編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2006.2月

2月27日(月) 松下政経塾の人間力

 サンデー毎日に「“偽名メール”ネタ元と名指しされた元フリー記者の言い分」という記事が載っている。永田議員の協力者・Nに電話 インタビューしたらしい。もちろんこの人物は「知らず、存ぜぬ」である。

 疑惑メールの差出人と受取人が同一人物だったと言うから、この騒動、この協力者の自作自演ということなのだろう。この人物の正体を 突き止めなければ、真相は分からない。議員辞職とか、処分より、この真相を調べ上げなければならない。添付された「銀行口座」の秘密 も、解明しなければならない。

 本当かどうか、これも疑問だが、永田さんは「差出人と受取人が同一人物」という事実を聞かされ、仰天して「協力者に質す」と答えた らしい。

 ところが、その永田さん、野田さんも、その協力者が何処にいるのか分からないらしい。この人物は、都合が悪くなると、携帯電話を切 ってしまう癖があるらしい。

 情報合戦では「キーマンを取り込む」のが鉄則である。場合によっては、安全な場所にキーマンを隔離しなければならないこともある。 キーマンの安全を確保して、同時に競争各社の接近を阻むために、その人物をホテルの一室に缶詰にすることも、新聞・雑誌業界では良く あることだ。

 この鉄則を守っていないから、協力者に民主党は振り回される。この人物、僕の知る範囲では、相当なワルである。そんな札付きの人間 を信じるなんて‥‥観る目がない。前原・民主党体制に見る目がない。

 松下政経塾だけのメンバーで‥‥世間知らずのメンバーだけで、独走する危うさは以前から指摘されていたが‥‥それにしても見る目が ない。

 松下政経塾は志の集団と聞いている。「自らの志が正しく力強いものであること」「多くの理解や協力を得ることによって志を達成する こと」「現実の無常に目を向け、生成発展に向けて無常の知恵を生かすこと」‥‥結構な理想を持つ集団とは思うのだが、なにか「松下政 経塾」の看板で当選することだけが、目的になっている。要するに政界予備校。志より点数獲得。

 攻めには強いが、守りにはまったく弱い。そんな松下政経塾のメンバーで天下が取れる、と思っている前原体制。まるで、子供じゃない か。

 今日(28日)謝罪会見するようだが、中途半端な言い訳は許されない。世間は甘くない。出直して、改めて、闇の人脈を探れば、どん でん返し、だってあるんだから。

 午前中「キレ珠」を書く。メール騒動で見せた小泉さんの喧嘩上手を書いてみた。考えてみると、初めて小泉さんを肯定的に書いた?  題して「前原君はマブダチ?」

 出社後、東京駅近くの床屋。例の女性スタッフが久ぶりに故郷・新潟県高田に帰った話を聞く。まだ、吹雪いていたらしい。今週も後半 は大雪? 高田城の桜は何時頃になるのか。

 夕方、納税に関する野暮用。7時すぎから、プレスセンターでラジオ短波の白川二郎さんを囲む会。(これは「おけら街道」で書くつも り)その後、西新橋の「はなわ」で一杯。

 帰って、ズボンのポケットを見ると2000円札が出てきた。懐かしいなぁ。でも、明日、10000円札、5000円札と間違わない うちに使っちゃおう。あまり意味のない紙幣だから。

<何だか分からない今日の名文句>

2000円の「志」 中途半端は淋しい生涯

2月26日(日) 山本先輩が生まれ変わったら‥‥

 「面白い生涯だった。生まれ変わったら無頼派の特ダネ記者になって国家の謀略と闘いたい」。 山本祐司先輩の一文を読んで、ちょっと涙ぐんでしまった。

 このくだりは山本先輩が「毎日新聞社会部」の最後の1ページに、 何気なく書かれたものだが、感涙してしまった。

 山本先輩は1936年山口県生まれ。早大法学部を卒業してから、毎日新聞に入社。 司法記者一筋。毎日新聞に数多い敏腕記者の中でも1,2を争うスター記者だった。

 その後、横浜支局長、東京本社社会部長を務めたのだが、ある日(ある取材で某所に出向き) 突然、脳卒中で倒れた。右半身不随、かつ純粋話聾。重い後遺症に悩んだが、 これを乗り越え、山本先輩は名著「最高裁判物語」でジャーナリストとしては最高の日本記者クラブ賞を 受賞された。

 今回の「毎日新聞社会部」は世間を震撼させた大スクープの裏側を記録する大作。 358ページに様々な事件の真相が書かれている。下山事件、松川事件、ロッキード事件‥‥ 戦後事件史の闇に、時に翻弄され、時に真向から挑戦していった毎日新聞社会部の 猛者たちの群像。実に生き生きとしている。

 下山事件、松川事件には、若造の僕には縁が無いが、ロッキード事件には 一平卒として参加したこともあり、読んでいるうちに、登場する先輩諸氏の顔が 次々に浮かんできて、一晩で読んでしまった。毎日には、こんなに多くの逸材がいたのか。 ビックリするほどである。新聞協会賞を初めとする各賞は毎日新聞が独走しているが、 なるほど、という感じがある。(その分、毎日新聞は経営的には下手糞で、給料は業界一安い)

 山本先輩の最大のスクープはロッキード事件で、田中元首相が逮捕される76年7月27日の 朝刊に「検察重大決意」と1面トップで報じたことだろう。そのスクープの裏側も書いている。

 6月のある夜、記者クラブから廊下に出ると、最高検検事の伊藤栄樹氏(後に検事総長)が 酒を飲んで上機嫌で歩いてきた。山本先輩は伊藤氏に「田中角栄はどうですか?」と聞くと、 突然怒り出し「冗談じゃない。角栄は絶対に許せない」と話す。 伊藤氏は、田中金脈捜査が不発に終わった時の東京地検次席検事。 彼は「重しが取れたんだな」と思い、それから田中元首相を徹底的にマークし、 最終目標は元首相だと確信しました、というのだ。

 逮捕の前夜、検事たちは「風邪気味だから」などと理由をつけて早々に寝て、 記者と会うのを拒んだ。主任検事の吉永祐介氏(後に検事総長)は取材拒否こそしなかったが 「腹が痛い。明日は病院に行ってから出勤する」とまで言った。この異変は尋常ではない、 と山本先輩は直感した。そして、世紀の特ダネが生まれた。

 山本先輩は、僕が新潟支局に勤務した頃、出張取材に来られ、面識を得た。 その時、当時の社会部長に「新潟に威勢の良いのがいる」と言ってくれ、 僕は社会部記者になった。大恩ある先輩だ。

 山本さんがデスクをしていた時、僕は政治部に異動したので、付き合いは薄くなったが、 僕が脳卒中に倒れた時、不自由な身体で、病院に励ましに来ていただいた。 全て、山本さんの後を追っているような記者人生。だから、頭の上がらない先輩である。

 この本は、山本先輩、渾身の大作。だから、書き終わった時「面白い生涯だった」と書いたのだろう。 何か、一仕事、それも「山裕」でなければ出来ない大仕事を終えた満足感のようなものが 「面白い生涯だった」と文字に凝縮している。

 何か、こみ上げるようなものを感じた。

 ジャーナリストを目指す若者は必ず読んでもらいたい。 (僕は全く登場しないので、お小言もないので、平気で「読みなさい」と言える)

 匿名のネットが、あやふやな情報を流す時代だからこそ、本物のブンヤが、 どう行動するのか、是非、読んでもらいたい。(河出書房新社・税別1900円)

 週末は野暮用。野暮用の合間に伊藤競輪に出かけ、若干、儲けた、と言ったら、 たまちゃんにも、山本先輩にも、怒られそうな気もする。

 そろそろ、オリンピック閉会式のライブが始まる。

<何だか分からない今日の名文句>

吹けば飛ぶよな 新聞紙に
 賭けた命を 笑えば笑え
  空に灯がつく 電光ニュース
 オレの闘志が また燃える
   (山本先輩が歌っていた「王将」の替え歌)

2月23日(木) 「5%削減」に反対した

 今、24日午前7時10分、日記を書くのも忘れて、テレビにかじりついていた。おめでとう。荒川さん。凄い精神力ですね。あのスラ ンプを乗り越えた荒川さん。辛かった日もあっただろうに。おめでとう。シミジミ、君が代を聞きました。

 さて、23日の日記。

 政府が今国会に提出する「行政改革推進法案」の柱となる国家公務員定員の大幅削減。日本郵政公社を除く国家公務員の定員68万70 00人を「5年間で5%以上純減(削減数から増員数を差し引いた実質的な削減数)させる」という目標を打ち出しているが、23日の 競馬運営委員会でも話題になった。

 挨拶の中で「JRAも行政機関に準じた取組みを‥‥」と高橋理事長が言及した。「JRAはすでに独自に総見直しをしている」という ことを力説して、苦渋に満ちた言い回しだが、特殊法人のJRAとしては5年間5%の削減に取り組まざるを得ない‥‥というニュアンス が受け取れた。

 まず、一般論から書きたい。どこも彼処も、同じように「5年間5%削減」するのは「行政」ではない。政策の優先順位を決定し、 実現するために、公務員を適正に廃止するのが「行政」である。それが出来ないからと言って「行政機関の一律削減」で逃げようとするの は誤まっている。

