編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2004.7月

7月29日(木) おかしいぞ!日本の‥‥

 出社すると、たまちゃんが「忙しいでしょ」と気の毒そうに尋ねる。忙しくもないが「白骨の件」で、 何人かの方が「徹底追及!」を主張しているのに驚き、歪んだ「岡引モード」が充満しているのに唖然とした。 ああ、岡引根性の3流国。情けない。それが、悲しくて「忙しくないが、日本という国に嫌気がさして、 ちょっと落ち込んで、朝酒を飲んだだけ」を告白した。

 たまちゃん「牧さんは、ここだけの話では、書かなかったけれど、あれでは自殺者が出そうですよネ。 自殺者を出すほどの話ではない。牧さんのコラムで救われた人もいるでしょう」と元気つけてくれた。

 正すところを正し、許せることは許す。寛容の徳を持たなければならない。

 弱者を苛める人が「巨悪」を放置する。橋本龍太郎さんが派閥の長を辞めるとか、居座るとか、 書いているが、そんな話ではない。「参院選で頼む!」と一億円の小切手を渡され、背広のポケットに入れたのなら、 公選法違反だ。逮捕すべきだ。逮捕させなければ、金権政治はなくならない!

 これは寛容の範疇ではない。許してはいけないことだ。マスメディアは一億円の違法性を立証する努力が求められる。 これが調査報道だ。政界の権力争いに矮小化してはいけない。

 いつも、同じ罪でも「権力者」は捕まらない。Xさんは「犯罪でした」と“自首”したらいい。 日歯連事件は「Xさん」を標的にした大事件なのだから。

 小泉さんの虚言癖も相変わらず。官房長官が「総理任期中の消費税引き上げあり」と発言。 その夕方「みんな先走りだ」と涼しい顔。冗談じゃない。細田さんに言わせたのは、小泉さん、あなたでしょ。 国民は、全てお見通しだ。なぜ、記者は突っ込まないのか。

 発売中のNewsweek日本版を見てみる!「おかしいぞ!日本のマスコミ」の見出しが躍っている。

 週末、居座り台風が不気味。ご用心あれ。

 愛馬・レースウィングは日曜日、函館の12レースに出る。見に行きたいが、懐が寒い。新潟は、多分、晴天? だろうから「関谷記念」を見に、第二の故郷・越後へ行こうかな。

<何だか分からない今日の名文句>

「おかしい米国」に笑われる

7月28日(水) お答えします!

 「ここだけの話・(白)骨折り損の‥‥」に異論あり、というメールがかなり届いた。 白骨の騒ぎを「笑って捨て置け。これがおとなの度量」という僕の意見に、立腹された方がいる。 率直なご意見、ありがとう。真面目な、真摯な方ばかりで、僕の真意を聞きたい、と言われる。

 コラムニストは「言い訳」を書くべきではない。書いた作品だけで評価されるべきだ、と思っているが、少し書きたい。

 良いか、悪いか、と問われれば、草津の湯の入浴剤を入れた「白骨温泉」の行為は悪いに決まっている。 馬鹿げたことだ。マスコミを賑わせても良いだろう。悪知恵がバレたら、お笑いだった。そんな感じのゴシップの類。

 報道が過熱して、それこそ、当事者が追い詰められて、自殺でもしかねない大騒ぎ。 地域経済に致命的な打撃を与えるような事柄ではないと思う。笑いながら、忘れていいじゃないか、というのが、僕の感想だ。

 今、「巨悪」が胸を張って歩いている。権力が構造的に人を騙す。権力が職を奪い、搾取する。 日本の富を平気で異国に叩く売る。「巨悪」はウジャウジャしている。

 昨日も書いた「日歯連の小切手1億円献金(ワイロ)事件」。途方もない金が闇で動き、 表沙汰になりそうになると平気で書類を書き換える。

 日歯連の6万人の会員はすべて自民党支持という訳ではない。社民党、公明党、社民党、共産党、無党派層‥‥もいる。 6万人の主義主張は違う。その意見が違う会員から一律、年3万円の会費を集める。 18億円。そのかなりの部分を特定政党の親分が持っていく。税金の掛からない金。だからキックバックする。

 この種の「巨悪」のカラクリが、あちこちに転がっている。悪事にも軽重がある。全ての悪は許さない。 それが正義の姿勢だが、その追及にはバランス感覚が必要である。重い悪を懲らしめなければならない。

 いま「小悪」は追及するが、「巨悪」には触らない「大人」が多すぎる。「触らぬ神に祟りなし」と見て見ないフリをする。 見て見ないフリをするのが「大人」と勘違いしている。それは本当の「大人」ではない。

 英語で「大人」は普通adult。法律上の「成人」。知的・感情的な大人を表現する。僕が「おとなの度量」 と書いた「おとな」はmature。果物・チーズのように熟した「おとな」である。熟した「おとな」は、 それ相応の度量を持つ。しかし「おとな」が「これだけは許せない!」と立ち上がると事態は変わる。 「大人」だから、世の中を変えることが出来る。

 マスコミには経済的に、時間的に、人的に、そのエネルギーに限界がある。「おとな」が「巨悪」に 敢然と立ち向かうには、気力、体力、タイミング、そしてジャーナリズムの団結が必要だ。 それほど、調査報道は難しい仕事だ。

 小さな悪、小さな失敗を「これでもか!」「これでもか!」と追及していたら「巨悪」と立ち向かう力はなくなる。 結果的に「巨悪」を眠らし、太らす。

 「白骨」の一件、報道にたる騒動だが、これはゴシップの類とするのが「おとな」と選択、と思った。

 本格的な「巨悪」追及には、準備が必要だ。その時期ではないのか。

 メールには出来る限り、お答えしたいのだが(事実、真摯で熱心な方、数人にはお答えしたが) 時間的にすべてお答えするのは無理。日記に書いて、お答えとしたい。 (「牧さんの意見に大賛成、という方も多かったが、返事を出していない。申し訳ない。乞うお許し。 毎日新聞の同僚の中で、この件で、読者の問い合わせに応えてくれた人がいる、と聞く。ご苦労をかけました)

 未明、メールの整理などで眠れず、朝の内、ちょっとお酒。返事を書くのに結構、神経を使い、 精神的にはちょっと苦痛である。「たまに口汚く批判されるのは、コラムニストの宿命」と思いながら、 珍しく朝酒。親友に電話するが不在。愚痴の一つも言いたい気分だったが、その後、ぐっすり眠る。 それですっきりするんだから間違いなく「余力」はある。人気コラムニスト?は強靭でなければ‥‥と自惚れる。

 夜、僕の「ただ一人の追いかけさん」の訪問を受ける。オリンピックのバタフライの選手だった方がご一緒。 57歳にしては実に若い。二枚目だ。さわやかな映画スターの雰囲気で、楽しかった。

