8月22日(月) 返事も掛けず、ゴメンなさい
「おけら街道」を書き上げてから出社。(「おけら」のテーマは、競輪交付金を流用して裏金にした経済産業省官僚。腹が立つ話だ)
8月16日付け「記者の目・小泉翼賛政治の亡霊」が話題を呼んでいる。同僚記者まで「良く書いてくれました。感激です」と言ってく
れる。記者の目デスクのパソコンにダウンロードしたメールをすべて読ませて貰った。封書、葉書の類をあわせると、読者のお手紙は20
0通に近い。
これまで「芸能界ウラのウラのウラ」を連載した時、「オウム真理教の狂気」をスクープした時、ついこの間は「NHKvs朝日新聞」
を論評した時、かなり多くの読者からお手紙を頂いたが、それを上回る反応である。
「良くぞ書いてくれた」「ジャーナリストはまだ死んでいなかった」「目から鱗‥‥です」というような感想ばかり。ちょっと褒めすぎ
で、気恥ずかしいぐらいだ。(僕の主張に反対するお手紙は、僕が認識した限りでは3通。「赤い共産党記者が書いた新聞は購読中止だ」
という厳しい意見も1件あった。ご存知だと思うが、僕はいつも共産党を批判している)
この反応、多くの人が「小泉政治はおかしい、おかしい」と思いながら黙っていた、ということなのかも知れない。
うれしいのは、読者の手紙の多くが、僕の言い分をそのまま紙面化した毎日新聞の姿勢を高く評価してくれている点である。毎日新聞は
どこかの大新聞とは大違いで、常に「自由な言論」を保証する新聞社だ。
朝日新聞はどちらかと言うと、自らの「組織」のために書く。が、毎日は「読者」のためにだけ書く。それも、記者の感性で書く。俗に
「人の毎日」と言われる所以だ。だから、テレビなどで活躍する卓越したジャーナリストは圧倒的に毎日出身者が多い。自由な雰囲気で、
ものが書けるから、生き生きとした作品が生まれる。つくづく、毎日新聞社に入って良かった、と思う。
読者に返事を書かねば‥‥と思ったが、とても書き切れない。今回は、お許し願いたい。
記者の目デスクから「読者の反応を元に、もう一本、書かないか」と言われたが「記者の目」欄は、多様な見方を提供することが使命で
あり、同じ人間の主張をまた載せる必要もないように思ったので、辞退させてもらった。
夕刊だが「キレ珠」というコラムを書かせてもらっているだけで、幸せなんだから。(読者の手紙に「キン○」と書いてきた人がいる。
「キン」ではなく「キレ」ですから、お間違いなきよう)
その今週の「キレ珠」は「パンとサーカス」を書いた。毎日新聞から日本経済新聞に移籍した競馬記者がヒントをくれた。彼も小泉政治
に不信感を持っているようだが‥‥。
日経だけでなく、大新聞は小泉より。相変わらず、世論調査では、小泉支持が圧倒的。どうなることか。
<何だか分からない今日の名文句>
人の毎日 組織の朝日
8月21日(日) ドロのように
19日午後、日本記者クラブ「記者研修会」で講師をつとめる。新聞、テレビの若手ジャーナリストを対象にした研修会。70人ほど
参加している。
最近は、言論の自己規制が目につき、何か、メディアの活力がないようなので、力を込めて話した。時代を最初にデッサンするのは我々
だ!
意見交換では、当方が勉強した部分も大いにあった。ありがとう。
今週は珍しく多忙を極めた。週末はドロのように寝た。合間に「キレ珠」執筆。「ペンとサーカス」のローマ帝国に似た小泉流の
“曲芸”を書いてみた。
21日「新党・日本」が誕生した。次々に生まれる新党。同じような名前だ。自民党のA「自民」 自民党のB「民主」 自民党のC
「国民」 自民党のD「大地」 自民党のE「日本」‥‥の争い。野党がいない政治状況。与党の公明党がどこに付くかで決まる。
ヘンな選挙。
<何だか分からない今日の名文句>
パンがなくなった!どうする?だから乱立
8月18日(木) 記者冥利
朝一番で「たいとう診療所」。久しぶりに今井院長の問診を受ける。
大動脈瘤なるものはどこにあるのか、どんな状態になると破裂するのか?
