がある。それぞれに「徘徊の目的」が違うことに驚く。

 そして、寝たきりになった老人をベット脇で取材。まったく、反応しなくなっている が「私、馬鹿よネ、お馬鹿さんよね」という歌詞にだけは反応する。不思議だ。

 しかし、聞けば聞くほど、取材すればするほど「呆け」は怖い、と痛感する。

 取材後、編集者は東京にとんぼ返り。当方は一泊して、メール友達の競馬好きの青年 と会う。もちろん、初対面。明るい青年だった。

 彼の一家が経営する「ぱすたりあん」で、スパゲッティをごちそうになる。東京で店 を構えていたが、故郷に戻って店を開いた。だからと言う訳ではないが、味は抜群。無 農薬トマトがうまい。

 近くの居酒屋に「牧さんのファンが集まっている」と言う。競馬の生産者の皆さん ら5人。10時すぎまで馬談義。楽しかった。

 明日6日は、待望の牧場巡りだ。

<何だか分からない今日の名文句>

終の棲家

6月4日(水) 携帯ラジオをゲット!

 午前中に、小さな原稿を書いて近くを散歩。もうすぐ祭礼の鳥越神社境内を行くと、 何やら人の列。まるでパチンコ屋の新装開店を待って人盛り。何だろう。

 張り紙を見る。ニッポン放送の「高嶋ひでたけのおはよう!中年探偵団」なる番組が  「ここに並べば賞品が貰えます」というようなイベントをしているらしい。

 先着100人に携帯ラジオ、と書いてある。番組の最中に「今日は鳥越神社境内」と 放送したのだろう。近所の人、車を運転した人、いつも並んでいる人……ザッと100 人ぐらいが並んでいる。

 正午に番組のアシスタント・冨田憲子さんがやってきて、握手をしてくれた後、当選 者にラジオをプレゼットしてくれる。

 「冨田さん」、美人なのだろうか。すでに100人が並んでいるかも知れない。どう するか。

 一か八か? 迷った末、美人と握手するだけで儲けモノ、と並んだ。

 高い銀杏の木の下。今にも雨が降りそうだ。

 待つこと40分。馬鹿だなあ、こんな無駄なことを……でも、当たるか、外れるか、 ちょっぴり緊張する。当たり外れは、先着順でもおもしろい。

 そして、78人目。見事、携帯ラジオをゲット!万歳!万歳!

 今週末は、この辺り、千貫みこしが練り歩く。

 午後、街角スナックの原稿。外は雨。

 明日(6日)、老人介護の取材で、朝一番で八戸に行く。テーマは痴呆高齢者グルー プホーム。朝が早いので、日記はほどほどにして早々と寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

負けて元々

6月3日(火) ユーロ圏の失業率8.8%

 朝「競馬はロマン」を書き上げてから出社。今月から「たいとう診療所」のリハビリ が月2回。第2、第4火曜日になったので、火曜日は朝から出社出来る。

 昼、たまちゃんと地下の「長寿庵」で、冷や麦を食べていたら、隣の席に斎藤明社長 。一人で「もり」を食べている。黙々と……。味なんて関係ないスピード。

 何か、淋しげ。当方の勝手な推理だが、トップというのは孤独なのだろう。まして、 アンマン爆破事件。頭は休まることがないだろう。

 何か、声を掛けようと、思うのだが、適当な言葉が浮かばない。

 「ご苦労さまです」と訳の分からない“激励”のような声を掛けてしまう。斎藤さ んと「仕事だから……」と言葉少ない。これも訳の分からない受け答えになる。

 疲れているのだろう。が「疲れている」とは、断じて言えないのだろう。トップって 孤独だ。

 サミット報道の陰で、大騒ぎになっていないが、ユーロ圏(通貨統合参加12カ国) の失業率が8・8%になった。これは大きい。ユーロの景気鈍化は激しい。

 日本もそうだったが「デフレだ」と指摘されても「そうではない」と言い続けるのが 指導者。ヨーロッパは軒並みデフレ。多分、欧州中央銀行に対する利下げ圧力にという ことは間違いない。

 サミット議長総括で「拉致問題」が明記され、喜ばしいかぎりだが、経済問題では、 まったく処方箋がない。

 サミットの限界?

 夜、東京池袋の東京芸術劇場中ホールで「北見恭子・デビュー30周年コンサート」 に招待された。

 驚いた。25年前に聞いた歌声と全く違う。音域に幅が出て、訴えるものが、確実に 伝わる。うまくなった。実に説得力のあふれる芸になっている。それに自信に満ちた美 しさがある。

 北見さん、客席に降りてきて「この人が私を鈍行歌手と命名してくれたんです」と僕 を紹介してくれた。

 失礼な命名で、ズーっと気にしていたのだが、最後のステージで「鈍行歌手は私の看板 です!」と叫んでくれた。

 お客さんは約600人。ステージが終わると、彼女、グッズ販売。200人が列を作 る。メジャーになった。

 25年前、名古屋の自衛隊でレコードを一緒に売ったあの日。たった17枚しか売れ なかったのに。

 新曲「おんな山唄」はただ今、有線のチャートで12位。ヒットの兆し。(「ここだ けの話・鈍行歌手の30年」も読んでくれ)

 「2代目魁・競馬の神様」万馬券造さんが外国に行く。しばらく、定住するらしい。 従って。彼の「運勢占い的予想」が見られなくなる。残念、至極。ロマン掲示板の仲間 が、別れを惜しんでいる。

 ここだけの話だが、万馬券造さんの予想は、JRA職員、競馬記者の何人かが、参考 にしていたらしい。

 お宝がなくなったような気分。帰ってこーいーよー!