<何だか分からない今日の名文句>

渇して井を穿つ

7月27日(火) 隅田川花火大会は31日

 早く出社して、早く退社。午後6時半には、葛飾納涼花火大会の柴又へ。夏休みに入った優之介のお供。

 帝釈天の参道は若い、茶パツのカップルで埋る。茶バツの浴衣姿が目立つ。ウイークデーということもあって 家族連れは少ないようだ。

 花火が好きだ。牧家の家紋は三河桐だから、徳川家康と一緒に江戸へやって来た町人だったのだろう。 三河は花火好き。多分、花火の発祥の地だと思う。江戸も後期になって、諸国名所名勝案内といったガイドブックが 続々と版行されているが、和火に関しては三河ものが多く「三河名勝図会」の「三州吉田神社の天王祭」の項に 花火の種類が載っている。この祭礼花火に綱火、車火、大筒、流生‥‥これらは、全国制覇した徳川軍の軍備と無縁ではないだろう。

 小さい頃は、今の仕事場の前の隅田川で花火が打ち上げられていた。両国の花火。料亭だった実家・深川亭には2つ、 大きな桟敷があって、この日は書き入れ時。小学生の僕は「お燗番」で、テンテコ舞いだった。

 両国の花火が「隅田川の花火」に名前が変わり、場所も1キロぐらい上流になってからは、 大川沿いの仕事場から打ち上げ花火が見えなくなった。隅田川の流れが大きく曲がっている。

 葛飾の花火は江戸川の「矢切の渡し」辺りで打ち上げられる。隅田川とはスケールが違うが、 打ち上げ地点から観客席が100メートルと近いところにあり、花火の匂いがする。

 参道で名物のそば。優におもちゃを買って、倅一家と市川駅前のファミリーレストランで遅い夕食。ちょっと散財。

 「ここだけの話・(白)骨折り損の‥‥」には、早くも読者の反応があった。「巨悪を眠らせる」とは、 具体的に何を指すのか?という問い合わせ。

 例えば、日歯連の「小切手で1億円献金事件」。受け取った橋本平成研会長は「責任はない」と涼しい顔だが、 日歯連は会員6万人。会費は年3万円。計18億円が集まり、組織運営費はたかだか3億。残りの15億はどこに消えたのか。 これを追及するのが、我々の仕事だ、と思うのだが。

 「ロッキードの毎日」の生き残りは「白骨温泉の疑惑」で、お茶を濁されて困るのだ。

<何だか分からない今日の名文句>

巨悪報道も「玉屋!鍵屋!」の心意気

7月26日(月) 「漸悟」と「頓悟」

 朝、久しぶりのにわか雨。涼しくなった。

 「生命の光・7月号」が届いていた。急いで、手島郁郎さんの「聖書講話<マタイ伝>主イエスの伝道」を開く。

 9章の有名なくだり。(と言うより、中風が登場するので、かつて読んだことがあるだけだが) イエスが中風の者に「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言うくだり。 中風の者が起き上がり、家に帰って行った。

 「罪は許された」ということはどういうことを言うのか。よく分らなかった。手島さんは 「キリストにふれた瞬間に救われる」と解釈している。

 「仏教の悟りについては“漸悟”と“頓悟”ということばがあります。修行を積んで次第に悟っていって 救われる漸悟と、突然、一挙に悟って救われる頓悟です」と書き、キリストは頓悟だという。 キリストの御業が始まりだしたら急激な変化が起こる。魂をひっくり返す回心頓悟に入ることを心がける、 それが原始福音だと説いている。

 「よく考え、研究した末にあなたについていきます」ではない。イエス・キリストは神について 空理空論を言っている者とは縁がない、という。

 これは理解できることだ。空理空論で、飯を喰う宗教学者が余りに多すぎる。

 イエスが取税人のマタイを召したところに意味がある、と手島さんは書いている。 宗教学校で学んだこともなく、金儲けばかりしていたマタイを選んだところに意味がある、とも言う。 議論は宗教ではない、というのが原始福音なのだ。

 神学校もいらない。神学の勉強もいらない。キリストの霊が臨在するだけで救われる。

 彼の「聖書講座」は既存の教会の教えと大分、違う。分りやすいような気がする。というより、宗教というものは、 そういうもののように思えてならないのだが‥‥。

 「ここだけの話」では、白骨温泉の馬鹿げた「大騒動」を皮肉ってみた。どうでもいいことを追及して「巨悪」 を眠らせるマスコミ人。日本のペンはヘンだよな。

 午後「おけら街道」を書き上げ、夕方、散歩。ちょっと雨が降るが気持ちいい。

 深夜、メール整理。アフリカ・ガーナから、日大一高の先輩から「二代目魁を読んでいる」とメール。 卒業以来、音信普通だったが、先輩、ガーナにいたのか。懐かしい。どこで知ったのか、僕のホームページを読んでいたとは。

 そういえば「サンプラザ中野」とかいう芸能人(曖昧な認識で申し訳ないが、有希に聞いたらミュージシャンだと言う)が 「二代目魁」の熱心な読者で、当方に是非とも会いたい、と言っているらしい。 「二代目魁」はこのところ、一日のアクセス件数2000を越えている。個人のホームページでは盛況の部類らしい。 寝る前に掲示板拝見。新しい人も徐々に増えている。うれしいじゃないか。

<何だか分からない今日の名文句>

神の子は溺れない、日本のペンは溺れてる

7月25日(日)  武田は只者ではないぞ!

 にわか雨が欲しい週末。炎暑は弱まってるが、それでも最高気温34℃前後。 赤く焼けた街路樹が痛々しい。

 こんな時は極力、外出を控える。だからと言って、コクのある読書も疲れるから雑誌の乱読。 「LEON9月号」を見ると、もう秋のファッション。 イタリアオヤジの「M−65」を特集している。あの米国軍用「モデル65」を 祖にするミリタリージャケットが今、イタリアで大ブレークしているというのだ。 この秋、丸の内のビジネスマンが「M−65」になったりしたら‥‥ファッションも ‥‥思想も‥‥。

 競輪界に、武田という超大型ルーキーが現れた。寛仁親王杯の2日目で見せた 「2周逃げ残り」。鮮烈だった。24日の準決勝。日本一の逃げ男・村上と五分に渡り合い3着。 決勝は捲くり不発だったが、こいつは只者ではない。30歳の遅く来た新人。けれんみがある。

 このシリーズ、売上げがどん底だったが、怪物候補の誕生。ウキウキする。

 25日夜、例のオウム外伝「国松警察庁長官狙撃事件」は 容疑者起訴見送りの可能性が出てきた、という情報。この日記でも、なぜ、選挙前の時期に 着手するのか、疑問だ、と書いたが、実行犯の特定が難しいのだろう。公判維持が難しい。

 「テロに強い小泉政権」をアピールして、同時に新聞、テレビから「他のニュース」を 退場させた、サプライズ効果はどうだったのか。これは自民の敗北で、分析できないが、 今回の逮捕劇には無理がある。

 小杉容疑者が事件と無関係とは思わない。が、政治的な事件着手はいつも黒星になる。 再三、言うが、現場に落ちていた北朝鮮のバッチを洗い出すのが、本筋ではないのか。

<何だか分からない今日の名文句>

事件は「現場百遍」

7月22日(木) 牛丼解禁まで

 過ごし易い。30℃を越えていても、涼しい感じ。助かった。

 JR浅草橋周辺をやっと朝散歩。松屋フードに新メニューが登場していたのに気づいた。牛ごぼう丼。 ごぼうとにんじんの細切り。半熟卵、それに僅かな「牛丼(玉葱入り)」がのっている。牛丼の復活に備えての“準備期間”に入った?