ちょっと疑問だったので、今井さんに聞く。懇切丁寧に心臓のある位置から始まって、
内蔵の位置関係を説明。大動脈瘤が出来ていると検査で指摘された「弓部」については、
聴診器の管を使って話してくれた。なるほど、どこに圧力が入って、血が心臓から出て行きのかが
良く分る。その上で、瘤の大きさから問題ない、と言ってくれた。今井さんは、患者に対する
説明に十分、時間を掛ける。しかも上手だ。だから、信頼できる。
療法士の吉良さんには「椎間板の痛み」について聞く。右半身が麻痺しているので、
バランスを取るとき、一箇所に力が入り、痛みが出るとのこと。風呂に入ること、
ストレッチをすること。これで、大丈夫、といわれ、安心。
吉良さんが「10月23日に診療所の講習会があるので、何か話して下さい」と言う。
もちろん、万難を排しても、話さなければ‥‥と手帳を見ると、何と、この日は
ディブインパクトの3冠が掛かった菊花賞。「一緒に京都に行く」と約束した件もあったが、
これは断る。診療所の講習会で話すことにした。何たって「たいとう診療所」は
僕の初恋の相手だもん。
午後は「青い空 白い雲」執筆。世の中のスピードが速すぎて、何度も書き直す。
記者の目デスクの金四郎さんからメール。「先日の『記者の目』原稿、ありがとうございました。
多くの読者から、絶賛のメールが届いています。反響の数では「NHKvs朝日」の牧さん原稿の
時を、すでに上回っています。
その一部は、メールで送らせていただきましたが、届いていますか。そこで、
まことにご多忙とは存じますが、この反響をもとに『記者の目』第2弾を書いていただければ、
編集者冥利に尽きます」
何を言うのか。僕の方こそ「第2弾を書け!」なんて言われるのは記者冥利だ。
聞くところによると、社に来た読者の手紙、メールはすでに100通を超えているらしい。
その殆どが「同感」というもの。先輩から「一通の手紙が来れば、1万人は読んでいるもの」と
聞かされたことがあるが‥‥と言うことは100万人が読んでくれた?まあ、そんなこともないと
は思うが、WEBで読んでくれた人もかなり多いのだろう。
ただ「牧さん、遅かった」というメールもあった。小泉翼賛政治をもっと早く指摘すれば、
日本はこんな方向に行かなかった、というお叱り。申し訳ない。でも、もう、日本は駄目という
訳ではない。
多分、僕は今の新聞の中では少数意見かも知らないが‥‥一人の孤独な言論でも、
実を結ぶ時が来る、と信じている。
<何だか分からない今日の名文句>
一夫耕さざれば 天下その餓を受つ
8月15日(月) かなり深刻に「記者の目」を書く
戦後60年の終戦記念日。朝まで「記者の目」の執筆。「郵政復讐解散→女刺殺人の候補者選び」で小泉人気が上昇する。そして、自民
党は「小泉私党」になる。問題は、その私党が日本を左右することの怖さだ。
日本が日中戦争に突入した「政党堕落の時代」と酷似している。このことを書かねば‥‥と思うが、問題は、さらに目を覆うばかりの
「言論の堕落」。それをどう書くか。二つのことをどう裁いて書くか。ともかく、字数が足りない。
午前9時まで苦闘して、やっと脱稿した。いつもなら、ちょっとは「お洒落の部分」を残すのだが、今回は愚鈍に愚鈍に「道理」を書い
た。このままでは「自由」はなくなる。その、切羽詰った気持ちだ。
午後、出社して「記者の目」デスクと若干の意見交換。デスク氏とは、僕とほぼ同じ主張で、見出しを「小泉翼賛政治」にするか「小泉
ファッション政治」にするか、お互いに悩んだ。ゲラを読み返すと、アレも書きたかった、コレも書かねば、と思うところが、幾つも残っ
た。
先ずは16日付毎日新聞朝刊「記者の目・戦後60年・『小泉翼賛政治』の亡霊」を読んでもらいたい。その後で、一つだけ、字数が
足りなくて書けない部分、是非とも、読んでもらい部分があるので、ここで書く。読んで貰いたい。
「終戦と政党」のことだ。終戦と共に、軍隊は解消した。財閥は解体した。大地主から農地が取り上げられた。そんな中で、そのまま残
されたのが「政党」と「官僚制度」である。アメリカから与えられた「憲法」と同じように、温室の中で、生き延びた政党。生みの苦しみ
