編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2004.4月
4月27日(火) 刑法39条
久しぶりの「たいとう診療所」。小雨の中、防水着で歩いて行く。距離にして2.1キロ。時間にして、普通人なら25分前後あれば
いけるんだろうが、僕の脚では1時間15分はかかる。
そのうちに雨が強くなって、風が強くなって、歩けなくなる。両足を踏ん張って、風が収まるのを待つ。弱くなると、また歩き、風が
強くなると踏ん張って、また歩く。タクシーに乗ろうか、と思うのだが「ここまで歩いたんだから」と思い直す。要するにケチ。やっと
1時間40分かかって、何とか、着いた。
春の嵐。新しい女医さんは、ちょっとおっかない感じだった。凄くクール。問診は2分足らず。やっぱり、今井君に見て欲しい。でも、
火曜日は女医さんの日だから。早く親しくならねば。
帰りに浅草郵便局に寄る。留守中に現金書留が届いた。親友から「心ばかりの激励」のようなものが入っている。奴、金持ちでもないの
に‥‥ともかく、貰う謂れはない、が彼の気持ちも分る。悩む。送り返しては、気分を害するし‥‥こんな経験なかったので、ただ困惑。
郵便局の帰りに昼飯を食べようと思ったが、風が強くなって、歩道の自転車が次々に倒れている。台風には勝てぬ。400円の「焼き
そば」を買ってタクシーで帰る。ウンと歩いたので「具なし焼きそば」でも、実に美味しい。
出社断念。携帯電話があり「雑誌・男の隠れ家です」。原稿の注文か、と思ったら「牧太郎さんですか? アンケートに応募していたき
ありがとうございます。抽選でYシャツがあなたに当たりました。サイズを教えてください」。まだ、運が残っている。
夕方、大阪から親しい知人、上京。有楽町で仲間6人で会食。京都の古墳の話、自己責任の話、犬の肉は不味い、という話。手鏡の大学
教授のその後、エネルギー政策がクルクル変わる新聞社‥‥話題は尽きず、10時まで。
深夜、雑誌「草思」を読む。特集は「刑法39条」である。
「@心神喪失者の行為は罰しない A心神耗弱者の行為はその刑を軽減する」とある39条。精神障害で「心神喪失」が認められ不起訴
になった被疑者は2001年には87人もいたそうだ。あまりに無責任な法律ではないか、という声がある。これが、刑法改正の引き金に
なるのでは。有識者がそれぞれの立場で、意見を述べている。必読。
29日から大型連休。29日更新の日記(28日の日記)から、当分、休む。
皆さん、良いゴールデンウィークを!
<何だか分からない今日の名文句>
何人も、裁判を受ける権利
4月26日(月) 小沢さんは?
日刊スポーツの横尾一彦さんの告別式。22日、自宅で、くも膜下出血で倒れ、家人が帰ったときには絶命していた。病気に通院した
わけでもないので、医務院で死因をしらべるのに時間が掛かり、葬儀が遅れた。普段「血圧が高くてフラフラしている」と話していた
そうだが、突然のことだった。もちろん事件性はない。
「競馬記者クラブに入ったら」と誘ってくれた人物。気の合う仲間だった。息子さんが「お父さんは『人間は死んだら終わりだ』と
話していたが、お父さんの魂は活きています」と泣きながら挨拶した。泣けた。
仕事場に帰って、スポニチのコラム「おけら街道」で彼の人となりを書いてみた。ライバル紙の記者のことを書いて良いのか、悪いのか。
ともかく、書いてみた。
出社すると、人事の張り紙。斎藤社長が会長になり、北村主筆が社長になる。斎藤さんは社長在任6年。「ご苦労様」と言いたいが、
代表権はもったまま。今までと変わらないのかも知れない。
北村さんは、僕より2年先輩の外交記者。競馬仲間だ。温厚な人柄が支持を受けている。まあ、当然の人事だろう。彼以外の重役陣は
僕と同年齢。タッチャンが主筆になり、進が東京代表になり、健ちゃんが常務になった。昔の平河クラブ、警視庁仲間が偉くなった。同慶。
衆院補選で民主党惨敗。当然である。埼玉8区などは「勝つはず」と読んでいたようだが、失礼ながら、候補者の顔つきが‥‥それより、
自衛隊派遣に関して、民主党の立場がはっきりしない。小泉自民と、どこが違うのか。
今の民主党は汚れ役がいない。迫力がない。
小沢さんは、何を考えているのか。このままでは、民主党解体もありうるし、自民が、民主の脱藩組を拾って、大政翼賛会的な一党支配
だってありえる。何しろ、民主には「本来自民党」が何にもいる。
年金を払っているか、いないか、なんて論じてる場合か。民主党だって、年金を払っていないのが、何人かいる。恥部を暴く戦術は、
暴かれる結果になるものだ。
参院戦後、小泉・小沢の大連立がありそうな予感を話す人もいる。そんなことになったら、新保守のやりたい放題だ。
<何だか分からない今日の名文句>
策士、策に溺れる
4月25日(日) 寡黙な大記者・小暮さん、退く
新潟、新発田の名物記者・小暮靖男さんが退職した。多分、僕と同い年だから定年退職だろう。続けて勤務してほしい、と言われたが、
辞退したらしい。
小暮さんは僕が新潟支局に赴任した昭和42年、すでに特別勤務員として勤務していた。略して「特キン」。ジープを運転したり、
原稿便を新潟駅に届けたり、電話で送稿してきた原稿を記録する役目。毎日新聞では、これを「特キン」と称していた。
無口で、ほとんど話さない。何があっても、ニャッと笑っている。何か、こっちが失敗すると、無言で手伝ってくれる。優しい男
だった。
写真の現像が苦手な僕は「頼むよ」と彼に頼んでいた。多かれ少なかれ、毎日新聞の新潟勤務者は彼に頭が上がらない。
23日の金曜日、彼が上京して、久々の「新潟会」が開かれた。出席者は40人。盛会だった。
何も話さない彼、昭和52年の正社員の通信部記者になってから、大分、しゃべるよになった、と聞いていたが、でしゃばることもなく、
会合で挨拶するなんてことはない。
その彼が手短だが、挨拶した。一世一代の挨拶である。
「運転手と言うことで入ったが、内勤ばかり。人の原稿取りばかりで、一時は辞めようかと、紹介者の県広報部長に相談したことも
ある」とここだけの話。「でも、記者になって良かった。故郷の良さを報道できて良かった」
僕のことを良く覚えていて、挨拶で「記憶に残っているのは牧さん。物凄い酒飲みで山ちゃんと良く誘われた。夜中まで、飲み続けて、
あくる日、目が覚めると、車の中に、牧さんのカメラがあって、大変だ、と急いで、県庁の記者クラブに駆けつけると、どこにもいない。
やっと探したら、裁判所でもう仕事をしていた。凄いなあ、と思った」と話してくれた。傍らの先輩、山ちゃん(山田隆三)が「多分、
小西裁判だ」というので、思い出した。反戦自衛官の事件。
あんな大事件の最中、明け方まで飲んでいたとは‥‥小暮ちゃんは嘘の付けない性格だから、多分、本当だろう。それにしても、そんな
毎日だから、若いときから脳卒中候補生だったんだ。
小暮ちゃん、覚えてくれて、ありがとう。
週末は、いろいろあったが、書く時間がない。そう、3週当たった競馬は、今週、大外れ。ツキが落ちた。
<何だか分からない今日の名文句>
酒で書く
4月22日(木) 吉永みち子さんの誤解
