5月30日(火) 警察一家のチカラ?
朝、浅草まで歩く。約2キロ。ようやく歩くテンポが戻ってきた。 歩けば街を眺めて、その変化に気づく。
例えば、蔵前に「天 時葉山」という天ぷら屋が開店していた。 時葉山は時津風部屋の元幕内・時葉山関(先代富士ケ根親方)が、現役引退後の昭和50年、 江東区にオープンしたチャンコのお店。今度は看板に「天」という文字が入っている。
チャンコの「時葉山」は2代目の息子さんが「うなぎちゃんこ」というものを考案して 評判になった。(うなぎは蒲焼と白焼きの中間くらいで焼き上げ、これをかつおベースの 出し汁に入れ、煮立ったら出来上がり)
まさか、チャンコに鰻、に驚いたが、今度は天ぷらの店を出すとは。かなり前向きだ。
数件先に、昔からのチャンコ屋があるから、仕方なく、天ぷらにシフトしたのか。 中を覗くと、和服姿の女性が待ち構えている。ちょっと気になる店だが、 お値段が‥‥僕にはちょっと無理。
元通産大臣(だったかな)の深谷隆司先生が自宅兼事務所を新築していた。 紙漉町あたりである。(江戸時代、和紙を手漉きしたところ)。「下町から総理大臣を!」 と元気が良かったが、何やら、功なり遂げたような張り紙。倅さんと一緒の名義で、 ××ハウスで家をする。幸せなようなではあるが、若い頃のような気迫がなくなったようで、 ちょっとガッカリ。
街は変わる。人も変わる。
しかし、一番目立ったことは、運送会社が台車で営業している光景である。 6月1日に改正道路運送法が施行される。トラックを道路に止めて、品物を移動させることが 出来なくなる。大手は「駐車可能なところ」を確保して、一旦、ここにトラックを置き、 後は台車で運ぶ。だから、台車ばかりだ。
しかし、中小の業者は「駐車可能な場所」が用意する余裕がない。となると、違反承知で、 放置違反金を払うことになる。トラブルが起こることもあるだろう。
今回の道路交通法改正の柱は、駐車取り締まりの民営化・デジタル化。 駐車違反の取り締まりが一部、民間業者に委託され、同時に、違反車両のタイヤにチョークで 目印を付けて駐車状況を確認して、駐車禁止の輪っかをくくりつけて……という方法におさらばする。 デジカメで車両を撮影することで、すぐさま違法駐車!血も涙もない?システムである。
別に反対するつもりもないが、この改正には、一つの「矛盾」と一つの「隠蔽」がある。 矛盾とは「正直に届け出ると15000円〜18000円の反則金+違反点数1」「届けせず、 放置しておけば、車の持ち主に15000円の放置違反金+違反点数ゼロ」。つまり、 正直者が損をする。違反はカネで片がつく、という矛盾。拝金主義の罰金取りである。
隠避というのは、これは民間導入と言うのは表向き。この制度は警察OBの再就職先確保が 最大の目的なのだ。団塊の世代の大量リタイア。警察では年間1万人退職する。これが10年間続く。 その「受け皿」を作るための法改正なのだ。別に文句を言うつもりもないが、 警察一家のチカラは物凄い。
しかし、文句をつけなければならないことがある。警察官の盗撮?
公安2課長の万引き?
そんな不祥事のことではない。 (ちょっと多い気もするが、それは何処にでもあることだから)
文句を言いたいのは、神奈川県警で次々に起こる誤認逮捕である。 アリバイのある人を逮捕するなんて‥‥文句を言いたいのは「本職のチカラ」 がまったくなくなっていることである。
警察官にアマチュアでは困る。プロになってくれ。
警察官の再就職先を難なく確保するチカラがあるのなら、 捜査能力向上にチカラを見せてくれ。
そんなことを考えながら仕事場まで歩いて帰り「おけら街道」の執筆。 オークス、ダービーの穴馬券二連発でちょっと固まった資金が出来たので、 薄型37インチテレビ購入。例の若者が一日がかりでセットしてくれた。
警察官に犯人放置違反金を!
5月29日(月) 新聞不信にどう応えるか
朝、デニーズで朝飯を食べて、駒形のどじょう屋の辺りまで散歩。仕事場に帰ると万歩計は6000。午前中に、このくらい歩いておけ ば、1万歩可能かな。
出社。地下のエントランスで丸ちゃんに会った。「内示を受けた?」「ちょっと前に」「おめでとう」「頑張ります」と淡々としている。
丸ちゃん、政治部長になる。「政治部の良心」とまで言われたほど部下に慕われている丸ちゃんが政治部長になる。嬉しいじゃないか。
森嶋→山田→倉重→丸山。このところ、僕が官邸キャップをした時の中曽根の首相番記者が順番に政治部長になる。(そうそう、森嶋だ けは、鈴木善幸首相の番記者仲間。一応、僕の方が年かさだったので、外務省キャップになって、一応、森嶋は可愛い可愛い部下?だった) これほど順調に部長交代が出来るのは、何しろ、みんな仲が良いからだ。
28日のダービーの日、東京競馬場で倉重のお嬢さんに会った。彼女、競馬場の来賓席でウエートレスのアルバイトをしている。「お父 さん、家に帰ると、本ばかり読んでいて、ちょっと元気がないみたい」と言う。ひょっとすると、政治部長の務めを終え、順調に編集局次 長になるのだが、勤務地が初めての大阪になるので心配なのだろう。
「昨日、娘さんに会ったぞ。元気ないって言っていたぞ」と言うと「元気ですよ」と笑っている。「広岩(編集局次長)がいるから、 ヨロシクな!」と言った。初めての大阪勤務だから、知り合いが一人でもいれば、助かるだろう。
でも、彼の心配は人事には関係なさそう。むしろ、アルバイトしてインドへ行こうとする娘さんの方がちょっぴり心配なのかも知れな い。
地下二階で、北村社長に会った。「昨日、当たった?」と聞く。「2着、4着で駄目だだった」と社長。新聞協会会長になってから、 北村さんは大好きな競馬場にも足が遠のいている。気の毒に。
ハタから見ると、2人が何やら密談しているように映るのか、通りすぎる人(多分、毎日新聞の社員)がチラッと見る。断じて密談では ありませんよ。社長の下手糞な馬券の話をしただけです。
夕方、体調を崩した森嶋が退院したというので、大井のマンションに遊びに行った。すこぶる元気。どこが悪いのか、全く分からない。 倅に合いたかったが、25歳になった坊主、よそに泊まっていて帰らないことが多いらしい。「オンナが出来たな?」と言うと「そうな んだ」。「覇気はないが、真っ直ぐな性格がうれしい」とオヤジの自慢の倅。我々の仲間も、子供のことで気を揉む年代になったのか。
一晩掛けて、社から持ち帰った一週間分の郵便物を整理する。先週は読者からの手紙が多かった。「大きな声では言えないが・靖国より 金力格差」に対する反応。「よくぞ書いてくれました」という声が圧倒的。でも、その中に新聞を批判する部分がある。「新聞が売れない のは、政府広報紙に成り下がっているからだ」(厚木の青木さん)「終戦のあの貧しい暮らしの中で、国民は本当のことが知りたくてむさ ぶるように新聞を手にした」(三島の寺田さん)とある。新聞は本当のことを書いているのか。読者は疑心暗鬼だ。
本当のことを書こう! 「発表」には嘘が隠されている、と思わなくてはいけない。
嘘を書いているつもりはないけど、結果的に誤まった「時代のデッサン」をしてしまっていないだろうか。いつも、点検しなければ ‥‥丸ちゃん、政治部長は重責だ。毎日新聞だけは権力に騙されない新聞になろう。
このところ「大きな声では言えないが」は歯ごたえのあることを書いたので、今週は軟派? 題して「お誘いの電話」。読んでくれ。
夜、また歩く。万歩計は11000歩。
新聞は「傍目八目」でなくっちゃ
5月28日(日) 朝日・有吉正徳記者の仁義
27日は忙しかった。前夜の“関西入り”の予定は懇談する予定の相手に吉報が届き「行政へ挨拶する儀式が必要になった」ということ でキャンセル。「とんぼ返りの大阪行き」はなくなったのだが‥‥それでも、幾つか、週末に野暮用が残った。これを何とか、こなしてか ら「世界週報」「大きな声では言えないが」を書き上げる。何しろ、日曜日は日本ダービー以外の予定は絶対に入れない!
