先週末(6月17日)日刊スポーツの競馬コラム『言わせてもらう』で、西山茂行さん(西山牧場社長)が「ちょっと読者にお知らせです。」とサラリと明かしてくれた「ちょっと良い話」。感涙した。
以下、引用する。
ちょっと読者にお知らせです。西山牧場・阿見分場の場長で元地方競馬所属の騎手、本間茂(58)ですが、このたび特別区競馬組合から「本間茂は平成2年11月20日付で競馬関与禁止処分を受けたが、これを解除する」と通知を受け取りました。
多くは語りませんが、平成2年11月に西山牧場へ入社以来22年間、ただの1度も病気で休むことなく、ただの1度も遅刻もなく、競走馬の育成に心血を注いできたことを認めてくれたようです。
南関東ナンバーワン騎手の本間茂さんが、騎手の予想行為で競馬法違反に問われた事件。今でも、鮮明に覚えている。
本間茂騎手が川崎の駅前のパチンコ屋で知り合った人間に自分の騎乗する馬の情報を流していた、とされた事件。
まるで、八百長のように報じられたが、いまでも「単なる不注意」だったと僕は思っている。
本間が関わったとされるレースは……エメラルドセイザンで勝利した平成元年9月の大井の準重賞クリスタルナイトC。
エメラルドセイザンは1番人気で1着。本命が実力通りに1着になって、八百長なんてことはあり得ない。
本間さんがパチンコ屋で知り合った人間との雑談で「あの馬調子はどう?」と聞かれて「多分、勝てるんじゃない」と軽く応じただけだ。
確かに不用意だ。
でも、当時のメディアが「地方競馬=不正の温床」という偏見を持った結果「行き過ぎだ報道」になったのではあるまいか?
僕が警視庁捜査4課担当の時、取材した「ブシユウコダマ事件」とは明らかに違う。この八百長レースでは、ゴール前、騎手が本命馬・ブシユウコダマの手綱を引っ張った。(「ブシユウコダマ事件」は、僕が「小説サンデー毎日」<今は廃刊>という雑誌に詳しく書いた。本間茂事件は社会部記者でなかったので、それほど詳しくないが、個人的な興味もあって調べてみた記憶がある)
本間茂事件では、この情報提供?で、金銭の授受はなかったし、一部に「パチンコの玉」を貰ったという話もあったが「藪の中」だった。
それにしても、南関のトップジョッキー「本間茂」が失ったものはあまりに大きかった。
冤罪に近い仕打ちではなかったか?と思った時もある……。
その後の本間さんの消息は知らなかった。
このコラムで「誇りある第二の人生」だったことに安堵した。本間さんは歯を食い縛って頑張ったのではないか。
西山さんに会って「幸せ」を知ったのかも知れない。
競馬ファンの一人として「おめでとう!」と言いたい。
競馬サークルって、素晴らしい。
さて、今週は宝塚記念。永田町の茶番劇を忘れて、馬券検討で楽しむぞ!
<何だか分からない今日の名文句>
誤解を跳ね返す「人間力」