スポニチ関係者の中で、ちょっとした話題になっているのが、吉永みち子さんと岩見隆夫さんの“論争”である。
14日付けのスポニチ<夢のあとさき>で、吉永さんは「イラクの邦人人質事件の第一報が入った8日夕、小泉首相はホテルで
食事とお酒を楽しんでいた」と書いた。どういう意図か分らないが「一緒に飲食を楽しんでいたのが、新聞社のコラムニストや論説委員
だったとか。同じ穴のムジナというか、同じテーブルでのんきに談笑していた者同士じゃ、批判もできないわなあ‥‥」と続ける。
読んでいて、正直言って、ことさら新聞を貶めているような気がした。権力者とじかに会い、飯を食うのは、新聞記者の大事な仕事で
ある。僕はこういう席に恵まれることはあまりないが、あれば、ニコニコしながら、神経をすり減らし、正体を見ようと必死で努力する。
ジャーナリストの大変な仕事の一つだ、と信じている。
吉永さん、誤解しているな、と思った。吉永さんとは面識がある。親しい間柄と言っても良いだろう。感性の鋭い人だが、今度だけは
誤解が甚だしい。今度、会ったら、憎まれ口でも言ってやろう、と思っていた。
小泉さんと食事をしていた岩見先輩は流石に腹に据えかねたのだろう、20日の同じスポニチの紙面の「永田町曼荼羅」の中で
「『じかに会う』は記者の鉄則」と反論した。
「46年間の記者生活を通じて、私は断言できるが、ナマの相手と直接、接しないことには、肝心なことは何も分らない」と断言して
いる。わざわざ、会食は一人2万円の会費制であったことも明記している。岩見さんの主張は正しい、と思う。岩見さんは、飲食した相手
だから、筆を曲げるなんて人では断じてない。
だが、吉永さんの誤解をそのまま「さもありなん」と受け取る読者も多いのではないか、とも思うのだ。
岩見さんの論陣とは関係ないが、最近、大新聞の論調があまりに政権よりで、結果的に大本営発表をそのまま書いている、という不信感
が読者側にあるのではないか。僕は、不安でならない。我々が、その不信感をなくす努力をしなければ「新聞の明日」はないようにまで
思うのだ。
「人質に取られた人の自己責任」問題についても、新聞は小泉さんの“すり替え”に乗せられて、自己責任は是が非か、をやっている。
新聞によっては「自己責任は当然」と論調を張るところもある。
外務省は「邦人保護」のための役所だ。殺人犯を引き渡す時でも、国家は国民である殺人犯の言い訳を聞く。場合によっては、引き渡さ
ないことだってある。
国家は国民を保護する。それが契約だ。小泉さんは「みんなが苦労していたのに‥‥また行くのか」と妙な感情論を持ち出して“すり
替え”する。
「みんな苦労しているのに‥‥」と言う文句に、巧みな“すり替え”がある。外務省は全力を上げた「善」であり、人質は「過失犯
(あるいは確信犯)」という図式を前提に置く。
何かあると「民間の手法」という言葉で逃げ切るペテン。あれに似ている。民間が数限りなく失敗しているのに「民は善」といい続ける
と、それが前提になってしまう。あの手法だ。
冗談じゃない。政府が解放に全力を上げるのは当然である。(どのくらい、全力であったかどうかは、はっきりしないが)
「自己責任」を議論すべきではない、と言っているのではない。それも良い。しかし、もっと重大なことがあるじゃないか。
今、論議すべきは「イラク戦争の正当性」である。これを、あやふやにするために、小泉さんは、巧みに世論操作する。
「これは胡散臭い」と感じる賢い人が「新聞もグルだ!」と不信感を募らせるのではないか。それが心配だ。
政権はジャーナリズムの分裂を狙っている。雑誌と新聞の仲たがい、テレビと新聞の仲たがい、ジャーナリストが喧嘩するたびに喜ぶ
人がいる。
仲間割れする言論は弱いものだ。
<何だか分からない今日の名文句>
賢い読者を信じて
4月21日(水) もう、狂気の段階
イラクで米兵100人が死んだ。米司令官は「相手側は1000人死んだ」と記者発表した。異常だ。「歯止め」がかからない。
すでに一般のイラク国民にアメリカに対する憎悪が定着し、憎しみが連鎖している。ブッシュの敵「テロ勢力」の思う壺である。
イラク国民は、アメリカ寄りか、武装勢力寄りか、まってく分らなくなっている。連鎖に「歯止め」が掛からないとなれば、戦争は
さらに本格化し、拡大する。アメリカはイスラエルでも戦争を覚悟しなければなるまい。
最悪だと、誰もが思っている。だが、日本の場合、指導者の誰もが、この「現実」を直視しようとしない。誰も「自衛隊を撤退して、
同盟国アメリカに一時停戦を要請しよう」と小泉さんに言おうとしない。平和主義の大平派の流れにいる、かつての総理候補・加藤紘一は
どうしたんだ。
僕に言わせれば「黙っている政治家」が平和ボケなのだ。
ヒットラーは「清潔な政治家」だった。革新的だった。だから支持して、ドイツ国民は結果的に彼の狂気を許した。
戦前、日本でも「革新」という言葉が流行った。戦後の「革新=社会・共産・左翼」とは意味がまったく違う。戦前の「革新」は
「改革を推し進める勢力」という意味であった。そして、結果的に「革新官僚」「革新軍部」がドロ沼の戦争の道を選んだ。
今、「清潔で改革」の小泉さんに反対する人がいない。「抵抗勢力」という巧みなネーミングで、小泉さんの反目に立つ者がいなく
なった。それが、どれほど恐ろしいことか、日本人は分っていない。「歴史で、一番危うい内閣」と分っているのだが、どう主張して
良いのか分らない。
自衛隊派遣に関する菅さんの主張はあまりにも中途半端だ。多分、どう主張していいのか、分らないのだろう。
誰も「これから戦争に行きます。ウンと殺してきます」なんて言わないが、何年か経つと「何人殺した」という自慢話になる。その
狂気が戦争なのだ。何しろ、現場では「殺さないと殺される」である。民間人とテロ勢力は見分けが付かない。狂気にならざるを得ない。
同盟国であっても、戦争勢力として大量虐殺をしている国と距離を置く、というのが平和立国・日本ではなかったのか。1000人
殺害は大量虐殺である。
終日、野暮用。半袖になった。
<何だか分からない今日の名文句>
戦争には臆病であれ、言論には果敢であれ!
4月20日(火) 「自己責任」という名の矮小化
暑い。7月の陽気だ。終日、野暮用。
人質の「自己責任論」が姦しい。幅広いイラクの諸問題で、一つのテーマになって可笑しくないが、何故、突然、政府与党は
「自己責任」を言い出したのか。甚だ、疑問だ。
今まで、企業戦士が私企業の営業活動中、海外で誘拐されたケースでは「自己責任」を問題にしたことはなかった。少なくとも、
これほど、個人的なバッシング騒動にはならなかった。
大体「自己責任」は「情報が開示されている」という前提状況がなくてはならない。馬券を買えば、儲かることもあるが、損する
ことが圧倒的だ、という「情報」があるから「自己責任の遊び」になり得る。
「自己責任」は情報が正確に開示されているかが大前提である。イラク戦争はまだ続いている。少なくとも、700人も800人も
犠牲になっているのに「治安は安定」と言い続ける日本政府は「イラクに関して正確な情報開示をしている」と言えるのか?