28日朝、TBSのラジオ。話は、例によってダービーの予想になった。25日の日記で「3億3000万円でセリ落とされたフサイチ ジャンク、豊のアドマイヤームーンが人気かも知れないが、貧乏人の当方、生産地の負け組・石橋メイショウサムソンを応援してしまい そうな感じ。馬券で勝って五月晴、と行こうじゃないか」と書いたが、正直に言えば、サムソンにどうしても勝ってもらいたかった。 いや、勝てるハズだ!
朝日新聞の競馬記者・有吉正徳君から土曜日、葉書が届いていた。以前、日記の中で「GTの予想が当たらない朝日の記者さん」と、 からかった人物である。
葉書は「前略 オークスの日は、ありがとうございました。会社に戻ってサンデー毎日を見つけ、加賀谷さんのコラムを読ませてもらい ました。すぐコピーをして、秋田に住むお姉様、函館に住む妹さんに送りました。木曜日に妹さんから、お礼のメールが届きました。感激 されていました」とある。
ちょっと複雑なイキサツなので、妹さんが感激した、僕の書いたサンデー毎日の「加賀谷さんのコラム」をそのまま引用することから始 める。
「青い空 白い雲 第78回・あの桜も、この桜も咲いた『ちょっと良い話』
ある競馬ライターが孤独のうち? に死んでいったのは去年4月16日、桜が散る頃だった。加賀谷修さん。昭和28年、北海道函館市 生まれ。東京中日スポーツなどで競馬記者を務めた後、UHF『中央競馬ワイド中継』のプロデューサー。幅広い人脈を生かして、フリー の道を選んだ。
予想が上手かった訳ではない。彼は競走馬に惚れ、人間に惚れ抜くタイプの記者だった。例えば、無敗のまま三冠馬になったシンボリル ドルフ。その雄姿に惚れると、朝から晩までルドルフの周辺を歩き回った。ドイツ皇帝ルドルフ1世にちなんで名づけられた駿馬は憎らし いほど強かった。史上初の7冠馬。ルドルフを描くことで“歴史の証言者”になる、と加賀谷さんは思った。彼は『ルドルフ番』と呼ばれ た。
例えば、騎手・河内洋に惚れた。二つ年下の河内と気があったのだろう。兄弟のような付き合い。河内が自伝『一生競馬』(ミデアム出 版社)を出す時、彼は『聞き書き』を務めた。通算14,940回騎乗、2,111勝(歴代2位)。河内も強い男だった。
加賀谷さんに不幸がやって来たのは一昨年の桜の咲く頃。最愛の奥さんを病気で亡くした。「アイツは音楽が好きだったから」と音楽葬。 痛々しかった。『一番強い味方』を失ったのかも知れない。
その一年後、桜花賞が終わり、桜の散り始めた頃、彼は心臓発作で倒れた。家には誰も居なかった。仲間が彼の死を知ったのは数日後。 まるで奥さんを追ったように‥‥命日は4月16日。
ルドルフ時代の記者仲間が中心になって葬儀。河内も参列した。涙を流しているようだった。その河内の後に、石橋守という騎手が立っ ていた。河内が一番、可愛がっていた弟分。華やかさに無縁の男は黙って焼香した。それから1年後、この『地味すぎる男』にスターダム が用意されるとは‥‥誰も予想しなかった。(中略)
そうそう“並みの騎手”石橋守の話に戻ろう。4月16日の皐月賞。中山競馬場の桜は散っていた。39歳の守は皐月賞に出走した。 42度目のGTレース挑戦だった。昨夏の小倉からレースも調教も乗り続けたメイショウサムソン。トライアルレースで快勝したが、 6番人気。馬は強いが、騎手の力量は? という評価だった。
それが、どうだろう。大激戦を制したのは“並みの騎手”の守だった。直線に入ると渾身の右ステッキ。サムソンは直線抜け出し1分 59秒9で優勝した。
騎手生活22年で始めてのGT勝利。守に大本命・アドマイヤムーンの大スター武豊が駆け寄り『おめでとうございます』と手を握った。 守は栗東中学、騎手学校で豊の2年先輩だった。
4月16日は『強い馬・強い男』を描き続けた競馬ライター・加賀谷さんの命日。これも『天国からキッス』だったかも知れない」
長々と引用したが、僕は、孤独で死んだ競馬記者・加賀谷さんと地味な騎手・石橋守の活躍をこんな風に書いた。ここでは書かなかった が、実は、有吉記者は朝日新聞者にスカウトされるまで、別の新聞社に所属して、加賀谷さんとは兄弟のような関係だった。加賀谷さんの 葬式を取り仕切ったのも有吉君だ。有吉記者は仁義に厚い人物なのだ。
彼の葉書は次のように終っていた。「河内調教師、石橋守騎手がオークス、ダービーに出走するのに合わせ、13日に加賀谷さんのお墓 参りに秋田へ行きました。メイショウサクソンと石橋騎手の背中を押してくれるはずです」
有吉は情に厚い男なのだ。
TBSラジオの放送中、彼の葉書を思い出し、珍しく「サムソンが勝つ!」と断定的に話してしまった。石橋、頑張れ! 加賀谷さんが 応援しているぞ。有吉記者が応援しているぞ!
そしてダービー。雨がやんだ。9レースが行われている時、騎手の控え室で、石橋はただ一人、ジッと地面を見ていた。まるで、佐々木 小次郎のようなような殺気。
そして、石橋サムソンは見事、2冠を達成した。記者席で、僕は有吉と堅く握手した。「朝日新聞大嫌い人間」の僕が朝日の記者と握手 する場面を見て、たまちゃんが唖然としている。毎日新聞の広告マンが「馬券取りましたか?」とやって来た。「もちろん」と胸を張る。 「サムソンから入ったからネ」。「エッ、牧さんでも一番人気を買うんですか」とビックリしている。さあ、サクソン、3冠に挑む。 (29日付けスポニチの観戦記も是非是非、読んでくれ)
JRAの打ち上げに顔を出し、調布の友人のおごりで、例の「天ふじ」で、白子の天ぷらを食べる。美味。何の白子なのか? 聞くのを 忘れた。ともかく、前夜3時間しか、眠らなかったので、少々、疲れた。
「吉」と「徳」が一緒に来ちゃった春爛漫
5月25日(木) ダービーは五月晴で行こう!
蔵前デニーズで朝飯を食べてから「青い空 白い雲」を断続的に書く。その間、次々に来客。DVDのパンフレットを持ってきてくれた 青年。火災保険の更新手続きの男性。近くのマンションに住む、初めてお会いする女性は「今朝、取ったばかりの竹の子」を持って来てく れた。湯がいて頂く。春風駘蕩の5月。旬の野菜が上手い。
でも、ことしの5月はどんよりしてばかり。まるで梅雨? みたいだが、昔から、この頃は天気が愚図つきやすく、たまに晴れると 「五月晴!」と喜んだものらしい。
今週も、腹の立つ事件ばかり。社会保険庁の年金納付率偽装事件。納付率は6割台を07年度までに8割に引き上げる。その目標は結構 だが、強制徴収の荒療治を始める。これもやむを得ないが、同時に、支払い余力がない人には免除制度の利用を勧める。保険料を払わなく ても加入期間として扱われ、老後は基礎年金額の3分の1が税金から回ってくる。それが適切な処置かどうか、疑問は残るが、ルールとし て存在することは認めよう。
しかし、本人の申請もなく、職員が勝手に「貴方は免除」と決めるのは明らかな違法行為だ、納付率を上げるために、分母(加入者数) を減らして、納付率を上げる偽造である。
社保庁初の民間出身長官は損保ジャパン副社長から“移籍”した村瀬清司という人物。ノルマ!ノルマ!で社員をこき使い、かなりの成 績を上げた人物である。そんな人物だから、彼が職員に配った檄文には「やるべきこと」の3項目の先頭に「納付免除」を上げている。明 らかな民間の間違った成果主義、詐欺商法? 多分、社保庁ぐるみの偽装と考えるべきだ。ともかく、腹が立つ。この勝手な納付免除で、 損をするのは、いうまでもなく国民である。
夜、浅草まで散歩。雷門近くの比較的暗い通りに、フランス料理の店が出来ていた。造作が洒落ていて、お忍びには良い。関係ないが、 通りの反対側にラブホテルの裏口がある。値段を見たら、デイナーが3500円。手頃ではないか、と入って見たら大失敗。不味い。滅茶 苦茶、不味い。これは浅草の面汚しだ。ああ、また、裏切られた。
さあ、28日はダービー。ディープインパクト圧勝の去年に比べ、有力どころの力が拮抗している。これは面白いぞ。ホンの少しだが、 オークスの儲けが若干、残っているので(大半を薄でのブルゾンを買うのに使ったけど)勝負!勝負!