 「一律削減」すれば、今まで、合理化に努力した現場が損をする。ギリギリの人員削減をしていたところが損をする。それよりも、現場 で、これ以上、人員を削減したら大事故も起こりかねない部署が沢山あるのだ。(JALの事故多発の背景には、無理な合理化がある。 外人の作業員を整備部門にはいちすることで、コミュニケーションが取れない、という悩みの聞いた。JR西日本の脱線事故の陰には行き 過ぎた「儲け主義=合理化」がある)小泉行革には理念がない。必要ないものをバッサリと斬れば良い。逆に拡充すべきものは、断固、 増員しなければならない。

 これからは個別の議論である。特殊法人・JRAが行政機関と同じように5%削減するのは、お門違いである。と思ったので、次の諸点 を上げて、反対した。

 @今行革で、JRAの組織形態は「特殊法人」として残った。これは、JRAが他の補助金垂れ流しの特殊法人と違って、年間3000 億円近い国庫納付金を上げているからである。特殊法人として廃止する理由は全く無い。

 Aしかし、今行革の「官から民へ」という基本理念からすれば「民間」になっても良い。「特殊法人」ではなく、完全民間委譲が相応し い側面も幾つかある。

 Bだが、バクチは刑法の特例事項。民間がバクチをすることは、国民感情になじまない。だから「特殊法人」の形は残ったが「規制緩和」 「権限委譲」を最大限生かし、利潤をさらに生み、という基本政策は明確になった。国家財政に貢献する「民間手法」である。このために 「中立・第三者委員会」(NHKの経営委員会のようなもの。NHKの場合は、その経営委員会が機能しなかったが)を設置して、執行機 関をチェックすることになった。

 Cつまり、形は「特殊法人」だが、新しいJRAは民間的手法を最大限、生かさなければならない。その行革の理念からすれば「特殊法 人」だから国並みに「5年間5%削減」はおかしい。全くおかしい。必要なら20%削減も必要だし、逆に20%増員だってありうる。

 と言うのが、僕の主張だ。大好きな高橋理事長も、元気な早稲田マンの農林省の荒川競馬監督課長は、それなりの答弁をしてくれたが、 元気がない‥‥彼らも「おかしい、おかしい」と思いながら、正論が言えない立場なのだろう。この点については、折りに触れ、意見を述 べたい、と思っている。

 ホリエモンから武部さんの二男へ送金を裏付けるメールがニセモノと判明して、民主党はガタガタ。永田寿康さんは議員辞職する意向を 党側に伝えていたが、夜になると「議員を続けたい」と言い出したり。結局、永田さん、病院に逃げ込む。情けないだのクラッカー、だ!

 この日の政倫懇で、伊藤公介さんは支離滅裂。永田さんと同じような状態で、自民、民主、馴れ合いで「ここらで休戦」というムード。 取引が始まっている。そんなことを続けると、日本の闇は広がるばかりだ。メディアよ、市民よ、団結せよ! メディアよ、闇を斬れ!

 今日の怪ネット。武富士を追及したフリーライターの山岡俊介さんの情報紙「ストレイ・ドッグ」http://csx.jp/~gabana/index.html。 このところ、ユニークだ特ダネが続いている。@永田議員に「堀江メール情報」を提供した男の正体A<記事紹介>「ライブドア事件の 真相−−K氏は五代目山口組の盃をもらった」(『週刊現代』06年3月4日号)B副社長元秘書に不当解雇と提訴された電通‥‥どんな 形で、こんな情報が入るのか。興味深々。

 夜、安くて美味い店を探したら、競輪の中野さんが、大声で演説? していた。楽しい人なんだ。

<何だか分からない今日の名文句>

朝が来ない夜はない

2月22日(水) 小泉は「前原続投」で結構?

 党首会談で、前原さんが新しい証拠を出さなかったので、一応、疑惑の堀江メールは偽装で確定? のムード。永田さんも現れず、逆に、 武部さんの二男が「海外に銀行口座はない」と報道各社に伝えてきたらしい。

 予想通り、茶番劇で終りそうな雲行き。取り合えず、小泉さんの反則勝ち。「取り合えず」というのは、それ相応の「心ある仕置き人」 は必ず(多分?)ホリエモンと永田町の膿を見逃さないと信じているからだ。ビクビクしている向きが何人もいる。もちろん、武部さん だって‥‥なぜ、永田さんを名誉起訴で訴えないのか?

 それにしても、民主党って、この程度の政党なのか。調査能力ゼロ。「出来れば、自民党にいたい」と思ってる人ばかり。単なる「おっ ちょこちょい」の言い分に、すぐ乗っかる善人執行部?

 「役人では出世の芽がない」と思って議員になった「おっちょこちょい」が、一旗上げようとした。情報提供者の氏素性を確かめること もなく、幹部がそろって騙されたとしたら‥‥永田さんの議員辞職では片付かないかも。これで、当分、民主党はお葬式だ。

 前原さんは辞任するのか。野田国会対策委員長の辞任で逃げ切り、ということになるのかなあ。小泉さんは、心の内で「当分、間抜けな 前原の方が良い」と思っているのだろう。時々「自民・民主大連合」の話を持ち出せば、前原・民主党はバラバラになる。自民党が「前原 OK」、民主党(の一部)が「前原、辞めてくれ!」というヘンな構図。

 地検は政界の流れとは離れて、粛々とホリエモン再逮捕。2拘留付いたところで、外為をやるのか。その後、インサイダー取引で再々々 逮捕? インサイダー取引で甘い汁を吸ったのは誰?

 ぽっかぽか陽気。15℃を越え、花の便りも。終日、個人的な野暮用。

<何だか分からない今日の名文句>

ヤマは連休明け?

2月21日(火) 外務・財務の裏取引

 毎日新聞がまたスクープを放す。政府開発援助(ODA)改革の柱である「JICA(国際協力機構)の一元化」で、実は外務省で一元 化した、と公表したのだが、実は「JICA全体の書簡は外務省だが、円借款部門は財務省」と密約を交わしていた。麻生さんは「財務省 の権限存続はない」と話していたが、これは真っ赤な嘘ということになる。

 薄々、こんなことだろうと思っていたが、合意文書を手に入れたのは、お見事である。(22日朝刊に載る)

 ODA改革は円借款、技術協力、無償資金協力の3部門の集約が狙いだから、何が改革だ、と言いたい。小泉改革は全て形だけで、官僚 の言いなりなのだ。

 小泉さんは「改革一人芝居」。本人も、間抜けな国民も、それに気づかない。地道だが、毎日新聞がこれを暴いている。

 午前中、執筆。午後は秋葉原まで歩いて、ヨドバシで「ある物」を購入。ヨドバシは馬鹿でかい店舗だが、4階の喫茶はテレビ売り場の 前で煩く、狭く、その上、コーヒー450円。腹が立った。

 夕刊紙は相変わらず「疑惑の堀江メール」が本物か、ニセモノか。夕刊フジは「ニセモノ」、東スポは「情報提供者Xは“永田を男にし たかった”と話している」と報じる。東スポは「このXが堀江からメールを受けた人間。Xはジャーナリストをやめ、堀江と関係が出来 た」という新説を展開している。まあ、23日の党首討論で、ある程度、真相が分かるけれど。

 今日の「読み物」。BOSS4月号。佐藤優の「検察が恐れた『思想犯』堀江貴文」。佐藤さんの見方は、勉強になる。

<何だか分からない今日の名文句>

ハダカの王様

2月20日(月) ホリエモン・ザ・ミュージカル?

 CNNが「ヒューストンの劇団・ステージズ・レパートリー・シアターが、経営破たんした総合エネルギー会社・エンロンの会計スキャ ンダルをミュージカルにする」と報じている。エンロンの元社員の目から、同社の幹部らドタバタを皮肉を込めて描く。CNNによると、 劇の中では「サウンド・オブ・ミュージック」「ザ・プロデューサーズ」などの替え歌を使うらしい。エンロンだけに偽装ミュージカル。

 日本のホリエモンも、ミュージカルになるぞ。大爆笑映画になるぞ。三谷さんに脚本を頼んで「有頂天ホテル」のノリで大ヒット間違い ない。

 昨今の疑惑のメール騒動も一幕になる。「ついにメールが出ちゃった」と白目ぐりぐりの武部さん。「本当は××億円貰ったのに‥‥妙 だな‥‥」と頭がぐちゃぐちゃになる。「ガセネタだ!」と言ってはみたが「武部は大丈夫か?」と頭を抱える総理大臣殿。「武部ならや りそうだ」。

 「ガセネタ」と言われて、真っ青になり雲隠れした永田さん。ニュースソースに「大丈夫か?」と恐る恐る聞くと‥‥「それは、どうで も良いじゃないか。これが金融機関の名前?」 エッ、日本じゃないの、と永田さん。

 で、民主党も、自民党も、国政調査権が使えず、めでたし、めぜたし‥‥でも、何時までも何時までも、日本に帰れない?武部JR‥‥ そんな筋書き、どうだろう。

 19日、高知競馬で4勝目を上げたホリエモン(競走馬のことですぞ)の複雑な心境も演じたいし、もちろん、野口さんの奇妙な死も一 幕になるけど、これは深刻な話だから、大爆笑には似合わない‥‥なんて考えているうちに、東京駅に着くと携帯。「“新ここだけの話” が締め切りです」という催促。あっ、忘れていた!

 「おけら街道」と「新ここだけの話」の2本。とても日記を書く余裕なし。今日は、これにて失礼する。

<何だか分からない今日の名文句>

メールはニセモノだけど‥‥武部さんの狼狽は本物

2月19日(日) エッ!あの時のお嬢さん?

