突然「講話」という言葉が飛び出した。
例の「沖縄防衛局長の講話問題」。沖縄県宜野湾市長選をめぐり、真部朗沖縄防衛局長が「講話」を行ったことに、官房長官が「講話をしたことがすべて『いけない』という判断はまだ全くない。逆に『良いことだ』という評価が出るかもしれない」と訳の分からないことを言っている。復興、消費税、エネルギー……この忙しいのに。
【講話】って何だろう?
辞書には「ある題目について、大勢の人にわかりやすく講義をすること。また、その話」とあるけれど。自衛隊ではよく使う言葉なのかもしれないが……話す人間が「上」で、聞く方が「下」という感じがする。
上司が「応援する候補の名前は言わないが、会社にとって、都合の良い人に投票してくれ」と言ったようなモノだろう。
「講話」とは、この場合「依頼」「お願い」「応援」「脅し」「圧力」「組織維持」と様々な意味が含まれている。
言葉って、変幻自在だ。
毎朝、必ず読むようにしている産經新聞の「産経抄」。3日はこんな”書き出し”だった。
「よばい」という言葉に「夜這い」をあてれば、夜陰にまぎれて相手の寝床に忍び込む姿が思い浮かぶ。もっとも歌人の尾崎左永子さんによれば、語源は「呼ばひ」で「自然発生的な求婚手段であった」。〈秋萩の散りの乱(まが)ひに呼び立てて鳴くなる鹿の声のはるけさ〉。万葉集のこの歌の「呼び立てて」も、妻恋う鹿の恋鳴きである(『古典いろは随想』紅書房)。
知らなかった。勉強になる。今回は「言葉」の話か? と思って、読み続けると、
「沖縄県宜野湾市長選をめぐって沖縄防衛局が、投票権がある職員と親族のリストを作成し、局長が職員に投票を呼びかける講話を行っていたという。選挙への干渉と疑われても仕方がない。耳を疑う発言によって更迭された、前局長に続く不祥事である」と続いた。
つまり「産経抄」の筆者は「言葉の話」ではなく、テーマは講話問題。今回の「講話」を不祥事と捉えている。
官房長官が「良い講話もある」と言っているのに……一刀両断である。
それより、この日の「産経抄」で注目すべきは、
「宮本雅史那覇支局長によれば、宜野湾市職員労働組合では、特定候補への協力を呼びかけていた。公務員の政治的中立という点ではこちらも大問題のはずだが、なぜか小紙以外は報じない」という件だった。
これが事実なら、こっちの方が問題だろう。
労働組合が特定の候補を応援するのは当たり前、とメディアは思っているが、厳密に「公務員の政治的中立」を考えると、やっぱりおかしいことになる。
「講話」を問題にするなら「組合の応援」だって問題にしなければならない。
はっきり言わせてもらう。もともと「公務員の政治的中立」なんてあり得ないのだ!
「講話問題」は「間抜けな官僚がいた」と言う程度の話で済まさないと……またまた、時間の無駄使いになる。
2日は野暮用で、楽しみにしていた「三毛猫の会」を欠席。申し訳なかった。
<何だか分からない今日の名文句>
マニフェスト違反は「講話」以上にもっと「悪」