28日は朝のTBSラジオで、当たらない予想? を話してから府中に向かい、スポニチに観戦記を書く予定。3億3000万円でセリ 落とされたフサイチジャンク、豊のアドマイヤームーンが人気かも知れないが、貧乏人の当方、生産地の負け組・石橋メイショウサムソン を応援してしまいそうな感じ。
馬券で勝って五月晴、と行こうじゃないか。
菊花賞は強い馬が勝つが、ダービーは「運」の強い馬が勝つ
5月24日(水) ガンセンターの診察券
房総・鴨川に住むキノさんの未亡人から、大量に「ソラマメ」が送られてきた。 かなりの“大粒”である。季節の折々に、旬のものを送ってくれるのだが‥‥恐縮である。 お礼の電話をするが、何度、掛けても留守。仕事が忙しいのだろう。彼女、頑張っている。
キノさんがなくなって、どのくらい経っただろうか。ガンと気づき、手術をして、 退院した直後、通院して内視鏡検査をした時、突然、出血して帰らぬ人になってしまった。 兄弟分みたいな間柄だったので、泣けて仕方なかった。奴も無念だっただろう。
医療過誤ではないか。彼女は、病院を訴えるかどうか、悩んだようだ。 でも、お姉さんが勤める大病院だったので、二の足を踏んだようだ。大病院だから安心、 ということでもない。キノさんは運が悪かった。
午後、例のガン検査の結果説明を聞きに築地の国立ガンセンターへ。丁寧な説明だった。 膵臓の“水袋”は問題ないが、肺の影は気になるので3ヵ月後にCTでフォローをするという。 PATでも、マーカーでもガンの兆候はないのだが、念のため、経過を見るという (PETは万能と思っていたが、必ずしも、そうとは言えないらしい。NHKの報道では、 ガンセンターの検査で150人前後のガン患者が早期発見されたが、PETで発見されたのはごく僅かだったらしい)
ガンの可能性もあるのか?正直なところ、あまり良い気持ちではないが、 万一、ガン前症状?であったとしたら、早く気づいて良かった。運が良いのかもしれない。 万一、ガンだとしても、早期発見、早期治療が可能だろう。まあ、それなりの年齢になればイロイロなことが起こる。
検査センターの受付の女性が病院の窓口まで、案内してくれて、ガンセンター中央病院の診察券を貰う。 「これ以後は保険が利きます」と言われる。ガンセンターはガンでないと入院できない、と聞いたことがあるから、 何か、ガンのお墨付き?を貰ったような複雑な思い。出来れば、ガンでないことを願いたいが‥‥矛盾だらけの言い分になるけれど。
キノさんの未亡人にお礼のコーヒーを買うと日本橋三越に寄った頃、携帯電話の調子が悪いことに気づいた。 どこにも掛からない。帰りに馬喰町のドコモに寄って、治して貰っている最中、 ガラガラガラと雷鳴。外は矢のような雨。江戸通りが川になっている。
雨の中、やっとのことでタクシーを捕まえ、仕事場に戻りと、近くに雷が落ちたようなけたたましい雷鳴。 ビルが揺れているような感じ。
夜、入った情報では、例の秋田小学生連続?殺害事件で、週刊新潮が容疑者を特定する記事を書いたらしい。 新潮はこのところ、行け行けドンドンである。
鳴るほど(なるほど奴が犯人?)の雷は光も強い
5月23日(火) オーマイニュースの鳥ちゃん
朝「おけら街道」執筆。中山競馬場にATMがあるのに、東京競馬場には何故、設置されないのか。おかしいじゃないか、という話を 書いた。東京競馬場に設置されていない理由は‥‥良く承知しているが、これは個人批判になるので、そこまで書くつもりはない。要する に、ヘンな自惚れ屋で、その癖、ヘンに官僚的な人物が、組織の上の方に紛れ込んでいる、というだけのこと。「ATMがあれば便利なの に」と言う競馬ファンの願いが通じれば良いのだが。
今日も「キッコの日記」は「現在の自民党の素晴らしさを象徴する三バカと言えば、山本一太、大仁田厚、杉村太蔵の3人だけど‥‥」 なんて言いたい放題。(でも、この分析には僕も賛同)匿名が羨ましいような気もする。
鳥ちゃんがオーマイニュース日本版編集長になる。オーマイニュースは2000年、ソウルに生まれた市民参加型ネット新聞。現在約4 万人が記者登録して、一日に約250本の記事を発信している。
欧米でジャーナリスト気質のある人はブログを立ち上げる。日本も「キッコの日記」などが有名だが、韓国の場合は、そうした欲求が オーマイニュースに集中した。多分「保守的な主流メディアの視点」と決別する試み。一日のアクセスは200万。例の盧武鉉大統領の当 選に一役買った。多分「自国内」に限れば、影響力は世界で最も力を持つニュースサイトと言えるだろう。
そのオーマイニュースの初代編集長に、鳥ちゃんが選ばれた。果たして成功するか。日本は、どちらかと言うと、欧米型で、独立独歩型 の発信市民が多い。ある意味では、オーマイニュースも「組織」には違いないから、ブログ派が「新聞」に参加するかどうか。
それに、問題は記事の信憑性。大新聞だって度々誤報しているが、ここでは、もっと深刻な偽装報道が起こることだってありえる。いず れにしても、21世紀、日本人に「事の真偽」を判断する基礎能力が問われる。
鳥越俊太郎は多分、その経歴から「信頼性の顔」として選ばれたのだろう。真実を書かず、権力側の言いなりになっている大手新聞、 テレビを追い詰める「ニュースのゲリラ」を期待したいが‥‥。それにしても、鳥ちゃん、新聞、テレビ、ウエブ‥‥と実に変わり身が早 い。
「日本の競馬 総合ハンドブック2006」(中央競馬振興会刊)が出来た。日本の競馬では、データとしてJRAの部分が整備されて いるが、地方、国際の部分は未整理。そこで、これを一本化したデータ本を作ろうという試みである。関係者だけでなく、一般の競馬ファ ンにも読まれることで、情報の透明性が保たれる。「立派な本だ」と話していたからなのか、責任者の徳さんから「短い推薦文を書け!」 と言われる。ちょっと忙しくて、恥ずかしいが10分で書き上げる。俺は「推薦」が苦手なんだ。
夕刊のコラム「大きな声では言えないが・靖国より金力格差」で、みのさんを“代表”としてテレビメディアが(もちろん新聞も)靖国 問題を総裁選の焦点に祭り上げ、金力格差を隠そうとする世論操作に加担していないか、と批判した。夕刊が配られる前に読んで貰いたい ので、みのさんに、このコラムをFAXで送った。まあ、彼と価値観が全て同じというわけにはいかないが、もし、暇が出来たら、読んで くれ、ということ。
黒い華でも華は華 白い花でもクズは屑
5月22日(火) 「ダ・ヴィンチ・コード」は?
未明、コラム「大きな声では言えないが」を書き上げ(先週の「靖国より原爆だ!」に続いて、今回は「靖国より金力格差!」)、 午後は若干の取材。夕方から映画「ダ・ビンチ コード」を見た。
鳴り物いりの世界同時封切り。映画情報サイト「ボックスオフィス・モジョ」によれば、公開後、米国を除く世界市場で推定1億4700 万ドル(約164億円)を売り上げる予定らしい。それほどの話題作なら、時間があれば見て置かなければ‥‥という程度の興味。多分、 週末は一杯なんだから‥‥で、月曜日に見ることにした。
正直言って、実に退屈な映画だった。
「キリストに子がいた」というセンセーショナルなストーリー。各地で物議を醸した、と鳴り物入りだが、ともかく、映画の中で、主人 公が「歴史的経緯」を説明しないと、何が何だか分からない物語。そんな解説場面が何度も出てくる。この講釈に時間を取られ、映画にテ ンポというものがなくなる。どんな範疇の映画か、と言えば、ミステリーでも、アクションでもない。「俗説の解説映画」の範疇だ。アク ション映画としてはあまりに弱々しい。アクションシーンの主人公が饒舌に解説したら艶消しだ。幾ら小説が売れたとしても、原作に寄り かかって、期待される「映像の力」がまるでない。
そんな具合だから「感動」がない。並みの娯楽アクション映画でも、それなりの感動があるものだが、それもなかった。
それでも、カトリックの総本山・バチカンのイタリアでは初日の19日、910の映画館で200万ユーロ(約2億8千万円)を売り上 げたらしい。多分、バチカンで、ローマ法王ベネディクト16世の側近が、司教会議で「信仰の核心への根拠なき挑戦だ」と映画を非難し たとか、アジアでキリスト教信者にボイコット騒ぎが起こったとか、次々に「事件」を報道させて「歴史を変えた映画」というイメージを 作り上げたのが功を奏したのだろう。(僕は騙された一人である)
小説は傑作。映画は駄作。僕に言わせれば「見る価値のない映画」だった。トム・ハンクスは4月に何度か、来日した。記者会見をやり、 京都をお忍びで旅行したり(何故かテレビに映像が流れたが)4月7日には、誰がお膳立てしたのか、薄々、分かるが、小泉さんを表敬訪 問した。小泉さんが「髪型が変わったね」と声を掛け、トムが言われたように「首相のトレードマークのライオン・ヘアにしたかったんだ」 と応える出来レース? まあ、話題は豊富だけど。表敬訪問で、得をしたのは‥‥アイツとアイツ‥‥薄々、分かるけど‥‥ガッカリする ような映画だった。
前宣伝は歴史的画策 映画は歴史的駄作
5月21日(日) やった!
