政府が「MMT」議論に狼狽する理由?
前回(5月31日)に続き「MMT」について、書こうと思う。
「MMT」はかなり怪しい理論だ。中央銀行が、お国のために、カネを大量に印刷する。中央銀行が政府の「打ち出の小槌」になったら「自由経済」は御仕舞い。最悪な国家主義化だ。
でも、政府、財務省が「MMTは危険だ!」と「その存在」まで隠したりするのは異常じゃないか?
狼狽している。
何故か?
その理由を同志社大教授の浜矩子さんらが解明している。(6月2日の東京新聞のコラム「時代を読む」)
実は、安倍内閣は2017年ごろ「MMT」に良く似た「シムズ理論」を盛んに宣伝にしていたのだ。
「シムズ理論」とは、正確にいえば「物価の財政理論(the Fiscal Theory of Price Level)」、略して「FTPL」。1990年代終盤から2000年代前半にかけて、主にアメリカのマクロ経済学者の間で「理論的な可能性」として議論された。
「『積極財政に転じることで生じた政府債務を将来の増税によって返済していく』という標準的なマクロ経済学で採用されている制約条件を取り除いた場合、政府債務(対GDP比率)の実質的な価値は、物価の上昇によって将来のプライマリーバランスの黒字の合計額とバランスする」
難しい。が、要するに、政府債務の拡大によってインフレ率が上昇する局面が理論的にはあり得る!と主張する。つまり、政府債務は仕方ない!と主張する。
財政出動で脱デフレ!という安倍政権の政策をこの「シムズ理論」が後押した。
「シムズ理論」と「MMT」は枠組みは全く違うが、政策は酷似している。
ところが、政府は、この「シムズ理論」と良く似た「MMT」を全く無視した。それは「MMT」が「消費増税不要!」と主張しているからだ。(「シムズ理論」も消費増税反対!である)
安倍政権は「シムズ理論」を使って、増税を先延ばしたが、今回は違う。
今回は「増税強行!」と決めているのだろう。「シムズ理論」は不要になった。だと、言うのに突然「MMT」という“ヘンな奴”が現れた。
財務省は困った。そこで「危険なMMT」を無視することにした。そこで、メディアによって「MMT」を報道しない向きが出てきた。
でも…… 「MMT」はどうでも良い。「シムズ理論」なんて、どうでも良い!
問題は理論ではない。
もし、消費増税をしたら……日本は世界の笑い物だ。
<何だか分からない今日の名文句>
「増税の理屈」は後から付いてくる!