 すっかり、クセになってしまった週末の映画鑑賞。「ミュンヘン」を観た。 1972年のミュンヘン五輪で発生した、パレスチナ系武装組織「黒い九月」のイスラエル選手団殺害事件。 イスラエル首相ゴルダ・メイア女史は激怒し、パレスチナ・ゲリラの11人を殺害する決意をする。 ヨーロッパに散らばったテロリストを探し出し、次々に殺害する。

 報復作戦「神の怒り作戦」は長期間秘密にされた。闇から闇に葬られる予定だったが、暗殺隊長ジョージ・ジョナスが 1986年「標的は11人―モサド暗殺チームの記録」を書いて、世界は「国家の意思による報復」と知る。 「ミュンヘン」はこの本の映画化である。

 一人残らず抹殺する報復。国家という権力は、こんなことまでするのか。驚愕である。 しかも、ヨーロッパで次々に起こる殺人事件をずべて「未解決」にする。そのマスコミ操作。 プロの、しかも権力の後ろ盾がある「殺し屋」はそれに応え、使命を完遂する。その恐ろしさに、慄然とする。

 新聞記者をしているので「国家の殺し」を知らないわけではない‥‥が、この映画の殺しのスケールには脅かされた。

 その国家的報復の恐ろしさに比べると‥‥昨今の「日本国の国会ゴッコ」には目を被いたくなる。 ホリエモンが自民党の武部幹事長の二男に3000万円振り込むよう指示したとされるメール。これが、本物か、ニセモノか、 そんなことで、日本中が揺れ動いている。武部さんが、この質問を聞いたとき、目を白くして「万事休す!」の体だったので、 国民はかなりの衝撃と思った。ところが、17日の国会のやり取りで攻守ところを変えた。

 民主党・永田さん「なぜ、ガセネタと言えるのか。ガセという言葉の意味は?」

 小泉さん「ガセというのはにせもの。ネタは商品。インチキな商品をいう」

 永田さん「ウソだ、偽造だねつ造だと言われている環境で、どの様にしてその先入観を上回る議論をしていったらいいのか。 この一方的な攻撃、これは一種の言論封殺なんです」

 小泉さん「ちょっと永田さんね、冷静になって下さいよね。永田さん自身が、 根拠の無いといわれている情報をもとに武部さんを一方的に攻撃をしているんですよ。 我々は、そういう根拠があるんだったら見せてください、と言っているんです」

 勝負あった。電子メールは改竄(かいざん)が容易だから、民主党は「疑惑の証拠」を より鮮明に示さなければならない。民主党の前原誠司代表は「信ぴょう性が高いものと思っており、 われわれは自信を持っている」と重ねて強調したが、果たして「証拠」が出せるのか。不安だ。

 それにしても、まるで「お子ちゃま国会」である。確たる情報の裏を取らずに、スター気取りで疑惑を追及したら 「飛んで火にいる夏の虫」ではないか。これは餓鬼のやることだ。ガキの官僚のやることだ。あんたは、 国民に選ばれた人間ですよ。永田さん、これは、ガセ以前の「ガキの問題」だ。

 情報の仲介役という記者さんは誰なのか。信憑性が高い情報なら、自分で書くのが記者というものだ。 本当の「記者」なのか。この人物が特定されれば、自然と、ガセか、どうかが、分かる。 (一部には、すでに特定されている、という説もある)その人物が記者会見に臨めば、全てが分かる。

 もし、その「記者と言う人」が僕が想像している「記者経験のある、ちょっと気になる人物」であったら‥‥ もしかしたら、民主党はハメられた、ということもあるかも知れない。そんなことがないように切に祈るが‥‥

 いずれにしても、信念を持って、覚悟した「確かな告発者」がいなければ、どんな時代でも、 真実は明らかにならない。ロッキード事件の「蜂の一刺し」を思い出してくれ。あの女性が登場して捜査は進んだ。 善意の(悪意でも良いが)信念の内部告発と「裏取り」がなければ、権力と闘うことは出来ない。

 19日朝はTBSラジオ。この問題で、民主党に厳しいことを話す。

 ことし、初めてのG1・フェブラリーが行われるので東京競馬場。来賓席の廊下で「失礼ですが、牧さんでは‥‥」 と若い女性に声を掛けられた。ウェイトレスのお嬢さんだ。「そうですが‥‥」と答えると 「やっぱり! 20年ほど前に、私、牧さんと一緒にお花見をしたんです」と言う、 「20年前? 君、幾つだったの?」「今、26歳ですから、幼稚園か、小学校に入っていたころです。 でもハッキリ覚えているんです」

 聞いてみると、僕が中曽根内閣の首相官邸キャップだったころ「花見をしよう」と声を書け、 当時のスタッフ全員と家族を集めて、四谷で大々的に、お花見をした。「その時、兄妹3人で参加したKです。 その時、牧のおじちゃんに優しくしてもらいました」というのだ。

 良く覚えていてくれた。「牧さんは、俺が副隊長だ! と言っていました」。良く覚えている。 当時、真面目に仕事してくれるサブキャップの大須賀を僕は「隊長!」と呼び、彼にデスクワークを頼み、 キャップの僕は一人で潜行取材ばかりしていた。だから「何もしない副隊長」。それを覚えていてくれた。

 26歳。綺麗だ。理知的だ。子供の教育施設に勤めている彼女、土日は来賓席でウェイトレスのアルバイトを しているとか。「インドに行きたいので頑張っているんです」 実に美しい健康的な女性に成長している。

 うれしかった。覚えてくれたことに感謝し、彼女の成長振りを神に感謝し、夜のビールは格別、おいしかった。

<何だか分からない今日の名文句>

権力に嵌め手を忘れて「ちょっと良い話」

2月16日(木) 報道しない自由もあるけど‥‥

 朝の口、雨。仕方なく、タクシーで、たいとう診療所。一ヶ月に一度のリハビリ。 大木療法士の指導で、何年ぶりかで「うつ伏せ」をした。怖くて、怖くて。健康な右腕?が潰れるような不安を感じる。 それでも、何とかうつ伏せになって、枕を胸に入れ、ストレッチ。何か、背筋が伸びたような、気持ち良い。

 いつも、この日記を読んでくれる女性スタッフから「最近、やたら長いのネ」と言われる。 「長すぎて、よく読んでいないワ」にはガッカリ。短くしなければ‥‥

 大木療法士に「足の爪が切れない」と訴え、若い看護婦さん(「女性の看護士」と書くべきなのか) に切って貰った。そうしたら彼女「爪の水虫じゃないかい?」という。院長の今井クンに見てもらうと 「間違いなく水虫だが、塗り薬は効果が薄く、だと言って、あまり飲み薬が多くなるのは、どうだろう?」と言う。 で「水虫で死んだ人もいないだろう」と塗り薬を選択した。気長に治すか。

 午後「青い空」を書く。どうしても、例の野口怪死のことを書いておきたいので‥‥簡単に言えば、 疑獄事件の自殺者に切腹はいない、という話。なのに、解剖しないのは何故?

 昨今、嫌にイライラしたことがある。デンマークの新聞がマホメッドの風刺漫画を載せ、 イスラム世界の猛反発を受けた、とニュースでは知るが、どんな漫画なのか、日本にいる限り、 見ることが出来ない。是非、観たい。どんな具合に、イスラム世界を侮辱したのか、 新聞、テレビに載っていないから分からない。

 新聞は、この風刺漫画を怖くて?載せない。騒ぎに巻き込まれては困る。しかし、表現の自由を守るため、 フランスの「ル・モンド」は闘っている。どちらが、正しいか、一概に言えない。ヘタをすると、 騒ぎで犠牲者が出ることだってある。事実、オウムは毎日新聞を爆破しようとした。

 しかし、騒ぎに巻き込まれるからと言って、風刺漫画を載せないとすれば、 新聞の一つの役割を放棄することになる。

 どうしたものか。そこは匿名のネットの出番かも知れない。風刺漫画には無署名が似合う。 それにしても、タブーばかりのメディアは日を追って面白くなくなる。

 ホリエモンが武部さんの次男に3000万円を送ったメールなるものが、国会の爆弾発言で飛び出した。 有り得る話。でも、記者さんが政党に流した、というのは、ちょっと嫌な感じもする。 もし、記者なら、出来れば自ら「字」にしてもらいたいものだが。

 今日の怪ネット。もう読んだ人も多いと思うのだが、今日、知った。「きっこの日記」 五年分すべてを通読してわかったという情報。“きっこの正体”という情報。 まあ、それなりの説得力あり。

<何だか分からない今日の名文句>

書く勇気 書かない勇気、書かせる勇気

2月15日(水) 記者会見にブログ人が出る日

 朝、国際医療福祉大学三田病院で、大山ドクターの検診。前回の血液検査の結果、血糖値が102で良好。減食の成果でる。その他の数 値は全て基準値以内。ともかく、歩くのが一番。

 患者さんがウジャウジャいる。インフルエンザでも流行っているのか? と聞いてみると、みのもんたの腰痛を治した名医がテレビの 話題になってから、この三田病院、患者さんが全国から殺到しているとか。テレビのチカラって物凄い。

