毎日のように、日刊ゲンダイの「検察vs政界 経済事件記者の備忘録」を読んでいる。
多分、日本で一番優秀な「司法記者」と言われた村山治さんの「記者生活全記録」ような連載である。
政治家が、どうやって、巨額なカネを集めるのか? よく分かる。で、めちゃくちゃ面白い。
村山さんは1973年に早稲田大学政治経済学部を卒業して、毎日新聞社入社した人物。
当方にとっては「後輩」ということになるが、取材力は誰にも負けない。
1989年、連載企画「政治家とカネ」の取材班のトップとして、新聞協会賞を受賞した。要するに、毎日のスター記者だった。
ところが、その翌年だったか、翌々年だったか、はっきりしないが、突如、毎日新聞を辞め、朝日新聞社に入社した。
今では、ライバル社に移籍するケースは結構、多いが、その頃、これは「裏切り行為」だった。
なぜ、朝日に行ったのか?
それ相応な理由があったのだろうが、残念だった。
その村山さんの「全記録」だから、面白くないはずはない。
昨日19日は「東京佐川急便事件異聞・加藤の仕手に乗るからには、勝ち組の5人の中に入れ」(66回)
ついに、稀代の相場師「加藤 暠」の登場である。
1980年代、仕手筋集団「誠備グループ」を率いて「兜町の風雲児」と呼ばれた人物。
加藤さんが手掛ける銘柄は「k筋」「k銘柄」などと呼ばれ、晩年に至るまで強い影響力を持ち続けた。
加藤さんは「バルブ時代の寵児」。彼が出てくれば、もっともっと面白くなるだろう。
実は、当方「加藤暠」のファン?である。
その昔、トラック運転手が、東京都中央区銀座3丁目の道路脇で日本銀行の梱包のままビニール袋に入っていた現金1億円入りの風呂敷包みを発見した事件があった。
大変な騒ぎになったが、最後まで「持ち主」は現われなかった。
実は、その一億円の持ち主は「加藤暠」だった。
当時、我々の取材で分かったのだが、この一億円は、加藤さんから「稲川会の組長」に渡される「4億円の内の1億円」。関係者がうっかり置き忘れたものだった。(この話は、なかなか裏が取れなかったけど、その後、加藤さんの家族が「真相」を明かしている)
一億円を堂々とドブに捨てた「人物」に、当方、興味を持ってしまった。
こんな人物がいる「昭和末期」という時代はなんだったのか?
なんとなく「権力」に負けない風貌も気に入った。
そうそう、週刊文春も「加藤暠もの」を連載している。
「加藤暠 “仕手の本尊”と呼ばれた男」。
これは、もっと面白い。
書いている西﨑伸彦さんは、多分、週刊ポストの記者だった人だろう。
直撃「取材力」は抜群だ。
村山さんの「加藤暠」の人物像は、どちらかというと「権力側の見方」から描かれているが、西﨑伸彦さんの方は「反権力」風?
二つ読み比べれば「加藤暠という時代」が分かるような気がする。
<何だか分からない今日の名文句>
「明日の朝には、私の首が
その辺に転がっているかも知れない」
(加藤暠の言葉)