「競馬は儲かる方が多い」と言っているようなものだ。
イラクでの情報は十分に開示されていたか。冷静に考えよう。法的にも点検しなければならない。なにしろ、ボランテイアが人質に
なったケースはまったくないのだから。初めてのケースで当事者になった人間をバッシングするのは、まともな指導者とは言えない
だろう。
アメリカのイラク政策が破綻し「イラク戦争の正当性」が議論されている。小泉さんは「ブッシュ支援の正当性」が議論される前に
「自己責任」という下世話な話題に「本質」をすり替える。見事なものだ。その小泉マジックにする寄るジャーナリズムがいるなんて
‥‥何か、やるせなく、書く気もしない。
やたら暑い。
<何だか分からない今日の名文句>
すり替え上手に、すり寄り上手
4月19日(月) ひばり2冊
森啓さんの「美空ひばり 燃えつきるまで」(草思社刊)が送られてきた。以前、演歌歌手・白川桔梗さんが「名書ですよ。
所是非、読んで下さい」と言っていた。筆者の森さんと会ったら、と言われていたが、日程が合わず、実現できなかった。そこで、
送ってくれたのだろう。朝から読む。
森さんはコロムビアの名物ディレクター。ひばり晩年の2年間を最も、身近で支えた人物である。確かに、ドーム公演の舞台裏が
面白い。
ひばりは最後の治療で、医師から「脳が働いていると、そこに全部血液が行ってしまうので、脳の意識を落として、患部に血液が
集中するような治療をします」と言われ、それを了承した。彼女は意識が戻ったら、また努力しようと思っていたのだろう。意識が
戻らず逝った。天才は最後まで努力しようとする人だった。
もう一つ、ひばり本が、本棚に在ったので、これを期に読み返す。山折哲雄著「美空ひばりと日本人」(現代書館刊)。
日本人の精神構造をテーマにしている学者先生は、ひばりを「大博打うちの姉御」と定義している。
ひばり本はそれぞれ、視点が違うから面白い。
午前中は原稿。「ここだけの話」はイラク問題と離れて、成果主義の“罪”を書く。「おけら街道」は「予想と馬券は別物」と
いうような話にする。
夕方、アメ横まで歩いて、赤いシャツを買う。馬券的中の記念。
ニューヨークが暑いらしい。27℃。東京は明日(20日)は28℃ぐらいになるらしい。
<何だか分からない今日の名文句>
予想上手の馬券下手
4月18日(日) 健太郎に会った!
15日、加古川から沖縄人・宮山健太郎がやって来た。39年ぶりの再会である。
僕が大学2年の時、沖縄へ遊びに行って以来、音信不通だった。彼が最近「サンデー毎日元編集長・牧太郎」の名前を見て
「あの牧ではないか」と社に連絡して消息が分った。「矢も楯もいられず、やって来た」という。お互い年を取っていた。頭が薄く
なっていた。健太郎、涙ぐんでいた。
沖縄の工業学校を出て、地元の製鉄所に就職。22歳で結婚。2男を儲けた。七年後、友人と会社を作って独立したが、うまく行かず、
神戸製鋼の社員募集に応募して、海を渡り、加古川に移住してきたという。高度成長の時代だった。
奥さんのお父上は「本土へ行くとは聞いていない」と猛烈に反対したそうだが、奥さんは彼について来てくれた。本土で3人目の
男の子が出来た。
そして、30年たった。家も建てた。子供たちも独立して、家のローンも終わった。息子とともに「本土への道」を選んだ父親は
すでになくなっていた。泡盛が好きなお父さんだった。お母さんは健在だという。
そして、ことし3月31日、彼は定年を迎えた。
「ただただ、何も考えることもなく突っ走って来た。何も考えずに‥‥急に会いたくなったんだ。あの頃は、何でも出来ると思った
のに‥‥何も出来なかった」とシンミリ。
浅草を案内した。観音様、銭塚稲荷、花やしき、六区。寿司初本店でにぎりを食べ、隅田川の水上バスでお台場まで行った。
東京の変貌に驚いている。「ゆりかもめ」で新橋に出て「昔、行った記憶がある」と言うので日本橋三越へ。「ここは昔と変わらな
かった」というのが彼の感想。
日帰りしか出来ない、と言うので6時すぎ、東京駅まで送る。「若いとき、君は輝いていた。そのお前さんが障害者になっていたと
は‥‥つい、泣いちゃった。ゴメン。でも、君が頑張っているから‥‥俺も心を入れ替えて、頑張るよ」とまた彼は涙ぐむ。当分、
失業保険で喰うらしい。
「今度は、加古川へ来い」と言ってくれた。「もちろん、女房の顔を見に行くよ」。39年ぶりの再会はたった8時間で終わった。
急いで、夕方の出社。書類整理。同僚の越川が「皐月賞の勝ち馬を教えて」としきりに聞く。「血統から14番のダイワメジャー。
これで決まる!」と独断と偏見。たまちゃんは「一勝馬は来ませんよ」と交ぜっ返す。
16日、日本人2人が解放。良かった。
でも、このところ「在イラク日本人の自己責任」が取りざたされている。大きなテーマではあるが、これはイラク論議の矮小化。
「イラク戦争の正当性」から目を取らせようとする世論操作である。小泉さんは上手だ。
朝日の「人質事件緊急世論操作」を見ると、小泉政権を?
18日は皐月賞。14番ダイワメジャーを軸に3連複の21点張り。締め切り直前に、とメイショウボーラーが前走より10キロ減。
気になる。大逃げもあるか、と思い、8番ボーラーを軸に、同じように3連複の21点張り。10レースを3連複で8000円台を
ゲットしていたので強気の攻め。
すると、どうだろう。14−18−8と来て、馬券は両方とも当たり! つまり42点のうち2点的中。万歳!バンザイ! 何と
ウン万円ゲット。今年最高の配当である。スポニチの予想は大外れだったが、馬券と予想は別もの。奇跡の3連複だった。
<何だか分からない今日の名文句>
「バカの壁」は常に厚い
4月15日(木) 「徴兵制」は?