もなく、政治資金を潤沢に使い、まるで「日本経済の総会屋」のような傲慢さで生きのびることが出来た政党人たち。その彼らが、戦後
60年にして混乱している。
そのことを書きたかった。官僚、政党人、マスコミが“温室のハネムーン”を楽しんでツケが回ってきた。このことを書きたかった。
字数が足りなかった。政党、マスコミの脚腰が弱いのは、終戦から、引き摺ったものだ。
「キレ珠」は急いで、サラサラと書いた。「散骨」のこと。これは、かなり、文明論になるが、まあ、ユルユルとサンデーの「青い空白
い雲」でも書き続ける心算。
「記者の目」執筆で緊張したのか。疲れた。
<何だか分からない今日の名文句>
「堕落なき言論」は孤独を愛する
8月14日(日) 平和なお盆休みに「暗黒日記」を読む
12日は首都圏は夕方から集中豪雨。停電。13日も夜中から降って不安定だ。
お盆休みで、東京はガラガラ。連日、戦争関連の文献を読む。14日は清沢冽著「暗黒日記」第1巻、第2巻を読む。
清沢さんは一生を外交史研究と評論に費やした人。その分析は権力に立ち向かう意地がある。
17年12月9日から19年12月31日まで、一応、読み終える。この日記には、新聞記事の切り抜きが丹念に貼り付けてあり、
必要な部分に赤インクで傍線が引かれている。
しかし、古本屋を探しても第3巻が見つからず、昭和20年1月1日から同年5月5日の部分が読めない。残念だ。
(清沢さんは5月21日、終戦を知らずになくなっている)
14日の朝日新聞の社説「何故、戦争を続けたか・戦後60年に考える」を読んだ。
他紙の社説にイチャモンをつけることはないのだが‥‥僕の分析では、戦争継続を強く主張したのは、当時の新聞。
朝日のこの日の社説は「検閲はあったとは言え、新聞も追随する紙面を作った。重い戒めとしたい」とたった2行で片付けている。
ズルイ。ズル過ぎる。そんな姿勢だから、新聞は、皆から怪しまれるのだ。
夜、15日組の毎日新聞「記者の目・60回目の終戦記念日」の構成を考えるが、アレも書きたい、コレも書かねば‥‥朝まで悩む。
終戦を書くのに150〜160行では短すぎるが、長ければ良い、という訳でもないし。ちょっと苦悶。
<何だか分からない今日の名文句>
「指導者の無責任」を今、指摘する「新聞の大無責任」
8月11日(木) 道理の政治か、感情の政治か
仕事場の周辺の会社では「8月11日から16日までお盆休み」の張り紙が
目に付くようになった。気のせいか、車も少ないように思う。
昼、TBSラジオの収録。その後、JRA六本木事務所。四谷方面で若干の取材。
その後、仕事場に戻り、終日、戦時中の文献を読む。
戦時中の言論抑圧の実態。何か、今の日本とまったく同じような気がする。
道理を説こうとすると、指導者が「巧みな感情移入」で抑圧する。正義面の抑圧。
今や「脅し」のレベルに達した。
政治家は最大の言論人だが、それを意識しない体たらく。次々に、屈服する。
「危機だ」「危機だ」と言いながら、簡単に屈服する。報道も「郵政民営化は善」という
正義面に負けている。
昭和15年頃からの新聞報道は権力の言いなりで、日本は「革新、革新」と
叫びながら三国同盟に突っ走る。道理の政治か。感情の政治か。自由な報道か、
権力の走狗の報道か。今も、分かれ道のような気もする。
出来るだけ冷静に、当時の戦争報道を見ると‥‥いかに犯罪的な報道なのか‥‥二度と、
我々は、失敗してはいけないと思う。
週末は終戦記念日に「記者の目」を書くので、その準備。文献と取り組むことになる。
暇を見つけては、気分転換にパソコン。以前「キリ珠」で紹介した「オープン・ザ・ドア」。
夏、全国から不登校や引きこもりで悩む中学生、自分を変えようとする中学生が集まって、
太平洋から日本海まで約600キロを“自力走破”する大冒険。そろそろ、スタートではないか
と思い、国立妙高少年自然の家のホームページを開いてみると、10日に始まっていた。
連日、ホームページで同時進行の報告が写真入りで入るらしい。
実は愛馬・フェザーレイが出走回避したので、楽しみがなくなり、
こうしたホームページでも、眺めるのが、楽しみ?
