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拉致事件、謎のメッセージ

 旅に出ると、必ず地元紙を読む。「一日の紙面」でも、その県、その地域の雰囲気、「目指すもの」が分かる。
 週末の一泊泊りの新潟紀行。当然、新潟日報を読む。
 26日の新潟日報朝刊は一面トップが「拉致被害者の救出を訴える県民大集会」。
 25日、新潟市中央区の市民芸術文化会館で開かれた県民大集会は、参加者1900人。北京で4年ぶりに再開する29日の日朝政府間協議を控え、政府関係者や拉致被害者家族らが出席し、盛り上がりを見せた。
 9月で、北朝鮮が拉致を認めてから10年になる。県民大集会では
「日朝協議で拉致問題を取り上げること」などとする決議を採択した。
 あまり知られていないが、この日、岡田さん(克也副総理)は横田めぐみさんが1977年11月に拉致された新潟市中央区の現場を視察している。新発田市で開かれる社会保障と税の一体改革をテーマにした対話集会に出席するためで、その途中、と説明されているが、彼が「めぐみさん」に関心を示したのは始めだろう。
 29日から4年ぶりに再開する邦人遺骨問題に関する日朝政府間協議。日朝双方のつばぜり合いが続いている。
 日本側は「拉致問題を含めた諸懸案を幅広く議論していく」と主張。これに対し、北朝鮮の朝鮮中央通信は16日に「会談を不純な政治目的に利用しようとしている」という論評をウェブサイトに掲載、表面上は拉致を議題に含めない姿勢を示している。
 が、現実は違う。
 金正恩はオヤジとは違う。「オヤジとは違う新しい指導者」をアピールしたい!」と思っている。
 彼のメッセージは「元専属料理人、藤本健二さんとの抱き合った写真」に隠されている。
 スパイ容疑で「北」から脱出した「藤本」さん(これは仮名)。24日、毎日新聞に「平壌での歓迎の宴会の写真8枚」を提供した。
 「藤本」さんを歓待した宴会で、金正恩と「藤本」さんの2人が抱き合うシーンはテレビでも流された。(もちろん金正恩の許可の下である)
 身辺調査の結果、「北」の偵察総局は「藤本」さんは、日本の情報当局との「繋がり」はあるが、依然、北朝鮮への忠誠心を保っている、と判断して招請した、と説明しているが、狙いは「裏切り者」の「藤本」さんを許す「新しいリーダー」を印象づけ「拉致事件も交渉可能」とメッセージを送った、と僕は推測する。
 「藤本」さんの歓迎夕食会には、金正恩、妻の李雪珠、妹・汝貞、叔父の張成沢、金総書記の最後の妻、金玉……ら17人が出席。
 金正恩は「今後も日本と北朝鮮を行き来すればよい」と言われ、来月には再び訪朝するらしい。
 夕食会で「藤本」さんは「日本人拉致被害者が解放されることを願う」と述べたというが、これも、金正恩の許しの下の「用意した発言」だろう。
 金正恩の目的は「開放的な指導者」としての国際社会へのデビューと「お金」である。
 20年以上前の話になるが、当時の北朝鮮担当の外務省幹部から「北は2兆円出せ!と言っているが、めぐみさんが帰れないとなると日本の世論が納得しないだろう」と聞かされたことがある。
 北朝鮮の最大の狙いは、今も「国交正常化のカネ」である。
拉致被害者の奪還に成功すれば、多くの国民から大喝采を浴びてると、野田さんは、思っているかも知れないが……
ともかく「拉致問題」は正念場を迎えている。

<何だか分からない今日の名文句>
密使 密室 囁くは「(秘)密金」