 「若い牛」が全頭検査から外すことになって、解禁が近づく。アメリカから船便で運ぶのに1ヶ月。吉野家などは 「全店、24時間牛丼復活」には3ヶ月かかる、と言っているようだが、もう直ぐ、天下はれて牛丼が食べられる。

 午前中「名馬と時代」を書き上げる。今回のオーンワードザアは「3つの名前を持つ競走馬」。面白いから読んでくれ。

 午後、TBSラジオで番宣の写真を撮り、いつものようにJRA六本木事務所に顔を出す。 例の松戸競輪友の会は次回は26日(月)だそうだが、予定があって行けない。報知の竹さんに軍資金5000円を渡し、 車券を買ってもらうことにした。

 「おけら街道」で書いた「なぜ、京都WINSでは、はくぼ競馬が買えないのか?」という指摘。 JRAで話題になっていた。どこの店でも、同じ時間に、同じ商品が並ぶのは当たり前のことだ。JRAの更なる努力を切望。

 「田園調布に家が建つ」の星セントさん死去。56歳。若い。たまちゃんと同じ年じゃないか。天才は早死にする。 売れていた頃、家に帰らないほど、遊びまわったそうだから仕方がないか。

 暫く水を入れなかったのがいけなかったのか、喰わず芋の葉が一枚茶色く変色した。猛烈な暑さだった証拠。

 でも、久しぶりに、熱帯夜とお別れ。

<何だか分からない今日の名文句>

遊び人薄命

7月21日(水) 土用の丑の日

 猛暑2日目。東京専売病院で定期問診。まずは順調。11時には36℃を越えていて、歩けば汗みどろ。

 とりあえず「クーラーが効いている」という理由で出社。とても、マチダネ取材の意欲はない。

 読者からメールが一通。「ここだけの話・スリ替え講座」は、スリ替え容認論で小泉擁護で怪しからん、 というご意見。エッ?

 覚悟して、小泉大批判を書いたつもりだが‥‥皮肉が読者に通じないとすれば‥‥当方の筆の未熟、としか言いようがない。

 どう、返事を書くか。この所、良いにつけ、悪いにつけ、読者の反応が多い。喜ばなければならないのだが、 あまりの暑さゆえか、返事を書く意欲なし。

 午後、東京を離れて野暮用。帰る途中、今日は土用の丑の日と気づき、牛込あたりの小さな鰻やに入った。 テーブル席が2つ。上がりかまちに、座席が2つ。小さい小さい店だが上手い。

 鰻は疲労回復だけでなく、ガン予防になるという説もある。去年は、涼しい夏で、あまり鰻を食べなかったが、 ことしは、ウンと食べるぞ。

 大日本インキ化学工業が成果主義を全面に打ち出した退職金制度を打ち出した、とのこと。退職金は給与に連動するが、 この会社は貢献度合いを直接、退職金に反映させるらしい。ポイントを積み立てる方式らしい。

 年齢や年功と関係ないということだが‥‥日本では成果主義という名の「賃下げ」。結果的「退職金部分カット」 に繋がるのでは‥‥成果主義を勉強しなければ‥‥帰りに「Yomiuri Weekly」を買う。 「格差広がるが 同期の年収」が面白そう。

 今日も、30℃の夜明けになるのか。

 
<何だか分からない今日の名文句>

南風でも吹けば涼しい

7月20日(火) 炎暑に負けず

 1時間15分、歩いて、たいとう診療所に着くと、テレビが「東京で38℃を越えている」という。 午前11時である。約1時間のリハビリ。外に出ると、コンクリートが火のように溶けている。後で知ったことだが、 その頃、東京・大手町で39・5℃だったという。

 いつもの中華で、いつもの「マーボ茄子」を食べ、循環バスに乗ろうと思ったが、停留所まで歩くのが億劫で、タクシーにした。

 そのまま、出社するつもりだったが、何か、体調が崩れるような気がして、仕事場に戻る。

 クーラーを切っていたので、部屋の中は40℃を越えているのではないか。何か、ギュニャギュニャの気分。

 野暮用一件。応答するのが億劫だ。その後、うとうと。暑さは堪える。

 今日の「余録」の書き出しに「あの笑顔は、夏の暑さを忘れさせるさわやかだった」とあった。 良い原稿だが、この種の慣用句が通用しない。この炎暑を忘れるなんてことはないぞ。

 新聞は、この「暑さ」を冷静に分析しなければなるまい。ヒートアイランド現象の対策を考えなくてはなるまい。 ああ、暑い、暑い。

 17日函館はくぼ競馬で走ったレースウイング(6着)。25日に連闘するらしい。暑さに負けない愛馬を思い、 夕方から、そろそろと原稿を書き始める。でも、進まない。

 フィリピンのアロヨ大統領は拉致されていたフィリピン人が解放された、と会見。51人のイラク駐留派遣部隊を撤退することで、 武装集団が人質を解放した。

 これで対米関係が悪化するが、アロヨの「海外労働者の安全が国益」という判断は分りやすい。なぜ、日本の新聞は、 この事件、この決断を大きく扱わないのか。テロの言いなりになるのか、ブッシュ・アメリカに追随するのか。その判断の哲学は?

 今のうちに、日本は議論する必要がある。暑さに負けては居られない。

 「ここだけの話・スリ替え語講座は秀逸」というお褒めの携帯が数本。覚悟して書いたので、うれしい。

<何だか分からない今日の名文句>

少なくても、我が国の国益>アメリカの国益

7月19日(月) 戦争を知らない大人たち

 三連休最後の19日は「海の日」。京都のホテルで午前4時に起き、御所を歩いてから、もう一度、午前11時まで寝る。新幹線で名古 屋に出る。猛暑。その中を名古屋競輪。1勝1敗で辛うじて儲ける。グリーン車を奢って、7時ごろ帰京。郵便物、雑誌類を乱読する。

 世界週報の「座標」欄に元電通専務・石川周三さんの「戦争を知らない大人たち」と題する一文が載っていた。

 「今の日本の中高年を学制上から二つに分類する」というユニークな試みをする石川さん。「昭和6年生まれ以前」と「それ以降」に分 類する。

 昭和6年生まれの少年は昭和19年に中学校に入る。当時、中学には38銃(明治38年に制定された銃)があり、軍事訓練をしていた のだが、昭和20年には、空襲が激しくなって、軍は、払い下げた38銃だけでなく、もっと古い村田銃まで持って行き、教練はおろか、 授業もなくなってしまった。

 中学2年生、つまり昭和6年生まれまでの少年は勤労動員され、中学1年生、つまり昭和6年生まれ以降は学童疎開した。

 昭和6年生まれ以前は「大人として戦争体験」をした。この人たちには「天皇に戦争責任がある」と思う人が多い。昭和7年生まれは、 トラウマはあるが、戦争体験はない。つまり「戦争を知らない人」は、戦争責任を考えていない、と石川さん。「戦争を知らない人が大勢 を占める国は平和で結構であるが、どうやって戦争回避の政策を立てるであろうか。回避できない場合どう戦うのか。薄ら寒い思いになる」 と結んでいる。