21日はオークス。野暮用の合間を縫って、府中に駆けつけた。今年に入って、競馬場へ行けたのは数回である。たまちゃんに馬券を 頼んだり、汐留WINSで買ったりして誤魔化しているが‥‥でも、オークスである。ウズウズする。時間を4時間程度、やりくりして、 昼前、正面玄関に滑り込む。
後ろから「センセイ!」と声が掛かった。振り返ると極道記者の塩崎さんである。これは、マズイぞ。「センセイ!」の塩崎さんに会う と、何故か、馬券が当たらなくなる。どうしたことか分からないが‥‥つい「塩さんの本命は?」と聞いてしまう。塩崎さんが「これは ××で堅い」と言う。そうすると迷う。何しろ、塩崎さんは10万、20万で勝負する。それを見ていると「堅いんだろうな」と思ってし まったりする。馬券検討が大混乱する。そこで‥‥ちょっとつれないが「また、記者席で」と決然として別れる。
オークスの日はJRAが女性の文化人を招く。江川詔子さんが来ていたので挨拶。彼女、競馬場は2回目らしい。江川さんの一途なタイ プは嵌るぞ。
朝日の記者さんにバッタリ会ったので「どの馬が勝つ?」と聞けば「Pキストゥヘブンですよ」という。「距離は大丈夫。でも、予想と 馬券は違う。僕はCヤマニンフェァビュルを買いますがね」。なるほど。「これでPとCは消しだな」と確信する。彼の予想は大レースの 場合、何故か外れる(ような気がする)。
そしてオークスを迎えた。熟慮した。何しろ、このところ、どうしても当たらない。惜しいところで、狙った穴馬が4着というケースが 多いのだ。
単勝3番人気のHカワカミプリンセスから入った。本田が自信満々と聞いた。腕はイマイチだが、高齢騎手がこのところ、活躍している。
まず、プリンセス頭の3連単を100円券で流す。2着ということもあるから、3連複も300円流した。
それだけにしようと思ったが、Iアサヒライジングが気になって仕方ない。この馬で桜花賞は馬券を買った。が、ゴール20メートル手 前で失速して4着だった。左回りに実績があるから、もしかして。Iからも3連単を100円。3連複を300円流す。Iは人気薄だから、 もちろん大穴馬券?
レースは朝日の記者さん推奨のCヤマニンファビュルの大逃げではじまった。4角を回って、予想とおりIアサヒライジングが先頭に立 つ。逃げる。逃げる。もしかしたら、逃げ切るか。頑張れ! 柴田!
でも、ゴール20メートルで抜かれた。1頭、また1頭。万事休す。だが、よく見ると、先頭に立ったのは何とHカワカミプリンセスで はないか。
頑張れ!本田! 気張れ!本田!
プリンセスは勝った。勝ち時計は2分26秒2。気がつくと、アサヒライジングも3着に残っているではないか。そんな幸運、あった事 もない。3連複はAHIで3万3430円、3連単HAIで16万4300円。やった!
今週はダービーである。
たまには破顔一笑
5月18日(木) キッコに一理あり!
朝7時半に仕事場の近くで野暮用。9時、たいとう診療所。今井院長の問診。 ゴールデンウイークの最終日に転んで右足の人差し指から出血したことを報告した。
今井君、右足をトクと観察して「爪が剥がれている。落としましょう」ということになった。 カサカサになった、ボロボロな小さな灰色の爪。何か、可愛そうで‥‥小さな爪と離れるのが、 ちょっと寂しいような。ヘンな気持ち。
床屋で、髪の毛を切って貰いながら「この髪だってちょっと前まで『僕』だったのに‥‥と 思ったりするのと同じような気分だ。大体「僕」は何処までなのか。事故に合い、心臓が「僕」で、 手足は違う、なんてことだったあり得る。頭はあるが、心臓が元「僕」なんてこともあるかも知れない。
ヘンなことを考えていると、今井君、丁寧に冗談を言いながら切ってくれた。 切った小さな爪を貰っておこう、と思ったが、そんなことをしていたら、仕事場が元「僕」で、 一杯になってしまうと思い断念する。たまたま、慈恵医大の医者の卵(クールな女性)が研修で来ていて、 こちらの悲しい運命の爪をジッと見ている。「爪を持って帰ります」なんて言うと 「あの診療所、ヘンな患者がいるのよ」なんて言われそうで、たいとう診療所の名誉のために、言えなかった。
何故、日本人は骨を大事にして、髪や爪を邪険にするのか。不思議である。
リハビリは時間がなくてパス。11時、池袋のホテル・メトロポリタンの「毎日アカデミー」で講演。 観客62人。熱心に聴いてくれた。
仕事場に戻って、約1持間眠って「青い空 白い雲」を一気に書き上げる。来週はダービー。 政治向きの話、事件の真相はお休みにして、競馬の話にした。もしかすると、大井の内田の馬が優勝するかも知れないので 「超人ジョッキー・内田の出現」を書いてみた。これ、早撃ち原稿。
午後7時半、久しぶりに副編がやって来て「送信」が出来ないパソコンの修理をしてくれた。 なかなか、原因が分からなかったが、結果的には「な〜んだ」という単純な原因で、8時過ぎに解決。 10時ごろまで、二人で飲む。大袈裟に言えば人生論。副編は生きることに、真っ正直な青年だ。
深夜、ネット点検。キッコの日記が「何でイーホームズが業務廃止なのに、悪の限りを尽くして来た日本ERIは 業務廃止になんないんだよ!」と書いている。悪の限り、どうかは分からないが、日本ERIがいい加減な検査をしていたことは事実。 イーホームズの社長が別件逮捕され、日本ERIにお咎めなし。これは実におかしい。
天下りの会社だから、温存されるのか。実におかしい。
爪で拾って箕でこぼす
5月17日(水) 微妙なんだ血圧は?