 終って、銀座方面で街ダネ取材。今日も、汗ばむ陽気だ。

 午後、出社。編集局の幹部と雑談。話は自然と「ネットと新聞」のことになる。お隣、韓国ではネットが世論形成に欠かせないようだ が、アメリカでも2004年の大統領選の行方がブログで左右された形跡がある。日本は、それほどとも思わなかったが、最近は、ブログ のチカラを感じる。幹部氏も、僕と同じだ。

 彼によれば、新聞協会の中でも、一つの方向としてブログジャーナリズムにも各種記者会見が開放されるべきだ、という空気もあるらし い。(一概にブログと言っても、千差万別。どれをブログジャーナリズムと言うのか、まったく定かではないが)そうなれば既存のメディ アの既得権は無くなるも同然である。

 逆に、誰でもが記者会見に参加することが出来ると、一時的に混乱して、交通整理が必要になる。結局、記者会見という形式が無くなり、 一方的な権力のメール発信になってしまうのではないか、ちょっと先が読めない。

 日本では「きっこの日記」など話題のブログが出てきた。が、その正体が問題である。実は既存のメディアの一員(あるいは、総会屋的、 ブラック情報屋的存在)が「匿名性の強さ(危うさ)」で、情報の信憑性を確かめることなく、ガセネタを流しているのも事実だ。推察す るに、ちょっとオタクな若いお役人さんも「ブログって、面白い」と手元にある情報を小出しにして楽しんでいるようなフシもある。果た して、どんなものが「真っ当なブログ」と言われるようになるのか。そんな話で小一時間。

 たまちゃんの「馬小屋(競馬情報班)」の仲間と4月以降の紙面計画を話し、サンデー毎日でも世間話。アングラ情報が得意なJ倉デス クから、幾つか、面白い話を聞く。ネットに出ていない話もウンとあるんだ。

 仕事場に帰ると、田原総一朗責任編集の「オフレコ!」が届いていた。「4大週刊誌編集長に聞く なぜ、小泉批判は効かないのか?」 という特集を読む。「読者層がしぼんでも取材力の足腰、問題意識は衰えない」と元気の良い編集長もいるようだが、全体として、ちょっ と、彼らに脱力感を見てしまう。週刊誌のシンのようなものを感じない。

 今日のスクープ。16日発売(15日午後、遅ればせながら、ゲラを手に入れたのだが)の週刊文春「森功さんの深層レポート・JAL 大地震」。日経のベテラン記者が送った「怪文書的クーデーター・メール」で話が始まる。これ、デカイ話だ。

 今日の昼飯。銀座に2つあるドトールの一軒で、スープセット。ミネストローネも美味だが(900円)お客さんに美人が多い。

 今日の怪ネット。「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介さんの取材メモ)が「東大教授と東大TLOによる金銭疑惑 あてもないのに特許取得 対価として2000万円要求?」というスクープを書いているが‥‥? よくまあ、山岡さんのところには毎日毎日、ネタが入ってくるも のだ。

<何だか分からない今日の名文句>

一方に情報寡占 一方に情報混乱‥‥1億人が情報死?

2月14日(火) 天ぷらが食べたい

 午前中に「おけら街道」を書き上げたら、急に、天ぷらが食べたくなった。減食を始めてから、トンと食べていない。食べたい、食べた い。無性に食べたい。

 今日こそ、食べるぞ! 銀座へ行こうか。浅草に行こうか。銀座なら帝国ホテルの「天一」、歌舞伎座の横の「銀座しのはる」、8丁目 の「天国」‥‥浅草なら、一杯あるぞ。ボリューム満点の「まさる」(横丁に「行列のできる店」の白いのぼりがある)、品の良いのが 「中清」伝法院通りなら「天健」「江戸っ子」国際通りなら「多から家」。値段が手ごろだ。

 ああ、早く食べたい。江戸通りを浅草に向かった。歩いて行こうと思ったのは、少しでも運動をしておきたいと思ったからだ。歩けば、 天ぷらを食べても許される、と信じた。ちょっと汗ばむ陽気。ウキウキした。

 それが間違いの元だった。柳橋の「江戸平」を横に見て「ここで食べようかなぁ」と思ったが、浅草まで腹具合が持つと思った。ところ が、蔵前の交差点あたりで、腹がグウグウ鳴る。初めは「腹が減っていれば、余計、美味しいはず」と思った。懸命に歩く。また、鳴る。 必死で歩く。しかし、我慢できない。衝動的に、見た記憶のない「邦右衛門」という蕎麦屋に飛び込んだ。ここにも、天ぷらはあるだろう、 と思った。

 無かった。残念無念。「もり」を頼む。小腹が出来、歩けば、そのうちに腹が減る。そうすれば、また、天ぷらが食べられる。実に意地 汚い。

 ところが、運ばれた「もり」。絶品だった。腰がある。北海道幌加内産の石臼挽蕎麦粉。だしは枕崎産カツオ荒削り。最近、出来た店ら しい。美味い。これで一杯、飲めれば言うことなし。幸せである。天ぷらなんか、忘れてしまった。

 仕事場に戻って「ロマン大学」を書く。一気に書けたのは、美味しい蕎麦のおかげ。

 今日のスクープ。15日毎日新聞朝刊で「伊藤公介・元国土庁長官がホテルの競売に絡んでヒューザーの小嶋を産業再生機構幹部に “会ってくれ”と頼んだ新事実」をすっぱ抜く。地道な調査報道の成果。このところ、毎日は紙面イキイキ。戦後60年の原点は、19 46年4月GHQの民政調査官として来日し、財閥解体を担当したエレノア・ハドレーさんをインタビューしている。89歳の歴史の証言 者は「銀行解体がむしろ議論の中核だった」と話しているらしい。

 歴史のデッサンが新聞の使命。だから、しぶとく調査する。過大なサービスで部数を伸ばし、ロクな仕事もしないで、高い給与を貰うこ とばかり考えている、他の新聞社とは違う。

 それでも、ちょっぴり不満もある。GHQは「政党の解体」を議論したのか。それを聞いてもらいたかった。何故なら、軍隊も、財閥も、 大地主も解体されのに、政党は何ら傷つかず生き延び、アメリカの言いなりになった日本の戦後。政党は、疑獄が発覚するたびに「わが党 は解体的出直しをする」なんて平気で言う。ちゃんちゃらおかしいではないか。

 そうそう、14日はバレンタインデー。当然ながらチョコレート皆無。そんなもの、いらネェや!

<何だか分からない今日の名文句>

空腹は最大の調味料

2月13日(月) 我ら木瓜?

 朝、出社後、急いで、仕事場に戻って調べもの。ネットに記録されていない時代物? を探すのに苦労する。ある日、突然、ネットがな くなったら、現代人はどうするんだろう。

 仕事場の隅田川沿いの小さな小さな庭で、盆栽から植え替えた小さな梅が見頃になった。であれば、湯島天神の梅も‥‥と思いつき、 気分転換に行ってみた。

 梅まつりは2月8日〜3月8日ということだが、まだ、本殿の右の大きな白梅(多分、冬至梅?)が咲いているだけで、約300本はま だ蕾。ことしは開花が遅いようだ。露天商も数えるしか出ていない。

 それでも、境内でサルの曲芸。小猿の瞬発力に舌を巻く。ご祝儀200円をザルに入れる。1000円も入れた人が4人もいて、景気回 復の兆し?

 石のベンチに腰を下ろしていたら、隣に、僕より4、5歳年上の男性が座った。合格祈願の絵馬が、たわわに下がっている辺りを観てい るような感じだった。別に、声を掛ける雰囲気でもなかった。

 ところが、突然、その初老の男性が座ったまま、後ろにバサッと倒れた。石に頭を打ったように見えた。動かない。「助けて下さい!  人が倒れました!」と大声を上げた。右半身マヒの僕では、どうしようも出来ない。男性に意識があるかどうかも、分からない。場合に よっては救急車も必要だ。

 見える範囲で、境内にザッと5、60人の人がいた。僕の声に全員、振り返ったが、人々は、ただボーッとしているだけで、何もしない。

 「人が倒れました。神社の人を呼んでで下さい! 助けて下さい」と再度叫んだら、若い男性がやってきて、恐る恐る初老の人を抱きか かえてくれた。「大丈夫ですか?」と若者が聞く。消え入るような声で「大丈夫です」。

 そこまで、近づく訳でもない人々が「何〜だ」という顔で、それぞれの“行動”に戻った。男性の顔が真っ青だった。「どこか、休める 場所はないですか?」と再び、僕は叫んだ。女性の一人が神社の人を呼んできてくれ、やっと、休憩場所に男性を連れて行ってもらった。

 ただ、これだけのことだが、僕は「日本人は情けなくなった」と思った。別に、そこに居合わせた人々が「自分だけのことしか考えない」 という訳ではない。悪意の人なんて一人もいない。ただ、そんな時(僕に取っては非常事態)、何をしたら良いのか、日本人は分からない のだ。指図されないと何も出来ない。

 この若者が手を貸してくれなければ、事態はどうなっていたか分からない。少なくとも、我々のところに近づいて、事態を観察して、 行動を起こすのが、日本人だと思っていたが‥‥彼らはただ振り返っただけで、銅像のように動かなかった。

 危うい。日本は危うい。テレビで事件を知り、ネットで騒ぎを知る。しかし、何も、現実の事件を知らない。遭遇しない。そんな時、 自分がどうするのか、判断することが出来ない。今時の若者が‥‥という言葉があるが「今時の中高年は、何も判断できない」と言った方 が良い。