皆様、良いお盆休みを。
<何だか分からない今日の名文句>
小泉政治は、まるで○○組
8月10日(水) ライオン丸の「ヒロシマレクイエム」
午後、出社すると同僚記者から「社にライオン丸が会社に来る」と言う。実は今日(8月10日)の夕刊
「キレ珠」で「念のためコンドーム」と題して「コンドームが売れない」という話を書いた。
その導入部に「ライオン丸のコンドーム」の逸話を書いていた。(是非、読んでくれ。毎日新聞のWEBで読めるハズ)
そのライオン丸の若き日、出演した映画の題名を同僚記者が確かめるため、連絡を取ったのがキッカケで、
彼、突如「今日、午後5時に会社に行く」と言うことになったらしい。何しろライオン丸先輩はフットワークが良い、
と言うか、相手かまわず突進し、ライオンのように、吼える。
ライオン丸・大橋弘記者とは、ここ数年、会っていなかった。中部大学の教授になったことは知っていたが、
彼が毎日新聞社を卒業してから、会う機会がなかった。だから、彼の逸話を書くのに、連絡が取れず、
無断で書いてしまった。
午後5時、会社の受付で待つとライオン丸は現れた。白い麻のスーツ、中々ダンディである。
が、かなり個性的な顔つきは変わらない。怖い。「しばらくです」と声を掛けると「イヨー!」。
無断で書いたことを詫びると「いや、書いてくれたことだけで、うれしい」とご機嫌である。
地下の「大作」でビールを飲むことになった。昔の話が楽しかった。相変わらず天下国家を論じ、
その間に下世話な‥‥例えば「社会党のオタカさんの恋人は××だったのか」と言った話まで登場する。実に楽しい。
話の途中で、ライオン丸がガンだったことを知らされ、ビックリした。
まったく、知らなかった。1999年、中部大学に赴任した年、S状結腸ガンを発病した。
膀胱まで冒されていて、大人の拳ぐらいのガンを摘出した。
死線をさまよった、とは彼は言わない。でも、日常生活が大変なことは想像できる。
でも、そんな気配はまったくなかった。愉快そうに、話しまくる。何しろ、大きい声で話すので、
周囲に「お詫びの視線」を送らなければならない。ライオン丸は健在だ。
別れ際に「本を送ったから、読んでくれ」と言われた。仕事場に戻って、郵便物を整理したら、
確かにあった。大橋弘著「ヒロシマレクイエム 大塚京子‥‥夢と生のダンス」(風媒社・1600円)。一気に読んだ。
ライオン丸が論説委員をしていた頃、知り合ったダンサーの大塚京子さんのことを書いている。
大塚さんは1938年、ヒロシマに生まれ、被爆する。俳優座養所を経て文学座の団員になり杉村春子の代表作「女の一生」
「欲望という名の電車」などに共演、「十三夜」の主役・おせきを演じた人だ。その後、ダンスステージ
「ヒロシマレクイエム」を製作するのだが‥‥2000年9月、肺がんを告知される。
被爆による発病。闘病をおして彼女は原爆をテーマにした「生きる」「夏の雨」の公演を続ける。
踊り続ける。その壮絶な生き様‥‥自らガンと闘ったライオン丸の目で。書いている。ほとばしるような名著‥‥一気に読んだ。
世の中は、まだ「小泉復讐解散」の波紋。復讐第二弾。亀井さんへの刺客は竹中さんとか。亀井さん、真っ青。
テレビで、その姿を見ると、痛々しいほど。喧嘩ベタ?
でも、これは第一幕。選挙まで、まだ、一ヶ月ある。
<何だか分からない今日の名文句>
黒い雨が降った
8月9日(火) 百合子さんは復讐第一弾
8日の日記で今回の解散を「小泉復讐解散」と命名した。まあ、こんなネーミング、
マスコミでは使い辛い、とは思うが「小泉復讐」は間違いなく、この政争の本質だ、
早くも“復讐第一弾”が発表された。郵政民営化反対の急先鋒・小林興起の東京10区に知名度抜群の小池百合子をぶつける、という。
テレビのコメンテーターは「これには驚いた」と話すが、それは今回の解散の本質を見極めていないからだ。
そのくらいの「復讐」は序の口。次々に起こる。小泉さんは、並はずれた怨念男。
解散回避の小泉・森会談の折に、彼はすでに「復讐」を打ち明けていた、と僕は見ている。それも具体的に。
「僕は非情だ」と言ったのがキーワードだ。(飯島秘書官のお稚児・Y議員の不用意な発言で良く分る)
小泉さんは角福最終戦争を意識している。30年たっても怨念を持ち続ける。
早くも、小泉内閣支持率は上昇した。復讐戦はとりあえず支持されるものだ。何しろ、前もって「民営化は正義」
と思い込ませている。「正義」を踏みにじった奴には復讐だ!という簡単な図式。我々、日本人は好きなんだ。
久しぶりに見る「正義の復讐・網走番外地」。それはそれで良いのだが‥‥日本は、たった一人の変人宰相の復讐戦を続けていいのかしら。大事なことが幾つもあるのに。
朝「競馬ロマン大学」を書いて、終戦関連の本を読み、夕方、埼玉のFM局に電話で出演。「どんな解散ですか?」
と聞かれ「小泉復讐解散です」と話したが、パーソナリティ氏にはピンと来ない。無理もない。時間がないから、
説明する余裕もないし‥‥やはり、この種のものは活字に限る。
夜、錦糸町の楽天地で映画「亡国のイージス」を見る。何故、見たかと言えば、真田広之が好きだから
(実は、俺、あの真面目な顔が好きなんだ)。もう一つ、福井晴敏の原作が正面から「国防と恥(=愛国心)」
を日本人に問いかけているから。
でも、映画としては駄作のような気がした。観客の想像力に任せる部分があまりにも多すぎて、
下手をすると、ストーリ自体が分らなくなってしまうような気もした。
原作が発表されたのが、多分、1999年。その後、憲法改正は急ピッチに現実のものになっている。
この映画も防衛庁の全面協力、産経新聞の後援。防衛庁の意図が分る。
さた「正義の郵政解散」という巧みなネーミングに、一応成功した(かに見える)小泉さんは、
支持率(毎日新聞の場合は支持率46%。詳しくは明日8月10日の朝刊)を見極めた上で「正義の靖国参拝解散」をどうするか、
ジッと考えているのだろう。
<何だか分からない今日の名文句>
解散は亡国内閣のイージス(楯)?
