正月、母の「写真箱」に義父・大木保之佑が中心に座っている一枚の「集合写真」があることに気づいた。
全員で11人。みんな修行僧の出立ち。
大木さんの右隣が母・牧ふみである。
大きなお堂の前で撮っている。
日時もない場所も書いていない。
いつ頃の写真だろうか、子供の僕がいないのは・・・。
どこで撮ったのか? 興味を覚えた。
今月初め、「おとなの青春18キップの旅」という雑誌を買ったら、母の写真の「お堂」によく似た建物に出会った。
身延山久遠寺とある。
そう言えば母は、何度か修行のために身延山の287段の階段を登ったと話していた。(大木さんは宗教家だった)
写真の隅に写っているのは、この雑誌が紹介している「樹齢400年のしだれ桜」ではないか?
そこで30日、身延山に登った。
身体が不自由なので乗合バスを使わせてもらった。
やっぱり写真の場所はここだった。
ここに大木さん一行が並んで写真を撮っていたのだ。
母が大木さんと再婚したのは、僕が4歳か5歳のころだろう。
このころ(昭和20年代前半)であれば、写真機は限られた人間しか持っていなかった。
業者に撮してもらったのだろう。
母は下駄履きだった。良くこのスタイルで、この険しい山に登れたのか?
まだ若かったからだろう。
母が撮してもらった場所に立っていたら・・・何故か涙が出た。
しだれ桜は満開だった。
<何だか分からない今日の名文句>
山も人生もパノラマ