22日、多分、日本で一番小さい雑誌だと思っている季刊コミュニケーション誌「パピヨン」が送られて来た。(あすなろ社発行、TEL03ー5910ー3389 「パピヨン」とはフランス語でpapillon。チョウまたはガのことである。チョウが羽を開いたような耳を持つ犬もパピヨンと呼ばれているらしい)
以前にも、紹介したが、この「あすなろ社」は実にユニークな出版社で、究極の知性、究極のお洒落が“売り“だが、あんまり「商売」のことは考えない。「時代」を追いかけることがまるで出来ない。道楽出版社のような存在である。
「パピヨン」も道楽? 表紙を入れても、28ページの小冊子だが、年間購読料2500円。ビックリするほど「値段が高い雑誌」だが、特定のファンには読み応えがあるのだろう。(多分、ほとんどが、贈呈しているらしいから、大赤字?)
「編集室から」というコラムを心待ちにしている。社長にして、編集発行人の竹岡準之助さんの「楽屋話」が、楽しいのだ。
今回は「一度だけ経験した文学賞の下読み」の話が面白かった。
初対面の3人が、駿河台の「山のホテル」(僕も何度か“缶詰“になったことがある老舗ホテル)の一室に篭り、手当り次第に応募作を読む。一日に10作品。100点満点で、3人の「下読み屋」が採点して、評価する。
辛い仕事だと思うのだが、竹岡さんは、結構、楽しそうだった。
で、受賞したのは……応募が締め切りになった後、ある高名な作家の推薦とかで、持ち込まれた作品だった。
選考に情実があるとも思えないが、竹岡さんには「無難だがインパクトが薄かった」と書いている。
竹岡さんは「これぞ受賞作」と確信した作品「新大飯店」に縁がある。某宗教団体の青年誌に頼み込み、何回かに分けて、連載したという。
これが本当の受賞作! ちょっと良い話だ。
ところが、この「編集室から」の終わりに「ごあいさつ」が載っている。
何か? と読むと「少誌は本号を持ちまして休刊とさせてもらいます」。エッ、休刊?!
「人間に生と死があるように、何事にも、初めがあれば、必ず終わりがあります。終わるのが、早いか、遅いかの違いだけです」と書いている。ウダウダ、休刊の理由を述べないのが、パピヨン流?
最初から最後まで、おしゃれではないか?
16年間に64号。幾ら、損したんだろう。
竹岡さん、ありがとう。
<何だか分からない今日の名文句>
一滴の血も 残さずに 秋の蝶