昨日(14日)の日記で「自衛隊派遣→戦闘→自衛隊の犠牲者→徴兵制に向かわざるを得なくなる」と書いた。
そんなことはない、と言われる方も多いだろう。掲示板にも僕に対する反論が出ている。(厳しいご意見、ありがとう)
しかし、僕はかなりの確率で「徴兵制の動きはあり得る」と危惧している。
日本の安全保障は今回のイラク派遣で大きく変わった。(僕は「イラク派兵」と言った方が的確だと思っているが)
@占領下でA戦闘地域に転化する危険のある場所でB武器使用が現実可能性が高い‥‥と言う3原則が自衛隊に否応なしに課せられた。
これまで、国際平和協力法では、停戦合意や同意原則を重視し、自衛隊の業務は「安全への配慮」が最大限に求められて来た。
自衛隊の新3原則は、彼らの安全を究極的には無視し、政治が決めた「命を懸けて守るもの」のために進む。
自衛隊は犠牲になっても仕方ない、とする考え方があるように思う。
人間には「命を懸けて守りたいもの」がそれぞれにある。家族を守りたい人も居るだろう。名誉を守りたい人もいる。
僕にも「守りたいもの」がある。(長くなるので、それは書かないが、僕は僕なりに「命を懸けて守るべきもの」
を意識して生きている)
それとは別に、国家にも「守らなければならないもの」が存在する。「安全保障」と言えば良いだろう。
当然だが「個人として守りたいもの」と「国の安全保障の中味」が一致することもあれば、微妙に、
あるいは決定的に違うこともある。「個人の守るもの」と安全保障の乖離。人間世界の
もっとも致命的な矛盾がそこに存在する。
国は「命を懸けて守ること」を定義して、手段を正当化して「守る主体」に名誉を与える。
だが、国が「命を懸けて守ること」を定義する場面で、どうしても矛盾が生じる。
イラク特措法はかなりいい加減に作られた法律だが、現実には「自衛隊の犠牲」を前提にしている、と思えてならない。
現憲法は「交戦で自衛隊の犠牲」を容認しない。どう読んでも容認しない。でも、現状は「自衛隊の犠牲」は覚悟の上では
ないのか。
まして、改憲で交戦権を認めたり、改憲しなくても、拡大解釈で事実上、認めるようになれば自衛隊員は悩む。
「何故、自分だけが、戦いに行き、死ぬのか?」という思いは当然、出て来る。個人として守りたいものと、
安全保障の方向が違えば、その自衛隊員はやめるだろう。家族だった職業軍人の道に反対することだってある。
戦争がないから自衛隊員になった、という人だっている。早い話が、危ないところに勝手に行ったイラク寄り日本人と、
名誉ある自衛隊員と、どちらの人命が大事なのか?という議論だって起こって当然だ。
国が「命を懸けて守るもの」に関して、自衛隊員と同じように、国民全員が「犠牲を負担する義務」がある、という意見も出る
だろう。事実、アメリカ人は徴兵制で血を流している。アメリカが「同盟国・日本は血を流さないのか!」と言わないとは限らない。
そんなことはあってはいけない、と思いながら、徴兵制の足音が聞こえてくるような気がする。
「安全保障」という人間存在の矛盾に満ちた行為をあえて顕在化して、国民全体に「負担」を強いる動きが徐々に進んでいる。
僕は一国平和主義である。専守防衛に徹底すべきだ、と思っている。絶対、参戦しない。「平和ボケ」と非難すれば良いと
思っている人がいるが、それこそ「好戦バカ」だ。幾ら戦争をしても、結局、最後は話し合いだ。
宗教があり、民族があり、貧富の差があり、世界は一つではない。戦争を回避するには話すしかない。
内政不干渉で、一国平和主義に徹するしかない。と、僕は思う。
アメリカが「日本は何もしない」と言って来たら「基地を提供しているのに、何を言うのか」と
抗弁すればいい。ともかく、ブッシュさんについて行くには、不安がありすぎる。
「ゴアが大統領ならイラク戦争は起こらなかったのではないか」とも書いた。
(これにも反対意見があった。ご意見、ありがとう)
確かに、同時テロは民主党政権の時から計画されていたのだから、ゴアでもイラク戦争をしただろう、
という意見もあるだろう。
事実、アメリカ下院は同時テロの多分、3日後「報復の権利」をブッシュに与えた。多分、賛成400反対1だった。
民主党もアルカイダに対する報復戦争に賛成している。(反対した黒人の女性議員の意見は立派だった)
しかし、イラク戦争開戦では民主党は違う、と僕は思う。同盟国大統領ブッシュはアメリカ史上初めてのことをやった。
「予防戦争」である。イラクが攻めてくるから、大量兵器があるから(と勘違いして、あるいは「ない」と知りながら)
開戦した。予防戦争だ。こんなことはアメリカ史上、まったくない。
第一次大戦、第二次大戦、朝鮮戦争でも、アメリカは多くの友好国と共に戦った。単独戦争は取らなかった。
それが、今回だけはイギリスしか参戦しない、事実上の単独戦争に突入した。その背景にはネオコン勢力の強固な意思がある。
ネオコンがイラク戦争で手に入れようとしなものは‥‥あえて言わない。しかし、それが「アメリカ人が命を懸けて守るもの」
だったのか。疑問だ。
そう考えると、少なくても、ゴア政権が「単独予防戦争」をするとは思えないのだ。
イラク占領政策の失敗は「単独予防戦争」に起因している。歴史は一人の狂気で書き換えられる。
人々はその『狂気』に気づき、排除することで平和を守った。しかし、ヒットーラーの狂気に惑わされた歴史もある。
「命を懸けて守る」ことは正当化する段階で「狂気」が出たら、世界は破滅だ。アルカイダは狂気だ。ブッシュも「狂気」に近い。
人々が何人も死ぬ。何十人も、現実に何千人も死んでいる。「安全保障」の矛盾を最小限に抑えるのが、政治というものだ。
冷静になろう。「テロに屈するな!」なんて当たり前だ。誰がテロの言いなりになるか。テロを憎んでいるのは、日本人全員だ。
こんな当たり前の言葉で、勘違いの戦争を正当化するのは、あまりに愚かではないか。
ブッシュさんは、イラクと戦争することで、逆にテロ集団をイラクに集結することを可能にした。シーア派と対峙することで、
テロが狙う「大混乱」を作り上げた。
自爆テロがこの世から全てなくなると、みんなはそう信じているのか。僕はそう思わない。
民族があり、文化があり、宗教があり、貧富の差がある。テロはなくなる、と思いながらも‥‥なくならない、と思うのだ。
「テロに屈するな!」と言い続け、結果的に戦争状態を世界に拡げ、自由国家の人々がテロの犠牲に、戦火の犠牲になる。
それが、効果的なテロ対策なのか。
政治家はテロとも話し合わなければならないケースだってある。ルートを作って話し合わねばならない。
小泉さんも、それを知りつつ「テロに屈するな!」と言い続ける。もちろん、策はあると思うが「テロに屈するな!」が
「日本人が命を懸けて守るのは反テロ国家」ということになったら。小泉さん、苦しいだろうが、冷静になってくれ。
昼からTBSラジオ→JRA六本木事務所。午後8時半ごろ、仕事場で夕飯を食べていたら、宗ちゃんがやって来た。
近くの亀清楼でスポーツ新聞社長会が開かれ、その帰りだという。そこで浦霞で酒盛り。彼の携帯に電話があり、
日本人3人解放の一報。良かった。とりあえず、良かった。
勝手に戦闘地帯に入り込んだ3人が悪い、という議論が強くなって「変わり者キャンペーン」が始まっていたので、
複雑だった。国民上げて解放を要求する姿勢が必要だった。まずは、一安心。良かった。
<何だか分からない今日の名文句>
「好戦バカ」より「平和ボケ」
4月14日(水) 便秘
朝、東京専売病院で定期診断。血圧130−70。順調だが、浮かぬ顔の僕に「元気がないですね」と大山ドクターが尋ねる。
「実は、胸の辺り、背中の辺り、ちょっと痛いんです」と打ち明けた。「痛さ」の種類を聞かれるが、どう説明したら良いのだろう。
切り込むような感じではない。あえて言えば、筋肉痛のような感じだ。
聴診器で調べてもらうが、分らない。胸を押さえてらっても、猛烈、痛いというわけではない。原因不明。「大丈夫ですよ」という
ことになった。
診断を終え、急いで仕事場に戻り、テレビの党首会談を見る。小泉さん、疲れている。名文句が出てこない。倒れたら大変、という
印象である。
小泉さんは「もう後戻りは出来ないんだ」という思いだろう。ブッシュは「後戻り」できないが、小泉さんは違う。「後戻り」して、
自衛隊を撤退して、国連中心の戦後統治を模索すればいいじゃないか。服従の同盟関係ではなく、対等に協議する同盟国になれば
いいのだ。
加藤駐米大使は立場として「アメリカ支援」を主張する。その加藤さん、人徳があるから外務省の意思は加藤さんよりだ。
(加藤さんは田中真紀子さんが外務次官に推した人物)しかし、小泉さんは独自な政治家の判断が出来るじゃないか。
このままでは「歯止め」が利かない。アメリカは更なる要求をするだろう。自衛隊派遣→戦闘→自衛隊の犠牲者→徴兵制に向かわざる
を得なくなる。
今、「後戻り」せよ!