8月8日(月) 小泉「復讐」解散で‥‥
午後、参議院本会議で郵政民営化法案、大差で否決。予想通り、小泉復讐解散。
小泉さんの復讐男だ。別れた奥さんに「復讐」を感じれば、倅さんにも、絶対に会おうとしない。「怨念」は彼のエネルギー。
例えば、小泉さんの目的は(何でも「民営化」という名前の)田中角栄に対する復讐。角福戦争の怨念は死んでも、忘れないぞ!
まず、真紀子は手玉に取った。角栄の政治手法はすべて駄目にする。列島の平等化、もちろん反対。大都市中心の行政。
「小さな政府」と言えば、誰も文句が言えない。親中国政策、もちろん反対。だから靖国に行く。日本独自の中東政策、
もちろん、糞食らえ。俺には、アメリカが付いている。
小泉さんの目的は(「郵政民営化」という名の)郵政官僚に対する復讐。郵政大臣のころ、大臣室に来ないで、
田中派にご注進した官僚、死んで貰う。
小泉さんの目的は(「自民党議員定年制」という名の)中曽根康弘に対する復讐。角福戦争で角栄に付いた風見鶏は死んでもらった。
反対票を投じた中曽根の倅なんか、絶対、参院議長なんかにするもんか。
小泉さんの目的は(「抵抗勢力排除」という名の)亀井静香さんに対する復讐。過去の総裁選で、
小泉選対の本部長をしながら、サボタージュをした「守旧派」にも死んでもらう!と、
まあ、彼は常に復讐の鬼。まあ、それも良いけど‥‥その隙を、小泉日本はアメリカに蹂躙され続ける。郵政民営化が
アメリカ金融資本の餌食になっていることに、小泉さんは気づかない。これが「復讐の大きな落とし穴」というものだ。
復讐というものは、いつもバランス感覚を失なう。一時は、勝利に酔うこともあるが、結局、相手と共に疲弊し、倒れる。
復讐男は倒れて良い、と思っているから、性質が悪い。小泉さんは(一応「復讐」を隠して)「改革」の表看板で解散に突進した。
自民党が勝てば支持された、と言い、負ければ「ぶっ壊した」と胸を張る。これを小泉流ペテンという。
ハッキリ言わして貰えれば、コレ、ヤクザの喧嘩だ。「任侠」と云う表看板があれば、何でも出来る。
復讐殺人にも表看板があれば、支持される。
そんな「改革ヤクザ」に掛かったら、官僚上りのひ弱な議員さんなんて、うつ病になって自殺してしまう。
亀井さんは人相は立派なヤクザだが、まだ小泉親分の域には達していない‥‥何って思いながら、
復讐ヤクザの前で「火遊び」をして、家一軒、全焼してしまう「自民党一家」のドタバタを笑う。
でも、自民党一家はそれで良いが、日本は?
そろそろ、日本人は眼を覚まさないとヤバイぞ。
夜、前からの約束で、知人と「東京・深川の中国料理店」で夕食。実に美味い。例えば「白身魚とたらば蟹のニンニク香り蒸」。
これなどは絶品。何もない深川の路地の裏に、こんな店があるなんて。ビックリした。隣の客はワザワザ神戸から来たという。
ご主人に挨拶。開高健さんと縁の調理人。誇りを持っている。予約を取るのが難しいらしい。とても、教えたくない店なので、
この店の名前は当分、秘密。
戦後60年の終戦記念日がやって来る。「記者の目」で何か書かないか、という、ありがたい誘いで、
このところ、夜中は、文献を漁っている。で、本嫌いが、昔の文献と首っ引き。気が付いたら、白々明けだった。
<何だか分からない今日の名文句>
怨念のコピーライター
8月7日(日) 大玉ニンニク→マカ、元気になった!
