ガンは「早期発見」が全てなの?

 週末、4年半「食道がん」放置のニュースを聞いて驚いた。
 あの地域では「信頼出来る」と評判の新潟県立小出病院(魚沼市日渡新田)。あろうことか、あるまいことか、魚沼市の60歳代の男性から見つかった「がん細胞」発見の検査結果を4年半にわたって放置していたというのだ。
 この男性は2007年5月、同病院で内視鏡検査を受け、食道に早期がんが見つかったのだが、外来担当医師が過去に提出された報告書を「新しいもの」と思い込み、要経過観察と伝え、ガンの治療は全くしなかった。
 男性が昨年12月に来院し、検査したら、食道がんがかなり進行したのでビックリ。そこで、はじめて、4年半も検査結果を放置していたことがわかった。
 こんなこと起こるのか? 驚いた。
 以前「眼の手術で、右眼、左眼を間違えた」という話を聞いたことをことがあるが……有名な病院だって、勘違いする。
 もう一つ、驚いたのは……ガンを4年半、放置しても、命に関わることはなかったのか?
 この「4年半、ガン放置騒動」で、一番、興味があるテーマではあるまいか?
 男性は今年3月、県内の他の病院で食道の一部を切除する手術を受けたそうだが……今は自宅で生活しているという。
 詳しいことは報道されていないが……直ちに、生命には関係ないらしい。
 ガンは「早期発見」が必須、と信じているが……そうでも、ないのかも知れない。
 調べてみると、専門の医師の中でも「早期発見」を否定する人? もいるらしい。
 「前立腺がん早期発見の落とし穴」を書いたM. B. ガーニック教授(ハーバード大学)。
 彼の研究結果は……。
 前立腺がんに限っては,早期発見のアプローチが必ずしも正解ではないことが,欧米での大規模調査で明らかになった。自覚症状がない人が検診で前立腺がんと診断された場合、治療を受けることが多いが、そうした早期治療によっても全体の死亡率は大きく減っていない。逆に、不必要と思われる治療によって尿失禁やインポテンツなど深刻な副作用で苦しんでいる男性は米国では数十万人に上るとみられているそうだ。
 早期発見は大事だ! と思うけど……ガンを知らされて、そのストレスに負ける人もいるだろう。
 「ガン4年半放置騒動」で、イロイロなことを考えてしまった週末だった。

<何だか分からない今日の名文句>
病気を診な、病人を観よ!