 考えさせられる文章だった。僕は昭和19年生まれ。観念的には戦争が嫌だが、トラウマはもちろんないし、戦争体験なんてあるはずも ない。しかし、代々、江戸っ子で、薩長との戦を教えられて来た。維新後の薩長のやりたい放題を教わってきた。東京大空襲で、僕を背中 に背負って、彷徨った母の言葉を覚えている。

 代々、戦争反対、反政府権力を教えられて来た。「戦争を回避する術」なんて、安易に身につけることはできないが「物書き」として 「日本を非戦の国にする大人」になる努力は忘れない。「海の日」の誓い。そんな気分。

 「戦争を知らない小泉さん」は新潟の豪雨禍を視察。何となく、人気取りに必死の様子。曽我さん一家のことも、ちょっとヤバイ感じも する。

 「ここだけの話」は、小泉さんの「スリ替え上手」を書いてみた。

<何だか分からない今日の名文句>

「戦争」を感じない大人

7月18日(日) 3連休、ありがとう

 16日の金曜日は、終日、人事部主催の「ナイスライフセミナー」を受講。受講者は今年度下半期に60歳を向かえる社員22人。60 歳以降の生き方を勉強する。経済的なことはトンと疎いので助かる。それそれの年金の受給額が知らされる。もうちょっと貰えると思った が‥‥まあ、何とかなるだろう。

 隣に座った人は宇都宮支局の記者さん。「二代目魁」の愛読者と知り感激。「ここだけの話・被害者の人権はいい原稿でした」と言って くれた。

 15年前のコンクリート殺人事件。あの犯人がまた犯罪を起こした、と報じるのは「前科」に触れることで「前科を報道しない」という 建前から適当ではない、という意見があることは知っている。と、同時に「牧さんのコラムだから説得力がある」とまで言ってくれる人も いる。イロイロだ。

 しかし「建前報道」に埋没する新聞はいつか見捨てられる、と僕は思っている。覚悟して本音を書けば、読者はついてきてくれる。「建 前の朝日、本音の毎日」。これは毎日の伝統だ。本音を書けば、それ相応のエネルギーがいる。雑誌「創」が各紙の報道ぶりを調べている らしい。多分「創」の姿勢と僕の姿勢は相容れないだろう。

 連休は健太郎に会いに関西旅行。30数年ぶりに再会した沖縄の友達。三ヶ月前に東京に来たとき、彼の加古川の家に行く、と約束して いた。3連休で、やっと実現。京都祇園祭→貴船川床→京都競馬場(函館薄暮12Rに愛馬レースウイングが出走。6着→東加古川→明石 海峡大橋→鳴門。彼の無事故無違反、ずば抜けた運転技術に驚く。彼の奥さんが若いのに驚く。ご母堂が86歳でピチピチしているのにさ らに驚く。沖縄人は健康だ。 彼が「どうしても見せたい」という鳴門の渦。船で本物を見るのは初めて。ありがとう。加古川名物・穴子 を土産に貰う。散財させた。

 19日は琵琶湖競輪へ行こうか、名古屋競輪にするか。精一杯、遊ぶぞ!

<何だか分からない今日の名文句>

何時か連日連休になるけれど

7月15日(木) 「ぱすたりあん」閉店

 17日から3連休。関西方面の友人に会いに行くので、原稿の書き溜めが必要。必死に書く。

 朝方、散歩して、11時頃、駅前の喫茶店で氷小豆を食べただけで、終日、モバイルに向かう。JR EASTの「旅行記」が「暗すぎる 」という指摘で、書き直すことになったのが大きかった。

 夕方、長男来訪。最近、行くようになった浅草の炭火焼肉屋へ。倅、勤め先の経営状態、すこぶる良好、と聞き安堵。

 そこへ、八戸の友人から携帯。お父さんと経営していた「ぱすたりあん」を今、閉店したとの突然の知らせ。あんな美味いスパゲティが 食べられないなんて。15歳からフライパンを持ったお父さんに、少し休んでもらいたい、というのが、家族の意向だったらしい。友人は、 隣村の牧場で、働くとのこと。

 ご苦労さまでした。八戸の美味、ありがとう。

 10時過ぎまで、長男とビールを飲み、また原稿。日記を書く余裕なし。

<何だか分からない今日の名文句>

貧乏暇なし

7月14日(水) 別れられなくなっちゃった

 有田さんのホームページに、興味深いデータが載っていた。参院選比例区の得票を総選挙の得票に単純換算すると、各党の議席数は、民 主308、自民130、公明27、共産9、社民6だそうだ。もちろん、自民、公明完全協力すると、まったく違う結果になるが‥‥こう なれば‥‥自公は永久に別れられなくなっちゃった。

 自民は、まったく足元の危うい政党になってしまった。支持母体は瓦解して、すでに社民党モードなりつつあるのに、気が付かない。宗 教民主主義に負ける自由民主主義‥‥に気づかない。

 「負けていない。与党で過半数を取れば勝だ!」というペテン師首相。何年かたって、自民党が「あの時、小泉に騙された」と気づいて も‥‥。

 UFJと東京三菱の合併。実は予想通り。住友信託銀行にUFJ信託銀行(旧東洋信託)を売却するとした時点で、三菱は三菱信託が住 友信託に預金量で負けることに神経を尖らしていた。

 選挙が終わって、竹中戦略が表面に現れる。例えば、三菱自動車が○○自動車と合併なんてこともあるかも‥‥。

 銀行の合併はリストラのためだけ。消費者は「勝ち組銀行」の荒っぽいサービスに泣くことになりそう。

 午前中、住友生命で健康診断。1日入院1万円の保証は無理だが、1日5000円が80歳まで保証できるものに変えようという提案。 これに乗ってみたが、さて、どうなるか。

 出社後、久しぶりにサンデー毎日の編集部に顔を出した。越川、元気。

<何だか分からない今日の名文句>

後のまつり

7月13日(火) 江川さんの抗議

 夕方、江川詔子さんから電話。

 毎日新聞13日夕刊の「ここだけの話・被害者の人権」で、江川さんのことに触れた。15年前の綾瀬コンクリート詰め殺人事件。あま りに惨い仕打ちに、当時、サンデー毎日の編集長だった僕は、犯人の少年を「野獣」と書いた。世に言う「人権派」から猛烈に批判された。 「人権」は彼らの錦の御旗だった。「オウム報道で知られるライターの江川詔子さんでさえ『加害者の人権を無視しているのではないか? 』と取材に来られた。僕は『野獣としか表現できない』と応えた」と「ここだけの話」では、こう書いた。

 江川さんの電話は、要約すると「あの記述では私が人権派の代表に思われる。第一『加害者の人権』などと言った覚えはない」という抗 議だった。彼女のボキャブラリーに「加害者の人権」はない、と言われる。