週末、知人の青森県六戸町の吉田豊町長から「大玉ニンニク」なるものが送られてきた。デカイ。
国産ニンニクの9割が青森県内で生産されているが、大半は奥入瀬川流域。六戸町はその中心だ。厳しい寒さ。凍りつく白い雪に覆われ
た大地で越冬したニンニクは、翌年6月、掘り出される。大玉ニンニクは高品質で、生産量が限られている。だからすぐ出荷されちゃうと、
豊さんの手紙。大玉ニンニクの第一人者・田中将一さんが生産したもので、人気が高いらしい。
この週末は人に会うこともない、と判断して、たらふく食べる。何か、元気になったような気持ち。
5日に出社したら、机の上に紙袋が置いてある。女性からのプレゼントである。斉藤由香‥‥誰だろう。最近、メールに見ず知らずの
女性から援助交際を求める「お知らせ」が何通も来る。だが、プレゼント作戦なんて聞いたことはない。何者だ?
恐る恐る開けてみたら「マカ」が入っていた。ちょっと興味のある「マカ」である。
手紙を見て、初めて気が付いた。斉藤由香さんは「マカ女史」と呼ばれる超有名人。サントリーの健康食品を売りまくる女性だ。
週刊新潮で「トホホの朝 ウフフの夜」という人気コラムを書いている。作家・北杜夫さんの娘さんだと聞いた。
お手紙によると、彼女、後輩記者の内山勢の友達らしい。以前、ホームページで僕がマカの話を書いていたので、内山が彼女に何か、
話したらしい。「ごあいさつを兼ねて」と書いてある。ごまパワーの「セサミン」というのも入っている。
「マカは女の子と一緒に飲むとグッ(赤いハート印が付いている)ときます」と説明している。早速、飲む。そして、翌朝‥‥。
斉藤さんに電話して「内山が東京に来たら一緒に飲みましょう」と挨拶した。(内山は現在・名古屋本社勤務)
永田町は8日の参議院本会議で、郵政民営化法案の採択。どうなるのか。テレビで「解散で政治の空白が出来ては困る」なんて話す政治
家。何が「政治空白」だ。いつも、なにもしない「空白野郎」の癖に。
週末は何もしない、と思ったが、大玉ニンニクとマカで元気になったのか、突如、外出。電気代を節約するにはクーラーの効いた電車に
乗り続けるのが一番、と思い、京成電車に乗り続けていたら成田に着いてしまった。そこで、生まれて始めての成田山詣で。かなりキツ
イ参道を歩いた(歩けた)。ニンニクのおかげ、マカのおかげ‥‥。
翌7日は「キレ珠」を書く。題して「念のためコンドーム」。夜は中山競馬場で花火。結局、今週も出歩いていた。
<何だか分からない今日の名文句>
摩訶不思議
8月4日(木) 密告主義に反対!全体主義に反対!
明徳義塾が不祥事で甲子園出場を辞退させられた。報道では1、2年生の部員11人が寮でタバコを吸った。よくある話だ。興味本位で
タバコを吸うのは、けして良いことではないが、ごくごく、どこにでもある話だ。要するに、若者なら、一度くらいすることである。タバ
コを盗んだ、という話ではない。良くある話で、全体が懲罰を受けるというのは、解せない。
もう一つは、上級生が正座の強要して、胸、腕を叩いた。これも運動サークルでは良く聞く話だ。けして良いことではない。大怪我に
なったらどうするんだ。しかし、運動部では、ある程度の「暴力」を許すところもある。相撲部では竹刀で新入りを“激励”することも
あると聞いた。いずれにしても、暴力を振るった人間に対して罰が与えられても当然だが、甲子園で練習している仲間全員が出場できなく
なるなんて、これは、悪しき制裁主義。悪しき全体主義ではないのか。
不祥事を隠したのは悪い。が、投書する方にも、何か、優しさがなさ過ぎる、ように思える。出場辞退が投書の目的であったら‥‥これ
は密告である。
陰湿な密告主義が世間に横行している。甲子園という教育の場で、密告が胸を張るのには違和感を感じる。
暑い一日。雨ちゃんの告別式。ちょっと涙ぐんでしまった。骨が大きくて、堂々していたのにビックリした。若い肉体だったのに‥‥
ガンを恨む。
火葬場の帰りにイケメン葬儀屋から「ハワイは墓が安い。28万円からあります」とセールスを受け、名刺を貰った。
俺、骨になったら、どこに行くか。それほど、遠い話ではないような気もする。
<何だか分からない今日の名文句>
君子は罪を憎んで、人を憎まず
8月3日(水) 明智光秀になったつもり?
