「物書き」の哀しさ

 週末の報告。
 サンデー毎日の編集長から「今週の”牧太郎の青い空白い雲”は、ぜひ、みのもんたモノでお願いしたい」という注文。
 みのさんの愛妻、御法川靖子さん(享年66)が、22日夕方、がんセンターで亡くなった。テレビのワイドショーの格好のネタになっている。「サンデー毎日も無視できない。で、親交がある牧さんに書いてもらいたい」という。
 注文が来た時、途中まで「生活保護もの」を書いてのだが……。
 正直なことを言えば……靖子さんとも親しかったから、ショックで、とても”書ける状態”ではない。だけど……「プロの物書き」だから……断ることはできない。
 それにしても、どこまで書き込むベキか?
 結局、徹夜になり、金曜日の25日未明、やっと書き上げた。
 読み返して見ると……駄文だ。恥ずかしいほど、下手くそだ。
 友人の不幸で、飯を食う「物書きの切なさ」。ちょっぴり、落ち込む。(「蕎麦春秋」の締切りを延ばして貰う。編集の佐藤さん、ごめんなさい)
 26日夜、鎌倉山のみのさんの自宅で通夜。庭から鎌倉の市街地が一望できるのが靖子さんのお気に入り。庭に山あり川あり。築山の式場まで、右半身麻痺の当方、TBSの仲間に支えられ、何とか、たどり着いた。
 みのさんに適当な言葉もなく……「何も知らなくてゴメン」というと「誰にも(ガンのことは)言うな! と言うから。アイツらしいだろう」とみのさん。ぐちゃぐちゃの笑顔?……憔悴を隠すのに懸命になっている……。
 何も言えなかったが……「みのさん、頑張れ」しかないじゃないか!
 28日はダービー。大震災の去年は8万人しか集まらなかったが、今年は11万5000人。JRAの仲間の努力に頭が下がる。
 馬券は? 狙った馬が5着、6着で赤っ恥。(でも、馬券を買った5レースのうち、外れたのはダービーだけ。ちょっぴりだが、浮いた)
 レース後、親友の奢りで、調布の例の天ぷら屋。偶然、当方のブログを読んでいるという方に遭遇。この店の存在を、当方のブログで知ったという。喜ばれている。
 数日前に、当方のブログのファンという「地元の信用金庫の支店長」がわざわざ理事長を連れてやって来たり……思わぬところに、読者がいるんだ。
 楽しい一夜ではあったが、何となく、いま一つ、気分が乗らない。当方だけ、早々と帰宅。
 夜遅く、天ぷら屋で別れた親友から携帯で「大丈夫か?」
 周囲を心配させるほど、落ち込んでいたのか?
 それにしても……やるせないなあ。

<何だか分からない今日の名文句>
「相棒の66歳」を使い切った奴