「港の人」創立20周年と「詩人・北村太郎」
鎌倉・大町のアパートの一室で“出航”した小さな出版社「港の人」(由比ヶ浜3ー11ー49 電話 0467ー60ー1374)が創立20周年を迎えた。19日、お祝いの「和三盆糖」が送られてきた。
おめでとう。
この出版社とは縁がある。実父・小林春吉が戦前出版した「日本橋総覧」を東京大学に近い古本屋で発見してくれ、復刻版を印刷してくれた。
事情があって、生前、話すこともなかった小林春吉とは、この「日本橋総覧」の復刻版で「縁」が出来た。
「港の人」には、感謝している。
「港の人」という社名は、詩人「北村太郎」の同名の詩集から、取ったという。
この人物、朝日新聞の校閲部長を務めた人で、以前、知人から、北村さんが、文化大革命の全盛期に「毛沢東語録」という表記を「毛主席語録」に直すよう命じられて「毛沢東語録でなぜいけないのだ」と、朝日の編集方針に反対した、と聞かされたことがある。
言葉を大事にする人なのだろう。出版社「港の人」の人は(多分、貧乏しながら)言葉を大事に、大事に、本を出し続けている。頭が下がる。
東京堂書店神田神保町店で、三階人文フロアで「港の人20周年記念ブックフェア」が5月半ばまで、開催されている。本好きな方、近くへ行ったら、ぜひ、覗いた欲しい。
<何だか分からない今日の名文句>
こころざし という単語を見て
すごく吐いた
(北村太郎「悪の花」から)