 断って置くが、僕は、江川さんの仕事ぶりを高く評価する人間である。江川さんとは、親しい方だろう。「人権派の代表」なんて考えた こともない。そうではなくて、当時、江川さんでも、僕が少年たちを「野獣」と表現するのに違和感を感じ、取材に来られた。その後のオ ウム報道で、テロを憎み、冷静な報道に徹した彼女でさえ、あの時点では、僕の「野獣」表現に疑問を感じていた、ということを書きたか った。それが時代の一つの流れだったと思っているからだ。断じて、江川さんは悪い意味の「人権派」ではない。

 問題は、江川さんが「加害者の人権」という表現を使ったのか、その事実関係である。古い話で、自分の記憶だけが正しい、とは抗弁 するつもりはない。が、僕の記憶では、1989年11月2日の午後、江川さんが毎日新聞社に来られた。そこで、容疑者の少年を「野獣 」と呼んだことは、少年である加害者の人権を無視しているのではないか、という質問を受けた。この記憶は鮮明に覚えている。

 しかし、江川さんの語彙に「加害者の人権」の言葉はないという。確かに彼女の文献に「加害者の人権」という言葉があったことはない のだろう。江川さんは「これは、牧さんの言葉ではなかったのか」と言われた。古い記憶だから、僕だけが正しい、とは言えない。僕は、 はっきり覚えているのだが、あるいは、江川さんの記憶が正しいのかも知れない。困った。

 あの時、僕はこう答えている。「ジャーナリストの仕事は歴史を最初にデッサンすること。したがって取材は徹底し、出来うる限り克明 に表現する。当然、被害者の人権、あるいは加害者の人権も配慮するが、今回のケースでは、少女に乱暴し、食事も与えず、ゴミ屑のよう に扱い、最後はコンクリート詰めにする。この行為は獣としか表現できない」と答えた。これは記録にある。少なくとも、僕の発言には「 加害者の人権」があったことだけは間違いないのだが‥‥。どちらが、先に「加害者の人権」という言葉を使ったのか、分らない。が、取 材のキーワードになったことは間違いないように思う。

 江川さんから、このような抗議があったこと、両者の記憶が違っていることを、ホームページの日記に書きとめておく。(ホームページ に書くことについては、当方の判断でう、というのが、江川さん。彼女が、どんなメディアで反論せれても、もちろん、結構。良好な関係 は維持したい)

 夜は競馬仲間が10人集まって、賑やかだった。

<何だか分からない今日の名文句>

記憶に善悪ない

7月12日(月) 自民党を愛するが故に‥‥

 朝から時間をかけて、選挙結果を分析しているところに、自民党関係者の知人から電話。冗談めかして「これで、倒閣3度目か?」 と言う。ヘッ?

 彼が言うには、まず、サンデー毎日の「宇野首相のスキャンダル」。これは確かに、内閣崩壊のキッカケだったから、 そうとも言える。だが、3度目の倒閣?

 「2回目は、森内閣のあの一件さ」。彼は「某国の高官の英語力」をそれとなく書いた「二代目魁の日記」のことらしい。 (2000年7月12日の日記「ヒラリーさんは誰のもの?」。バックナンバーにあるから読める)

 週刊誌ダネになって世界中をかけめぐり、森さんの英語力が話題になった。「あれがボディブロー。痛かった」という。 まさか、そんなことが‥‥。

 「もう一つはイロイロだよ」と彼は言う。今度の参院選、小泉さんの傲慢な「イロイロ発言」が自民を敗北に導いた。 なぜ、小泉さんが「会社もイロイロ、社員もイロイロ」と発言してしまったのか。「そこに、お前さんの存在がある。 小泉さんは人生イロイロという言葉はもちろん、知っていた。しかし、急にこの言葉を思い出したのは、 その前日の夕刊(6月1日夕刊)『ここだけの話・お宝イロイロ』を読んだからだろう。 自分を批判する記事を読んだ小泉さん『○○イロイロ』のフレーズを使おうと直感的に思ったんだな。多分。罪作り!」

 まさか!

 曖昧に応えてから、彼の分析も聞く。

 自民党は大敗北だ、という。何故か、大新聞は50対49の僅差と報道しているが、民主党系の無所属を計算に入れれば、 もはや、勝負にならない。比例区の得票、自民1679万票、民主2113万票。今回の選挙だけで見れば、 民主が比較第1党。公明とくっつけば、自民はもはや、何の力もない第2党。総理大臣は即刻退陣すべきだ。

 それを書かない新聞は大本営発表にならされているんだ、と彼は厳しい。

 「ある日、突然、断末魔を向かえ、地獄に落ちる我が自民党を見ようとしているんだろう。このままでは、自民は死ぬ」

 なるほど、なるほど、自由民主主義を愛する人は多い。

 僕の分析には、まだ時間が掛かる。

<何だか分からない今日の名文句>

死ぬ前はみんな元気だ

7月11日(日) 第3極を誰が、創るのか

 10日の土曜日、文化放送に行くと、みのさんが「曽我さん一家の泊まっているジャカルタのホテルの名前が放送出来ないらしい」とこ ぼしている。記者クラブと外務省の約束事らしい。何故だろう。事実上、ホテルの間取りまで新聞に載っているのに、ホテルの名前が出な い。不思議だ。

 「外務省は機密費の流用額は隠すけれど、イラクで人質になった3人の飛行機代はわざわざ、公開する。ヘンな役所だ」とつい本番で話 してしまった。

 情報。ひとみさんの説得で、一家は日本に住む方向に向かっているらしい。アメリカの“特赦”がどうなるのか。

 そうそう「5日の日記」で「雅子さんは元気になりつつある」と情報を入れたが、テレビのニュースになったらしい。皇太子は「元気に なることが、唯一の解決策」と考えられているようだ。

 11日の参院選。あまり劇的な数字ではなかったが、小泉政治にNO! という人が多くなった。出口調査で「自民支持者の20%が民 社に投票」という結果が出ている。小泉さんのペテンが通用しなくなる。うれしいけれど、新聞が言うほど、政局大乱とは行かないだろう。 ポスト小泉がいない。

 注目していた熊本。一人区になった激戦区。「自民党参院で人柄一番」と評判の木村仁という人物が再選を目指していた。「趣味は?」 と言われると「落語」と答える人物で(確かに落語が上手らしい)面識はないが、参院が良識の府に相応しいタイプと思っていた。

 ここで、意外なことが起こった。現職の民主党候補が公明党に推薦を求めたのだ。公明党本部は自民党候補を推薦したのだが、地元の幹 部は民主党候補より、自主投票になった。と言うより、どちらかと言うと、民主陣営の「選挙区の民主候補、比例区は公明党」という申し 入れを受け入れ、地元の公明党は民主で動いたらしい。

 自民党候補はやむなく、熊本出身の自民比例区候補3人とダックを組んだ。本来の「自民党同士の連帯」に戻ったのだ。激戦になった。

 自由民主主義と宗教民主主義は基本的に哲学が違う、と思っている。何でも、宗教政党・公明党に頭を下げる政権で民主主義なのか。不 安である。

 「二大政党」と言うけれど、自民・民主の政策は大差なしで(自民党に行きたいが、都合があって民主党、は結構いる)公明党の票を奪 い合う「二大政党状態」。それで良いのか。

