阿修羅はいつも負けた
10日は奈良に入った。
昼、フジエダ珈琲の「オランダ屋 奈良店」で、ごろっと野菜のビーフシチュー」。美味。安い。
半分、紅葉の奈良。
今回の最大の目的は、興福寺の阿修羅像を見ることだった。身体が不自由なので、本堂に入るのが難儀と思っていたが、別棟の国宝館にあるので、助かった。
八部衆像・阿修羅像(国宝)は、優しい少年のような紅顔だった。
華奢だ。腕が細い。眉根を寄せている。
どこにでもいる、隣るにいる優しい少年のようだが、古代インド神話の阿修羅王は、帝釈天を向こうに廻して、荒々しい合戦を繰り返す悪神で、容貌醜怪な札付きの外道とされていた。
それで、必ず、負ける。
阿修羅像は、この神が釈迦の教化によって仏法の守護神となった姿だという。
やや眉根を寄せた悲しげなお顔。何か、過去を思い出しているように、僕には思えた。
夜、京都のホテルに戻って、締切の関係で、徹夜で執筆。「青い空白い雲」は、若干、今回の旅行にも関係する「山口組もの」にした。
<何だか分からない今日の名文句>
阿頼耶識
(すべての行為の印象は
心の領域におさめられている)