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「朝日潰し」に加担すべきか?

 毎日新聞・西山太吉記者の外務省秘密漏えい事件の裁判で、ライバル、渡邉恒雄さん(現・読売新聞主筆)は、
「ジャーナリストというものは、火付・強盗以外は、何してもいい。女性と関係を持って情報を得て、何が悪い」と主張した。
 それでも「情を通じた」西山記者は痛烈に批判され、毎日新聞は一部地域で、不買運動の標的になってしまった。
 時の権力者、佐藤栄作首相は「毎日を潰せ!」と檄を飛ばしていた。
 毎日新聞は週刊誌の標的にもなって……「権力」に新聞が敗れた瞬間だった。
 あの時、僕は毎日新聞社会部の“サツ回り(所轄警察の担当記者)”の若造だったが、社内が大混乱したのをハッキリ覚えている。
 今の朝日新聞社は、まるで、あの時の「毎日の悲劇」を見るようだ。
 朝日新聞は従軍慰安婦報道だけでなく、それを批判した週刊誌の広告掲載を拒否したり、「謝罪すべきだ」と書いたジャーナリストの池上彰氏のコラム掲載をいったん見送ったり……もう、メチャクチャだ。
 あの時、毎日新聞には「報道の自由!」という大義があったが、今回の朝日新聞は「歪曲報道」とまで言われ、その対応を誤り、逆に「表現の自由」を制限するかのような「反ジャーナリズム的な所業」に終始した。
 これでは、安倍首相周辺の「朝日を潰せ!」勢力の思う壷だ。(ご存知だと思うが、安倍さんは、佐藤栄作さんの親戚である)
 潔く、朝日新聞は、世の中の疑問に答え、すべての事実関係を明らかにして、謝罪すべきは謝罪して、立ち直って貰いたい!
 そんな気持ちで、9月1日のブログで「朝日新聞社長は記者会見せよ!」と書いた。
 サンデー毎日の9月14日号の「牧太郎の青い空白い雲」で 「“営業右翼“に負けずに『朝日の社長』は記者会見せよ!」と書いた。
 昨日(11日)夕方、菅官房長官が吉田調書の公開した。
 政府の事故調査・検証委員会が福島第1原発の吉田所長(故人)を長時間聴取した記録である。
 朝日新聞は今年5月20日、他紙に先駆けて吉田調書の一部をすっぱ抜いたが、その際、「所長命令に違反 原発撤退」との大見出しを掲げ、第1原発の所員の9割が所長命令に背いて福島第2原発に撤退したと報じた。
 これに対し、吉田調書を入手した産経新聞などが「吉田所長は全面撤退を明確に否定していた」と報じ、朝日は誤報!と決めつけ、騒ぎになっていた。
 11日午後7時半から、朝日の木村伊量社長が記者会見を開き、「朝日の誤報」を認めた。
 ネットで記者会見の中継を見たが……痛々しかった。
 吉田調書について、社内で検証を重ねたが、その結果、撤退した人に<誰の命令だったのか><命令に背いたのか>などの裏付け取材を一切していないことが明らかになった、と言うのだ。
 明らかな「勇み足」、というより基本的な取材力の低下。どう批判されても致し方ない。
 「天下の朝日」は、そんな基本を忘れたのか?
 あの小保方晴子さんの「壮大にして、馬鹿げた勘違い!」を思い出した。
 記者会見を開くのも遅すぎた。
 一連の騒ぎの裏側には……官邸の「朝日つぶし」の思惑がある。組織的な「情報リーク」があったことも想像できる。
 権力に「朝日攻撃」の時間を与えた無策!
 情けない。
 新聞は攻撃されると、こんなに脆いのか?
 痛々しい限りではあるが……朝日はそこそこ取材力のある新聞である。
 当面、「朝日潰し」の勢いは強いと思うが……僕らは、これに加担しない。
 普段「朝日、東大、財務省・外務省」が大嫌いな僕だが……ライバルが潰されては困る。
  蘇れ!朝日!
 僕らも、もう一度、基本動作を勉強するつもりだ。

<何だか分からない今日の名文句>
岸信介→佐藤栄作→安倍晋三
家代々の「手練手管」