日本人3人の人質ぐらいの被害では終わらない。参戦すれば「徴兵制」という名で、日本人全員が人質になってしまう。国際貢献
なんて美名に騙されるな。日本は「一国平和主義」を貫き通す。
夜、身体の節々が痛くなった。風邪ではないのだが‥‥そこまで来て、やっと便秘が5日間も続いていることに気づく。
色々な工夫の末、悪戦苦闘の末、深夜、腹の調子は正常になった。身体の痛みはなくなった。
皐月賞。地方馬コスモバルク、人気沸騰。唐突ではありますが、皐月賞3連単を断行することにします。
<何だか分からない今日の名文句>
小泉さんも糞詰まり?
4月13日(火) 「大商い」連続33日
出社したら、尊敬する同僚カメラマンから、個人的な相談を受けた。娘さんが台湾に留学しているのだが、帰国して
中国語を生かし、警視庁の特別捜査員を目指したいと言っている‥‥という話。外国人の犯罪が急増して、こんな新しい
職業が出来ていたのか。知らなかった。取調べするのに通訳が要る。意味のある仕事じゃないか。外国人の冤罪を防ぐ意味でも、
喜ばしいではないか。
ことしは都庁の職員が100人、警視庁に出向して、経理関係の仕事に従事することになった。その分だけ、会計・総務を
していた警官が捜査畑に戻る。首都の治安悪化。凄まじいものがある。
昼、ホテル・ニューオータニで開かれた東京西南ロータリークラブの例会で、30分の卓話。「イラク戦争と田中角栄」という
タイトルで話した。田中は独自の中東政策で、アメリカと反目した。その結果、ロッキード社の秘密文書がチャーチ委員会に誤配
されて、ロッキード事件が明るみに出た。アメリカの謀略? 田中は逮捕された。つまり、石油をめぐる日米の戦いだった。
その頃から、日米同盟重視の福田派と親中国の田中派は、外交政策が違う。角栄は「アジアの連帯」の中核に日本を据えようと
していた。
ゴアが大統領ならイラク戦争はなかったように、野中が首相なら、自衛隊派遣はなかった、と言った僕の分析を話す。千代田区
教育長だった栗岩さん(競馬仲間の「四谷稲荷神主」栗岩太郎のオヤジ)の依頼で引き受けたが、みんな、熱心に聴いてくれた。
東証が33日続けて「大商い」。バブル期を超えた。若干異常。戦争になると株が動くのか。新聞はあまり書かないが、これが一番、
生活に影響を持つのでは。
社に帰ると、毎日新聞社が「社長監禁報道」で週刊新潮を名誉毀損で提訴した、と聞かせれる。少し複雑。
イラクの日本人3人の居場所は以前不明。「駐留していない国の民間人」は即解放。「駐留する国の民間人」はそのまま拘束。
というのが武装勢力の基本原則らしい。日本人の3人は「駐留する国の、イラク寄りの民間人」というところが難しい。奴らも、
解放していいものか、意見が分かれているのだろう。
駐留しているイタリアの民間人が人質になった。事態はさらに難しくなる。
深夜「名馬と時代」を書き上げ、久しぶりに掲示板を読む。ロマン掲示板に名人・万馬券造さんが復帰しているではないか。
うれしいじゃないか。
本家・掲示板の方は、生き生きと盛況。喜ばしい。エッチ教授の肩を持ったので、僕に対して、お叱りあり。申し訳ありません。
エッチ教授も犯罪だが、もっと「見えない組織的な大犯罪」がある、と言いたかったのですが‥‥もう、エッチの味方はいたしません。
もちろん、私はエッチではありません。午前4時、掲示板を覗きながら、缶ビールを一本飲んで寝る。
<何だか分からない今日の名文句>
俺の相手は大悪人!
4月12日(月) 覚悟に「ここだけの話」
朝「ここだけの話」執筆。新聞の決まり文句「イラク支援」の恥ずかしさを書く。新聞は「イラク復興人道支援」などと
書かず、ハッキリ「イラクに置けるアメリカ支援」略して「アメリカ支援」と書けば良いのに‥‥と言った論旨。覚悟して
書いた。何しろ、新聞批判だから‥‥何度も何度も、書き直した。揚げ足を取られると困る。
この前「花屋のオヤジ」にあった時、彼から「今時、護憲を主張する記者は牧さんぐらい」と言われたが、別に僕は護憲派
でもないし、ごく普通に「ヘンなもの」を「ヘンなもの」と指摘しているだけだ。が、権力側から見れば「気に障る記者」
なのだろう。
アメリカなら何人殺してもいいのか。一週間に600人も殺す異常心理の米軍‥‥日本人は、これを放置していいのか。とても
「人道支援」なんて言葉、僕は書けない。
植草一秀教授が高校生のスカートを覗いて逮捕された。残念。数少ない正統エコノミストなのに。面識がまったくないので、
人物を評論する材料はないが、前科があるらしいから“病気”というか“ヘンな趣味”なのだろう。
別に教授を弁護するわけではないが「見てくれ」と言わんばかりのミニスカート。現ナマをいれた金庫のドアを開けている
ようなものだ。
東京都迷惑防条例違反。どのくらい迷惑をかけたのか。それにしても「申し訳ない」と認めているのに逮捕。別に逃亡の恐れ
もないのに。彼は小泉経済を批判する、数少ない反御用学者。結果的に、テレビから小泉批判がまた消える。クワバラクワバラ。
「世界週報」を出稿。字数が足りない、という編集部の指摘。当方は「2000字でお願い」を「400字詰め原稿用紙2枚半」
と思っていたのだが‥‥2000字とは純粋に2000字のことだそうだ。ちょっとトラブル。
よくよく考えてみれば、若い編集者に「400字詰め原稿用紙」と言っても分らないだろう。原稿を「行」で書く僕。彼女は、
字を打つ感覚。すべてコンピューターの編集に、こちらがあわせなければならないのが、ちょっぴり憂鬱。でも、悪いのは僕
なんだろう。
夜、競馬関係者と懇談。この人とは初めての意見交換。「競馬は国庫納付金のためにあるのではない、ファンのためにある」と
主張する。真面目な、真摯な意見開陳に感服した。おおむね賛成である。その真摯な姿勢を、日本の経済状況と、どうバランスを取るか。
問題はそこにある。
深夜、テレビにかじり付いたが、日本人3人の解放はまだ実現しない。長期化を覚悟、という雰囲気。それより、小泉さんは
チェイニー副大統領と何を話したのか、それが問題だ。
<何だか分からない今日の名文句>
敵は本能寺?