 その中で「公明党を頼りにしない自民候補」がやむなく? 誕生した。興味があった。自民逆風の選挙で、公明党の応援がない候補は、 どんな戦いをするのか。興味があった。

 だから日記でも「もし投票権が熊本にあれば自民人柄候補に投票したい」と書いた。

 テレビにかじり付いた。やっと日付けが変わる頃、勝負が付いた。自民候補41万1542票。民社候補37万2468票。自民人柄候 補は前回より16万票も増やした。多分、人柄が、政党とは無関係に支持を集めたのだろう。が、果たして、公明党票はどう動いたのか。 分析しなければならない。土壇場で、公明中央が地元に自民候補の応援を強力に指示したのか。雰囲気はそうでもないようだが、いずれに しても、事実上「公明党の下駄」を外して戦ったとしたら意味がある。公明党が居なくても、勝てる候補は勝てる。

 「みどりの会議」は力及ばなかった。中村敦夫さんに国会に残ってもらいたかったが‥‥。自民(+公明)対民主(時に+公明)の二大 政党。これが、行く行く「自民+公明+民主」が大政翼賛会化するかも知れない。

 だから、第3極の政治勢力が必要である。その核の一つに「みどりの会議」はあり得るとも思っていたのだが‥‥カネがない。第3極の 構築が必要なのだが「人」がいない。

 宗男、辻元、善戦! クビをつないだ。知名度は凄いものだ。

<何だか分からない今日の名文句>

悪名も無名には勝つ

7月8日(木) 「負け組」の意地!

 熱い。バテそうで、昼飯は重たいが、浅草橋のレストランでビーフシチューを食べた。1575円。奢った。「負け組」は自分に奢る。

 そこに、文化放送のディレクターから携帯。土曜の昼のみのもんたの番組に来てくれ、という。参院選の話。まあ、みのの顔を見に行く か。

 小泉内閣で「勝ち組」と「負け組」が歴然とした。中産階級がなくなった。「勝ち組」は知恵があり、勤勉だから「善」であり、知恵の ない「負け組」は働かないから「悪」である、という図式が出来上がった。冗談じゃない。

 悪巧みの「勝ち組」連合が、ホンのわずか「運」がない人間を苛めて「仕事」を奪っているだけじゃないか。

 マスコミ人は概して豊かだ。電波を使ってテレビの人間は高給を取っている。「負け組」の製作会社社員が苛められる。新聞社だって、 概ね高給取だ。「勝ち組」だ。(毎日新聞は業界では「貧乏」と言われるが、まあ「準勝ち組」だろう。僕の認識。間違っているかも知れ ないが)。

 要するに「勝ち組」が報道権を持っている。「勝ち組」のジャーナリストには「負け組」の怒りが分らない。(僕もそうかも知れないが)。 だから、テレビも、新聞も「勝ち組」サイドと報道を平気でする。大本営発表を平気で書く。

 建前報道。イラク支援なんて「建前」の極地。「勝ち組・アメリカ」をさらに日本国が支援しているだけだ。「イラク支援」なんてチャ ンチャラおかしい。

 政党だって「勝ち組」だらけ。野党と言うけれど、岡田さん、菅さん、「負け組」の痛みが分るのか。年金を払いたいけど、払えない人 の気持ちが分るのか。宗教官僚も、共産党官僚も「勝ち組」、社民党の女性弁護士さんも「勝ち組」のような抑揚のない演説をする(知り 合いなのに悪く言ってゴメン)‥‥みんな、無意識の「勝ち組」だ。

 本来、選挙という政争は「現権力」と「虐げられた反権力」がぶつかり合う。それが選挙だ。しかし、今の選挙は「権力を分け合う勝ち 組」の学級委員選挙になってしまっている。だから、人々が選挙に行かなくなって当然だ。

 しかし、暴力革命を認めないなら、選挙しか「負け組」の意思表示の道はない。一票しか武器はないのだ。選挙に行こう。投票しよう。 「勝ち組」はそれなりに選べば良い。「負け組」もそれなりに選べばいい。僕は少数派。「負け組」に近い、環境の最小政党・MON次郎 に投票するつもり。

 午後、例によってTBSラジオ、JRAと野暮用行脚。出社して、論説委員氏と雑談。「建前を書くのも難しい」。そうだろうなぁ、た まちゃん、大井のジャッパン・ダート・ダービ−に行きたい様子だが、仕事が忙しいので残業。まさか、僕だけ行くのも気が引け、仕事場 に帰って、頼まれた旅行記を一気に書く。

 熱くて、眠れない。

<何だか分からない今日の名文句>

一票だけは平等

7月7日(水) 北朝鮮のバッジをどこから入手?

 朝、蔵前デニーズで朝飯。日刊スポーツを見ると、国松長官銃撃事件でオウムの4人に逮捕状が出た、という特ダネが踊っている。親会 社の朝日の特ダネと思って、渋々、朝日を買うが、そこにはない。もちろん、毎日にもない。共同通信の特ダネ? いずれにしても、まっ たく知らなかった。

 事件発生から9年。執念の捜査が実った。もちろん、麻原の共同謀議がどこまで立証できるかが焦点だろう。捜査陣の努力に頭が下がる。

 当時、現場に「北朝鮮人民軍のバッチ」が転がっていた。捜査をかく乱した小道具だが、オウムはどこからバッチを手に入れたのか。こ このあたり、詰めた捜査が行われたのか。ともかく、解明に一歩、踏み込んだのは朗報だ。

 しかし、である。「9年目の事件解決」のタイミングが気になる。何故、この日なのか。参院選の4日前。人々の関心を参院選から遠の けるかのようなタイミング。世論操作を感じる。

 テロと対決する現政権の姿勢を誇るため、というよりも、テレビ、新聞が参院選を報道する時間、スペースは確実になくなっている。年 金なんて消えちゃえ! ではないのか。選挙が近づくと「発生もの」を除いて、警察は大きな事件に着手しないのが、通例だった。社会保 険庁の民間長官起用も、何となく選挙向き。9日には、曽我さん、涙の再会。自民に対する批判報道は消える。

 昼「名馬と時代」を書き上げ、少し寝る。35℃ぐらいで、若干、バテル。朝、3キロ歩くが汗だく。梅雨なんて、どこに行ったのか。

 夜、競馬仲間と、ささやかな「お祝い会」。二次会でカラオケ、と思ったが、バテ気味で、断念。ああ、暑い。

<何だか分からない今日の名文句>

また事件 判断狂わす 暑さかな

7月6日(火) 「毎日」マルしゃぶり人生?