朝、タクシーで、国際医療福祉大学三田病院で大山ドクターの検診に向かう。タクシーの中で、ポシェットを点検すると、名刺入れが見 当たらない。昨夜、調布の親友と一杯飲んだ時、どこかへなくしたのか。
別になくなって困るカード類も入っていない。現金も入っていない。ただ、貰った名刺類がなくなってしまっては困る。
もしかして、拾った人が、よくよく、中を見ると、日記では隠して書いていない「特別の取材相手」の名刺が出て来てしまったりするか も知れない。隠密行動が分かってしまってはチト困る。どこに落としたのか。ちょっぴり、落ち込む。
そんな気分で血圧を測ったら140−70。微妙に高くなっている。一種の緊張状態なのかも知れない。
検診が終ったら、急に腹が減り、近くの蕎麦屋に飛び込んだ。「11時半からです」とツレナイ返事。「11時45分に蕎麦を打つ」と 如何にも「こだわり職人」ぶっている。「良いよ、他で食べるから」とぶりぶり。
150mぐらい歩いたらラーメン屋があった。「良いですか?」とトビラを開けると「どうぞどうぞ」。ありがたい。野菜ラーメンを注 文する。ここのオヤジは一生懸命調理している。商売人はそうでなくては。
3分ぐらいで出来上がる。そうこなくては。早速、麺を口に持ってきてヒヤー! ナンという味だ。不味い。妙な香辛料が入っているよ うで‥‥気持ち悪くなる。正直言って、食べられない。どうも、朝鮮半島の人が喜ぶような味らしい。僕にはどうにも我慢できない。
ヘンな匂いで、何か、血圧がさらに上がったようで仕方ない。申し訳ないが、大半を残して、店を出る。
口当たりが悪い。何か食べなくては。麻布十番で、思い切ってトンカツ屋に入った。満員である。確かに美味しかった。ペロッと平らげ る。が、気がついてみると、こんなに豚を食べたことはない。血圧どころか、糖尿が上がるかも知れない。
ああ、ツイテいない。これも、あれも、名刺入れ紛失事件が原因だ。ああ、あんな奴と酒を飲むんじゃなかった。
仕事場に帰ると、このところ友人になってしまった「ファックス売りの青年」がやって来た。最近は電気製品も扱うというので、人気の 薄型テレビを安く売ってくれ、と相談する。そうそう、二ヶ月ほど前から、パソコンが故障していることに気づいた。メールの受信は出来 るが、送信が出来ない。青年に「テレビを買うから、パソコン、治してくれ!」と頼む。「簡単ですよ」と彼。ところが、どうしても、 上手くいかない。青年、汗みどろ。「分かった。他の奴に頼むから」と話し、青年は面目ない、という雰囲気だ。
考えて見れば、何しろ二ヶ月間、送信していないのだ。八戸の俊ちゃんが「子供が出来た」とメールを寄こし「おめでとう!」と書いた のだが、そのまま、2ヶ月間も放置している。何時か、自然に治ると思っていたから放置したままだったが、これが正常に戻るのには時間 がさらに掛かるのか。
そう言えば「夕食を一緒に!」といったお誘いにも、まったく返事をしていない。これは不味いぞ。先方はパソコンの故障を知らないん だから。
突然、2ヶ月も送信していないことが罪悪のような気がする。ジワッと反省。これも血圧に関係するかも知れない。
夜になって、忘れていたことに気づいた。明日(18日)池袋のホテル・メトロポリタンの「毎日アカデミー」で講演することになって いた。準備をしなければ。
急いでメモを取ろうとして、モバイルを閉じ、横に置こうとすると、アララ‥‥名刺入れが‥‥名刺入れはモバイルの下に隠れていたの だ。ナ〜ンだ。何か、滅茶苦茶、馬鹿馬鹿しい一日だった。
勘違い、目の薬
5月16日(火) ゲートキーパー
昨日、共謀罪に「危うさ」について書いた。議論が必要だ、と書いた。密告国家を形成する「問題を含み法整備」は他にもある。
例えば、すでに成立している改正旅券法(昨年6月成立)。この法案で、顔写真などをデータ化したIC旅券が導入された。これは、 テロ対策のために必要だと思っているが、導入にあたって、出入国管理の新システムが某外資系コンサルタント会社に発注されたことに 不安を感じる。この会社は、アメリカの入管指紋採取システムを請け負っている企業である。事実上、アメリカの出入国システムに日本も 一本化されることになる。その議論も必要だった。この辺りにも「日本は51番目の州」という実態がさらけ出されている。日本の監視体 制が実はアメリカの監視体制に組み入れらている。それで良いのだろうか。
来年提出予定の「ゲートキーパー規制法」には、さらに「危ういもの」が隠されている。ゲートキーパー(門番)規制とは、マネーロン ダリングやテロ資金の移動に利用される金融取引に関して、代理人・助言者として関与する弁護士、公認会計士などの専門職に「取引の門 番役(ゲートキーパー)」として、不正の取引を国家機関に報告する義務を負わせるのだ。
1999年10月、G8の司法・内務閣僚がモスクワで会談し「モスクワ・コミュニケ」を発表しました。その中で国際組織犯罪対策の 一環として弁護士・会計士・監査人・会社設立代理人などの専門職に国際金融システムの「門番(ゲートキーパー)」として、一定の 責任を課すことを考慮する、との合意がなされた。マネー・ローンダリング防止のための規制を、銀行などの金融機関から、これら専門職 にまで広げようとする計画である。もともとはイギリスが考え出した規制だったようだが、日本政府は、独自の判断を持たずに、何の懸念 もなく同調した。
この法律が成立すれば「弁護士の守秘義務」という大前提が危うくなる。弁護士業務は依頼者との信頼関係で構築される。依頼者の利益 を擁護するのが弁護士だ。当然、弁護士は職務上知り得た依頼者の秘密を保持しなければならない。それは法的義務である。
ところがゲートキーパーとして、依頼者から弁護士に打ち明けられた情報を国家機関に開示するということになれば、弁護士に対する 信頼は失われる。市民は、弁護士に「真実」を述べることはなくなるだろう。
弁護士の使命(それはまっとうなジャーナリストも同じだが)は、基本的人権の擁護と社会正義の実現である。その観点からすれば、 弁護士は(ジャーナリストも)国家権力と闘わなくては成らないことが、それこそ無数にある。その弁護士が国家機関に情報を流すことが 義務付けられることになったら、権力に対する市民の法的抵抗はなくなってしまう。
弁護士が国家のゲートキーパーになる。それは、とりもなおさず、市民が「法的権利」を放棄することである。「弁護士自治」は消え去 る。
ゲートキーパー法は、アメリカでさえ、アメリカ法曹協会(ABA)の反対運動で、立法化が頓挫している。日本のように国内法化を目 指したベルギーやポーランドでは、弁護士会がこの規制が憲法に違反している、と行政・憲法裁判所に提訴。訴訟継続中である。
そんな諸外国の動きを無視して、日本ではゲートキーパー規制が進む。しかも、痛烈に「危うい」ことがある。弁護士は「疑わしい取引」 をFIU(金融情報機関)に報告することになるのだが、政府は、この法律で「報告する先の金融情報機関」を金融庁から警察庁に移管し ようとしているのだ。つまり「密告先が警察」。これは最悪の監視社会到来である。
日本は今、かつての大日本帝国のような管理監視国家になろうとしている。その危うさに、気づかないジャーナリストがいる。あるいは、 大半が、無批判で政府の法整備を漫然と報道している。
再三、言うようだが、総裁選は面白いが、それは一時の娯楽? である。市民は、それなりの関心で見ていれば良い。何故なら、大多数 の市民に総裁選の投票権はない。
それとは正反対なのが、長期的な、決定的な支配を持つ立法である。国家意思の(それは「馬鹿の壁」にいる官僚の意思、同盟国アメリ カの意思)法整備は、将来的に、市民の基本的人権を奪う危険にある。
我々は、小泉劇場に騙され、一時「改革」という美名に踊って、舞台が終ったら、脇に置いていた「自由と平等」という宝物をなくして いた、何てドジがあっては困る。
午前中は資料整理。出社しようとJR浅草橋駅に向かうと、スタンドで毎日新聞とサンデー毎日を買うご夫人を発見した。実に珍しい光 景。近づくと、小学校時代の同級生・クロちゃんだった。
必ず、火曜日にはコラム「大きな声では言えないが」が載っている毎日の夕刊と「青い空 白い雲」が載ったサンデー毎日を買っている のだそうだ。「読んだら、切り抜いておくの」と言われ感激する。お礼に160円のコーヒーを奢る。美容院の仕事をリタイアして、無職 のクロちゃん。毎週毎週、380円の負担は大変だろう。「サンデーは立ち読みで良い」と言おうかと思ったが、それは止めた。今度、 お礼にカラオケにでも誘うか。
出社すると、毎日新聞の役員人事が内定していた。なかなか、味のある人事。新しい主筆・編集担当に朝比奈君(社会部警視庁捜査2課 担当の後輩)。良い人事だ。これまで「編集担当」というポストがなかったから、多分、朝比奈ちゃんが主筆就任に当たって要求したのか もしれない。彼の庶民・正義派のカラーが紙面全体に行き届くだろう。同慶。
並び表されるもう一人の社会派・山本進君(新潟支局の後輩。凄い知恵モノ)はスポニチ社長に転じる。これも同慶。進ちゃんを若い頃 から「社長候補」と見ていたから、馬券が当たった、という感じ。
夜、調布の親友がやって来て「大作」。彼、飲み足らず、10時半ごろまで、神田の居酒屋。「お前の今日のコラム(「靖国より原爆!」) は、誰でも考えていることで、新味なし」といつものように貶される。でも、クロちゃん同様、読んでくれる仲間がいることに感謝しなけ ればならない。
某国の、某国のための?日本による門番
5月15日(月) 平成の治安維持法?
