右手が動いていた「大昔の写真」を貰った
7月12日午後、毎日新聞の磯崎由美・社会部長が仕事場にやって来てくれた。世間話のようなもの。(若干、取材もあったが……まあ、そのことは後日)
同行した小林努カメラマンはかつて一緒に仕事をした記憶があり、懐かしかった。
その彼が「牧さんの昔の写真があったので、持ってきました」
大昔の写真だった。
サンデー毎日の編集長だった頃、深夜、校了の時間に鍋を囲んで、 オダをあげる。そんな時の写真だ。
右手を挙げて、演説している。左手は刷り上がったばかりの「中刷り広告」を握っている。もう一枚では「ウソ」「事実」「真相」とだけ書いてある「大きな白い紙」を抱えている。
大鍋の隣に、ビールの空き缶が並んでいる。若い編集部員に「お説教」をしているのだろう。
いつ頃の写真だろうか?
右手が挙がっているから、脳卒中で倒れる前である。
ヒントは刷り上がった「中刷り広告」にある。
「右大」(トプ記事のこと)は「竹下経世会(金丸会長・小沢代表)はあの山口組と瓜二つ」とある。
「左大」は「米国の体操少女(15歳)は東大病院で植物人間になった」。多分、独自ネタだったのだろう。
1989年の冬ではないだろうか?
竹下派、特に金丸の意向で、1989年8月に第一次海部内閣が成立。金丸の推薦で、47歳の若さで小沢が自民党党幹事長に就任した。
実は、この頃の最高権力者は総理大臣ではなく、「金丸・小沢の経世会」だった。
この号は売れた!と思う。「驚くナ!大阪佐川急便の初任給がな、なんと102万円」「東証第一部1202銘柄株価動向完全予想」「ガルブレイス教授 地球大転換を語る」……売れ筋が揃っている。
あの時は良かった。右手が動いて良かった(笑)
<何だか分からない今日の名文句>
新聞は「事実」は書くが
「真相」は書かない?