 足の爪が「巻き爪」で難儀している。週末、2回、麻痺した右足の「巻き爪」と「ハンマー指」が原因で、ガクッと転んだ。怖い。以前、 転んだ拍子に、爪が剥がれて飛んで行き、大量に出血したことがある。怖い。

 「たいとう診療所」の看護婦さんに頼んで「巻き爪」を切ってもらう。その際「爪の水虫、治っていませんね」と注意を受け、水虫薬を 貰う。ああ、傷だらけの人生。

 帰りに、冷やし中華。歩いて帰ろうと思ったが、外は32℃。1時間15分歩くのは難儀だ。新設の台東区循環バスで帰る。(障害者割 引で50円。助かる)

 午後「おけら街道」を書く。高崎競馬で起こった「3頭1着同着」の椿事。これを書く。

 午後6時、東京・愛宕「青松寺」で内村良英さんの通夜。内村さんは客船で世界一周の途中、シンガポール沖で体調を崩され、そのまま、 入院されていたらしい。やはり、奥様が急逝されて、気を落とされたのだろう。インテリを絵に描いたような人だった。

 参列者、多数。香典を辞退されたので生花を贈らせてもらった。(掲示板に、人の死をおちょくるような「書き込み」があった。どう 言う心算か。特別の事情があり、どうしても書いて置かねばならないことがあるのなら、ともかく‥‥こんな「書き込み」、でぇ嫌ぇだ!  どんな博学でも、どんな達人でも「人の死」を軽く書けば「ひとではない」と舐められる。「二代目魁」の流儀、分らねェのか!)

 7時、東京ベイ有明ワシントンホテルで、定年退職した毎日新聞編集委員・遠藤満雄さんの励ます会。題して「遠旅組・遠藤組長 人生 第2ラウンドのゴングを鳴らす会」。彼、二輪車で旅をするグループの“組長”でもある。10月2、3日、野麦峠を越え、女工哀史の故 郷、飛騨まで走るらしい。組員110人の大ツアー。ともかくスケールの大きい御仁だ。

 遠藤さんは満州生まれの「大地の子」。ハルピンの収容所で加藤登紀子一家と生活した。引き上げで、父の実家・千葉に住み、東京学芸 大学を出て、毎日新聞に入った。

 振り出しはサンデー毎日。編集長に「自分の好きな所に行け! 社にいるな!」と怒られてから「社にいない記者」に徹底した。

 彼、毎日新聞の看板を徹底的にしゃぶり捲くった。何度、海外旅行に行ったのか。サンデー、社会部、グラフと渡り歩き、高倉健、江川 卓‥‥と人脈を拡げ、楽し過ぎる記者生活35年。会社にいることなんてことまるでなかった。

 うらやましい。「毎日新聞」マルしゃぶり人生。新聞社の儲けなんて、まったく考えない男。和服姿の遠藤さんはますます意気軒昂であ る。

 会場で「ここだけの話・シンデレラ物語」の内容が話題になった。「あれは、雅子さんの和歌の話ですか?」と質問された。「雅子さん のこと、と僕の口から言えない。が、和歌の話しではない。絵の話なのだ。宮内庁の限られた人は知っているよ」と話した。

 それはそうと、雅子さんの病状、大分、よくなったらしい。

 帰れば、日付が7月7日。「二代目魁」は5年目を迎えた。

<何だか分からない今日の名文句>

一毛の悔いなし

7月5日(月) 人柄に一票! 人柄で不倫?

 朝、ドキドキしながら待っていた社台の「2004年度募集馬・出資申し込み結果」が来る。つれなく「ご希望に添えません」。残念!  抽選に落ちたか、今までの出資実績がハードルを超えなかったのだろう。残念!

 「エルフィンフェザーの03」は、我が愛馬・フェザーレイの全弟。どうしても欲しかったが‥‥人気だから仕方ない。他人の持ち物に なっても、行く行く、馬券で応援すれば良いや。でも、半日、落ち込む。

 「ここだけの話」を書く。新「はったり」合戦と言った話。取って置きのエピソードを使った。読んでくれ。

 訃報。内村良英さんがお亡くなりになった。元JRA理事長。理事長時代、女性のファンを重視、キレイなトイレを作り、女性の競馬場 ファッションを流行させた。JRAの中興の祖。去年の秋、天皇賞で、ご夫妻で姿を見せたが、その三日後、奥さんが急逝。あとを追うよ うな他界だった。合掌。

 参院選。勝負の分かれ目になるのは、27の「1人区」。その形勢が徐々に明らかになっている。民主優勢が9県。自民優勢が8県。あ とは混沌としている。岩手、山形、山口、香川、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本が両者伯仲。四国、九州が天下分け目である。

 参院は人物本位。自民党でも、誠実一路の人柄ならこの人、という人物が熊本県で激戦中。僕に投票権があったら‥‥と思うのだが。

 人柄で選びたい。でも選挙区・千葉県では、これと言う人がいない。どうしたものか。比例区は死票になってもM次郎だ。一人でも多く、 誠実な人がいて欲しい。参院は人柄である。

 夜、例の「松戸競輪友の会」。2勝7敗で大負け。

 元妻・高岡早紀が「布袋某」なる人物におもちゃにされた、と元夫「保坂某」の怒り会見1時間強。これがワイドショーの一押しネタと 知ったが、何のことか分らず、深夜、やっと勉強。何のことはない、保坂某の勝手なデジタル理論。二人が「火遊び」と言うだから、それ でいい、と思うのだが‥‥。理論で不倫を批判されては草臥れる。布袋某は、その点、何も言わずに‥‥高岡某には、草臥れないのだろう。 不倫も人柄。「火遊び」と言ったのは失点だが、あとは黙って居ればいい。

<何だか分からない今日の名文句>

言い訳は「沈黙」に限る

7月4日(日) 自民は負ける?

 数日前から、視聴率に興味を持つようになった。特に、巨人戦の視聴率。一時はゴールデンタイムで20%を超えたこともある巨人戦。 7月1日の対阪神戦。0−11で大敗したゲームは9.4%。ことし、6度目の10%割れ。野球人気も長期下降状態? である。それに しても、IT産業の“はったり男”が「近鉄を買収したい」と言ったら、喜んで買収させれば良いものを。オーナー会議とか言う「密室政 治」が、未だに「プロ野球利権」を好き勝手に出来る、と勘違いしている。この問題、「ここだけの話」で、上手に書いてみたい。

 2日のビデオリサーチの発表では「午後0時」に異変が起きた。この時間、NHKのニュースは別格にしても、長いこと、フジテレビ 「笑っていいとも」とNTV「思いっきりテレビ」の二強の争いと言われていた。ところが、ここにテレビ朝日の「ワイド!スクランブル」 が割り込んできた。

 前4週分のデータはNHK8.1%、NTV8.6%、TBS3.2%、フジテレビ9.3%、テレビ朝日7.0%、テレビ東京3.8%だっ た。確かに2強3弱の状態から、テレビ朝日が抜け出し、TBSとテレビ東京の「2弱」状態に変わってきた。

 そして7月1日、ついにテレビ朝日「スクランブル」がトップに立った。9.3%である。この日の巨人戦とほぼ同じ数字だ。

 これには秘密がある。この時間「スクランブル」は、予定された放送内容を中止して、俳優・保坂尚輝の離婚会見を0時45分まで生中 継した。例の「ムカツク」発言の出たあの会見である。奥さんの興味は直ぐ変わる。つくづく「情報番組はフットワーク」だと痛感する。

 それにしても、お昼の時間帯もゴールデンタイム、首都圏のテレビの40%がスイッチを入れていることになる。この時間帯の視聴者の 好みを綿密に分析する必要がある。「スクランブル」は夕刊の内容を早流ししているところがうけている。夕刊でご飯を食べるテレビ人。

 梅雨なしの週末。汗をかきつつ、野暮用。合間を見て、テレビで参院選の政見放送を見る。本当に投票したくなる人がいない。元々、自 民党で立ちたいけど、公認が取れないので民主党というのも結構ある。

 僕から見れば「大政翼賛会自民派VS民主派」というほど、参戦モードの擬似政党。2大政党なんて、嘘っぱち?