政策に不案内のマスメディアが自民党総裁選の裏舞台ばかり報道しているうちに 「問題を含んだ法律」が次々に成立する。それを放置して良いのか。 昨日に引き続いて、新聞、テレビの無責任で、官僚の言いなりで 「問題を含んだ法律」が成立してしまう危険について書きたい。 総裁選の勝ち負けは面白いが、それは一過性。法律は出来てしまえば、 国民が抵抗することは出来ないのだ。
「問題のある法律」の筆頭は共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案である。
「共謀」は英語でコンスピラシー(Conspiracy、陰謀)。アメリカには、 すでにコンスピラシー法と呼ばれる範疇の法律が存在する。例えば、 カリフォルニア州では「処罰可能なコンスピラシーとは、最低2人の人間の間で 犯罪の実行を合意すること。加えて、その内、最低1人がその犯罪を実行するために 何らかの行為をすることである」と定義づけている。「日本には共謀罪がない」と 主張する向きもあるが、これなどは、日本に存在する「共謀共同正犯」の概念に似ている。 つまり、幅広く考えれば日本の「共謀共同正犯」は共謀罪の一つ。しかし、 それだけでは不十分だ、というのが法改正(改悪)のスタンスだ。
ここで「共謀」に関する日本国刑法の規程を簡単に整理しよう。
@未遂罪は「犯罪の実行に着手」することを構成要件として、罪を問うことが出来る
A共同正犯(共謀共同正犯)も「犯罪を実行」することを構成要件として罪を問える
B(問題は「計画はあったが、未遂ではなく、謀議しただけ終る場合」だが) 「内乱陰謀(同法78条)」などは個別の構成要件が構成されれば摘発出来る。 しかし、大半は組織的かつ重大な犯罪であっても、計画段階で発覚しても 罪を問うことは出来ない。
つまりBにある「特別の要件がない計画段階の謀議」を罪とするかどうかが、 共謀罪の是非の焦点なるのだ。
2000年11月、国際連合総会で採択された国際的な組織犯罪の防止に関する 国際連合条約(国際組織犯罪防止条約)。この条約が、重大な犯罪の共謀、 資金洗浄(マネー・ロンダリング)、司法妨害などを犯罪とすることを締約国に義務づけた。 日本政府はこの義務を履行するために「共謀罪」を新設したいと考えた。 断っておくが、これはあくまでも日本政府の独自のアクションである。
政府案は「上限が4年以上の懲役・禁固にあたる全ての罪については、 実行前の謀議の段階で罪を問える」という改正案である。実に幅広い対象である。 「上限4年以上の懲役・禁固にあたる罪」は驚くなかれ619もある。 事実上、どんな犯罪でも、共謀を問うことが出来る、と考えた方が良いのかも知れない。
重大犯罪を未然に防ぐ。これは大事だが、国民の基本的人権が蔑ろにされることも事実だ。 例えば、権力に楯突くグループが集会を計画する。その種の各種抗議行動の立案などを 「組織的な威力業務妨害の共謀」とされることは十分、予想できる。 なにしろ、イラク派兵反対のビラを自衛隊官舎に配布しただけで逮捕される世の中だ。 (Hなビラはノーマークなのに)この改正で、集会・結社・表現の自由を制約する可能性は 極めて大きい。冗談ではなく、若いころの僕などは血気盛んで、居酒屋で 「馬鹿な上司を叩きのめしてやりたい」などと冗談を言って憂さを晴らしていたら、 組織的な傷害の共謀にされたなんてことも、あるいは、現実になるかも知れない。
市民が、どの程度まで組織的犯罪の早期阻止を必要としているのか。 どの程度、市民が、自由の制限をゆるすのか。その辺りの議論がないまま、 成立しようとしている。
共謀罪の「濫用」を招くリスク。それは否定できないと思う。 確かに、時代背景は「治安維持法」が誕生した戦前に酷似している。 「治安維持法」の時も、権力は「思想上のことは関係ない」と言いながら、弾圧の道具にした。
もっともっと、共謀罪について議論が必要だ。
朝から原稿。夜、浅草まで散歩。三社祭はスタンバイ。
壁に耳あり、障子に共謀罪
5月14日(日) また始まった官僚の天下
かつての僕も、その典型だったかも知れないが、政治記者は政策に疎い。政策を書かない。「自民党は政策で闘うべきだ」と書くが、 その癖、政策については、自信がないのか、記事にしようとしない。もちろん、政策を分析する記者もいるのだが、あまり目立たない。 多くの記者は、誰と、誰が、くっ付き、誰と、誰が、喧嘩別れするか、その離合集散を書いてばかりいる。政治が劇場型になればなるほど、 彼らは政界の権力闘争ばかり書く。そして、政治記事は競馬の予想のようなみょうちくりんな情報になってしまう。
ゴールデンウイークが終った辺りから、総裁選が事実上、始まった。国会が行われているのに、永田町も、マスメディアも、総裁選の裏 舞台に夢中になる。
で、誰が得をするか? 得をするのは官僚である。法案の説明に官僚たちが、議員先生のもとを訪ねるが「今は総裁選で忙しいから簡単 に」ということになる。的確な質問をする議員もいない。結果的に官僚の言いなりになる。マスメディアは政策に弱いから、官僚の言いな りだ。官僚の天下だ。
そして、同盟国のアメリカも、この騒ぎで得をする。福田さんも、アメリカを訪問した。主要の人物に次々に会った。日本の新聞は「福 田さん、総裁選への意欲」と報じる。アメリカが福田さんに期待している、というニュアンスだが、それは違う。影で会見をアレンジにす る人がいるから実現した訪問だ。今回の福田訪米がそうだ、とは言わないが、僕が見聞きした限りでは、この種の会見のアレンジには、 それ相応の「お土産」が必要だ。これは、外交の常識である。
中国などでは、首脳がアメリカを訪問する際は「半端ではない実弾」を用意する。逆に、アメリカの首脳が某中国首脳に会ったとき、 ベンツが20台もプレゼントされた、という話は有名だ。
アメリカの有力どころが、福田さんに会ったとしても、別に何も起こらない。福田さんが「よもやま話だ」と記者団に話したが、それが 本当だ。世間話をしただけだ。あえて言えば、天下を取った暁には出来るだけ、足しげく訪米します、と言ったような意志表示をしたぐら いなものだろう。
アメリカは「親米の旧福田派の二人の戦いなら、どちらでも良い」と思っているし、テレビカメラの前で一緒に談笑する場面を撮らせれ ば「個人的な利益?」になるから、自民党総裁選候補者の訪問は歓迎だ。
要するに、永田町に「政策論争のない、総裁選一色の不幸な季節」がやって来た。
週末はコラム「大きな声ではいえないが」の内容で、かなり悩んだ。アメリカが基地の移転に3兆円を要求している。本来なら、国民世 論が許さない額だが、マスメディアは総裁選一色で、その気配さえない。
ブッシュ大統領は横田さんに会って「こころを動かされた」と言ったようだが、その言葉はそのまま信じて良いのか。疑問だ。3兆円の 見返りのサービスではないかと思えてならない。
今まで、何度も書こうと思い、躊躇していた事柄を書こうと決意した。アメリカは第二次世界大戦の戦争責任を取っていない! という 怒りを書いた。
なんでも、アメリカの言いなりではない、と言いたいのだ。14日深夜、書き上げた。真正面からのアメリカ批判になった。16日の 夕刊に載るはずだから、是非、読んでいただきたい。
今からアメリカへ参勤交代?
5月11日(木) 総裁選は旧福田派に乗っ取られた
森さんが予定通り? 安倍・福田の一本化調整はしないと、明言した。森さんは苦渋に満ちた顔つきである。メディアは「森さんが一本 化を諦めた」と報じている。「古い自民党」はもう逆戻りしないと、説明している。果たして、そうなのだろうか?
