Monthly Archives: 1月 2018

右翼の論客・西部邁さんの「自裁死」とは?

 どうして、西部邁さんが自殺したのか?。真意が分からないのだ。

 東京大学の学生時代、暴力革命を唱え、政治犯の被告として収監されていた革命家である。それにも関わらず、突如「右」旋回?見事「右翼教授」として再生。自民党の論客になった。

 僕は 若い頃「西部流裏切り上手」とあざ笑っていた。(考え方は大分、違うから、仕方ない)

 それにしても、約200冊の著作。驚異のエネルギーではないか?

 要するに「事の善悪(正義)」より、何時も「中心に居たい」というエネルギーが西部さんを奮い立たせた!と考えていた。とても、自殺なんて理解できない。

 西部さんはまだ78歳。若いじゃないか?

 多摩川で入水するなんて……どうしたんだろう。

 新聞、雑誌の訃報を次から次へと読んでみたが、よく分からない。

 何となく、分かるような気になったのは、毎日新聞の鈴木英生記者の記事である。10日前、西部さんにインタビューしている。

 その取材後、午前4時過ぎまでバーをはしごする元気さをみせていたらしいが……何が起こったのか?

 西部さんは2000年の「私の死亡記事」(文芸春秋編)に「精神的な衰えが見通されたら自殺する」と予期した文章を寄せているが、今回、鈴木記者に「病院で死に行く際の心身の苦しみを身近な人に見せるよりも【自裁死】を選ぶ」と話したらしい。

 病苦なのか?

 しかし「今なぜ?」は残る。表面上、今は「右翼の天下」ではないか?

 安倍内閣の下で、憲法改正への活発な動き。「保守派」に勢いがあるように見えるのに、西部さんは鈴木記者とバーからバーへと夜道を歩きながら「俺の絶望の深さが分かったでしょ」とつぶやいていたという。

 西部さんがどうして、絶望しているのか?

 暴力革命を目指した時も、右翼の論客になった時も、彼は「国」を大事にした。

 だというのに「アメリカに国を売る安倍政権」が日本国の価値観をメチャクチャにしている。

 AERAによると、彼は、こう話していた。

 「米国もめちゃくちゃになっているから日本を守る気なんてない。それに、北朝鮮のような侵略性むき出しの国が核武装すると世界の迷惑だからつぶせと言うけど、最も侵略的なのは米国に決まっている。僕は日本人だけど、その圧倒的大多数はアメリカンデモクラシーの名の下にアメリカの属国民、つまりJAP.COMの社員になっている」

 その通りだ!と僕も思う。

 日本は「トランプ・アメリカの属国」になってしまっている。 西部さんの「絶望」がよく分かる。

 河川敷に残された「遺書」が早く読みたい。

 でも「自裁死」なんて、勿体無いじゃないか!

<何だか分からない今日の名文句>

太陽と死は直視できない

(フランスの文学者・ラ・ロシュフコー)