 2日の朝刊で、毎日は「参議院選挙中盤の情勢分析」を載せる。自民獲得推定46前後。自民党が勝つか、負けるか、は投票率による。 大体、予測と現実は必ずしも一致しない。

<何だか分からない今日の名文句>

予測が予測を狂わす

7月1日(木) 予想会社

 朝一番で両国郵便局へ。日本記者クラブの会費を未納していたとの知らせ。忘れていた。慌てて送金する。

 野暮用を一件済ませて、JRAへ。副理事長が交代したので挨拶。特殊法人の理事は8年の任期、という内規がある。 しかし、人事はケース・バイ・ケース。天下りなら、それで良いが、世間の常識は違う。優秀な人材はもっと働いて貰う。 出来の悪いのはすぐ辞めてもらう。それが筋だ。

 まして、補助金を貰っている特殊法人、と稼いでいる法人を同じにするなんて‥‥マニュアル小泉政権のバカさ加減。 ゴミの砂漠だ(果てしない)。

 JRAも「右習いの慣例」に反対できず、役所に押し切られた人事、ということか。 JRAとしては人材を逸した。

 その分、これまで副理事長ポストは、プロパーと天下りが交互に就任するという慣例があって、 今度は天下りの番だが、今回はプロパーからプロパーへのバットンタッチ。史上初。意味のある人事になった。

 副理事長さん、本当に、ご苦労さまでした。秘書も変わる。あまり話したことがなかったが、生真面目な男。 これからもよろしく頼む。

 JRAの隣のビルにある「くろさわ」という店で、カレー饂飩を食べる。鹿児島の豚が上手かったが、 道にも流れるカレーの匂い。どうにかならないか。黒澤明の倅の店だ、という話で、有名人も来るらしいが、 もう、ちょっと配慮が‥‥。

 その後、ホンの少し、新橋周辺で、他人に言えない野暮用(お遊び)。結果、最悪。

 出社すると、たまちゃんが電話で読者の「人生相談」に応じている。先方が言っているのは 「スポーツ新聞に大々的に宣伝している競馬予想会社に入って、馬券を買ったが、まるで当たらない。 100万円もドブに捨てた。どうすれば良いのか?」

 たまちゃん、困っている。「訴えたい」と先方は言うが「訴えたいにも、カネがない」と愚痴る。 たまちゃん「予想会社を早く辞めることですね。予想が確実なら、奴ら、予想を売らずに、馬券を買うでしょ。 つまり、予想は信頼できないものなんです」と説明する。たまちゃんが迷惑予想をしたわけでもないのに、 ご苦労さま。博打は自己責任であることを理解できない大人がいる。

 でも、インチキ予想会社は、ひょっとすると社会問題になるかも知れない。広告を精査しないで掲載するスポーツ 新聞社が訴えられることもあるだろう。消費者金融の広告の「借りすぎに注意」ではないが「予想は外れることもあります」 と断り書きが必要なのかも知れない。

 小泉自民党の当選予想。極めて流動的。「小泉内閣、信じ過ぎにご注意!」と書き続けたささやかな効果が現れるのか。

 選挙に行くのも、行かないのも、自己責任と覚悟せよ。

<何だか分からない今日の名文句>

当たらぬも八卦

6月30日(水) 左膳は“障害者の星”

 朝の散歩。二回、雷に合う。静岡は大変らしい。

 午前中、銀行員と野暮用。世間話で「竹中さんはマニュアル人間。テストの出来ばかり考えている。 マニュアル通りにコトが運ぶと思っているのか」という銀行員の指摘。ごもっとも。

 午後、出社。日本原子力文化振興財団が主催する原子力講座「再処理工場の溶接ミスと今後の運転を考える」を受講。 講師は京大原子炉研究所教授・山名元さん。

 再処理問題は、選挙後、大きな議論になるだろう。僕は、議論のテーマを整理する必要があるように思っている。 と、言うより、議論から抜けているものがあるように思う。

 まずは、原子力利用の必要・不必要論。一次エネルギー構成のバランス。石炭利用の低減化、もちろん、 エネルギー安保の立場からも、僕は原子力利用は必要と考えている。

 その上で、安全論、ウラン資源論(すぐウランがなくなるということではないが)、放射性廃棄物責任論、 経済論を展開する必要がある、と思う。

 中間貯蔵施設を作る、という意見も結構だが、果たして、どこに作ることが出来るのか。 六ヶ所村の国家に対する貢献をまともに評価していないところに、問題があると思う。 サイト有限論が再処理議論に欠けている。「ここだけの話」で、六ヶ所村のことを書いた。掲示板で、 専門家と思しき人物の反論をいただいた。うれしい。まっとうな意見でもある。が、 経済性だけで、議論するわけには行かないだろう。(費用が高くついたことは認める。が、それは未熟な技術に問題があった)

 講義の間、携帯を切っていたので、大事な連絡が2件滞る。話したい人だったので、残念。たまちゃんに帝王賞の馬券を買ってきて もらおうと連絡するが、それも通じない。

 ちょっと時間が合ったので「ひまわり」に借金を届けに行く。最後のボーナスが出た。浅草観音裏通り、7月19日の祭日 「夜さ来い祭り」を開くとのこと。女将に誘われるが、こられるかな。

 急いで帰り、午後9時から日本テレビの「丹下左膳」を見る。「丹下左膳」は大阪毎日新聞に昭和2年に連載された痛快時代劇。 中村獅童主演。組織に裏切られたニヒルな素浪人が「こけ猿の壺」争奪に関わる。大金に頓着しないで、 ただ剣のライバルに挑む。反組織、反道徳のヒーロー。大好きだ。カッコ良い。

 右手なし、右目なし。でも、強い。無頼だが、オンナにもてる。 (訂正!無頼だからオンナにもてる)家屋敷なし、カネなし。ホームレス暮らしでも(経済的負け組だが)、 酒はたらふく飲み、たらふく喰う。脅してでも飲む。ニヒルだが、何故か、子供に慕われ、本人も正真正銘こども。 ただ好き勝手に生きることに人生の全てを賭ける。ああ、究極の“障害者の星”。

 小さいころから「左膳はお手本」と思っていたが、俺も、気弱ではあるが、半分ぐらい左膳風に生きている。 ちょっとした誇り。ビール、3本飲む。

<何だか分からない今日の名文句>

「負け組」所属はスターの条件!