4月11日(日) アメリカは小泉さんの顔を立てるか
日本人3人の人質事件。ブルガリア人、スペイン人、アメリカ人など30人ぐらいが、人質の被害にあっているらしい。
世界が人質に取られた、という感。
ファルージャの戦いを一時、停戦することで、アメリカが納得したようなフリをしているが。どうだろう。全ては、米軍と
スンニ派のゲリラ戦から起こったことだ。
どうなるのか。アメリカはテロと交渉しない、と言うのが原則だが、日本は戦争当事国ではない。
アメリカは小泉の顔を立てるか。小泉政権を見捨てるのか。
戦士旅団の「釈放する」というメッセージは12日未明の段階では実現されていない。冷静に考えよう。イラク特措法を
守る時だ。イラクは戦場だ。
土曜は市川で倅、孫と過ごしたが、結構、多忙。今夜(11日夜)もちょっと忙しいので、日記はここまで。
<何だか分からない今日の名文句>
戦勝はこの地の名誉、平和は地球の名誉
4月8日(木) イラクの「テロ」=ブッシュの「テロ」
心配していたことが起こった。と言うより予想通りのことが起こった。3人の日本人がイラクで拘束され、テログループは
自衛隊撤退を要求した。今、イラクでは、ソフトターゲットの民間人がやられる。捕まえた日本人捕虜の姿をテレビで放映され、
最大限に政治利用しようとするグループ。「民間人がターゲットになるとは思わなかった」なんて嘘をつく日本の指導者。これも
予想通りの展開だ。
3人が「本当のイラク支援のボランテイア」なのはあまりに皮肉だ。が、もしかして、グループは「ボランティア」として有名な
高遠さんを狙っていた可能性もあるかもしれない。
しかし、ごく普通に考えれば、かの地では、日本人は誰でも悪人になりかねない雰囲気だという。駐留軍に対する反感は拡大している。
犯人グループは直ぐ割れるだろう。地縁、血縁をたどれば判明するだろう。部族社会はそういうものだ。でも問題は時間。アルカイダが
関係しているのか‥‥送られた文書を見れと「駐留軍に強い反感を持つ現地人」という感じもするのだが、時間が問題だ。送られてきた
写真には切迫感がない。それが救い。このまま、拘束された3人と犯人グループの間にキズナが生まれ、解放されることを祈る。
深夜からの動きを見ると、政府は自衛隊撤退拒否。これも予想された途中経過。予定通り、アメリカが日本を高く評価する声明を
出した。後は「テロに屈するわけにはいかない」というキャンペーンを続けるぐらいしか能がないのか。
相手が分らない段階では、そうせざるを得ない。残念ながら、日本はアメリカと「アベック泥沼紀行」を始めてしまっているから、
仕方がない気もする。
昨日の日記で「第三次世界大戦の予感を感じた」と書いた。が、さらにその感が強い。ローマ帝国もそうだが、歴史は「帝国主義は
いつか崩壊する」と教えている。ブッシュ・アメリカは強大な帝国主義を目指して、石油王国を目指し、長いレンジでは「自滅の道」を
突っ走っている。その予兆としてのイラク戦争だ。
テロは許せない。憎む。しかし、イラクのテロの背景には貧困がある。宗教戦争がある。アメリカによる侵略がある。「テロ」という
名の下で、善人・悪人を簡単に分けることは出来ない。
イラクに劣化ウラン弾、クラスター爆弾の雨を降らして、1万人以上のイラク人を殺した米英軍も、現地人から見れば「テロ」である。
「テロ」と「テロ」の戦いを戦争と言う。「テロと戦う側に立って人道支援する」ということは、反米の現地人から見ると「アメリカの
テロを助ける」ということになる。
「自由主義国家郡」という美名の下で、無批判で同盟国の言いなりになるのは極めて危険だ。再三、言うが、日本は同盟国に基地を
提供している。基地を提供してアメリカの世界戦略に貢献している。それで十分だ。イラク開戦の大義を検証するのは、アメリカ人の
仕事だった。日本は参戦しないのだから、大義を検証する立場にはなかった。しかし、自衛隊派遣という言葉で、事実上「派兵」すると
なると、そうとも言えない。きっちり大義を検証しなければならない。我が愛する国家が参戦することにもなりかねないのだから、
当然だ。それが愛国だ。間違った戦いを支持することは出来ない。愛国者だから。
今回の悲劇とは別に、冷静に、法に基づいて、今、判断しなければならない。まず、イラクでは戦争状態にあるのか、どうか。
それを冷静に判断しなければならない。戦争状態にあると認識していながら、自衛隊を駐留させるのは、明らかに法律違反だ。
3人が拘束されたから言うのでは、もちろんない。僕が言い続けていることだ。
冷静に、冷静に、指導者は考えて欲しい。でないと、ある時は「イラクのテロ」に利用され、ある時は「ブッシュのテロ」に利用される。
アメリカの政権が変わった時、日本は新政権から馬鹿にされることだってある。
<何だか分からない今日の名文句>
平和を語るに、臆するな!
4月7日(水) 葉桜、上野の骨董市
上野の桜は約1200本。ソメイヨシノが669本。残りは別の桜。2月には寒桜が5本、咲く。
花見が一段落すると、不忍池西側に一重のシラユキ、八重のシロタエが咲く。でも、、いずれも1本。探すのは無理だ。
元禄(1688〜1703)の頃、日本橋小網町の菓子問屋の娘・お秋が「井戸ばたの 桜あふなし 酒の酔い」と歌った。
「秋色桜」というのもあるらしい。
上野はソメイヨシノの葉桜、脇に晩春の桜。風が綺麗な季節だ。
午前中「名馬と時代」を書き上げてから、ことし最後のソメイヨシノを見ようと不忍池へ向かった。下町資料館の辺りで
「春の骨董市」が開かれていた。ガラクタばかり? だが、毎年、古本に混じって、名作映画のポスターが出るので覗いてみる。
洋画の名作は20000円ぐらい。手に入れたいものもあったが、残念ながら予算が合わない。諦める。予算は先週の競馬の稼ぎ。
10000円しかない。(骨董市は4月21日まで)
池を一廻り。池の淵が真っ白になっているのは、花びらが集まっているから。何故、ここに集まるのか、色々と考えてみたが、
これも良く分らない。
デリーでカシミールカレー。久しぶりなので辛い。鼻から「水っぱな」が出て非常に格好悪い。
「片桐」のウィンドーに、色合いが素敵なマフラーが飾ってあった。「片桐」は山とスキーの専門店。南極観測越冬隊のポーラー型
テントを作っている。リュックサックを作って90年間の老舗で、品の良い女将がいつも一人で、仕上げのミシンを縫っているのが、
歩道から見える。間口2軒の小さな店だ。
「幾らですか。1万円以内なら買っても良いけど」と言うと「8000円だから、あんた、買えるよ。それに季節外れだから
4000円にしておく」と言うので、買う。マフラーを買おうなんて思うのは、伊達メガネの韓国俳優ヨン様が来日しているからか。
奴のおかげで、韓国ではマフラーが飛ぶように売れている。
仕事場に戻って原稿3時間。ニュースラッシュ。「首相靖国参拝は違憲」と福岡地検。首相は私人だ、と言うが、在任中の首相は
何もやっても公人。しかし、靖国参拝より、問題は特定の宗教が国教化することである。
イラクではモスク攻撃。以前にも書いたが、アメリカ帝国主義が、崩壊する前兆のような気がしてならない。第3次世界大戦の
ような気がしてならない。それほど、ブッシュは××だ。
夜、山崎拓さんが小泉さんに「北朝鮮高官との会談」を報告。内容より、会談に同席した女性が隠れた話題?
