「駅」の健さんに泣いちゃった
週末から、1日1作のペースで「高倉健」を見ることにしている。
8日の土曜日は年度別映画興行成績第一位に輝いた、あの「居酒屋兆治 (1983年)」
日曜日は「駅 STATION (1981年)」 月曜日は「冬の華 (1978年)」 火曜日は「ホタル (2001年)」昨日、14日は「あなたへ (2012年)」。
どれも、名作だった。
でも、一番良かったのは、やっぱり「駅 STATION」だった。
オリンピックの射撃選手に選ばれた、孤独な警察官が主人公だ。
後半の「大人の恋」が泣かせる。
警察官を辞める決意の主人公が、正月の帰省のため、故郷・雄冬への連絡船の出る増毛駅に降り立った。
吹雪だった。連絡船は欠航。所在無い男は、暮れも押し詰まった三十日だというのに、まだ赤提灯が灯る、小さな居酒屋「桐子」に入った。
女手一つで切り盛りする桐子の店。他に客もいない。テレビでは八代亜紀の「舟唄」を流している。
お酒はぬるめの 燗がいい
肴はあぶった イカでいい
女は無口な ひとがいい
灯りはぼんやり 灯りゃいい……
「この唄、好きなのよ」と桐子は咳いた……
そんな展開である。
男と桐子は同じような孤独の影を引きずっていたのだろう。
大晦日、二人は映画を見て……やるせない恋だった。
結ばれた二人。でも、運命の悪戯。主人公は、警察官として、桐子の昔のオトコを彼女の目に前で、射殺する。
泣けちゃった。
この映画、何度見ても、必ず涙腺が……涙が出るのは、「人の子」だからだろう。「人の子」とは「人間らしい人間」という意味だ。
大晦日、豪雪の街で、出会ったばかりの男女が、煤けたラブホテルで……これがやるせない。
「人の子」だから仕方ない。
一人じゃ生きられないことを教える、同時に「一人で生きるしかないこと」を教える「駅 STATION」は多分、健さん映画のナンバー1だろう。
今夜は「鉄道員(ぽっぽや) (1999年)」を見るつもり。
<何だか分からない今日の名文句>
イエスはご自分のこと「人の子」と呼んだ