<何だか分からない今日の名文句>

継続は美

6月2日(月) 東大の4番打者

 朝起きて、吉川良さんが送ってくれた「サラブレッドへの手紙」をバラバラと読む。 彼が「JBBA NEWS」(日本軽種馬協会発行)に連載していた「烏森発牧場行き 」と題したケッセイ集。全100話。分量があり、おもしろい。(源草社・1600円 )

 いくつか読んでいたので新鮮さはないが、1995年から長期連載なので、時代の変遷 がそのつど分かる。洒落た社会時評のようである。

 出来れば、名前を「烏森発牧場行き」のままにしてもらいたかった。「烏森」は東京 新橋の飲屋街。吉川さんにぴったりの名前じゃないか。

 今週の「ここだけの話」は予定通り、デビュー30周年を迎えた中堅演歌歌手・北見 恭子さんのことを書いた。

 25年ほど前、僕の出世作「芸能界ウラのウラのウラ」に登場してくれた彼女。僕は 「鈍行歌手」と勝手に命名した。この鈍行?は生き生きと走っていた。読んでくれ。

 夕刊の出る明日(6月3日)夜、北見さんは東京池袋の東京芸術劇場中ホールで「3 0周年コンサート」を開くので、一番良いタイミングになった。「ここだけの話」では 書けなかったことは幾つもあるが……そのうち、字にするか。

 母校・早稲田、東京6大学野球で52年ぶりV3。スポーツ科学部を作ったのが、原 因なのか。優秀な選手が早稲田に集まる。

 首位打者は早稲田の6番由田。0・432。実は0・424に東大の杉岡がいた。も しかしたら、東大から首位打者が出るか、と期待していたんだが。

 何にしろ、東大は全敗だったから、活躍する場面も限られていた。

 夕方、浅草方面散歩。例のDphitenを買い求める。サッカー選手が首に巻いて いるアレ。これで2本目。気のせいか、歩くのに調子が良い。

 さてエビアンサミット。「強いドル支持で一致」。でも、本当にドル高になるの?

 ブッシュ大統領はサミットを中座して、中東へ。確信犯だな、これは。

<何だか分からない今日の名文句>

一国集中サミット

6月1日(日) アンマン爆発、牧内氏の意見

 金曜日(5月30日)は、旧コロムビアレコードで、デビュー30周年を迎えた中堅 演歌歌手・北見恭子さんを取材。25年前、僕の出世作「芸能界ウラのウラのウラ」に 登場してくれた彼女、今も頑張っている。

 その近況は今週の「ここだけの話」で書くつもり。

 土曜日(31日)は朝から強い雨。

 時々、仕事場の前で立ち話をする運送屋さんが突然「お休みなんで」と言ってやって 来た。

 男前だし、さっぱり人柄。いつも冗談を言う合う仲だが、訪問を受けるとは思わなか った。

 雨で外出も出来ず、暇を持て余していたので、約4時間、談笑。楽しかった。ちょっ とした人生相談にも乗る。

 夕方、雨がやんだので、例祭の第六天榊神社、須賀神社、銀杏岡八幡神社を次々に参 拝。一番賑やかだったのが須賀神社。コミュニティーが出来上がっている地域と、夜間 人口が激減しているところは、全く「賑わい」が違う。

 6月スタート。

 朝、TBSラジオで「牧太郎・ザ・コラム」。ダービーの予想。終わって、お相手を 務めてくれるタレントの江口嬢(たけし軍団の枝豆さんの奥さん)、プロデューサー氏 、Jr.と一緒に東京競馬場へ。

 馬券成績、最悪。ダービーまでに4戦4敗。「競馬場が始めて」という江口嬢は連戦 連勝。

 ダービーで、やっと馬連、3連復を当てて何とかなる。安藤騎手のザッツザプレンテ ィが2着に来れば、大儲けだったのだが。

 スポニチの観戦記を書き上げ「馬場詰め」でJRAスタッフの打ち上げ。高橋理事長 らと談笑。「売り上げは下がったが、入場人員はアップ」に、何か、今後の可能性が隠 れているような気がして話し合う。

 府中の「鮨中田」で生きのいい魚を食べて、深夜帰宅。3連単大会の結果を点検する と、あった!的中者がいた。万歳!万歳!

 一点で3連単を当てる人はまずいない、と言われ続けたが、KAMIDENWAさん が、ついにやった。うれしい。

 アンマン爆破事件の判決。五味記者に禁固1年6ヶ月。妥当な判決だ。

 僕が一番尊敬する牧内節男・元スポニチ社長が自らのHP 「銀座一丁目新聞」 の茶説(6月1日号)で「毎日新聞の危機」を書いている。牧内さんは僕の社会部の「お師匠 」さん。必ずしも、牧内さんの意見といつも同じと言うわけではないが、今回の茶説に は、断腸の思いで筆を執った「ジャーナリストの良心」のようなものを強く感じる。是 非、是非、読んで欲しい。

 もちろん、アンマン爆破で失った「読者の信頼」を自らの手で取り戻そうする斉藤社 長の「決断」も、また十分に理解出来る。

 毎日人はいま、苦悩している。

 苦闘して、言論力、情報力を付ける。それが、我々の「責任」だろう。

<何だか分からない今日の名文句>

「責任」を問う「責任」