僕に言わせれば、これは小泉・森の陰謀(小泉さんは「陰謀ではなくて阿吽の呼吸」と言うけれど)。これは錬りに錬った「森派による 自民党総裁選の乗っ取り計画」に間違いない。
例えば、小泉さんは「派閥は悪」と言い続けた。しかし、現実には森派だけが一大派閥として膨張している。小泉さんの真意は「森派以 外の派閥は悪」である。
小泉さんの4年半で、森派だけが膨張した。森派議員が入閣する。それに派閥に属さない親議員を集め「小泉チルドレン・グループ」ま で作った。
小泉さんは派閥の王様である。派閥(旧福田派)の 派閥による、派閥のための政治家である。昔の怨念から、旧田中派を潰すことだけ を考える政治家である。郵政民営化は旧田中派の牙城を潰すために行った、田中角栄が開いた日中の道をあえて無視してアメリカ一辺倒。 これも、旧田中派憎しの美学の結果なのだ。だから、彼が「派閥は悪」というのは「旧田中派が悪」ということである。旧福田派は温存す るばかりか、膨張させている。「派閥は悪」と言われると、新聞は文句を言えない。その隙に旧福田派(小泉+森)が膨張し続ける。 (もちろん、自民党池田派<公明党という名前の自民党>も膨張したけれど)
旧福田派が膨張する中で、自民党総裁選が迫ってきた。今回も、小泉流ペテンが行われた。
まず「派閥の一本化が必要」と森さんが言い、しばらくして、小泉さんが「それは古い。派閥の一本化は悪」と言う。
そこで、森さんが渋々「一本化はしたいのだけど、やらない」と言う。予定通り、新聞に「派閥の一本化は時代遅れ。悪である」という 社説を載せる。
しかし、新聞が批判すべきは、旧福田派だけの総裁選の歪んだ実態である。小泉さん、森さんが「安福戦争」で一番、恐れていることは 「これでは、自民党総裁選ではなくて、旧福田派の跡目争いじゃないか」と批判する世論が生まれることである。
今回の総裁選は、旧福田派(親アメリカ派)が長期政権を作り、憲法を改正する道を作ることだ。そのため、彼らが選んだ道は「総裁選 を旧福田派同士に一本化する」ことなのだ。派閥の一本化は是か非か、というテーマを煽って、実は「旧福田派よる自民党総裁選乗っ取り」 の真実を隠してしまう戦略、ペテンなのだ。
それが、成功した(かに見える)。世間は「安倍、福田が堂々と闘えば良い」と思っている。それが、小泉ペテンの成果なのだ。
それが証拠に、小泉さんは、この日、河野太郎が立候補の意向を明らかにすると「活気が出て良い。誰でも推薦人が20人いれば立てる のだから」と言った。これがペテン。「20人の推薦人」を前提にしている。(何故、20人も必要なのか、疑問だが)彼は折りにふれ 「20人集まれば誰でも立候補できる」と言い続ける。小泉さんは、麻生さん、谷垣さんに20人が集まるかどうか、微妙である、と読ん でいる。(今すぐ20人を集まるのは盟友・山崎拓さんぐらいだ。僕が立候補すべきだと思っている「もう一人のYさん」が推薦人20人 を集めるのは、さらに難しい)
小泉さんは4人の人物を候補者に仕立て上げたが、実は安倍、福田以外の二人には、20人が壁なのだ。闘い辛い人物を候補に仕立てる ことで、初めから、総裁選を乗っ取ろうとしたのだ。それが旧福田派の「阿吽の呼吸」である。自民党総裁選は旧福田派による「跡目戦争」 になった。それで良いのか。まだ、時間は残っている。
午後「青い空 白い雲」を書き直して、午後、誘われて「夢駆けるドリーマー」試写会。
蝸牛角上の争い
5月10日(水) 今どき怪文書なんて
変な封書が来た。大体、茶封筒で差出人が書いてないのは、怪文書と決まっている。「告発 こんな男をいつまで首相にしておくのか」 と大見出し。小泉さんのスキャンダルを書いている。内容は、これまで、どこかで読んだものばかり。何故、当方の仕事場に送ってくるの か。その真意が分からない。
要するに、総裁選が動き出しているということか。それにしても、世論操作をするのなら、もっとスマートにしなさいよ。今どき、こん な怪文書、鼻紙にもならないぜ!
ブログを上手に使う奴らもいるけれど、僕は署名のないものは信じないから、怪文書を送ってきても無駄ですよ。
最近は、中国でさえ「我々が注文するのは、小泉サンではなくて、次の人」とワザワザ、断っているぐらいだ。「小泉を叩けば、安倍が 困る」というような単純な図式では、もはやない。
多分、中国も安倍、福田、それに第三の候補? の闘いと見ているようだが‥‥まだ、総裁選は始まったばかり。(麻生さんは推薦人が 少ないし、財務相は次を狙っている)焦点は「第三の候補」が誰になるのか。Yさんのような気がするのだが、まだ、ハッキリしない。
午後、ビル管理会社の青年、来訪。「清掃員に応募がいなくなった」とボヤク。ビルの清掃は危険ではないが2K(キツイ、汚い)。 景気が良くなると成り手がいなくなってしまう。でも、本当に景気が良いのか。
午後3時、TBSラジオで収録。JRA六本木事務所で世間話。ちょっと運動不足なので、夕方、アメ横を散歩。いつもの店に顔を出す とイタリア製のグリーンのセーター。染色が抜群で、気に入ったので「幾ら?」と聞くと「11万円です」。エッ、ビックリシャクリだ。 景気が良くなっているのかしら?!
「時期が終っているので、スペシャルプライスでいかがでしょう」と言うから、流石に買い手がいないのだろう。
夜、サンデー毎日の「青い空 白い雲」を書く。
景気は気分
5月9日(火) セーフ! 築地で朝から‥‥
東京築地の国立がんセンター「がん予防・検診研究センター」の臓器別検査方法は、こんな風に行われる。
肺は痰の細胞診+胸部CT。食道、胃、十二指腸、大腸、直腸は内視鏡。肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓は腹部超音波。前立腺は血液、 尿。それに血液、尿、PETで全身を見る。
4月25、27日の検査で、ちょっと不安なところが出た。腹部超音波を終えた直後、女性医師から「膵臓に丸い影が出た」と言われた。 ガンなのか。
膵臓ガンは近年、増加の傾向にあるが、早期発見が難しく、予後不良のガンとさえ言われている。これはヤバイ。
医師から「膵臓MRI検査」を勧められた。検査に掛かる費用はタダだという。研究協力の意味が大きいというのだ。もちろん、やって もらうことにした。
ガン検診を終えて、気持ち良くゴールデンウィークを向けえるつもりだったが、そのMRI検査が5月9日に決まったので、ちょっと 不安な黄金週間になってしまった。
僕に取っては「運命の日」がやって来た。実に恥ずかしいことだが(と言うより、当然のことなのかも知れないが)この間、ネットで 「膵臓ガン闘病記」などを読んだりして「もしガンと言われたら、何をすべきか」を考え続けていた。
朝一番で、MRIに掛かった。普通の人なら15分ぐらいで終るのだが、40分以上も掛かる。何故だろう。かなり悪いのか。覚悟した。
検査室から出てくると医師が実に事務的に説明してくれた。「右半身麻痺の関係で、右手が撮影の邪魔になり、時間が掛かったが、水疱 です」という。「それも幾つもありました」「ガンですか?」「水の粒みたいなもので、ガンではありません。時々、そういう人がいるん です。改めて、検査結果を文書で送りますから」「何か治療は必要ですか?」「それもありません。まれに、水疱のなかにガンが出来るこ ともありますから、毎年、検査すれば良い。ご安心、下さい」
ガンではない! 助かった。ホッとした。
でも、考えてみるとヘンなもので、ガンを早期発見するために検査を受けるのに、そう言われると、死刑を宣告されたような気分になる。 人間、いつかは死ぬんだから、覚悟すれば良いのだが‥‥覚悟できないのが人間様か。
正式な結果は後日だが、とりあえず、膵臓に関する限りセーフ。ああ、やれやれ。検査のために朝飯を抜いていたので、急に腹が減る。 築地の場外で寿司。それに、午前中にも関わらず、ビール一本! 実に美味い。
仕事場に戻り、ベットに入り2時間眠る。前夜は眠れなかったのだ。
午後、出社して、たまちゃんと「平塚5遺体事件」などで世間話。「俺が週刊誌の編集長なら、この事件で10万ぐらい部数を増やせる」 なんていい加減なことを言う。気分が良いのか。しかし、千鶴子事件は、平成事件史に残ることは間違いない。
午後7時、平河町の四川飯店で、日本財団の笹川陽平さんが呼びかけた意見交換会。中国通の東京新聞・清水美和編集委員ら外国通の ジャーナリストばかり数人が中華料理を食べながら約2時間半。外交センスのない当方を選んでいただき、恐縮ではあるが、実に勉強に なった。中国という国は半端じゃない。その辺りのこと、もっと勉強しなければ、と思うのだが‥‥外交問題は苦手で困る。(ただし、 靖国神社参拝については、陽平さんと僕は意見が大分、違う)