 日本人総ボケ現象ではないのか。落ち込んだ。

 思い出のラブホテル? の横の通り。急な坂道に老人施設は建っている。こんな危うい道路でケアサービス。危なくないのか。法に合致 していれば、何でもいいのか。法にあっていなければ善意でも処罰される。ヘンな時代だ。

 日本人は自分で判断しない。判断できない。だから、武部さんのような人が天下党の幹事長になっても、平気だ。日本人のボケ状態に、 ただ落ち込む。

 連想ゲームではないが、大きい道路に出たら、花屋の女主人が「ボケ」を売っていた。ボケは薔薇科。だから棘がある。ギリシャ語で カエノメレス。「chaino(開ける)+ melon(リンゴ)」で“裂けたリンゴ”の意味だそうだ。女主人の「博学」を褒め、気分の良い彼女 が1300円を1000円に負けてくれた。

 今日のニュース。ホリエモン起訴。オリンピック、日本の成績、イマイチ。

 今日の特ダネ。毎日新聞は2月14日朝刊から「暴かれる錬金術」の続き物を始める。第1回は怪死した野口さんの自宅から「チャート 図」が発見された、というスクープ。流れた金額がチャートに克明に書いてある。野口さんは、全てを知っていた。

 今日の怪ネット。「きっこの日記」を発表しているのは、テレビのコメンテーターKさん、カメラマンの不肖Mさん、それに「田中角栄 研究」のTさん。その3人が「きっこチーム」だという。まさか。

<何だか分からない今日の名文句>

美が瓜のような「木瓜(もっけ・ぼっくわ)」→「ぼけ」

2月12日(日) 「自殺」という名前の犯罪幇助?
          「自殺」という名前の他殺?


 13日、ホリエモンは証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)で起訴される。 多分、有価証券報告書の虚偽記載で再逮捕されるだろう。ホリエモン疑獄は序幕である。

 その第1幕目で予期せぬ出来事?が起こった。ホリエモン側近の野口さんが怪死したことである。 それは、捜査当局に取って、あるいは事件を追うメディアに取って、ひょっとすると致命傷になるかも知れない出来事だった。 歴史が証明するように、疑獄事件の捜査は常に「自殺(もしかして他殺ということもある)」との闘いである。

 約2週間前「キレ珠(42回)歴史の偽装」(毎日新聞06年1月31日夕刊)で次のように書いた。

 「自殺か、他殺かーーかつて、メディアは独自に調べたものである。出来の悪い事件記者の僕でも、 ダグラス・グラマン疑獄事件のキーマンがビルから飛び降りた時(79年2月1日)彼と最後の食事をした人、 彼が最後に電話をした相手を捜し出し、彼らの証言からやっと“自殺”と判断した記憶がある」

 こう書いた理由の一つは、自殺で歴史が変わる、という事実を指摘したいからである。 「キレ珠」では字数が足りず(また関係者が存命していることもあって)そこまでは書けなかったが、 思い切って、ギリギリの範囲で、ダグラス・グラマン事件の経緯に付いて書いておきたい。

 1978年12月25日、米国の証券取引委員会で、ダグラス社が「戦闘機(F4Eファントム)の売込みのため 1975年に1万5000ドルを日本の政府高官に渡した」と発表した。 (これは、米国の意図的な日本撹乱の意味が隠されていた。ロッキード事件で、田中角栄を排除したのと同じような、 撹乱が目的だった)

 翌年1月4日、今度はグラマン社が「早期警戒機(E2C)の売込みのため、日本の政府高官 (これは実名入りで、岸信介・福田赳夫・中曽根康弘・松野頼三と公表)らに代理店の日商岩井を経由して不正資金を渡した」 と発表した。海を渡る疑獄事件はこうして始まった。

 東京地検は米国証券取引委員会の資料提供を要請し、捜査を始めたのだが、その矢先の2月1日、 日商岩井・航空機部門の責任者であった島田三敬常務が本社ビルから飛び降りた。

 果たして、自殺か、他殺か。当時、担当記者だった僕は、飛び降りる数時間前の島田さんの足取りを徹底的に追った。

 彼は二人の人物と銀座の「K」という店で会食していた。一人は日商岩井副社長・海部八郎さん。 もう一人は海部さんの友人の戸川猪佐武さんである。戸川さんはベストセラー「小説吉田学校」の著者である。 僕は戸川さんを直撃取材した。戸川さんは「二人を励ますために、自分の行きつけのKを選んだ。 話の内容は、墓場に持って行くこともあるが‥‥」と言いながら、3人が話した内容の一部を話してくれた。 信頼できる内容だった。自殺を予感されることが幾つかあったようにも思えた。 (これを機に、僕は戸川さんと親しくなり「小説吉田学校」の終わりの部分は、戸川さんの執筆を助けるような間柄になった。 が、それはまた別の機会に譲る)

 その夕食を終えた後、島田さんは「白尾」という人物に電話をしている。この人を探すには苦労した。 白尾さん宛の「ありがとう」という遺書らしきメモ書きがあった。白尾さんを見つけて話を聞くと、 彼は白尾さんに「この世の別れ」を感じさせる言葉を幾つか、残していた。その他に、彼がある宗教団体に入っていることも知った。

 「自殺」と僕は判断した。だが、夕食の折、彼が「自殺しなければならない」と思ってしまった“深刻なやり取り” があったことは間違いない。「死んでくれ!」と海部さんが言った訳ではない。が「商人道」として、 商売に協力してくれた高官を窮地に追い込むことは、島田さんには出来なかった。彼は「何か」を守るために自殺した。 「高官を守る企業」の商人道を守りたかった、と僕は想像した。もちろん、その心中は分からない。

 2月9日、衆議院予算委員会で岸信介元首相、日商岩井の海部八郎副社長、松野頼三元防衛庁長官の証人喚問が行われた。 岸さんも、海部さんも「記憶に無い」の答弁を繰り返す。松野さんは、5億円の授受を認めたが、 これは既に時効が成立していた。岸元首相に関しては「ダグラス社に対して便宜を図る」などと書かれた「海部メモ」 が発覚したが、東京地検は岸元首相を事情聴取することはしなかった。

 3月14日、東京地検は日商岩井・航空機部門の山岡正一部長、今井雄二郎次長を外為法違反などの疑いで逮捕。 更に4月2日、海部さんを同容疑で逮捕した。更には、24日には議員証言法違反(偽証罪) 容疑で再逮捕して追及したが、高官の逮捕には至らなかった。

 島田さんの自殺が捜査の腰を折った。もし、島田さんが逮捕され、別の真相が明らかになれば事態は変わっただろう。 もちろん、政治状況は変わり、その後、中曽根内閣が誕生したかどうかさえも、微妙だったと思う。 (皮肉なことに、政治部に転じた僕は、中曽根内閣の首相官邸キャップになった)

 起訴されたのは日商岩井の3人だけで、政府高官は全員セーフだった。島田さんの死が真相をあの世に持って行った。 彼の自殺は悲劇である。しかし、彼が「真相を隠し通す」という目的は達成された。 これはある人に取っては美談であり、同時に、歴史をデッサンする我々に取っては「犯罪幇助的行為」にさえ思えたのだ。

 「キレ珠」で、ダグラス・グラマン事件の「キーマンの死」にあえて言及した、もう一つの理由は、 野口怪死の謎が放置され続けているからである。既存のメディアが自殺、他殺を検証しない。その苛立ちがあった。 「キレ珠」を書いた前後から、週刊誌が、かなり真相に肉薄して情報を流すようになった。ネットではさらに詳しい (信憑性は分からないが)情報が出ている。

 まともな人たちが「歴史の偽装」に加わってはいけない、と思っている。その世論が情報流失の背景にある。

 ところが、である。国会は無理やり「自殺」で片付けようとしている。2月7日の衆院予算委員会で、 沓掛哲男国家公安委員長は「沖縄県警が犯罪に起因するものではないと判断した」と断定した。これはいかにもおかしい。 少なくとも司法解剖が何故、行われなかったのか。その点を彼は話そうとしない。

 警察庁の縄田修(なわた・おさむ)刑事局長も「司法解剖の令状を取ること自体が不可能なようなケース。 県警は明快に犯罪ではないと判断している」と主張した。そうだろうか。検視では「自殺」ではなく 「その他の死」に○が付いていた。「自殺」に分類していなかったのに、何故、司法解剖しないのか。

 疑問はさらに深まっている。疑問に思っている点をアトランダムに上げてみよう。

 @現場に落ちていた血だらけのサッカーシャツは誰が、何時、どこで買い求め、野口さんは何時、 サッカーシャツを着たのか。そして、何時、脱いだのか。
 A何故、東京でのタクシー領収書が発見されたのに、沖縄のタクシー領収書がなかったのか。 カプセルホテルにタクシーを乗り着けるケースは珍しいから、野口さんを乗せた運転手は発見されて良いのだが、 いまだに発見されていない。で、あれば、他の交通手段を使ったということになる。 誰が、彼をカプセルホテルに連れて行ったのか。

 B那覇空港で野口さんと待ち合わせた4人は何故、特定出来ないのか。監視カメラのビデオを警察は持って行った。 もし、4人が「犯罪」に関係なければ、名乗り出るはずである。

 C野口さんはホテルの近くで、包丁とザルを買ったと説明されるが、ザルはどこに行ったのか。 売った人間は「買ったのは野口さん」と明確に証言している訳ではない。「売った」という認識があるだけだ。

 D野口さんの奥さん(とおぼしき人物)が「きっこの日記」に訴えているが、ホテル従業員の証言はクルクル変わっている。 この辺りに、最大の謎があるのではないのか‥‥と、まあ、思いのまま、疑問を並べただけだが、謎ばかりだ。

 野口さんが自ら切腹した、としよう。しかし「沖縄へ自殺するために来た」という訳ではない。 自殺する人が4人の男と約束して、落ち合うなんてことは、まずない。「自殺する」と決断した(あるいは自殺しなければならない、 と思った)のは、4人に会った後である。

 そこで、何かが起こり、彼は、死ぬことによって「何か」を守ろうとした。何か‥‥それは、彼に取って大事な人?

