「弘道会ボーリング大会」の秘密

 「六代目山口組」から山健組などが分裂。「神戸山口組」が出来てから一ヶ月。

 嵐の前の静けさ?である。

 分裂したなら(ヤクザの世界では)「司忍・六代目(の命)を取れ!」「井上(神戸山口組組長)を取れ!」というのが究極の目的、という事だが、そんな気配はない。

 多分、六代目山口組組長、高山清司・若頭の出身母体、名古屋の「弘道会」が圧倒的なチカラを持っているからだろう。ヤクザ評論家の溝口敦さんの『抗争』(小学館101新書)の中で、司忍が「強い秘密」を明かしている。

 「うちに強いというイメージがあるとしたら、結局、われわれが神戸から中京に入って行ったときには『なんや山口組?どこの組や?』という時代だったでしょう。しかも警察の圧力、地元の団体の圧力に、たえずさらされておった。

 それからうちの一組で五つも六つも地元の組織とやり合って、ずーっと来てるから。今回みたいな大きな抗争(山口組・一和会抗争)になっても、手弁当で喧嘩するいう意識が残ってる。ゼニはないけど、握り飯食ってでも喧嘩やるぞという気持ちがあるから。うちは貧乏してる組だから、手弁当で『よっしゃ、喧嘩するんや』といういいとこは残っとるわね、田舎の出の人間が多いもんでね」

 要するに「抗争に強い」と言っている。

 それは半分、正しいが、半分、嘘である。

 はっきり言って、強い秘密は「中京の経済力」。もっと、はっきり言えば「中部国際空港の建設」「名古屋港の荷役」「名古屋・栄の夜の街」である。

 弘道会は空港建設の砂利利権を支配した。空港の建設費は約6000億円だが、その大半は、空港島の埋め立てだから、砂利購入は莫大だった。

 次は港湾荷役。弘道会は、もともと「鈴木組」という沖仲仕ヤクザだった。

  港湾労働者は(医者のような特殊技能者と同じように)労働者派遣法の対象にならないから、弘道会はやりたい放題だ。

 それに「栄の用心棒代」。NHK名古屋放送局は、3日夜「山口組分裂」を放送したが、その中で、弘道会は「用心棒代を払っている店に働く女性」を集めて、ボーリング大会を開いて、豪華な賞品で喜ばれている、と「弘道会の強さの秘密」を解説した。

 ともかく、経済力が強いのだ。

 集めた金を、弘道会系のファンドは、何に投資しているか?

 それは別の機会に詳しく説明するつもりだが……米フォーチュン誌は、昨年、六代目山口組の年間収益を9兆円、と報じたが、そのうち、一兆円は弘道会の「稼ぎ」ではあるまいか。

 金持ち、喧嘩せず!

 弘道会は、喧嘩しないヤクザになったのでは……

 ちょっと面倒なこともあって、5日の毎日新聞コラム「牧太郎の大きな声では言えないが」は安倍批判を一休み(笑)

 「寿命もの」にした。暇なら、読んでくれ!

<何だか分からない今日の名文句>

右手にピストル、左手に「兄弟盃」

そして、心は「カネ」