出家の念仏嫌い
5月8日(月) 「平成の阿部定」ではないのか
ワイドショーが連日のように「平塚5人遺体・岡本千鶴子事件」を報じている。ことの真相を知りたいような、知りたくはような、アレ コレと彼女の過去を調べてみると、日本という国が分かってしまうような、人間の仮面が剥がされるような、奇妙な事件だ。
これはあくまで僕のカンなのだが、キーワードは「貧困とセックス」というような気がする。あの阿部定事件と同じような異常さを感じ る。
阿部定という女性が1936年5月18日、東京都荒川区尾久の待合茶屋で、性交中に愛人を扼殺し、男性の局部を切り取った。その 猟奇性。阿部定が逮捕された5月20日には号外が出され、国会で審議が中断するほどの騒ぎになった。
阿部定事件と岡本千鶴子事件が似ているのは、阿部定は切り取った男性の局部を持ったま逃走。いとおしく、頬づりしていたことである。 それが、遺体を長時間、管理し続けた千鶴子容疑者に酷似している。多くの遺体と同じ空間で生活し、セックスもあったと推測出来る。 遺体を溺愛しているような感じ。それが似ているのだ。
阿部定については多くの研究がなされているが、彼女がある大学生に強姦され、セックスを知った「悲しい過去」があったようだ。僕の カンだが、今回の事件も「最初のセックス」に何か秘密があったような気がしてならない。
もう一つ、時代背景である。阿部定事件と時代背景が同じような気がする。阿部定事件が起こった1936年は動乱の年だった。皇道派 と呼ばれる20代の一部青年将校が「昭和維新・尊皇討奸」をスローガンに、武力を以て元老重臣を殺害すれば、天皇親政が実現し、腐敗 が収束すると考えた2月26日未明、彼らは近衛歩兵第3連隊、歩兵第1連隊、歩兵第3連隊、野戦重砲兵第7連隊らの部隊を指揮して、 内閣総理大臣(岡田啓介)、侍従長(鈴木貫太郎) 内大臣(斎藤実)、大蔵大臣(高橋是清)、陸軍教育総監(渡辺錠太郎)、前内大臣 (牧野伸顕)、内務大臣(後藤文夫)を襲撃した。
決起した若者は閉塞感に押しつぶされていた。彼らの故郷、東北地方の貧困。僕の仕事場のある「柳橋」の花柳界には、当時、東北から 若い女性が身売り、芸者になった。僕の仕事場の隣にあった松の湯の女便所には「おかあさん、助けて!」という落書きがあった。阿部定 も芸者だった。
その一方で、軍事産業は拡大し、株で儲ける人が次々に登場した。腐敗の日本だった。だから、皇道派は「昭和維新」に立ち上がった。 彼らは斎藤内大臣、高橋蔵相、渡辺教育総監の殺害に成功した。2.26事件である。(岡田首相は殺害されたと伝えられたが、これは間 違えで、殺害されたのは松尾伝蔵首相秘書官)
その重苦しい時代背景の中で「阿部定事件」は起こった。閉塞感の中で、貧しい女性がセックスに溺れた。同じような時代背景を「平成 の阿部定事件」に感じるのだ。千鶴子容疑者は貧しく、借金を繰り返していた。
隠された時代背景について書かねばならない。内政の失敗(破産寸前の国家財政)を隠すため、権力者は改憲を政治日程に組み込むこと で、国民を欺こうとしている。国民の目を「安保・外交」に集中させようとしている。
地域格差がどうしようもないところまで来た中国が靖国問題で日本と闘う姿勢を見せることで、内政の失敗を隠すのと同じようなものだ。 中国は反日の世論操作を続ける。これと同じような世論操作が日本でも行われている。「安倍ちゃんと福田さんは外交では徹底的に違う」 というキャンペーンは、その類だ。
一極集中の東京はミニバブル景気に浮かれている。が、それは見せかけ。国家の財政破綻のツケが地方への「しわ寄せ」になっている。 地方は間違いなく疲弊している。それはまるで「東北の貧困」と「軍備強化」の昭和11年と同じような実情である。
株買占めで儲けた人間と、軍部だけが胸を張った、あのバランスを失った頃に、日本は逆戻りしている。ホリエモンが、村上ファンドが カネ儲けをして、その一方で「負け組」と言われる人が鬱々としている。
その本当の日本の現状を我々が的確に報道していないのではないか。(と言うより、マスコミ人は概ね「勝ち組」にいるから「負け組」 の心が分からないのだ)
異常セックスと貧困は同居することがままある。と言うより、貧しい故の異常セックスが存在する。ともかく、平塚5遺体事件の異常さ に「阿部定事件」に通じるものがあるのではないか。
午前中「おけら街道」執筆。参院のドン・青木さんと「派閥維持」に頭を絞る森さんが競馬場で会った話。午後からは、そぼ降る雨の中、 阿部定事件の縁の土地を歩いてみた。
地獄は壁一重
5月7日(日) 独居房で2人暮らし?
今日から日記再開。この間の出来事を簡単に。
栗東トレセンの見学を終えて、4月21日、京都から帰京して、そのまま市川へ。マンションの住民Sさんから「倅が新発田で耳鼻咽 喉科の医院を出した」という自慢話を聞く。倅さんは新潟大を出て、カナダに留学。専門医として評判は上々。写真を見せて貰ったが、 立派な施設である。そりゃ、親としては自慢したくなる。この種の自慢は他愛もなくて、微笑んでしまう。
22日夜、新浦安のオリエンタルホテルで山本祐司先輩の「毎日新聞社会部」(河出書房新社刊)の出版記念会。脳卒中の敏腕記者の 大作。胸がジーンとする挨拶ばかり。この模様は毎日新聞PR版「Maiぱれっと5月号・新ここだけの話」で書いた。読んでくれ。
23日朝はTBSラジオ。それ以降はいつものように執筆また執筆。時間を割いて25、27の両日は国立ガンセンターでガン検査。 看護婦さんがTBSラジオを聞いていたらしく「牧さんですか?」と声を掛けられた。僕の話し声には特徴があるみたい。内視鏡検査では 問題がなかったが、ちょっぴり不安の個所もある。
28日は午前中、JRA六本木事務所→池袋西武へ。某百貨店の杖売り場の女性に「今使っている杖が欲しいんだ」と話していたら、 携帯で「ウチにはありませんが、池袋西武で発見しました」という通報。「××百貨店には内緒で、ねぇ」と笑い声。ありがとう。早速、 池袋西武の介護売り場に直行すると、2本、隠しておいてくれた。感謝感激。
その後、三多摩地区の某法人会に頼まれ、1時間半、講演。夜、関西から親友がやって来て、西新橋の「はなわ」で一杯。この日辺りが 原稿ラッシュで、その上、講演をしたので疲労困ぱい。一時間しか付き合えなかった。ゴメン!
29日は某百貨店の女性店員にお礼に行く。その後、武道館の全国柔道選手権。JRAの職員が出場するので応援。でも2回戦で敗退。 残念である。
30日は天皇賞。流石に京都に行くことは出来ず、東京競馬場で観戦。インパクトは出遅れてレコード勝ち。ああ、まさに天馬だ。
さて、5月1日。待ちに待ったゴールデンウイーク。予定通り、北陸紀行。天気に恵まれて、日本海の海の色が格別だった。永平寺の参 道を歩いていたら「コラム大声の締め切りが早くなっています」と携帯。黄金週間は一本も書かない! と決めていたが、そうにも行かず、 旅先で知った「越前大仏」の話を書く。(9日の夕刊)
6日まで長野、福井、石川、新潟と遊びまわり、7日朝、柳橋の仕事場にリュックサックを置きに帰り、それから汐留のウインズで新潟 7Rの愛馬・ロックスピリットを応援。5着。午後、珍しく倅が遊びに来て3時間近く雑談。これで「絶対に原稿を働かない1週間」は 無事に終った。が、7時過ぎ、仕事場の中で、転んだ。右足のハンマー指が床に引っかかり、右足の爪が剥がれ出血。遊びすぎたので、 神様がお怒りになったのか。
怒られないように机に向かい「JREAST」の原稿を書く。ちょっとスピードが遅くなったが、未明に完成。やっと普通通りのリズム に戻る。
ゴールデンウィークで気になる事件が2つあった。
その@ 5日の亀田の兄弟OK。あれ、ボクシングなのか。ヤクザの喧嘩と変わりない。何で、それほど大騒ぎするのか。弟の方は、 ひょっとすると「お膳立て」があっての1回KO、ではないのか。まあ、真正面から文句をつけるつもりもないが、この業界の顔ぶれを 見ていながら、彼らを英雄扱いするテレビ。彼らの試合に「花」を贈る某女性閣僚の神経。どうにも分からない。
そのA 神戸刑務所で、同じ独房に罪人が同居? 2人は喧嘩になって、一方が死亡する。この刑務所は収容率120%。独居房に2人 が入るのは普通なんだという。独居房に、異常な神経の人間が一緒に入れば、事件が起こらない方が不思議ではないか。犯罪多発のニッポ ン。これでは、中南米と同じじゃないか。これは国会が真剣に議論すべき問題ではないのか。
ヘッ、平塚5遺体事件? 知りたいような、知りたくないような。人間の業の深さに、震えるばかり。人間って、物凄い動物だ。
妙な兄弟、妙な刑務所、妙な母親、妙なテレビ局