 そう考えると、彼が「脅迫」を受けていた、と考えるのが普通ではないか。新たな「犯罪」が起こっていたことも十分、考えられる。

 国家公安委員長が軽々しく、事件性がない、というのには間違いである。

 週末、おかしいことがあった。武部さんがホリエモン起訴を前に、新潟で、わざわざ、ホリエモンヨイショの演説をしている。 「大変な能力を持っているし、資質のある人だ」と喋っている。事件の広がりは最小限に収まると観ての発言か。 そうではないだろう。いくら能天気の武部さんだが、そんな馬鹿なことを言うとも思えない。この発言には「サイン」がある。 「サイン」をしなければならない、何らかの理由がある。誰に、対する「サイン」なのか。

 長々と、書いてしまった。起訴→再逮捕の微妙な時期に、水面下の綱引きが起こる。これは疑獄の歴史の常である。 事件の矮小化を恐れて、あえて、書いた。

 週末は資料集め。クセになった映画鑑賞は「3丁目の夕日」。「青い空 白き雲」は、東横インを槍玉に挙げ、 巨悪から目を反らそうとする魂胆が見え見えなので、あえて「東横インにも良いところもある」と書いた。読んでくれ。

<何だか分からない今日の名文句>

「死人に口あり」は捜査の鉄則

2月9日(木) 鈴木棟一さんのスクープ

 夕刊フジの「鈴木棟一の風雲‥‥永田町」が3000回を迎えた。鈴木さんは昭和14年生まれのベテラン政治記者。早稲田の先輩でも あり、毎日新聞政治部の先輩でもある。なかなか取れないネタをどこからともなく、持って来る敏腕記者。特に政界の寝業師・松野頼三 に可愛がられていた。政治評論が“唯一の趣味”で、ビートルズが来日した時、テレビを見ていた棟一さんは「ありゃ何者だ?」と僕に 本気で尋ねた。ビートルも知らない、珍しい記者だった。

 サンデー毎日の編集長だった頃、彼に「永田町の暗闘」という続き物を書いてもらっていた。個性的で、ものをズバズバ言うので(若干 だが、お行儀? も悪く)誤解されることがあって、同僚との折り合いもイマイチだった。そんなこともあって、棟一さんは毎日新聞を辞 め、フリーになった。それから15年ぐらい経った。独立した彼は、夕刊フジなどを主な舞台に、キレの良い政治評論を展開している。

 記念すべき3000回を、棟一さんは大スクープで飾った。「堀江・武部 新聞社共同出資構想」。2005年10月24日付けの、 ライブドアが自民党宛に用意した「合併新聞社設立のご提案」なる文書を入手したのだ。

 自民党の日刊紙を出し、広告を取り、共に儲けましょう、というホリエモンの提案である。この記事を読むと、ホリエモンと武部さんの 蜜月ぶりが、良く分かる。

 朝「競馬ロマン大学」を書いてから情報収集。「小泉さんは“ご懐妊”で助かった。皇室典範改正では、どうにも身動きが取れない状態 だったから“ご懐妊”で、慎重路線に変更するキッカケが出来た。小泉さんは強運だ」と永田町の知人。BBLT(米国産牛肉・防衛賞談 合・ライブドア・耐震偽装)の4点セットで、攻勢に転じている民主党だが、決定打がなく、攻め倦んでいる。この無策も、小泉さんに幸 いしている。

 天王山はもっと先かも知れない。地検の狙いはHMK、と見ている。H(ホリエモン)を起訴してから、MKにどこまで肉薄するか。 その地検の力量が、2006年の政治の流れを決める。

 福井日銀がこの日、記者会見して「量的緩和政策を解除する条件が整いつつある」と言った。「早期解除反対」の竹中・中川“安倍擁立 派”が、どこまで頑張れるのか。

 もし、竹中さんの盟友「K」に地検の手が‥‥金利も、地検の捜査に関係するかもしれない。

 夜、プレスセンターの和風レストランで競馬仲間「ニコニコ野郎」のささやかな昇進祝い。彼には6年間、お世話になった。ありがとう。 何を言っても、いつもニコニコしている。その懐の広さに、何度も、助けてもらった。

 たまちゃんは、二次会にも参加したが、僕は仕事場に戻り、資料整理。ライブドアにどんな人が集まったのか、調べてみた。「2チャン ネル」の運用に参加した優秀な、若い人間もいるらしい。これからは「ライブドアの人々」の奪い合い、ということになるのかしら。

<何だか分からない今日の名文句>

堀江・武部は「金儲けブラザーズ」

2月8日(水) 「きっこ」の往復書簡

 前夜、新・日本現代詩文庫33「千葉龍詩集」(土曜美術社出版販売)が送られてきた。 龍さんは金沢詩壇の大御所。「金沢文学」の主宰をされているが、北陸新聞の記者を 長いこと勤められたジャーナリストでもある。金沢に広岩に会いに行った折、偶然、 居酒屋で出会った。覚えていてくれたのか。

 詩を読むなんて、僕には似合わないが、一気に読んだ。147ページの「死者との接吻」が 面白かった。詩は「死」に向かい合っている。

 午前中は「青い空 白い雲」の執筆。11日の土曜日が休日なので、 印刷工程が一日早くなっている。締め切りが繰る上がると、苦闘せざるを得ない。 例の東横インの西田社長の趣味?「内観法」のことを書く。

 昼、心持、しのぎ易いので「どてら」のまま外出。JR浅草橋西口の餃子屋で焼き飯。 特別、美味いと言う訳ではないが、ともかく安い。急いで仕事場に戻り、 午後3時には仕上げた。

 午後4時、出社。日本大学の講師を勤める平和運動家の方が尋ねて来られる。 僕の「キレ珠」のファンだという。戦時中、言論弾圧と闘った人物の書物を英語に翻訳した、 とのこと。プレゼントしてくれた。時間が掛かるが、読ませてもらう、と約束。

 午後6時、仕事場の近くで、競馬仲間2人と会食。3人とも昭和19年生まれで、 話題はつい健康問題になってしまう。3人とも、腰痛を抱えている。 「お互いに、葬儀委員長になろう」と約束して、笑いこける。

 午後10時から、この朝発売の週刊文春と週刊新潮を点検。文春は2月6日の日記で 「おかしい」と書いた「2月2日の朝日新聞妙な社説?」が大きく取り上げられている。 文春の取材に対する朝日の返答。何しろ、皇室は政治的発言が出来ない、の一点張り。 冗談ではない。「人間宣言した天皇家」には、それなりの人間らしい発言がある。 これは憲法以前の問題だ。憲法に違反しても、ジャーナリストは人間として、 発言しなければならないことがある。それと同じだ。憲法は時の権力で、変わるものだ。 ジャーナリストは「変わる憲法」を守るのではなく「真理」をまもるものだ。 朝日は、語るに落ちた感じ、である。本当に朝日さん、「言葉のチカラ」を信じているのかしら。

 気になる世の動き。小泉さん、皇室典範の改正は今国会に拘らない、と豹変。 消息筋によれば、7日夜、官邸で行われた状況分析協議で「このまま、皇室典範改正案を出すと、 自民党は持たない」という認識で一致したらしい。ご懐妊が流れを変えた?

 内閣・与党の力関係微妙。

 気になるネット。例の「きっこの日記」は ある往復書簡を載せている。「きっこ」のところに「私は、野口英昭の身内の者です。 このブログを友人から教えてもらって、拝見させてもらいました。私たちは  故人が自殺したとは考えられず‥‥」というメールが飛び込み、往復書簡となる。 野口さんは沖縄で自殺したとされる野口さんだ。往復書簡のやり取りに、 キーワードが幾つかある。ホリエモン事件の闇?

 読んでみたら、どうか。

 深夜は「世界3月号」を熟読。「特集・景気の上昇をどう見るか」がお勧め。

<何だか分からない今日の名文句>

ご懐妊が歴史を変える

2月7日(火) 金利は? 安倍ちゃんは?