永田町は永岡さんの自殺で、まだ激震している。7月5日の日記で「反対なら対立候補をたてるのは、苛めだ」と書いたが、その「苛め」が命を奪った。
「うつ病の投与を受けていた」という情報を流して、あくまでも「個人的な病」とする向きもあるが、極端に弱い人が「苛め」に負けた、というのが実体だろう。
朝の参院自民党議員総会で、亀井郁夫さんが「まだ地盤の固まらない一年生議員に対し、連立与党とは言え、他党の幹部を呼び込んで、一緒になって説得している」と
暴露した。「反対すれば、今度の選挙では公明党の応援が期待できない」と言う。小泉主導部の「苛め」に公明党が一枚噛んでいる。この発言に「止めろ!公の場で言うこと
ではない」と怒号が飛び交ったらしい。
「それこそ、第二の犠牲者が出かねない雰囲気だ」と永田町の電話の主。完全に政局になった。
かなり昔に「森さんが明智光秀?」ということを書いた記憶があるのだが、森さんは2日夜「首相には辟易した。もう守る必要はない」と言ったらしい。
首相の解散権は絶対だが、全閣僚の署名が必要だ。反対の閣僚がいると、小泉さんが、その閣僚を罷免して、兼任すれば良いのだが、事実上、かなり難しくなる。
そこで、森さんは森派会長を辞任することで「解散反対」を明確にして、閣僚の中で「解散反対」の空気を醸成する。政治改革法案で、解散を決意した海部首相が金丸副
総裁の反対で、解散が出来なかった、というイキサツもある。
小泉さんは、7月初め「明智光秀に殺されないようにする」と言っていたが、解散拒否の森さんは光秀になったのか。
午後、年金病院で、大石さんと落ち合って、雨ちゃんの通夜。色々の人に再会した。
<何だか分からない今日の名文句>
「伝家の宝刀」にも錆?
8月2日(火) アメリカが殺した?
直前まで「民営化反対」で、採決では賛成票を投じた永岡洋治・衆院議員の自殺。どうにも、分らないことばかりだ。
一法案の投票行為で、それほど、追い詰められるものなのか。世間が言うほど「対立候補を立てるゾ」と言われることが、それほど恐怖なのか。分らない。
賛成票を投じて「裏切り者」と言われるのが、それほど、辛いことなのか、理解に苦しむ。そんな柔な議員がいるのかしら? 毎日のように犯罪的言動を続けている議員
ばかりなのに‥‥理解に苦しむ。
しかし、他に自殺の原因が考えられない、とすれば、やはり「郵政民営化自殺」ということになるのか。
彼を追い詰めたのは、小泉陣営? 反対派?
よくよく考えてみると、彼を追い詰めたのは「アメリカ」ではないか、と思えてならない。
郵政民営化には色々な理由が挙げられる。その「色々な理由」はそれなりに理屈は立つが、最大の理由をハッキリ言わせて貰えば「アメリカによる、アメリカのための郵政
民営化」である。
郵便局のネットと言った話ではない。アメリカは郵政民営化で市場に出る郵貯、簡保をあわせた350兆円に標的をあわせている。90年代の銀行再編で潤ったアメリカの
「ハゲタカファンド」の再来を期待している。と、言うより「民営化せよ!」と圧力を掛けている。パウエル前長官の来日は「駄目押し」だった。
51番目の州・日本の親分、小泉さんはブッシュの言いなり、というより、小泉さんは、この問題では、竹中さんの言いなり。竹中さんは、小泉内閣が終われば祖国・
アメリカ? に帰って、大学教授になるお人?
