岩手県滝沢市のイベント会場で「AKB48」メンバーの川栄李奈と入山杏奈が“のこぎり”で切りつけられた事件。
殺人未遂容疑で現行犯逮捕された青森県十和田市、無職・梅田悟容疑者(24)は「人の集まるところで人を殺そうと思ってやった。誰でもよかった」と供述している。
AKBのメンバーを明確に狙ったのではなく、不特定多数が犯行の対象?
これも「無敵の人」の犯行である。
皆さんは「無敵の人」という言葉をご存知か?
「無敵の人」とは……人間関係も社会的地位もなく、失うものが何もないから、罪を犯すことに心理的抵抗のない人間のこと。ネットスラングで「無敵の人」と言うらしい。
実は、26日の毎日新聞夕刊「牧太郎の大きな声では言えないが」で「無敵の人」について書いたばかりだった。(「無敵の人と徴兵制」)
コラムでは「黒子のバスケ事件」の容疑者を中心に書いたが、過去には、秋葉原やマツダ本社工場での殺傷事件……今年になってからも、1月に、食品工場での農薬混入事件。2月になると、六本木のゲーム会社の派遣社員が、勤務先に刃物を持ち込み、同僚を次々刺した事件。
名古屋駅の歩道に乗用車が突っ込み、13人が重軽傷を負った事件もあった。
すべて「無敵の人」の犯行である。
「逮捕され、死刑になっても構わない」と思っている「無敵の人」の犯行なのだ。
「会社に対する不満が動機」というのは、良くあるケースだが、最近は「現実世界そのもの」に絶望したパターンが多い。
ニートや引きこもり、無職、派遣社員など、雇用の安定していない人間が「無敵の人」になっている。
「憎悪の発露」だけに収まらない。人々を混乱や恐怖に陥らせることを目的とした「確信犯」に変貌する。だから恐ろしい。
「無敵の人」と言えば「哲学的表現」になるが、簡単に言えば「やけっぱちの人」じゃないか。
彼らが「やけっぱち」になった理由を探さなければならない。
コラム「大きな声では言えないが」では
「共通した『背景』がある。それは『格差』である。
人々が平等で、均質だった『一億総中流社会』は終わった。正社員削減、非正規雇用急増……就職が難しくなって『真面目に働いても貧困から逃げられないワーキングプア』まで登場した。
所得格差はやがて教育、医療、結婚、出産……あらゆる格差に広がり、差別を生む」。
こう、書いた。
この致命的な「格差」を何とかしなければ。
今、指導者に求められるのは……誰でも知っているのに、集団的自衛権で、頭がいっぱい?
指導者共が己の無能に絶望して「やけっぱち」になっているのかしら?
<何だか分からない今日の名文句>
戦争準備より「格差」解消