<何だか分からない今日の名文句>
散る桜は、咲く桜
4月6日(火) 「ここだけの話」はインタラクティブで
この間、斎藤社長が「××さんが君のコラムを激賞している」と作家氏のFAXを届けてくれた。
高名な作家氏は斎藤さんの親友らしい。時々、毎日新聞の紙面作りを私的にアドバイスしている。
FAXの内容。「このコラムは秀逸です。話題が豊富だし、しかも楽しい。論理の運びがしっかりしてゐて、
うまく流れて行って、心を明るくさせる。題もいいですね。つい読みたくなる見出しです。
ただし『−−のここだけの話』のデザインはどうでしょうか。もっと粋な感じのものにしたほうが、
記事の都会的な風格に似合うでせう」
お褒めのお言葉、ありがとうございました。やはり、読者から褒められると、うれしいものだ。
だから古巣のサンデー毎日編集部にも「お褒めの言葉」を用意しなければならないのだが‥‥このところ、
憎まれっ子になってしまう。
副編からメールで、この「牧太郎のここだけの話」が毎日新聞のホームページに掲載されている、と知らせてくれた。
知らなかった。
「ここだけの話」の著作権はもちろん毎日新聞社にある。が、関西地区などの新聞に掲載されていないところもあるので、
個人HP「二代目魁」に収録してきた。
それが、正式な毎日新聞のホームページ「MSN毎日インタラクティブ」
に掲載されるのなら「二代目魁」の任務は終わったことになる。(水曜日午前中は、更新のためつながりにくい事もあります)
そこで今週から、皆さんには毎日新聞の新ウェブサイトで読んでもらうことにする。と言っても「二代目魁」の「ここだけの話」を
今まで通りクリックすれば読めることになる。
昼、野暮用でやって来た若者とカツ丼。京都祇園のクラブと暴力団の話が面白かった。
午後、取材。イラクのシーア派と占領軍の衝突はただならぬ様相を見せている。サマワの自衛隊は引き篭もり作戦を
余儀なくされている。どうなるのか、専門家に色々、教えてもらう。
夜、赤坂の「番屋」で「わたしの食卓」湯浅編集長を励ます会。僕が呼びかけ「花屋のオヤジ」がセットしてくれた。
僕が編集長時代の採用したサンデー毎日契約記者の仲間を中心にして9人。
時々、落ち込んでしまう湯浅を励ますのが目的で、言いたい放題の3時間。サンデーの名物デスク・城倉は、
最近、僕が「サンデー毎日の体たらく」を言い続けていることに腹を立てていると思うのだが、
この件に関しては無言。彼らしい。
そこで、改めて「サンデーの体たらく」について書く。昨日の日記で「切り口が平面的」と言ったのは、
ハッキリした原因があるからだ。それはデスクに余裕がないからだ。デスクの陣容を知っている。あまりに数が少ない。
週刊誌経験がない人間が、突然、新聞社の都合で、突然、デスクになる。出来の良い、気持ちの良い奴だから、
断り切れず、デスクに」なったのだろうが、1からの勉強、気の毒だ。
編集長はあまりに気の毒だ。前にも書いたことだが、ここ数代の編集長の中では、現編集長は力量抜群。
結構、スクープを連打したが、彼をしても、サンデーの立ち直しが出来ないのは、出版局の人事政策に問題があるのではないかと、
思われて仕方ない。
一人一人の力量では圧勝しても、全体としての陣容、つまり総合力で週朝に勝てるのか。アエラに勝てるのか。
(ハッキリ言わせて貰うが、僕の時は週朝に誌面では勝っていたと思う。文春には負けたけれど‥‥)
編集長がデスク仕事をしなくてはならないなんて‥‥気の毒だ。俺には、その苦労が分る。全社挙げて、
サンデー支援をしなければ、大変なことになる。「わたしの食卓」も良いけれど、核になるのは何か、みんなで考えなくては‥‥。
城倉は何にも言わないけれど‥‥文句を言い続けるのも、僕の仕事だと思うようになった。
<何だか分からない今日の名文句>
憎まれっ子、世に‥‥
4月5日(月) 月刊現代の「覚悟」
サンデー毎日が届いた。日記で、先週号を味噌糞に、コテンパンに論評した。「自分の会社の商品をそんなに貶して、大丈夫なの?」
と友人に聞かれた。が、正直言って「出来の悪い倅」をコテンパンにしただけ。「愛情」があるから問題はない(と思っている)。
それより、他社の商品を貶して、お世辞で、自社の商品を褒め称えるのはサラリーマンの悲しい性? 褒め称えているうちに、
自社商品が売れ残ることの方が、組織人としては「悪」である。
今週号は、大分、活きの良い商品になっている。読みたいところがある。「人の肝臓を破壊する寄生虫」「毎日かあさん・西原理恵子」
など等。但し、切り口が平面的だ。例えば「『同性婚に反対』は米大統領選に吉か凶か」。「同性婚」は話題になるが、大統領選と絡めるの
はどうだろう。この切り口では、多分、読まれない。大統領選はロサンゼルスでは大きな話題だが、日本ではまだ話題ではない。
「同性婚」という格好なテーマを、単なる大統領選ルポにしてしまう愚。切り口の工夫をしないと、新聞と同じようになる。新聞と週刊誌は
役割分担が違う。漫然と、ルポを待つデスクの姿勢が気に入らない。
岩見隆夫先輩の「サンデー時評」は、見事だ。立花隆批判。立花さんの書くものには「ジャーナリストの現場」がないので、いつも違和感を
感じてならなかった。何か、信じられない気分。資料の分析だけで「現場」がない。机の上のジャーナリズム。僕とは流儀が違う。
でも、雑誌ジャーナリズムの一部は相変わらず「立花」の名前を使えば、世間が納得するだろう、と誤解している。老舗の料理は美味いもの、
と誤解しているよいうなものだ。 週刊文春差し止め問題で、文春側は「立花」の名前で、正当化しようとしている。岩見さんはこの立花論文を
コテンパンにやっつけている。ちょっと痛快。岩見さんが“締め”に使った言葉「筆の傲慢」は名文句だ。
だが、この「差し止め」騒動、どう捕らえるか、中々に難しい。「ここだけの話」に是非、取り上げたいのだが、難しくて悪戦苦闘。
金曜日に書き出し、月曜日の朝になって、何とか文章になったが‥‥下手糞!と言われるのは覚悟の上で書いた。読んでくれ。
午前中の野暮用の後、八重洲口で散髪。フケが激しい。店員から「乾燥しているから」と言われたが、10日間ぐらいシャンプー
しなかったから‥‥。
出社すると、僕の前の机に、かつてロシア特派員を勤めた、論説の名文家が座っていた。「記者の目」担当に変わったらしい。
初めて挨拶する。同じ会社にいて、名前は知っているが、話したことがない人が何人もいる。若干、緊張。
夜、銀座中学前の「久原」。JRAの仲間が定年で関連会社に移った。野地ちゃん。人柄抜群の芝の大家である。彼を囲んで、
厄介になった仲間4人で激励会。遥々、美浦から東タイの本誌予想・渡辺ちゃんが参加してくれた。ありがとう。
厩務員ストの話、藤沢さんの話。パチンコの話。麻雀のインチキの話。話題は尽きず、例によって観音裏「ひまわり」へ。なべちゃんは
十八番の「夜霧の第二国道」を歌う。たまちゃんは、お客さんが多くて歌えなかった。
深夜「月刊現代」を乱読み。公明党「汚れた裏面史」は知らないことばかり。「現代」は活きがいいが、覚悟のいる連載に
なるだろう。
<何だか分からない今日の名文句>
筆、ただ漫然(ということもある)
4月4日(日) 北朝鮮で生存する拉致被害者は何人?