アメリカが小泉内閣を追い詰め、小泉さんが「自由にして民主主義の政党の弱い議員」を追い詰めている。そう考えると、アメリカが、人一倍、気弱な官僚上りの議員を
自殺に追い詰めた、と見ることも出来る。そう考えざるを得ないほど、今の日本はアメリカの属国になっているのだ。
マスコミは自民党から18人が反対に回れば「否決→解散→9・11選挙」といっている。しかし、小泉戦略には「民主党議員取り込む」が隠れている。民主党から欠席
議員が出れば‥‥まだ、勝負は付いていない。
亀井さんは「お人良し」だ。小泉さんが「反対派は倒閣運動だ」とけん制すると「倒閣なんて言ったこともない」と反応する。
「今や、倒閣しなければならないのだ」と言うべきである。あんな強面な顔をしていながら、小泉さんのペテンに引っかかる。
午前中「おけら街道」午後「ロマン大学」を書き上げ、夜、親しい仲間と「亀清楼」。
<何だか分からない今日の名文句>
「カンポ、カンポ」はアメリカの流行語
8月1日(月) 雨ちゃん、逝く
心配していたことが、現実になってしまった。朝、新潟のホテルで、雨ちゃんの訃報を聞いた。
8月1日午前6時21分、永眠した。66歳だった。
1977年春、タレント・八代英太さんから、突然、電話を貰った。「相談したい」という。面識はなかったような気がする。ただ、
社会部の記者が芸能界の裏側を書いている、と評判になっていたので、八代さんは、僕の名前だけは知っていたのだろう。
北区志茂町の家にお邪魔した。何か、芸能界のヤミの部分でも告発したいのかと、想像していた。
会うと、八代さん「選挙に出たい。是非、力になってくれ」と言う。意外だった。1973年、彼は、愛知県刈谷市のステージから転落、
脊髄を損傷して、それ以後、車椅子の生活になっていた。
「車椅子になってから、日本の福祉はまるでなっていないことに気づいた」と言う。ほとばしる熱意を感じた。選挙はまじかに迫ってい
た。参議院選挙全国区。
「でも、応援してくれる人がいるんですか?」と聞くと「二人だけいます」と言う。応接間の向こうに二人の男性が控えていた。一人は
八代さんの車椅子の仲間・大石さん。もう一人が八代さんの石和高校の後輩・雨宮茂さん。雨ちゃんに初めて会ったときだった。当方、
33歳。雨ちゃんは39歳だった。
福祉のために一肌脱ぐか、と思い、僕は彼ら3人を「車椅子党」と命名して、大々的に報道した。当初、週刊新潮などに「泡沫候補」と
書かれたが、八代の知名度、大石さんの人柄、雨ちゃんのアイディアで、84万票を獲得し、八代は国会議員になった。
大石さん、雨ちゃんは、それ以来の付き合い。かれこれ、28年経っている。
雨ちゃんは、2年半前、胃がんを手術した。胃をすべて取った。まったく元気になったのだが、病魔はしぶとかった。2ヶ月ほど前、
左手が痺れる、と言っていたのだが、それから症状が急速に悪化した。
6月中旬、病室を見舞うと、黄疸が激しく‥‥何か、覚悟しているようだった。転院を進めたが「こんな良い病院はない」と話した。
時々、泣きながら、倅のJr.に社長を譲ろうと思うのだが、と相談するので「それは良いけど、会長になった方が良いぞ。Jr.に乗っ取
られるぞ」と冗談を言った。(雨ちゃんは、時々、この日記に登場するJr.、有希の父親である)
それから、2ヶ月も経たないうちの訃報だった。落ち込んだ。何も出来ず‥‥まさか、車椅子の大石さんより、障害者になった僕より、
八代さんより、誰よりも早く、逝くなんて‥‥泣いた。
通夜は8月3日午後6時、葬儀は4日午前10時半、JR西国分寺駅北口から徒歩3分の東福寺(042−321−1046)
ご冥福を。
<何だか分からない今日の名文句>
一生は風の前の灯
7月31日(日) 「負担」がキーワード
明日から8月。7月最後の日曜日の日経新聞を読むと「2005年の夏」の時代性が鮮明になっている。
例えば、一面のトップは「個人住民税 15県が増税」。引上げ額は300円から1000円になる。新聞には触れていないが、参議院のドン、青木さんの地元、島根県
などは税収減で真っ青だ。
3面のトップは「介護保険料」。急増を緩和させるために一部の高齢者は来年から負担増‥‥だ、そうだ。7面は混合診療の話。患者の負担にバラツキが目立つという。
高齢化がもたらす負担の問題で、日本は苦しんでいる。2005年夏以降「負担」がキーワードになる。
週末は東京を離れた。日本海側で野暮用数件。愛馬・フェザーレイが土曜の新潟競馬に出走するので、駆けつけたが、惜しいところで首差で2着。夜は東堀の「きた山」で
BSNの専務さんらと夕飯。「越の寒梅」の北山酒造が経営している店。女性好みの店。
日曜日は午前中、野暮用を済まして、午後、再び競馬場。堅くて堅くて、穴党の出番なし。大負け。
「キレ珠」「世界週報」の原稿を書きながら、もう一泊。
<何だか分からない今日の名文句>
自己負担は痩せ我慢