 朝、スポニチの「おけら街道」を書く。前回、白毛馬・シロクン人気を紹介した際、うっかり「白毛馬は勝ったことはない」と書いてし まった。「JRA史上」と但し書きをつけたつもりだが、JRA中心で書いてしまうようなところがないではない。読者から、指摘があっ たから「お詫び」を書いた。

 ところが、スポニチの敏腕記者の梅ちゃん(今はデスク)から「何度も読んでみたんですが、JRA史上と書いてあるんですから、お詫 びする必要はないのでは」という電話。それもそうだが‥‥この表現は梅ちゃんに任せることにした。

 午前中、某銀行員来訪される。長期プライムレートが乱高下している。別に激しい、という訳でもないが、いろいろ、その辺のところを 聞いてみた。

 ゼロ金利は、何時頃、解消するのか? 彼の意見は「竹中さんが反対し続けているので、まだ微妙だ」。「日銀vs竹中・中川」という ことなのか。

 金利を上げるのは良いが、国債の金利に関係するから、また、財政再建は遠くなってしまう。と、言って金利が低いから、小銭の主は ギャンブル資本主義に走る。

 永田町の情報通。「安倍包囲網が出来つつある」という。何から何まで「安倍外し」の策謀だ、という。証人喚問で「何も喋らないはず」 のシーザー・小嶋が「阿倍の政策秘書」の名前を出した。これには、水面下の動きがあって「安倍」の名前を敢えて出す必要があった、と 情報通。

 小泉と安倍の間に、隙間風が吹くように画策する向きもあるのだろう。

 「紀子さま、ご懐妊」のニュースが発表された。男子が生まれる可能性ももちろんあるから、この後懐妊、皇室典範改正論議に影響する。 小泉さんは改訂にまっしぐら。安倍ちゃんは「今回の慶事も合わせて議論」と話した。これで、さらに隙間風が広がる。

 田中真紀子と同じように「人気の安倍ちゃん」を利用して、最後は‥‥という危惧が安倍ちゃんにはあるだろう。

 もう一度、小泉さんが衆院を解散する、という物騒な話もある。もちろん、名目は行政改革解散。物騒だ、物騒だ。

 夜、目黒雅叙園でNAR地方競馬全国協会のグランプリ表彰式。毎年、質素になっていく。たまちゃんに誘われて記者会見に顔を出す。 最優秀新人騎手書の町田直希という男、頭が良いぞ。

 このところ、見ず知らず方から「連絡が欲しい」という電話が多い。週刊誌記者の勘違いの問い合わせ、愚にも付かない情報提供、と、 あまり生産的ではない電話が多いのだが、真剣なもの話もあるので、幾つか、アポイントを取ることにした。

 深夜は、大枚2000円も出した「夜行列車で旅に出る!」の写真を眺めつつ、うつらうつら。なかなか「北斗星」に乗ることが出来な いので、写真で諦めている。

<何だか分からない今日の名文句>

「一夜またぎ」の夢また夢

2月6日(月) 「新聞のない政府」で良いの?

 未明、やっと「キレ珠」を書き上げた。今回は「言葉のチカラ?」。朝日新聞が一週間前頃から、テレビで流しているコピー。「言葉は 感情的で、残酷で、ときに無力だ。それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。ジャーナリスト宣言」。

 何か、女性的で、ラジオの人気番組「テレビのチカラ」のタイトルを借用したような、何か、第三者的で、評論家的なコピーが、僕には 気に入らない。何か、無責任のような感じがして‥‥気に入らない。

 朝日新聞が「言葉のチカラ」を信じる前に「言葉のチカラ」を最大限に駆使しているのは権力者・小泉サンではないのか。「言葉のチカ ラ」で、権力者を分析することを怠り、批判することを放棄し、権力者の言い分を垂れ流しているのが、朝日新聞を筆頭にする既存メディ アではないのか。朝日新聞が突然、「言葉のチカラ」を言いだすのは、ちょっとミスマッチである。

 2月2日の朝日の社説「発言を控えるべき」には、正直言って、ガッカリした。昨年末から、三笠宮寛仁親王が「男系天皇支持」を訴え ている。これに対し、朝日は「政治利用される恐れがあるから発言を控えるべきだ」と主張する。宮内庁の言い分をそのまま、社説にした ような論調である。

 要人の発言は、すべて政治的である。朝日の言葉も、三笠宮の言葉も、政治的である。三笠宮は、政治的に利用されることを覚悟した上 で「天皇家の問題」として発言している。皇室に対する「意見聴取」がないままに、皇室典範を変えようとする動きに疑問を投げかけてい る。

 この「言葉」を雑誌が取り上げるのは「歴史のデッサン」として当然ではないのか。三笠宮は「言葉のチカラ」を信じて行動している。 (この問題では、僕は三笠宮の主張とは大分、違うが)言論を大事にする親王の姿勢は当然である。「言葉のチカラ」は万人に平等である、 と僕は信じている。

 早稲田の新聞学科で、何度となく聞かされた話。トマス・ジェファーソン(第3代アメリカ大統領)は「新聞のない政府か、政府のない 新聞か、どちらかを選べと言われたら、躊躇なく後者を選ぶ」と言った。「新聞=自由な言葉」がなければ、この世はヤミだ。

 「キレ珠」では、ここまでは書かなかったが、マスメディアの体たらく、それに、ちょっと「朝日新聞の欺瞞」に触れてみた。読んで くれ。

 前回のキレ珠は「歴史の偽装」。思い切って「メディアが『権力の発表』を鵜呑みにし、ある時はネットに惑わされ、ある時は『署名の 誇り』を忘れると‥‥“歴史の偽装”に加担することになる。メディアの正念場だ」と書いた。新聞社に席を置く人間として、メディア (特に大新聞)を批判するのには、かなりの勇気がいる。何度も、躊躇したが、思い切って書いた。口うるさい先輩? から「太郎節は こうでなければ‥‥」とお褒めの手紙を頂いた。ネットでも話題になったようだが、メディアに対する不信感が世の中に充満しているのは 事実だ。

 大新聞社は、これに気づかない。気づいても「御身大事」で、気づかないフリをする。それで良いのか。

 トリノ五輪が始まると、紙面の関係で「キレ珠」は2回お休みになるので「この間、よろしかったら、ネットの日記を読んで下さい」と 書いておいた。ネットだと、より「本音」が書ける。

 午後、日本記者クラブで「著者と語る」の講演を聴く。今回は「官邸主導」の清水真人・日経解説編集委員。村山内閣から小泉内閣まで のキーマンの動きを検証し、小泉さんの「革命」を分析している。小泉さんは小選挙区制に反対した。その小泉さんが小選挙区制を最大限 活用して「改革」を実現した、という洞察。流石である。

 それ以外は、殆ど、僕と同じような時代分析だが、その結果「小泉革命」はどうなったか。その善悪、その政治改革の前進、後退には、 必ずしも言及しないのが、清水流? その辺りが、僕とは、流儀が違うように思う。

 会場で、2点、質問した。@公明党が存在して、二大政党制と言えるのか A憲法改正で大連合が生まれたら、二大政党制はどうなる の?‥‥清水さん、克明に答えてくれたが、必ずしも、核心に触れた答ではなかったようにも思う。

 終って、司会のTBSの政治部解説委員・川戸恵子さん、毎日の同僚・岸井君らと清水さんを囲んでコーヒー。清水さんの奥さんが、 たまたま、この日記を読んで、僕が「清水さんに聞いてみよう」と書いていたを見つけ「おっかない質問が出るわよ」と言われたとのこと。 これは申し訳ない。一同、大笑い。でも、ブログ時代の到来を痛感する。

 夕方、JRA事務所で野暮用。ちょっと難しい「数字」を解析するのに疲れ、仕事場に帰ってもポケーッ。

 夜霙。

<何だか分からない今日の名文句>

1億ブログスト?

2月5日(日) 痔をつぶして33年か?

 最近、映画を見るのが癖になった。3日で封切館の上映が終る、と言うので「Mr.&Mrs.スミス」を観る。南米で情熱的な恋に落ち、 結ばれた夫と妻は、実は2人とも凄腕の殺し屋だった‥‥肩がこらないアクション。結構、楽しめる。

 主演のブラッド・ピットは典型的な二枚目だが、いつもクセのある役柄らしく、それが魅力的なのだろう。アメリカでは大スターらしい。 この映画で共演したアンジェリーナ・ジョリーと交際中で、ジョリーの養子マドックスとザハラを自分の養子としたと、たまたま読んだ 「CNN・ENGLISH・EXPRESS」に書いてあった。

 聞くところによると、二人は中村錦之助と美空ひばりのような間柄らしい(いや、古いな。俺も)何か、ピットのファンになりそう。

 映画館の帰りに週刊文春を買う。「野口怪死事件」の続報を楽しみにしていたが、イマイチ。その代わり「この人の一週間」に感動? した。

 「小林しのぶさん」という女性。凄い。良く食べる。一週間に駅弁15個。「奥駿河の磯ちらし」「港あじ鮨」「長崎街道焼麦弁当」 「瀬戸の牡蠣めし」「淡海のてんびん弁当」「うなぎわさび飯」「鮎屋三代」「とんこつ弁当」「大間のマグロづけ炙り丼」「駅弁版極  富士宮やきそば弁当」「高砂長寿味噌焼豚肉弁当」「日光鱒寿し」「いかめし」「冨有の華」「中華弁当」。その他にも、やたら食べて いる。

 それに良く飲む。ワイン、焼酎、日本酒。何でも良く飲む。その結果、殆ど、寝ていない。

 小林しのぶさんは、トラベルジャーナリスト。一年中、半分が旅の空。羨ましい。旅行が仕事になるって幸せだ。駅弁の食べ歩き20年。 食べた駅弁約4000。羨ましい。

 「趣味が仕事」は最高だが、競馬好きが競馬記者になると、決まって貧しくなるけど‥‥。

 5日夜のNHKニュース。韓国政府が33年前の金大中事件で、当時の日韓両政府が密そかに政治決着した経緯を記録した外交文書を 発表した。

 1973年11月2日、韓国の金鍾泌首相と田中角栄首相のやり取り。冒頭、日本側の(1)捜査は日韓が協力して継続(2)韓国は 捜査状況を日本側に伝達(3)事件に韓国の公権力が介在したと判断されれば問題にする、という意向を示した。金大中が拉致された現場 に韓国大使館の書記官の指紋が残されていた。KCIAの仕業。

