Daily Archives: 2014年4月7日

高村さんまで「ペテンの片棒」

 前回の自民党総裁選の時、このブログで「高村正彦さんが最適任!」と書いたような記憶がある。
 若い頃、自民党三木派→河本派を担当した頃、高村さんは河本派の新進気鋭の一年生議員だった。
 その柔軟さに敬服していたから、この難しい局面、総理大臣は高村さんは以外、見当たらない、と思った。
 その高村さん、自民党副総裁として、集団的自衛権の行使容認で「重大な役割」を背負って登場した。
 今日、4月7日の毎日新聞朝刊の超人気政治コラム「風知草」で、山田孝男記者が「高村は何を説いたか」と題して「高村さんの役割」を書いている。
 その書き出しが……「同じ主張も、安倍晋三首相(59)の口から出ればたちまち「右傾」「危険」と反発を招くが、高村(こうむら)正彦自民党副総裁(72)だと、そうでもない。この違いはどこからくるか。ポイントはバランスだろう。週末、高村と話して最も印象に残ったのが、このセリフである」
 山田君にしては珍しい「おべんちゃら」である。
 山田君がそう書いてしまうほど、タイミング抜群で、集団的自衛権に慎重な自民党のリベラル派を納得させる高村発言。お見事!である。
 だが、僕には「一流のペテン」と映る。
 「1959年の砂川事件の最高裁判決は集団的自衛権の行使を否定していない」というのが高村さんの主張。しかし、これは屁理屈だ。
 砂川事件が起きたのは1957年。米軍旧立川基地の拡張に反対する学生らが基地に立ち入り、日米安保条約に基づく刑事特別法違反で逮捕・起訴された。
 東京地裁は米軍駐留は憲法9条に反するとして無罪にした。が、最高裁はこれを破棄。外国軍は9条が禁じる戦力には当たらないとする一方、安保条約の違憲性については「統治行為論」によって判断を避けた。
 判決は、9条が固有の自衛権を否定したものではないとした上で、「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然」とした。
 高村さんは、そのクダリに注目して、「最高裁は個別的、集団的を区別せず自衛権を認めている。内閣法制局が『集団的自衛権は使えない』というのはだいぶ飛躍がある」と話したのだ。
 集団的自衛権も必要最小限なら認められる!という理論構成である。
 しかし、それがペテンだ。まず、時代背景が違う。
 判決が出たのは、自衛隊発足から5年後。9条が保有を禁じている戦力とは何か?
 自衛隊は合憲なのかどうか?
 が、国民の議論になっていた。
 在日米軍が戦力にあたるのか?が、裁判の最大の争点だった。
 日本の集団的自衛権の有無が争われたわけではない。当然「集団的自衛権」の言葉も出てこない。
 砂川判決が集団的自衛権を認めている!なんて学説、聞いたこともない。
 確かに、安倍さんが同じようなことを言えば、文句が出るだろう。
 それが、素直に、自民党リべラル派が受け知るとすれば……これは高村さんの人徳だろう。
 お世辞はここまでにして(笑)高村さん、国民を騙してはいけません。
 アメリカも集団的自衛権の行使容認を歓迎!という「流れ」を作って、公明党を抱き込む魂胆だろうが……
 高村さん、慎重に、慎重に!
 戦争準備に加担した、と言われないように。

<何だか分からないが今日の名文句>
「錦の御旗」にシミ