「週刊文春の出版差し止め」を命じた東京地裁。差し止め命令を取り消した東京高裁。田中真紀子(長女)側の
対応が注目されていたが「不服の抗告はしない」意向らしい。弁護士さんは「憲法論争をするつもりはない」とわざわざ
言っている。田中家に何が起こったのか。
再開する「ここだけの話」で、田中VS文春の話を書こうと思うのだが、どんな風に書くか、頭を抱える。確かに難しい。
週末、2,3回書き直したが、上手く書けない。
山崎拓さんと平沢勝栄さんが極秘で北朝鮮側と協議した件が「二元外交」と非難を浴びている。ごく普通に考えて「小泉首相の
特使」という雰囲気? で出張った協議だろう。その是非については、必ずしも否定出来ない気もする。経済制裁で苦境に立つ
北朝鮮。参院選を前に点数を稼ぎたい小泉さん。
協議の焦点は「5人の家族を、何時、どこで日本に返すか」から、すでに「死亡した拉致被害者のうち何人かが実は生きていた」
というところまで進んでいる、と推測できる。僕は2002年9月24日の「ここだけの話・生きている理由」、10月29日
「ここだけの話・死亡確認書の筆跡が‥‥」で拉致被害者のうち「死んだ」と発表された8人は全員生きている、と推論した。合理的
根拠を上げての「推理」である。
「死んだ」と発表された8人は全て日本語教師。8人から日本語の教育を受けた工作員が日本にいる間は、8人を帰国させることは
出来ない。少なくとも、日本の公安当局が写真照合を頼む。だから「死んだこと」にしなければならない、と僕は推理した。
もう、工作員は日本から消えた。そろそろ「実は生きていた人」が出てきて可笑しくない。平沢さんは、この辺りの駆け引きを匂わし
ているらしい。もちろん、北の巧みな分断戦略ではあるが、まったく無視する訳には行かないのだろう。日朝は動き出した。
4日は雨。北関東では「4月の雪」。寒かった。
<何だか分からない今日の名文句>
歴史は「点数稼ぎ」で動く
4月1日(木) 「私が真紀子さんなら‥‥」
「週刊文春の出版差し止め」を命じた東京地裁。それに対して、高裁は31日、差し止め命令を取り消した。
1日朝のワイドショーはこの話題がメイン。
高裁の判断は
@週刊文春は田中真紀子さんの長女らのプライバシーを侵害した
A記事に公共性や公益はない
B表現の自由に対する重大な制約になる事前差し止めを認めるほど、
重大な損害を長女に与えていない‥‥の3点に集約できる。
文春側は「表現の自由が崩壊の瀬戸際で守られた」とコメントしたが、問題は、公共性、公益が
認められなかったことにある。報道機関としては、文春の敗北である。
事前検閲が否定されたことは喜ばしいが(というより当然だが)「公共性」の存在には、意見が分かれるだろう。
テレビの討論に参加した識者は、この高裁の判断を受けているので、記事の内容に具体的に触れない。
プライバシーを侵害したことになる、と思うのだろうが、具体的に触れようとしない。テレビ局の意向だろうが、これはおかしい。
「長女の私生活」という表現で、何のことやら分らない。
記事を読んでいない友人は「長女の出生の秘密なの」と聞いてきたが、実はそれほどの秘密ではない。
はっきりしないと誤解を生む。問題になった記事は「離婚」のことである。
テレビ討論をするなら、はっきり「離婚を報道すること」がプライバシー侵害になるのか、
議論しなければならないだろう。少なくても中途半端な議論になる。
中途半端と知りつつ、報道する苛立たしさ。これが、今回の訴えの狙いなのだ。テレビ局の事前自己規制を狙った訴えなのだ。
「結婚」も恥ではない。「離婚」も恥ではない。普通の出来事だ、と僕は判断している。離婚したから、
君に堂々と求婚することが出来る、と胸を張ることだってある。
週刊文春が「独占スクープ」なんて、大げさに報道するから、こんなことになったが、「ゴシップの自由」の範疇の話だ。
離婚で傷ついたであろうことは分る。厳密に法的に判断するば、非常に難しいところだが、一昔前なら政治家の家族の出来事は
「有名税」の一つだった。それほど、深刻なプライバシーではないように思う。
報道は人を傷つける。自戒している。しかし、もっと許せないプライバシー侵害が存在する。
午後、ある人物が電話を掛けて来た。「お母さんが偉い人だったから、訴えられたんでしょ。私なんて、とても出来ないわ」。
彼女は「私が真紀子さんなら『有名税よ。我慢しましょう』とアドバイスするナ。だって、真紀子さんなんか、
小渕さんのことを『お陀仏しちゃった』なんて、名誉毀損してばかりだもの」
<何だか分からない今日の名文句>
唇さむい今日明日
3月31日(水) 郵政公社の頓挫 総額表示の狙い
明日4月1日、色々なことがスタートする。
消費税の総額表示。次男がスーパーに勤めているので関心がある。今夜、夜遅くまで、値段の付き替えで、忙殺される
らしい。50銭の端数をどうするのか、小売業は悩んだようだ。
何故、総額表示にしなけらばならないのか。簡単に言えば「税金を幾ら払ったか」を意識させない方策である。酒を買うとき、
幾ら酒税を払ったか、タバコを買って、幾ら税金を払ったか、消費者はそれほど関心をもたない。それと同じように「守秘税」を
忘れてもらう方策。つまり消費税の酒税化? である。
消費税値上げは参院選挙後、政治日程になる。はじめ7%。結局10%になる、というのが、僕の予想だ。
郵政公社はこの秋、北京、上海で駐在員事務所を開く予定だったが、中国国家郵便局(郵政局)から許可が下りなかった。国際郵便
市場参入が民営化の第一歩だと思っていたが、頓挫した。公社はそっと、目立たないように広報したらしいが、これは小泉民営化の失敗。
海外戦略に大きなダメージになるが、民主党は、この失態を追及するのか。多分、まだ、気が付かないだろう。
国立大学も独立行政法人になる。教育が営利に走ることに、僕は相変わらず疑問を感じる。金持ちだけが、教育を受けられる。
法科大学院で「金持ちしか弁護士になれない」という雰囲気だそうだ。
授業料も、国立大学が独自な判断で決められる。52万円の基準額はあるが、10%の幅で独自に決める。幾らにするか、関係者は
悩んでいるそうだが、もし、52万円で揃うと、公取委は「独占禁止法違反」で取り締まるらしい。国立大学の本来の趣旨から考えれば、
安い一律の授業料、一律のサービスを受ける方が良い、と確信する。
それより、問題なのは「常識のない横暴学長」の存在である。学長と理事長の権限が一人に集中して、やりたい放題である。まるで
中小企業のオーナー顔負けのワンマン学長の下で、職員がビクビクしている。人事権が横暴学長にあるのだから‥‥何となく、教育の
中小企業化?
ともかく、ことしの4月は、色々なことがスタートする。
31日は終日、野暮用。夜、親しい税理士と浅草観音裏の金太楼寿司で一杯。昨日の日記で触れた「2005年ペイオフ完全実施」
に関して、彼は「また凍結するのでは」と観測。これも、参院選後、議論になるのか。新聞は「ペイオフ」のことなど忘れて「景気回復。
株高で銀行の含み損解消」と書いているが、そんなに世の中、甘くはない。地域金融機関をどうするのか。難問山積ではないか。
<何だか分からない今日の名文句>
小泉は左手に電卓、右手に民間本