 金首相は「必ずそうするということか、それとも『タテマエ』か?」と尋ねたらしい。「タテマエ」という言葉は日本語だったらしい。 角さんは「建前だ」と応じて、政治的決着になった。何となく、角さんらしい。

 金大中事件から33年経ったのか。あの事件の最中、警視庁担当の僕は痔で悩んでいた。肛門から、疣痔が顔を出し、面倒くさいので、 トイレに入って、指で疣痔を力一杯つぶした。事件で病院なんて行く暇なんてなかった。

 便器が鮮血に染まった。28歳の出来事を思い出し、肛門あたりをさすってみた。その後、何故か、痔の悩みはなくなってしまている。

<何だか分からない今日の名文句>

半島は「拉致」がお家芸

2月2日(木) 寛仁親王と森前首相のニアミス

 午前中、赤坂プリンスで、競輪2005年優秀選手表式典。知り合いの下重暁子さんが日本自転車振興会の会長になってので、ちょっと 義理? で顔を出した。

 最優秀は81期の加藤慎平。初めて見たが、ひょうきんな人である。スターになりそうな予感。小嶋敬二の太い脚を惚れ惚れと見たりし て、楽しかったのだが‥‥あまり見られない「光景」を見てしまった。

 森前総理が来賓として顔を見せた。首相経験者がギャンブル・スポーツの表彰式に出るのは極めて珍しい。多分、下重さんと森さんの 奥方が学生時代から知り合いだったので実現したのだろう。国会開催中だが、式の直前に、森さん、あたふたとやってきた。

 その、ちょっと後に、高松宮寛仁さんが入ってきた。宮様は競輪の後ろ盾。演壇に上り、森さんは演壇に上がることなく、下の普通の席 に座った。妙なところで、2人がニアミスしたのだ。

 両者は声をかくることはなかった。宮様は「ナショナルチームが北京オリンピックで頑張って欲しい」と言う挨拶をして、スタスタと 会場をあとにし、挨拶大好き人間の森さんは、会場で挨拶することなく、こちらも、すぐ後に退席した。

 皇室典範改定案は今国会の主要テーマになった。宮様は事実上「天皇家の人々」を代表? するような形で発言し「万世一系の天皇家が 別の家系になってしまう女系天皇を容認できない」と発言している。

 それに引き換え、小泉さんは「絶対に今国会で上げる」である。森さんは微妙ではあるが、小泉追随である。(安倍ちゃんは「女性、 女系天皇の区別が十分に認識されていないという議論は承知している」と、この問題では、小泉さんとピッタリではない)

 女性・女系天皇を容認する皇室典範改正への慎重論が広がる中、森さんは、この朝、わざわざ森派の総会で「反対派会合への参加自粛」 を暗に求めた。ハッキリ言って、宮様の「世論に訴える姿勢」に異論を唱えたものである。

 その直後のニアミスである。

 森さんは渋い顔だった。もしかすると、競輪オンチの森さん、宮様が来ること、知らなかったかも‥‥。

 ただ、BBLTの疑惑4点セットで、ピンチの小泉さんは、国民の議論が「皇室典範」に集中する方が良いと考えてるのかもしれない。 「靖国」がなければ「天皇」があるじゃないか、で、世論をあらぬところに向けるやり方。これに、騙される自民党の皆々さま。困ったも んだ。

 午後、一度、仕事場に戻ってから、新橋方面で野暮用。JRA六本木事務所で世間話。夜、神楽坂で、社会部の先輩、競馬血統研究者 (2人は早稲田大学新聞学科の二年先輩でもある)と夕食。その後、もう一つ、野暮用を済まし、テレビ、週刊誌、ネットを読んで、 ホリエモン事件の進展をチェック。今週の「キレ珠」で「野口さんは自殺か、他殺か、これを調べるのがマスメディアの仕事。正念場だ」 と書いたが、ようやく、メディアが独自ネタで「怪死」を追いかけている。那覇空港で野口さんと共に出てきた数人の男。これがキーマン ではないのか。

 未明、500円で買ったDVDの「シャレード」を観て、もう一度、眠る。

<何だか分からない今日の名文句>

「天皇制」より「暴君・コイズミ」が問題なのだ

2月1日(水) 朝日新聞社の欺瞞

 早朝、ぶらりと、隅田川沿いの例の「ネコの額」の庭を覗くと、小さな梅が咲いている。何時、咲いたのか。今日から2月。房総の千 倉辺りも、寒波で遅くなっているが、ポピーが満開だろう。

 午前中、野暮用で市川へ。総武線の中刷り広告に「朝日新聞のキャンペーン」が載っている。

 「言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。ジャーナリスト宣言。朝日新聞ジャーナ リスト宣言。」

 何か、ヘンなコピーだ。

 「言葉」は生き物だ。理知的で、計算づくで、それでいて、矛盾だらけで、ウキウキしたり、落ち込んだり‥‥その「言葉」を勝手に 「感情的で、残酷で」なんて言ってもらいたくない。「言葉」は自由で、我々は「言葉の自由」を守る立場である。

 それも言うなら「朝日新聞の言葉(報道)は感情的で、残酷で、ときに(いつも)無力で」とすべきではないか。

 朝日新聞はいつも欺瞞に満ちている。受験勉強反対! と叫び、一方で、朝日新聞の「天声人語」は大学入試問題に○○件、出ました、 とPRする。

 紙面で叩いた後、広告担当者が平気な顔で「意見広告を出したら」と言ってくる。インチキ野郎だ。そのインチキ野郎が、言葉のチカラ を信ずる? 迷惑な話だ。

 毎日新聞の読者は少ないけど(朝日、読売の「取ってくれたらテレビ」「やれ半年タダでも良いです」の実弾攻撃? を拒否して)毎日 新聞の「言葉」を信じて、何年も何年も読み続けてくれている。

 まあ、そうは言っても、ライバルはあった方が良い。1月25日に創刊127周年を迎えた朝日新聞さん、ソコソコ良い新聞だから 頑張って貰いたい。

 毎日新聞は「言葉のチカラを信ずる」のではなく「今こそ、言葉のチカラを守る決意」で毎日を過ごしている。

 午後「青い空 白い雲」を書いて、夜中は小川和久さんの「日本の戦争力」(アスコム・聞き手・坂本衛さん)を読む。安全保障の基 礎知識のようで便利である。「平和力」とせず「戦争力」とネーミングするのが、時代の流れか。

<何だか分からない今日の名文句>

言葉は野生動物だ

1月31日(火) 許永中は法廷で

 何やら、恒例になってしまったような気もするが、日本橋三越の「山口展」に出かける。(1月31日から2月5日まで)20年以上前、 西長門のリゾートホテルに泊まり、雄大な岩石に、コンコンと湧き出す湯、皇帝専用の風呂? に感激して、もう一度、行きたいと思いな がら、実現せず、その代りに山口展には必ず行くようになった。

 呼び物は<日高食品のとらふぐちりセット>。4人前5250円。<おかもと商店の高森黒毛和牛肩ロースすき焼き用>100g1601円。 明治から、その肉質は定評がある。特設茶屋コーナーには、色々と楽しみなメニューがある。

 今年は国民文化祭が山口で行われる(11月3日から11月12日まで)保育園児から高校生まで、子供たちが企画した「夢プロジェク ト」が面白いようだ。夕日が綺麗な山口に行ってみたいけど‥‥。

 午後から、雨がポツリ、ポツリと降り出したので、急いで仕事場に戻り執筆。

 夕方、テレビのニュースを見ていたら、石橋産業を舞台にした手形詐欺事件で、許永中被告に懲役6年が言い渡された。一年、厳刑であ る。判決理由を聞く間、許被告は真っ青になり、途中、何度も水を飲んで、額の汗を拭っていたが、突然、被告席でのけぞるようになって、 意識を失ったという。

 「闇の世界」の帝王だった人物が法廷で失神するなんて、あまりに劇的だ。彼と兄弟分の政治家さんは、こんなのこと、聞いたら、どん な思いなのかしら。その政治家が、こないだの衆院選で、闘ったのも、妙な縁だ。

 夕刊紙を求めると「傍聴席は騒然とし、関係者と見られる女性が泣き崩れた」とある。もしかして、僕の知り合いの、あの女性なのか、 ちょっと気になる。

 それにしても、闇の寵児も「本当の悪者」にしゃぶり尽くされ、牢獄に入る。歴史の必然? 歴史の偶然?

 雑誌の「DECIDE」に日経の清水真人さんのインタビューが載っている。(余談だが、31日毎日夕刊の「キレ珠・歴史の偽装」で、 ちょっと触れた「ダグラス・グラマン事件で自殺した人物が最後に電話を掛けた人物」が、現在、雑誌「DECIDE」の経営をしている)

 清水さんは面識はないが、日経の政治記者。その著書「官邸主導 小泉純一郎の革命」が話題になっているので、インタビューを読んで みたが、もう一つ、執筆の意図が分からない。本当に、小泉さんは革命をしたのか。清水さんが、日本記者クラブで講演するらしいので、 その真意を聞いてみたい。

<何だか分からない今日の名文句>

歴史の必然+歴史の偶然=歴史の皮肉